マーラー 交響曲第2番『復活』

グスタフ・マーラー (Gustav Mahler,1860-1911)作曲の交響曲 第2番 ハ短調『復活』 (Symphony No.2 c-moll “Resurrection”)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップでスコアと楽譜まで紹介します。

マーラーの『復活』は、非常に人気のある曲ですが、実は第5楽章を聴いていたら眠くなってしまった、という人は多いのではないでしょうか?マーラーが若い時の作品ですが、そうとは思えない深みがあるので、聴く演奏を選べばきっと理解できると思います。

解説

マーラー交響曲第2番『復活』について解説します。

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紆余曲折を経て完成

マーラー交響曲第2番『復活』は、1888年~1894年に作曲されました。マーラーが20代後半から30代にかけて作曲したチャレンジングな交響曲です。第1番『巨人』はオーケストラのみで演奏されますが、交響詩として構想された曲です。すなわち第2番『復活』はマーラーが初めて交響曲として構想して作曲した曲です。しかし、最初から5楽章形式で構想されたわけでは無く、以下に説明するようにかなり時間をかけ紆余曲折を経て、最終的にこのような交響曲になりました。

チャレンジングな位置づけの交響曲だと思うのですが、例えばベートーヴェンの第3番『英雄』もチャレンジングな曲ですが、それより完成度が高い交響曲と思います。マーラーの才能に驚かされる音楽ですね。

『子供の不思議な角笛』のインスピレーション

交響曲第2番『復活』は最初からソプラノとメゾソプラノの独唱、合唱を含む、野心的な交響曲となっています。ベートーヴェンが交響曲第9番『合唱付き』と9曲目で初めて独唱・合唱を使用しましたが、マーラーは最初から独唱・合唱を使用しているのです。これはマーラー自身が1892年に強烈なインスピレーションを受けて作曲した歌曲集『子供の不思議な角笛』を素材として使用しているからで、ベートーヴェンとはまた別の合唱付き交響曲の形態を作り出しました。『子供の不思議な角笛』からは第7曲『原光』第4楽章として取り込まれていますが、第2番『復活』全体に大きなインスピレーションを与えています。

ただし第2番は1888年から作曲を開始しており、その後に歌曲集『子供の不思議な角笛』を作曲している訳で、最初からこのような構想があったという訳では無く、紆余曲折を経ています。第1楽章は単独の交響詩「葬礼」として作曲され、出版も画策しましたが上手く行きませんでした。

クロプシュトックのオルガンと合唱による『復活』

もう一つ、第2番『復活』にインスピレーションを与えた曲があります。1894年にハンス・フォン・ビューローの葬儀に出席しましたが、その時に演奏されたクロプシュトックのオルガンと合唱によるコラール『復活』を聴き、稲妻のような衝撃を受けました。

キリスト教では、キリストが十字架にかけられた後、3日目に「復活」したとされていて、その音楽です。このモチーフは宗教画でも良く使用されてきましたし、宗教音楽でも多くの作品があります。例えばメサイアの第3部はキリストの復活の場面です。(筆者も含め)一応仏教の日本人に聖書を読むべし、とは言いませんが、メサイアの歌詞を読むと良くまとまっています。

キリストの復活(宗教画)

この時、第2番『復活』は第3楽章まで完成していましたが、インスピレーションを元に多くの個所を修正しました。そして第5楽章にクロプシュトックの歌詞を基にしたフィナーレを配置しました。

鋭敏なマーラーは様々な詩歌・音楽から強いインスピレーションを受け、紆余曲折を経ましたが、結果として第2番とは思えないほど、内容の充実した作品となりました。

一応、書いておきますが、マーラーはブルックナーと異なり特に敬虔なキリスト教徒というわけではなく、インスピレーションを強く受けたのです。交響曲第3番ではニーチェの引用もしていますし、交響曲第7番『夜の歌』はギリシア的な要素もあると思います。

楽曲の構成

演奏時間は約80分、楽器編成も大きく、大規模な作品となっています。5楽章構成で、第3楽章にスケルツォを置き、シンメトリックな構成になっています。この形式は交響曲第5番でも効果的に使用され、交響曲第7番『夜の歌』で完成形になります。第2番『復活』でマーラーの交響曲の方向性が決まっています。

第1楽章

第1楽章は単独の交響詩として最初に作曲されました。ソナタ形式で書かれています。演奏時間は20分~26分と長大な楽章ですが、細かい工夫はされているものの、割としっかりしたソナタ形式になっています。

第2楽章:アンダンテ・モデラート

アンダンテ・モデラートと指定がありますが、緩徐楽章というには少しリズミカルです。実質的には緩徐楽章の位置づけと思われます。第2番『復活』の中では割とオーケストレーションの完成度が低めな気もします。

第3楽章:スケルツォ

全曲の中心である第3楽章にスケルツォを置いています。

第4楽章:「原光」

『子供の不思議な角笛』の第7曲「原光」から取られた短めの曲です。アルトの独唱を中心に音楽が展開されていきます。

歌詞

アルト
おお赤い小さな薔薇よ!人間はこの上ない苦悩の内にある!むしろ私は天国にいたい!
私は一本の広い道へとやってきた。すると一人の天使が来て、私を追い返そうとした。
いや、私は追い返されるままにはならなかった!私は神のもとから来て、また神のもとへ帰るのだ!
神様は一筋の光を私に与えてくださり、永遠にして至福の生命に至るまで照らしてくださるだろう。
(Wikipediaより)

第5楽章

長大な最終楽章です。ソナタ形式をベースとしていますが、30分以上という演奏時間のため、あまり明瞭な形式感は感じられません。後半に入る所に金管のバンダが入り、その後アルトが入ります。ラストは合唱が入り、壮大に盛り上がって曲を閉じます。

歌詞

ソプラノ合唱
よみがえる、そうだ、おまえはよみがえるだろう、私の塵よ、短い憩いの後で
おまえを呼ばれた方が不死の命を与えてくださるだろう。
おまえは種蒔かれ、ふたたび花咲く。
刈り入れの主は歩き、我ら死せる者らのわら束を拾い集める。
アルト
おお、信じるのだ、わが心よ、信じるのだ、何ものもおまえから失われはしない!
おまえが憧れたものはおまえのものだ、おまえが愛したもの、争ったものはおまえのものだ!
ソプラノ
おお、信じよ、おまえは空しく生まれたのではない!空しく生き、苦しんだのではない!
アルト合唱
生まれ出たものは、必ず滅びる。滅びたものは、必ずよみがえる!
震えおののくのをやめよ!生きることに備えるがよい!
ソプラノ&アルト
おお、あらゆるものに浸み渡る苦痛よ、私はおまえから身を離した!
おお、あらゆるものを征服する死よ、いまやおまえは征服された!
私が勝ち取った翼で愛への熱い欲求のうちに私は飛び去っていこう、かつていかなる目も達したことのない光へと向かって!
合唱
私が勝ち取った翼で私は飛び去っていこう!私は生きるために死のう!
よみがえる、そうだ、おまえはよみがえるだろう、
わが心よ、ただちに!
おまえが鼓動してきたものが神のもとへとおまえを運んでいくだろう!

おすすめの名盤レビュー

それでは、マーラー作曲交響曲第2番『復活』名盤をレビューしていきましょう。長い曲なので、レビューも長くなりがちですみませんが、どうぞお付き合いください。

中古CDってどの位、劣化するの?

バーンスタイン盤(1987年)がやはり一番の名演です。ただいきなりこれを聴くとテンポの遅さに飽きてしまうかも知れません…最初に聴くならクーベリック盤アバド=シカゴ響盤がお薦めです。この2つはこの曲の良さが凝縮されています。ロマンティックな表現のクーベリック盤、現代的なアバド=シカゴ響盤という所でしょうか。ヤンソンス盤も表情豊かで聴きやすく、いつの間にか時間が経ってしまうような味のある名盤です。

『復活』は録音が多く、他にも凄い録音が目白押しです。少しずつ増やしていきたいと思います。

バーンスタイン=ニューヨーク・フィル (1987年)

バーンスタイン晩年のスケールが大きく力強い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • ダイナミック
  • 円熟
  • 芳醇

超おすすめ:

ソプラノバーバラ・ヘンドリックス
メゾソプラノクリスタ・ルートヴィヒ
指揮レナード・バーンスタイン
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック
合唱ウェストミンスター合唱団

1987年,ニューヨーク,エイヴリー・フィッシャー・ホール (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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バーンスタインとニューヨーク・フィルの1987年の録音です。最晩年の円熟したバーンスタインの感情のこもったダイナミックでスケールの大きな演奏です。長年共演してきたニューヨーク・フィルとの得意のマーラーで、以心伝心という雰囲気です。録音もしっかりしていて、第2番『復活』の超名盤といえます。

第1楽章は出だしはとてもシャープです。その後は遅めのテンポでじっくりと感情を入れて演奏していきます。若いマーラーの交響曲は少し若さを感じる部分もあるのですが、バーンスタインの手にかかるとそういった個所も充実した熱気のある音楽になります。じっくりと深い感情が込められていて、密度の高さを感じます。突然シャープになる個所もニューヨーク・フィルは敏感な反応をしていて、バーンスタインが指揮すると良い所が上手く引き出されます。ニューヨーク・フィルの実力の高さが感じられます。

第2楽章とても遅いテンポで一音ずつ、いつくしむように演奏して行きます。とても深みがあり味わいが感じられます。第3楽章はティンパニがダイナミックに入り、速めのテンポで異様な雰囲気を醸し出しています中間部はスケールの大きさを感じます。

第4楽章は遅いテンポでじっくり雰囲気を作っています。独唱は声量が豊かで艶やかな歌声で、じっくりと歌いこんでいます。

第5楽章は非常にスケールが大きい演奏で、コラールなどは良く雰囲気が出ています。遅いテンポのままダイナミックに盛り上がり、ニューヨーク・フィルの金管とパーカッションの実力は凄いですね。弱音の個所もインスピレーションに満ちています。ライヴ録音ですが、バンダの金管群も遠い所から響き渡る雰囲気が良く出ていて、とてもクオリティが高いです。終盤に向け段々と明るい雰囲気になり、その後、ダイナミックに圧倒的なスケールで盛り上がっていき、圧倒的な迫力で曲を締めくくります

クーベリック=バイエルン放送交響楽団 (1969年)

表情豊かで自然体の名盤、初めて聴く人にもお薦め
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • ダイナミック
  • 表情豊か
  • 芳醇

超おすすめ:

ソプラノバイエルン放送交響合唱団
アルトノーマ・プロクター
指揮ラファエル・クーベリック
演奏バイエルン放送交響楽団
合唱

1969年2月,3月,ミュンヘン,ヘルクレスザール (ステレオ/アナログ/セッション)

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クーベリックとバイエルン放送交響楽団の演奏です。大上段に構えた演奏が多いように感じますが、クーベリックはとても自然に演奏しています。自然な表現ですが、表情豊かで品格もありますクーベリックはチェコ出身の指揮者なので、同じチェコ出身のマーラーには共感しやすいのかも知れません。録音は少し古めですが、セッション録音でクオリティは高いです。マーラー・ブーム到来前にこれだけロマンティックな演奏をしていたことに驚かされます。

第1楽章はスリリングに始まります。テンポの流れが自然で、チェコの自然が感じられるような演奏です。スケールを大きくしようとか作為的な所が少なく、テンポは終始少し速めで曲の良さを自然に引き出しています。もちろん、クーベリックはロマンティックな表現を得意とする指揮者なので、とても表情豊かです。シリアスさはあまり無いのですが、それを不満に感じることがないです。

第2楽章は演奏によってはオーケストレーションの薄さが表に出てしまうのですが、クーベリックはとても上手く処理していて、速めのテンポの中で艶やかさと味わい深さが前面に出ています。第3楽章も味わい深く、少し異様な雰囲気をよく出していますが、柔らかい表情付けで哀愁を感じます。

第4楽章はオペラを聴いているようなロマンティックな表現で、アルトの歌唱も森の中で歌っているかのようです。第5楽章はダイナミックに始まります。弱音部分の響きの多彩さは何かチェコの森の中にいるようですね。ホルンなども爽やかな森の中に響き渡るかのようです。シリアスさもありますが、近年の演奏と違い暖かみがあります。トランペットなど金管が活躍する箇所も上手くパワフルで、バイエルン放送交響楽団はハイレヴェルな演奏を繰り広げています。速めのテンポで情熱的に盛り上がっていきます。ラストの盛り上がりはソプラノが神々しく歌い、幸福感に満ちた激しく熱狂的なクライマックスを迎えます。

ラストに向かうスケールの大きな盛り上がりや、シリアスさを聴きたい人にはもしかすると物足りないかも知れません。でも、通しで聴いて第2番『復活』が全く飽きることなく聴けるのは凄いことです。クーベリックは余程マーラーと相性が良いのだと思います。特にこの曲を聴いていて途中で飽きてしまった人には、聴いてみてほしいディスクです。第2番『復活』の良さが濃縮されている名盤です。

アバド=シカゴ交響楽団 (1976年)

昔からの定番、しっかりした音質でバンダも明瞭
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • ダイナミック

超おすすめ:

ソプラノキャロル・ネブレット
メゾ・ソプラノマリリン・ホーン
指揮クラウディオ・アバド
演奏シカゴ交響楽団&合唱団

1976年2月,シカゴ,メディナ・テンプル (ステレオ/アナログ/セッション)

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アバドとシカゴ交響楽団の録音です。とてもクオリティの高いディスクで昔から定評のある名盤です。晩年の枯れた演奏も良いのですが、それともまた違って、ダイナミックで機能的な演奏を繰り広げています。録音はしっかりしていて、バンダなどもしっかりバンダらしく聴こえます。定番と言うに相応しい名盤です。

第1楽章は、冒頭は切れ味が鋭く始まります。その後も適度なテンポで、メリハリがあって気持ちよく聴けます。録音も良いですね。シリアスさもありますが、甘美な表現も多く、バーンスタインらとは少し違ったスコアの読みが深い音楽づくりですね。シカゴ響の金管もアバドが指揮すると上手く実力を発揮することができ、幻想交響曲でもそうでしたが、とても相性が良いと思います。ダイナミックな個所はスケールが大きく、スリリングさも非常にあります。

第2楽章素朴さがあり、若いマーラーの歌心を感じます。バーンスタインやクーベリックなどロマンティックな表現ですが、アバドは自然なテンポ取りと表現でマーラーの若さを隠すことはありません。シカゴ響は色彩的で、テンポの遅めの民族的な舞曲のようです。第3楽章ダイナミックなティンパニで始まり、少し速めなテンポでリズミカルな演奏です。木管のアンサンブルが少し異様な色彩を表現しています。後半は様々な表情が聴けます。シカゴ響のアンサンブル能力の高さを感じさせます。

第4楽章は落ち着いた演奏です。アルトが柔らかく表情豊かに入ります。短い曲から色々な表情を引き出しています。第5楽章圧倒的なシカゴ響のトゥッティで始まります。こんな響き良く出せるな、と思います。静かな部分もふくよかさがあり、表情豊かです。アバドのシリアスになりすぎない表現が、第2番『復活』では丁度良いです。テンポ取りも遅すぎたりルバートしすぎることがなく、ストレートで密度が濃いです。アッチェランドはスリリングで、ダイナミックな個所は金管が素晴らしく、聴いていて気分が良いです。まるで巨人が現れたかと思う位のスケールの大きさです。そして後半に至ると神々しい音楽となります。バンダの響きは輝かしいです。ソプラノが神々しく入りますが、幸福感に満ちています。最後の盛り上がりは圧倒的なスケールです。シカゴ響の黄金時代の凄さをまざまざと見せつけられますね。

アバド盤はとてもスコアの読みが深く、シカゴ響の響きが圧巻で、相当レヴェルの高い演奏を繰り広げています。録音も良く、立体的な音響を上手くCDに収めています。初めて聴く人にも最適な名盤です。

ヤンソンス=バイエルン放送交響楽団

神々しいラスト!円熟したヤンソンスの音楽を完全に具現化
  • 名盤
  • 定番
  • 精緻
  • ライヴ
  • 高音質

超おすすめ:

ソプラノアニヤ・ハルテロス
アルトベルナルダ・フィンク
指揮マリス・ヤンソンス
演奏バイエルン放送交響楽団
合唱バイエルン放送合唱団

2011年5月13-15日,ミュンヘン,ガスタイク・フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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ヤンソンスと手兵のバイエルン放送交響楽団の演奏です。ヤンソンス晩年のダイナミックさと共にしなやかで繊細さのある名盤です。ロイヤル・コンセルトヘボウ管との演奏も優れた名盤ですが、こちらはライヴ録音で熱気があります。ライヴ録音ですが、新しいので非常に音質は良いです。ライヴとは思えない立体感とリアリティです。

第1楽章はシャープに始まりますが、ヤンソンスは細かなテクスチャまでコントロールしています。少し遅めのテンポで進んでいき、ダイナミックな個所ではバイエルン放響の重厚な響きが聴けます。ドイツの深い森の中に包み込まれたような世界で、ワーグナーを思い出します。グロテスクさのある個所も、自然なグロテスクさ(?)ですね。

第2楽章レントラー風なテンポ取りで、自然で素朴な演奏です。繊細さがあり、木管のソロは美しく、チェロも艶やかで味があります。第3楽章リズム感が良いと同時に、しなやかで色彩感のある演奏です。バイエルン放響から色彩感を引き出すヤンソンスは凄いですね。異様な雰囲気はさほどなく、爽やかさすら感じられます。

第4楽章手の込んだ奥行きのある表現で、アルトの歌声がとても美しいです。音質の素晴らしさもあり、自然な演奏ながら、神々しさも感じる位です。

第5楽章はバイエルン放響のダイナミックなトゥッティで始まります。録音の良さのおかげで弱音になっても音が痩せることは無く、とても表情豊かです。特にシリアスな表現をしている訳では無く自然体です。ヤンソンスの円熟もあって、自然体な演奏なのに多彩な表情があります。曲が進んでいくにつれグラデーションのように奥深さが増し、幸福感に包まれてきます。合唱が中世の讃美歌のように響きます。ソプラノは驚かされる位神々しく、大聖堂にいるかのようです。その後、じっくり噛みしめるように盛り上がっていきます。ラストはオケのスケールの大きさと叫ぶような合唱で高揚感が凄いです。

バイエルン放送交響楽団は、荒っぽい演奏をすることもありましたが、ヤンソンスの指揮のもと、持ち前のパワフルさにしなやかさも加わり、とても表情豊かなオケになりました。円熟して深みのあるヤンソンスの音楽を完全に具現化している名盤と思います。ヘンデルのメサイアの第2部を思い出すような高揚感も素晴らしいです。

ラトル=ベルリン・フィル (2010年)

高音質と透明感の高さ、スケールが大きくクオリティの高い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • ダイナミック
  • ライヴ
  • 高音質

おすすめ度:

ソプラノケイト・ロイヤル
アルトマグダレーナ・コジェナー
指揮サイモン・ラトル
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱ベルリン放送合唱団

2010年10月28-30日,ベルリン,フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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ラトルは昔からマーラーを得意としていて名盤を多く残しています。このベルリン・フィルとの『復活』も出色の名盤で、録音の新しさと共にスケールの大きな演奏です。ラトルはバーミンガム市交響楽団の音楽監督時代からマーラーに力を入れていて、曲を知り尽くしていますね。

第1楽章は出だしはスリリングですが、静かになると遅めのテンポでじっくり演奏していきます。テンポの緩急も大きめです。ベルリン・フィルの実力を活かしたスケールの大きな表現です。スリリングさが必要な個所はテンポアップし、リズミカルに演奏しています。聴いていて爽快感がある演奏です。

第2楽章少し速めのテンポで爽快感があります。民族的な舞曲を活かして意外に素朴さが感じられます。木管のソロの上手さが特筆で、高音質で透明感のある中で、クオリティの高い演奏が繰り広げられます。第3楽章はリズミカルで、透明感が高くクオリティが高いと共に、繊細な表現で楽しめます。随所で聴かれるモダンな響きも良いです。弦の閃光のような響きがとても素晴らしいです。

第4楽章は透明感があり、弱音が美しいです。アルトが入ると神々しく、まさに天上からの歌声です。

第5楽章はダイナミックに始まります。ベルリン・フィルの機能性を活かしたシャープさ響きです。長い第5楽章ですが、7つのトラックに分かれています。マエストーソはテンポを速めスリリングさがあります。ダイナミックになってもクオリティが高く、透明感が感じられ分離が良いです。オーケストレーションの凄みが感じられます。録音が良いこともあってダイナミクスの差が大きく、特に弱音は繊細です。ミステリオーソは透明な世界で、ソプラノ独唱はミステリアスに響き渡ります。合唱のクオリティも高いです。そこから時間をかけてじっくり盛り上げていきます。段々幸福感が広がり、ラストに近くなってスケール大きく盛り上がります。トゥッティは十分すぎる程ダイナミックですが、それでも音の濁りは全く感じられません。パイプオルガンも含めてクオリティ高くバランスをコントロールしていて、結果として凄いスケールと圧倒的に幅広い響きで曲を締めくくります。

近年の録音の中でもスコアの読みが深く、クオリティが高く、ラトルの円熟を感じる名演です。ベルリン・フィルの機能を最大限に活かしていて、良いオーディオで聴きたい名盤です。

アバド=ルツェルン祝祭管弦楽団

晩年のアバドの現代的で枯れた名盤
  • 名盤
  • 定番
  • シャープ
  • 透明感
  • 円熟
  • 高音質

おすすめ度:

ソプラノエテリ・グヴァザヴァ
メゾソプラノアンナ・ラーション
指揮クラウディオ・アバド
演奏ルツェルン祝祭管弦楽団
合唱オルフェオン・ドノスティアルラ合唱団

2003年8月,ルツェルン音楽祭,コンツェルトザール (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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アバドとルツェルン祝祭管弦楽団の演奏です。基本的にはシカゴ響との名盤の延長にある解釈ですが、晩年のアバドの枯れた表現、ルツェルン祝祭管弦楽団の機能性で、ユダヤ系指揮者とは違うマーラー像を確立しています。最近の録音で音質も良く透明感があります。

第1楽章は鋭い弦で始まります。メリハリのある演奏で、オケの機能性も高く音質も良いため、現代的な響きです。機能的にはマーラーが意図した響きを再現していると思います。スリリングさと共に、枯れて余分な力の抜けた表現が味わい深く、しみじみ聴くことが出来ます。後半に行くほど、深みが増していきます。

第2楽章穏やかで、いつくしむような演奏です。アンサンブルのクオリティの高さも感じさせます。第3楽章は少々不気味さも出てきます。ドロドロした感じではないですが、ソリストのレヴェルの高さもあってか、黒く好きっ通った湖のようです。トゥッティは現代的で透明感が高い響きで、金管のレヴェルの高さが感じられます。

第4楽章の歌唱も透明感があって素晴らしく、独唱陣のレヴェルも高いです。第5楽章強奏の個所はとてもシャープで現代的なサウンドです。パーカッションと金管の上手さはさすがです。最後の盛り上がりも感動的です。

アバド引退直前の演奏とあって、音楽の楽しさに満ち溢れた名盤ですね。しみじみとじっくり聴くことが出来ます。

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楽譜・スコア

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