ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15

ヨハネス・ブラームス (Johannes Brahms,1833-1897)作曲のピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 Op.15 (Piano Concerto No.1 d-moll Op.15)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップで楽譜、スコアまで上げていきます。

お薦めコンサート情報

🎵アラン・ギルバート指揮 NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

ピアノ:反田恭平

・ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
・ブラームス:交響曲第1番

2023/11/24(金) 会場:愛知県芸術劇場 コンサートホール (愛知県)

解説

ブラームスピアノ協奏曲第1番について解説します。

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作曲の経緯

ブラームスは2曲のピアノ協奏曲を作曲しています。いずれも長大な作品です。冒頭の主題が有名なピアノ協奏曲第1番は初期に作曲され、管弦楽曲としては2番目に作曲されています。

ピアノ協奏曲第1番は1854年に着手し、1857年に完成しています。25歳の時に完成しました。ピアノ協奏曲第2番が1881年に完成していますので、25年近く間が空いています。ピアノ協奏曲第2番を作曲した時期は既に交響曲第1番も作曲しており、ブラームスの全盛期です。

ブラームスは最初はピアノ協奏曲を作曲しようとした訳ではなく、「2台のピアノのためのソナタを作曲しました。しかし、何度か試奏してピアノ曲という形態に合わないことに気づき、交響曲に書き直そうとオーケストレーションに取り掛かりましたが、これも挫折してしまいます。最終的にピアノ協奏曲にすることを思いつきます。その後、第2楽章スケルツォを書き直しています。

シューマン追悼

この間、1856年にロベルト・シューマンが亡くなります。第2楽章にミサの『ベネディクトゥス』が引用されています。

初演

初演は1859年1月22日にドイツのハノーファーにて、ブラームス自身のピアノ独奏とヨーゼフ・ヨアヒムの指揮により行われました。ハノーファーでの初演は一応成功しましたが、ライプツィヒ初演は聴衆が途中で退屈し野次が起きた、ということです。賛否ありますが、作曲した直後の評価は芳しくなかったと言えます。

曲の構成

ブラームスのピアノ協奏曲第1番は、標準的な3楽章構成です。演奏時間は長めで約50分です。管弦楽作品の2作目であり、まだ管弦楽法が未熟で楽器のバランスが良いとは言えず、ホルン・ティンパニは演奏が困難と言われています。

第1楽章:マエストーソ

協奏的ソナタ形式です。冒頭の力強い主題が有名です。技巧的な楽章で「ブラームスのトリル」と呼ばれる奏法が知られてます。カデンツァはありません。

第2楽章:アダージョ

三部形式です。最後に短いカデンツァがあります。

第3楽章:ロンド、アレグロ・ノン・トロッポ

ロンド形式です。ロンド主題の再現後に1つめのカデンツァとなります。曲の終盤に第2カデンツァがあり、その後、華麗に曲を閉じます。

編成

独奏ピアノ
フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2
トランペット×2、ホルン×4
ティンパニ
弦五部

おすすめの名盤レビュー

それでは、ブラームス作曲ピアノ協奏曲第1番名盤をレビューしていきましょう。

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ピアノ:ヴィンチェンツォ・マルテンポ, グイダリーニ=中央ヨーロッパ管弦楽団

白熱して小気味良く盛り上がる、一気に聴ける名盤!
  • 名盤
  • 定番
  • 白熱
  • スリリング
  • 高音質

超おすすめ:

ピアノヴィンチェンツォ・マルテンポ
指揮グイダリーニ
演奏中央ヨーロッパ管弦楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

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ヴィンチェンツォ・マルテンポはイタリア人のピアニストでまだ30代位です。指揮はグイダリーニ、演奏は中央ヨーロッパ管弦楽団でオケの方は初めて聴きました。新しい録音で音質は良く、情熱的な演奏を包み込むかのような柔らかい響きです。

第1楽章冒頭から白熱していて、燃え上がるような演奏です。イタリア的な情熱的なサウンドでこの位盛り上がってくれると聴いていてすっきりします。ピアノはなめらかでスケールの大きさがあり、オケの情熱的な演奏と良く合っています。テンポは速めで自在に変わっていきます。ドイツ系の演奏家とは一味違います。オケにはしなやかさもあり、弱音の箇所も良く歌っています。第2楽章穏やかですがスケールが大きさがあります。ピアノは幅広く、オケはしなやかにメロディを歌い上げています。静かな箇所はかなり味わい深い演奏です。

第3楽章速いテンポで冒頭からスリリングです。ピアノは軽妙で色彩的な響きでスリリングです。オケは白熱しつつ、木管が静かな箇所も自然美を感じさせるような音色を聴かせてくれます。両者の掛け合いでスリリングに盛り上がり、ダイナミックで小気味良く曲を締めます。

この演奏の良い所は、大曲であることを感じさせず、最後まで聴けることです。それだけ内容が詰まっていますし、感情表現もシャープです。ブラームスのピアノ協奏曲が長くて苦手な方には、とてもお薦めです。

ピアノ:グリモー, ネルソンス=バイエルン放送交響楽団

  • 名盤
  • 定番
  • 繊細
  • スリリング
  • ダイナミック
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノエレーヌ・グリモー
指揮アンドリス・ネルソンス
演奏バイエルン放送交響楽団

2012年4月,ミュンヘン,ヘラクレスザール (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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エレーヌ・グリモーのピアノ独奏とネルソンス=バイエルン放送交響楽団の録音です。ライブ録音ですが新しい録音で音質は非常に良いです。逆にライヴならではの盛り上がりもあると思います。

第1楽章の冒頭は非常にダイナミックでバイエルン放送交響楽団らしいドイツ的な重厚で激しさのある演奏で始まります。ネルソンスの指揮はダイナミックさと丁寧さ両立しており、バイエルン放送響をしなやかに小気味良くまとめ上げています。グリモーのピアノは透明感があり、繊細さを併せ持って入ってきます。そしてスケール大きく盛り上がります。グリモー、バイエルン放送響という、異なる個性をネルソンスの手腕で上手く仲介して個々の良さが良く出るようにまとめています。ホルンや木管もレヴェルが高く、味わい深い音色です。グリモーのピアノは後半かなりダイナミックで表現の幅が広いです。

第2楽章は穏やかですが、バイエルン放送響のしっかりしたドイツ的な重厚さが印象的です。ピアノはスケール大きくじっくりと主題を弾いていきます。後半は深みを増し、味わい深いです。第3楽章ピアノが速いテンポで情熱的でスリリングな演奏です。オケもシャープさのある響きでフガートなどクオリティが高いです。ピアノは超絶技巧ですが、難しさを感じさせない鮮やかな名演です。

カップリングはブラームスのピアノ協奏曲第2番ですが、いずれも質が高く聴きごたえのある名演です。第1番のバイエルン放送響の演奏は素晴らしく、ドイツ的な音楽をベースに多彩な表現が繰り広げられています。高音質で安定したレヴェルの高い演奏を聴きたい方にお薦めです。

ピアノ:ギレリス, ヨッフム=ベルリン・フィル

ダイナミックで白熱するオケ、スケールの大きなギレリス
  • 名盤
  • 定番
  • 情熱的
  • ダイナミック
  • スケール感

超おすすめ:

ピアノエミール・ギレリス
指揮オイゲン・ヨッフム
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

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鋼鉄のピアニスト、エミール・ギレリスとヨッフム=ベルリン・フィルという重厚な組み合わせです。録音はしっかりした音質です。少し前まではこの曲のスタンダードといえる演奏でした。ダイナミックさという点では今でも他の演奏を寄せ付けない名盤です。

第1楽章ヨッフムらしく白熱したダイナミックなオケで始まります。ティンパニのロールの力強さが印象的です。この有名な主題を満喫できます。テンポは遅めで静かな個所も情熱的です。ギレリスのピアノは安定していてスケールが大きいです。ロマンティックさも兼ね備えていてオケと一緒に盛り上がります。打鍵の力強さもさすがギレリスです。木管のソロは味わい深く、ホルンも森の中で鳴り響くような爽やかさがあります。弦の重厚さもさすがベルリン・フィルですね。ギレリスはベルリン・フィルが白熱して演奏しても、十分対等なダイナミックな演奏をしています。

第2楽章広々としたオケの演奏で始まります。静かな楽章ですが弦の響きに熱気が感じられ、情熱的です。ギレリスは遅めのテンポで味わい深い演奏を繰り広げます。後半はダイナミックに盛り上がりますが、味わい深く、奥の深さも感じられます。第3楽章はピアノの速めのテンポの演奏で始まります。ダイナミックさとスリリングさが両方あります。オケのフガートなども情熱的で小気味良い演奏です。ダイナミックに盛り上がり、華麗なピアノと白熱したオケの壮大なフィナーレを築き上げていきます。

スケールの大きなこの曲を、真正面からダイナミックに演奏した名盤です。一度は聴いておくべき名盤です。ただ、この演奏だけだと聴いていて疲れる人もいるかも知れませんけれど。ヨッフムはヴォキャブラリー豊富な指揮者なので、ダイナミックなだけではなく、味わい深い聴き所も沢山あります。

ピアノ:ツィメルマン, バーンスタイン=ウィーン・フィル

  • 名盤
  • 定番

ピアノクリスチャン・ツィメルマン
指揮レナード・バーンスタイン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1983年 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

ツィメルマンのピアノ独奏とバーンスタイン⁼ウィーン・フィルの演奏です。

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演奏の映像(DVD,Blu-Ray,他)

ピアノ:ブッフビンダー, メータ=ウィーン・フィル

  • 名盤
  • 定番

ピアノルドルフ・ブッフビンダー
指揮ズービン・メータ
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

(ステレオ/デジタル)

ピアノ:バックハウス, ベーム=ウィーン・フィル

  • 名盤
  • 定番

(ステレオ/デジタル/セッション)

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楽譜・スコア

ブラームス作曲のピアノ協奏曲第1番の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

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