J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(シャコンヌ)

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ (Johann Sebastian Bach,1685-1750)作曲の無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ (Sonatas and Partitas for Solo Violin)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。譜面も一番下に紹介してあります。

この曲はバッハの数ある作品の中でも、とてもストイックチャレンジングです。何故って、ヴァイオリン1本でフーガを弾いたりするのですから。またパルティータ第2番の最終曲「シャコンヌ」が非常に有名です。

解説

バッハ無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータについて解説します。

3つのソナタ3つのパルティータから成り立っています。ソナタは現代のソナタに近く、4楽章形式で「緩~急~緩~急」の教会ソナタという形式です。第2曲にフーガが来るのが特徴です。パルティータは第1番、第2番はイタリア風ソナタに近く、第3番はフランス風で、舞曲を中心に舞曲や曲の種類の名称がついています。今でいえば、組曲のような雰囲気です。

パルティータ第2番:庄司さやかの感動的な名演

作曲された時期はケーテンの宮廷楽長だった頃で年齢的にはまだ30代です。これだけのストイックな曲を30代で作曲してしまうのは凄いですね。2枚組のCDですが、聴いていて飽きることはほとんどありません。バッハは器楽曲よりもライプツィヒに移ってからの声楽曲も凄いのですが、この年齢で書かれた曲は、ブランデンブルグ協奏曲など、十分な完成度です。

バッハヘンデルは別の場所で活躍しましたが、同い年のドイツの作曲家です。ドイツ人のテレマンも近い世代です。この3人は、バロック後期を代表する大作曲家です。それまではバロック音楽はコレッリ、ヴィヴァルディなどのイタリア系リュリ、シャルパンティエなどのフランス系の2つに分かれていました。フランス・バロックの始祖ジャン・バティスト・リュリはイタリア人ですが、フランスの宮廷に仕え、フランス・バロックを作りました。

バッハ-無伴奏ヴァイオリン作品を弾く-バロック奏法の視点から-ヤープ-シュレーダー

おすすめ度:

名著です。現状、入手不可能ですが中古も出るかも知れませんので、挙げておきます。ある程度バロック奏法の基本が分かっていると良いです。レオポルド・モーツァルトのヴァイオリン教本アーノンクールの古楽の書籍を先に読んでみてください。

そこに現れた3人のドイツ人(バッハ、ヘンデル、テレマン)は、イタリア風の音楽と、フランス風の音楽を上手く組み合わせて、新しい音楽を作曲していきます。特にヘンデル、テレマンはギャラント主義を取り入れ、古典派への道を開いていきます。既に調性音楽も理論的なベースも完成していて、調性音楽が隆盛してきます。バッハは先進的な部分を取り入れつつも、ギャラント主義には向かわず、独自の方向に発展したようです。これにはドラマティックな音楽を得意としたブクステフーデの強い影響が感じられます。ちなみに息子のC.P.E.バッハギャラント主義の大家です。また、息子の一人でモーツァルトの師匠であるJ.C.バッハもギャラント主義で、世の中は古典派に向かい始めた所でした。

無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

ソナタ第1番 ト短調 BWV1001
第1楽章:アダージョ
第2楽章:フーガ(アレグロ)
第3楽章:シチリアーナ
第4楽章:プレスト

フーガは説明の必要はないと思いますが、一般的に主題がずれて入り、対位法で曲を作っていくものを指します。最初に主題が現れるときは主調で、2番目の主題が入るときには5度上から同じメロディが入る場合が多いです。パイプオルガンや鍵盤楽器では、フーガは様々な規則があり、形式もまとまっています。ただ、これはバッハの時代に完成したもので、その前後の時代は完全なフーガという形式は存在しません。

シチリアーナは、イタリアのシチリア島から来ていますが、船で波に揺られるような6/8拍子の曲です。地中海を中心に似た様式の曲が多く「舟歌」も同系です。

第4楽章プレストは有名ですね。

■パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002
第1曲:アルマンド
第2曲:コレンテ
第3曲:サラバンド
第4曲:テンポ・デ・ボレア


アルマンドはドイツの農民の舞曲から取り入れられたものです。最初はテンポは速めだったそうですが、バッハの時代には緩徐楽章に使われることが多いです。アンダンテに近いと思います。
コレンテはイタリアの舞曲で、フランスではクーラントと呼ばれます。
サラバンドは有名ですね。3拍子の音楽でテンポは遅めですが、バッハの時代でももう少し早かったといわれています。中央アメリカ起源の舞曲ですが、あとでまた説明します。
この曲はパルティータとありますが、コレッリのソナタの形式に近いです。

■ソナタ第2番 イ短調 BWV1003
第1楽章:グラーベ
第2楽章:フーガ
第3楽章:アンダンテ
第4楽章:アレグロ


第1楽章のグラーベは「お墓」という意味ですが、深い意味はなくラルゴに近いでしょうか。

■パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
第1曲:アルマンド
第2曲:コレンテ
第3曲:サラバンダ
第4曲:ジーグ
第5曲:シャコンヌ


ジーグはイタリアの舞曲で、主に6/8のテンポの速い舞曲です。4曲目までは、コレッリの形式をベースにしています。

バッハのこのシャコンヌは、コレッリ風のソナタの後にシャコンヌが入っているような形です。10分という長いシャコンヌですが、転調を伴っていて、3部形式とも言えます。ちなみにフーガもこの時代になるとヘンデルなどは途中で転調を伴うものがあり、これはソナタ形式の展開部に近いと思います。バッハやヘンデルの時代は、調性音楽の黎明期で古典派の源流でもあります。

■ソナタ第3番ハ長調 BWV1005
第1楽章:アダージョ
第2楽章:フーガ(アラ・ブレーヴェ)
第3楽章:ラルゴ
第4楽章:アレグロ・アッサイ


フーガの規模が大分大きくなりました。
ラルゴも有名ですね。

■パルティータ第3番ホ長調 BWV1006
第1曲:プレリュード
第2曲:ルール
第3曲:ガヴォットとロンド
第4曲:メヌエット I
第5曲:メヌエット II
第6曲:ブーレ
第7曲:ジーグ


フランス風の組曲です。プレリュードが有名ですね。ルール、ガヴォット、メヌエット、ブーレはフランス・バロックの舞曲です。ジーグはイタリアがオリジナルですが、フランスのジーグはリズムが異なります・
第3曲ガヴォットとロンドも有名ですね。

シャコンヌって?

有名なシャコンヌはスペイン・イタリア経由で入ってきた3拍子の舞曲で、起源は何とスペインの植民地だった中央アメリカです。イタリア語ではチャッコーナと呼ばれ、一時期流行しました。

近いものにパッサカリアがありますが、明確な区別はなく作曲家次第です。シャコンヌとは全く異なる起源をもっていて、パッサカリアは歌曲の間奏に使われたものが発展した形式です。これが変奏曲となり、たまたまシャコンヌと同じような形式になりました。

さらに思い切って書いてしまうとこの辺りの3拍子系舞曲サラバンドを中心に、フォリアなども含めて全部関連しあっています。サラバンドの起源は、中央アメリカまでその中でシャコンヌは同じ和声進行の上で変奏を行っていくものです。フォリアは変奏元のメロディまで決まっています。

パッサカリアシャコンヌと結果的に近いものですが、もう少し複雑な場合が多いようです。

イタリアのチャッコーナはこんな曲です。

おすすめの名盤レビュー

バッハ作曲無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ名盤をレビューしていきます。

この曲には、現在、様々な演奏スタイルがあります。一つは普通のヴァイオリンにヴィブラートなど現代的な方法で演奏したもの、もう一つは古楽器のヴァイオリンを使用し、バッハの時代にあったであろう演奏様式を取り入れたもの、最後はその中間です。

モダンとバロックの中間の幅は広く、モダン楽器にバロック弓を組み合わせたもの、モダン楽器を使用してヴィブラートを控えめにするなど、バッハの時代に合わせて演奏したもの(ピリオド奏法)などがあります。最近の演奏は自然にピリオド奏法に近いものになっていることが多いです。

イザベル・ファウスト

しっかりした音色と古楽器奏法
  • 名盤
  • 定番
  • 端正
  • 格調
  • 高音質

超おすすめ:

ヴァイオリンイザベル・ファウスト

2009年9月1-4日,ベルリン,テルデックス・スタジオ (ステレオ/デジタル/セッション)

アマゾンUnlimitedとは?

レイチェル・ポッジャー

  • 名盤
  • 奥深さ
  • しなやか
  • 格調
  • 古楽器
  • 高音質

超おすすめ:

ヴァイオリンレイチェル・ポッジャー

(セッション)

COMPLETE SONATAS & PARTITAS FOR VIOLIN SOLO
在庫情報:残り7点 レビュー数:93個

レイチェル・ポッジャーの演奏は、古楽器を使用した演奏でももっとも進んだものです。彼女独特の力を極限まで抜いた自然な表現です。これまで力強く情熱的な演奏を聴いてきたリスナーには驚きがあると思います。でも、バロック奏法を知っている人からすると、別に異色な演奏では無く、とても完成度が高い演奏です。

レイチェル・ポッジャーバロック・バイオリンのベテランであり、バッハよりも古い時代の音楽を極めた演奏家です。例えばバッハよりも前のビーバーという才能ある作曲家の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(ロザリオのソナタを含む)の名盤を録音しています。バッハが力強く情熱的な演奏に耐えられるのは、ブクステフーデのような劇的な作風を持つ作曲家の影響によるものであって、ヘンデルテレマンを同じ調子で演奏したら、曲が台無しになってしまいます。

さまざまなバロック奏法を使っています。ノンヴィブラート短めのフレージング、そしてイネガル(ジャズのスウィングのように音を揺らす)などです。力まず聴いていて癒されるような音楽になっていて素晴らしいです。

ヴィクトリア・ムローヴァ

モダンとバロックの融合、クオリティの高い名盤
  • 名盤
  • 奥深さ
  • しなやか
  • 格調
  • 古楽器
  • 高音質

超おすすめ:

ヴァイオリンヴィクトリア・ムローヴァ

2007年3月18-19日,2008年10月20-22日,イタリア,ボルツァーノ(セッション)

アマゾンUnlimitedとは?

ヴィクトリア・ムローヴァは、古楽器ヴァイオリンのソリストと共演する機会が多かったようです。自分が録音する時には、モダン楽器にピュアガットを張り、バロック弓を使って録音しました。逆ぞりの弓をバロック弓に持ち帰るのは簡単なことではありません。バロックの奏者に教えを請い、自分でも相当研究しただろうことは、容易に想像つきます。

バロック風な所とモダンな所が上手くミックスされていて、これまでモダン楽器を中心に聴いていた人も自然に聴ける演奏です。テヌートやヴィブラートはありませんが、バロック・ヴァイオリン奏者に比べると力強さがあります。表現はクールで強靭さがあり、リズムは小気味良く、音色は艶やかで感情豊かです。そのため、今までモダン楽器の演奏を聴いてきて、バロック演奏にも興味を持ち始めた人にも馴染みやすいと思います。初めてこの曲のCDを買う人にもお薦めです。

また、ムローヴァ技術的にも凄いテクニックを持っていることで有名なヴァオリニストです。クールな中にも表現力のあるヴァイオリニストであり、バロック風に軽妙に演奏しているとはいえ、ツボを押さえているし、感情表現も素晴らしいです。録音も良く、残響が結構あり、非常に響きが美しいです。中庸の表現で聴きやすく、万人にお薦めできる名盤です。

渡辺玲子

鮮烈で深い感情表現
  • 名盤
  • 奥深さ
  • 高音質

超おすすめ:

ヴァイオリン渡辺玲子

2000-2001年(セッション)

Vn:五嶋みどり

大胆に古楽器奏法を取り入れ、優美で澄んだ音色の名盤
  • 名盤
  • しなやか
  • 芳醇
  • ピリオド奏法
  • 高音質

超おすすめ:

ヴァイオリン五嶋みどり

2013年8月13日-17日

五嶋みどりの2013年録音の無伴奏です。彼女のファンであっても聴くと驚くと思います。その凄い表現と技術のクオリティの高さはいうに及ばず、とうとう五嶋みどりがバロック奏法を取り入れた演奏をしているのです。この辺りの経緯は日本語版の解説などで分かるのかも知れません。ムローヴァと違ってバロック弓は使わず、モダンボウで軽やかな音色を出しています。

その演奏は、自然そのものです。モダン楽器ならではの透明感と表情豊かなバロック奏法が融合していて、しかもリピートした2回目には装飾やアドリブまでつけているのですから、相当深くバロック奏法を勉強したのでは?と思います。これは適当につけているのではなく、バッハの時代にあった装飾やアドリブのつけ方があるんです。さすがにイネガル(ジャズでいうスウィング)は掛かっていませんでしたので、ポッジャーまでは行かないですが、モダン楽器でここまでやった演奏は無いと思います。

パルティータ第3番など、最初はイブラギモヴァ(バロック・ヴァイオリニスト)が弾いているのかと思ったくらいです。軽やかで速いテンポで優美ですっきりした響きを聴かせてくれます。筆者が聴いた中では一番の名演です。ソナタも軽妙ですが、モダン楽器でこれまで演奏してきたように、情熱や力強さを内に秘めているようですフーガの迫力も健在なんです。ソナタ第3番のフーガはモダン奏法とバロック奏法の良い所をとったような演奏で、充実感があります。軽やかですが物足りない所は全くなく、新鮮な世界が広がっているように感じます。

パルティータ第2番のシャコンヌは、速めのテンポで、鋭さのある表現です。表面的にはバロック奏法に近いですが、内容はいままでのモダン楽器による情熱的な演奏です。情熱を秘めているというより、この曲ではかなり表に出していて、充実感のある演奏です。

Vn:五嶋みどり、バッハを奏でる

大胆に古楽器奏法を取り入れ、優美で澄んだ音色の名盤
  • 名盤
  • しなやか
  • 芳醇
  • ピリオド奏法
  • 高音質

超おすすめ:

ヴァイオリン五嶋みどり

2016年8月,ケーテン城

庄司さやか

シャコンヌの凄い感情表現と圧倒的な完成度
  • 名盤
  • 情熱的
  • 高音質

おすすめ度:

ヴァイオリン庄司さやか

2010年8月,パリ,ランファン・ジェジュ教会 (ステレオ/デジタル/セッション)

icon

庄司さやかバッハ無伴奏パルティータ選集です。前半の第1番、第2番が収録されていますが、凄いレヴェルの高い演奏で驚きました。庄司さやかの才能はプロコフィエフで十分知っていましたが、バッハでここまで充実した演奏を繰り広げてくるとは正直、思っていませんでした。

「シャコンヌ」に関しては上にYouTubeを貼っておきましたので、聴いてみてください。感情をここまで上手く入れて盛り上げられるヴァイオリン奏者はバロック、モダン問わずに滅多に居ないと思います。他の曲も庄司さやかの長所である日本人離れしたリズム感と情熱的な演奏で完成度が高いです。特に日本人のイメージ通りの無伴奏だと思います。何度もCDが発売されていますが、すぐに売り切れてしまうようですね。中古でも値段に折り合いがつけば入手する価値はあると思います。

ギドン・クレーメル(新盤)

ギドン・クレーメルは2つの録音を残しています。旧盤は非常に評判が高く、この曲の「定番」として親しまれてきました。そこに新しい演奏スタイルの新盤をリリースしてきました。こちらもクオリティの高い名盤ですがバロック奏法に少し近づいた感じです。旧盤を愛聴しているファンも多いです。どちらも甲乙つけがたい名盤です。

モダン楽器を使っているのでピリオド奏法というべきかも知れませんが、力強い発音は健在で、一般的なピリオド奏法とはだいぶ違います。ヴィブラートはあまり掛けていません。力強さは健在で、フーガの楽章などはまさにエベレストにチャレンジしているような雰囲気で、癒し系の演奏ではなく、バッハの対位法に正面から対峙したストイックな演奏といえます。ここが凄いのですが、好みの分かれ目でもあると思います。筆者は好きなタイプの演奏です。

響きの豊富な教会で録音しているのですが、高音域が目立つ録音になっていて、艶やかで煌びやかな響きに聴こえます。深みが少ないと感じるなら、演奏のせいではなく、録音のせいだと思います。

ギドン・クレーメル(旧盤)

ロマンティックで情熱的な表現もある名盤
  • 名盤
  • 奥深さ
  • 情熱的
  • ロマンティック

超おすすめ:

ヴァイオリンギドン・クレーメル

1980年(ステレオ/セッション)

Sonatas & Partitas for Solo Violin
在庫情報:残り3点 レビュー数:23個

ギドン・クレーメルの旧盤は非常に評判が高く、この曲の「定番」として親しまれてきました。新盤が出ても旧盤を愛聴しているファンも多いです。

旧盤はそれまでのモダン楽器でのシゲティあたりからの演奏スタイルの流れの上にあると思います。楽譜に記譜されていることを大事に扱い、ゆっくり目のテンポでじっくり聴かせてきます。一般的なこの曲のイメージに近く、誰が聴いても納得の一枚です。例えば「シャコンヌ」は、じっくり演奏されていて、聴いていて深く存分に味わうことができます。ヴィブラートも控えめですが新盤よりは掛けています。ロマンティックな演奏が好きな人にもお薦めです。

今聴くと1980年の録音としては残響が少なすぎる感じもありますが、演奏内容が素晴らしいのであまり気にならないと思います。

ヒラリー・ハーン

クールな表現がバッハに良く似合う
  • 名盤
  • 定番
  • クール
  • ヴィルトゥオーゾ

おすすめ度:

ヴァイオリンヒラリー・ハーン

1996年6-12月,1997年3月,ニューヨーク(セッション)

バッハ:シャコンヌ他
在庫情報:残り3点レビュー数:37個

  • 名盤
  • 定番
  • クール
  • ヴィルトゥオーゾ

おすすめ度:

ヴァイオリンヒラリー・ハーン

2017年6月,ニューヨーク州,バード大学,Richard B. Fisher Center(ステレオ/デジタル/セッション)

Plays Bach: Violin Sonata
在庫情報:通常1~2週間以内に発送します。レビュー数:163個

人気女流ヴァイオリニストヒラリー・ハーンは、最初に後半のみ録音していました。2017年になって、残りの前半のソナタ、パルティータを録音したため、なんと20年のブランクがある全集になりました。テクニックはあるがクールすぎる、と言われがちなヒラリー・ハーンですが、実際はファンも多く、逆にクールな響きとアゴーギクの少ない自然な表現が魅力です。

バッハの場合は、第3番のパルティータなど、軽々と正確に弾いてのけ、とても明るくリズム感のある美しい演奏で、気軽に楽しめます。第2番のシャコンヌなどは力強い演奏ですがテンポが速めで、もっと感情的に弾いてほしいと感じる人もいると思います。感情的に深く掘り下げた演奏も沢山あるため、好みの問題ですね。

20年後の録音は、なるほど聴き比べると全然違います。表現力が大幅に向上したことが分かりますし、テンポは遅めですが今風のバッハ演奏になっています。有名曲は1枚目のCDに入っていますが、こちらは味わい深くて良いです。筆者的には、それでもクレーメルのほうが良いと思いますが、全曲再録音すべきだと思いました。

ヒラリー・ハーンのCDは特に初めて聴く人にお薦めです。譜面に対して正確さがあるので、バッハを正しく聴けると思うからです。好みに合わなければ、次のCDで考えればいいと思います。

ヤッシャ・ハイフェッツ

ヴィルトゥオーゾの技術とストレートな表現
  • 名盤
  • 定番
  • ヴィルトゥオーゾ
  • モノラル

おすすめ度:

ヴァイオリンヤッシャ・ハイフェッツ

1952年10月,ハリウッド,RCAスタジオ(モノラル/セッション)

ハイフェッツは一時代前のヴィルトゥオーゾですが、テクニック面では同時代の他のヴァイオリニストが自信喪失に陥るようなずば抜けた技術の持ち主です。現在のヴァイオリニストならば技術的にはもっと上でしょうけど。1952年と昔の録音ではありますが、少し慣れれば聴くのに問題はありません。むしろ、昔のヴァイオリンの録音という雰囲気満点です。

演奏は基本的に速めのテンポで、軽快に進みます。第1番のソナタなど短調の曲はかなり味わいがあります。アルマンドなどは速いテンポながら様々な表現をしています。第3番のパルティータなどはとても良い演奏です。ヴィブラートも少なめで、音色も艶やかすぎず、今聴いても何の違和感もない名演です。第2番の「シャコンヌ」も同様に速めのテンポで、普段情熱的な演奏を聴いている人には物足りないかも知れませんね。

ヨーゼフ・シゲティ

技術には劣るが、現在の無伴奏の演奏スタイルを作り出す
  • 名盤
  • 円熟
  • 格調

おすすめ度:

ヴァイオリンヨーゼフ・シゲティ

1955,56年(モノラル)

J.S.BACH/ 6 SONATAS & PARTIATS FOR VIOLIN SOLO
在庫情報:通常1~2か月以内に発送します。レビュー数:20個

シゲティは録音がかなり古いことと、既に最盛期を過ぎていてテクニック的に今一つです。しかし、それまでの艶やかでロマンティックでヴィルトゥオーゾを強調した演奏から離れ、楽譜をしっかり読み込んで、一音一音しっかり弾きこんで、当時のバッハの無伴奏のイメージを覆しました。

今のモダン楽器の演奏の元祖といえると思います。もっとも最近はバロック奏法が発展してきて、モダン楽器でもそれを取り入れる演奏者が多くなってきましたけれど。

シゲティはテクニック的には批判されたりもしましたが、プロコフィエフの協奏曲第1番など良い曲を見出して世間に広めるなど、重要な活動も多くしていました。

CD,MP3をさらに探す

CD検索 CD検索 MP3検索

楽譜・スコア

バッハ作曲の無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータの楽譜・スコアを挙げていきます。

楽譜

電子スコア

タブレット端末等で閲覧する場合は、画面サイズや解像度の問題で読みにくい場合があります。購入前に「無料サンプル」でご確認ください。

楽譜をさらに探す

楽譜検索 楽譜検索