マーラー 交響曲第4番

グスタフ・マーラー (Gustav Mahler,1860-1911)作曲の交響曲第4番 ト長調 (Symphony No.4 G-Dur)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップでスコアや楽譜まで紹介します。

マーラー交響曲第4番は、名曲であり、演奏時間が短い、ということもあり、他の番号よりも聴き易いです。初めてマーラーを聴く方にも、お薦めの名曲です。マーラーの本質的な部分が大分現れていて、第1楽章のカウベルや第2楽章の不思議な音楽、深みのある第3楽章、天上の第4楽章など、深く聴けばかなりの深みがありますし、普通に穏やかさのある音楽としても聴けます。

解説

マーラー交響曲第4番について解説します。

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作曲と初演

マーラー1892年『少年の魔法の角笛』の歌詞を使い、歌曲「天上の生活」を作曲を作曲しました。この曲は交響曲第4番の第4楽章の基になる曲です。

一時は、交響曲第3番第7楽章にする構想もあったようですが、実現されませんでした。一方、交響曲第4番にするつもりの素材を交響曲第5番に先送りしたものもあり、第3番~第5番の中で、特に第5番は曲想が大分異なりますが、スケッチの段階では一緒の部分も多かった、と言えます。音楽素材的に、かなり大きな関係があります。

1899年8月20日から交響曲第4番の作曲を開始しました。歌曲「天上の生活」を第4楽章とし、それを前提に第1楽章から第3楽章までを作曲していきます。1900年8月に完成しましたが、さらに1901年10月に改訂されています。

初演1901年11月25日にミュンヘンにて、マーラー自身の指揮とカイム管弦楽団の演奏で行われました。

曲の構成

マーラーとしては交響曲第1番『巨人』以来の標準的な4楽章構成になっています。とはいえ、第4楽章は「天上の生活」を元にした、短めの歌曲で穏やかに終わります。第1楽章~第3楽章は標準的な構成ですが、第4楽章につなげることを考慮して作曲されています。「天上の生活」というのは、第4楽章だけでなく、その前の楽章にも影響しています。演奏をいくつか聴いていくと、第1楽章から「パストラル」を感じさせるテンシュテット盤もありますし、第1楽章は現実的で、第3楽章あたりから天上を感じさせる演奏もあります。

交響曲第4番

第1楽章:中庸の速さで、速すぎずに
ソナタ形式です。鈴を使ったリズミカルで舞曲風の主題から始まります。牧歌的な自然の描き方で「パストラル」風な情景にも聴こえます。その辺りは交響曲第3番を思い出させます。一方で交響曲第5番の冒頭のファンファーレも少しだけ現れます。

第2楽章:落ち着いたテンポで、慌ただしくなく
スケルツォです。ヴァイオリン・ソロはスコルダトゥーラで、2度高く調弦され、異様な雰囲気を醸し出します。

第3楽奏:静かに、少しゆるやかに
変奏曲形式の緩徐楽章です。絶望感のある短調での盛り上がりが2か所、その間、調性も迷うようにめまぐるしく変化します。終盤に長調での盛り上がりがあり、第4楽章の下準備をします。

第4楽章:非常に心地よく
歌曲「天上の生活」をベースとした楽章です。主にソプラノが歌います。多くの交響曲は第4楽章にフィナーレを置いていますが、この曲は短めの歌曲で穏やかに終わります。歌詞に合わせて前半オケは激しく応えます。後半にいくと穏やかになっていきます。

おすすめの名盤レビュー

それでは、マーラー作曲交響曲第4番名盤をレビューしていきましょう。

ハイティンク=ロイヤル・コンセルトヘボウ管

  • 名盤
  • 定番
  • ライヴ

超おすすめ:

ソプラノクリスティーネ・シェーファー
指揮ベルナルド・ハイティンク
演奏ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

2006年11月7日,アムステルダム,コンセルトヘボウ (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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テンシュテット=南西ドイツ放送交響楽団

一見自然な演奏に聴こえるが、奥が深い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • クール
  • 奥深さ
  • 芳醇
  • ライヴ

超おすすめ:

ソプラノエヴァ・チャポー
指揮クラウス・テンシュテット
演奏南西ドイツ放送交響楽団(SWR交響楽団)

1976年9月18日 (ステレオ/ライヴ)

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テンシュテットと南西ドイツ放送交響楽団の1976年のライヴ録音です。後のロンドン・フィルとの熱気に満ちた演奏とは違う世界があります。どちらも素晴らしいですが、第4番に関してはこのライヴを取りたいと思います。(ロンドン・フィルとの演奏についても書く予定です)

第1楽章は速めのテンポですが、快適で余裕があります。少しクールな南西ドイツ放送響の弦は穏やかに艶やかに歌います。カウベルの音は硬めですが、それがとても心地よい響きです。所々でテンポアップして魔法にかかったかのような音楽になります。やはり南西ドイツ放送響は上手いです。ドイツの自然を描いているようでいて、パストラル的な平穏な別の世界を描いていることが良く分かります。第2楽章は少しゆっくり目のテンポで、味わい深い演奏です。ヴァイオリン・ソロも上手いです。結構、鋭い音を出していて、単に穏やかという訳ではありません。ポルタメントは控えめですね。

第3楽章は落ち着いて始まりますが、マーラーらしい寂寥感に満ちています。それは時折、急に深みを増してきます。一方、明るいメロディは穏やかに演奏されています。この辺りの微妙な明暗も上手く表現されています。後半になると、寂寥感というレヴェルではなく、地獄に突き落とされるかのような表現になります。この楽章の最大の盛り上がりは何か強い心の叫びのようです。そして、また穏やかな音楽に戻っていきます。ラストはダイナミックに盛り上がった後、穏やかな音楽に戻っていきます。第4楽章は自然な雰囲気で始まります。ソプラノは少しふくよかさのある声質ですね。最初のオケの間奏は急に速いテンポになり凄いです。その先は、穏やかな音楽が続きます。南西ドイツ放送響の透明感のある響きが天上の音楽を上手く描き出しています。

結構、感情も入っている演奏ですが、ロンドン・フィルのような濃密さはまだありません。ドイツのオケらしい重厚な響きで、適度な強さの感情表現と、第4楽章の天上の音楽が、全楽章に行きわたっていて、曲全体の一体感につながっています。奥が深いと共に、何度も聴きたくなってくる聴き心地の良さのある演奏です。

シュテンツ=ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

  • 名盤
  • 定番
  • 高音質

おすすめ度:

ソプラノクリスティアーネ・エルツェ
指揮マルクス・シュテンツ
演奏ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

2009年8月23-26日,9月28-29日,ケルン・フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/セッション)

ウィーン原典版使用

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アバド=ベルリン・フィル

アバドらしい緻密でシリアスさもある名盤
  • 名盤
  • 定番
  • しなやか
  • 情熱的
  • ライヴ
  • 高音質

超おすすめ:

ソプラノルネ・フレミング
指揮クラウディオ・アバド
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2005年5月,ベルリン,フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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アバドは1999年頃病気から復活し、ベルリン・フィルといくつかマーラーを録音しています。アバドが得意とする第3番、第7番に加え、第4番、第6番、第9番が録音されました。復帰直後はシリアスな名盤が録音され、アバドのマーラーの評価は大きく変わりました。健康を取り戻して何年か経つと、シリアスさは少なくなり、第3番、第7番、第9番は凄い名盤ですが、2005年位だとそこまでのシリアスさは無いかも知れません。いずれにせよ円熟したアバドによる名盤です。

第1楽章は穏やかに始まります。ベルリン・フィルの透明感ある響きが印象的で、ソロも感情が入っています。憂鬱なモティーフが出てきても、遠慮なく憂鬱に演奏しています。ワルターなどは、少しネガティブな感情は抑えめにしている感じですが、そういったことは一切ないですね。この後のルツェルン祝祭管弦楽団との演奏では、楽しんで演奏していて、あまりネガティブな部分は強調してこないのですが、ベルリン・フィルとの演奏では割とストレートです。結構、シャープな所もあり、ドイツの自然を描写したという感じではありません。特に短調の部分では色々な表現が出てきます。同じコンビの第3番は自然や神話の世界を描いていますが、より人間の感情を深掘りしているように思います。第2楽章は不思議な、というより理不尽さを感じる表現です。

第3楽章は穏やかで透明感があります。弦の美しさは既に天国的です。中間付近の盛り上がりで感情を爆発させています。このいかめしい響きを出せるの指揮者は少ないです。あるいは、アバドはこれだけ感情を爆発させるのを躊躇していない、とも言えますかね。マーラーと言えども、あまりグロテスクな響きを出すと人気の出ない演奏になってしまいますし。後半の盛り上がりも感情を爆発させて、さらにダイナミックに、いかめしい響きを捻りだしています第4楽章天国的でフレミングの歌唱が素晴らしいです。オケも天国的な透明感があります。ソプラノも含めたアンサンブルの精度には舌を巻きます。後半はおだやかになり最後まで天上の音楽のまま終わります。

シノポリ=ドレスデン・シュターツカペレ

いぶし銀の響きと深みを増したシノポリの音楽
  • 名盤
  • 定番
  • 奥深さ
  • 芳醇
  • ライヴ

おすすめ度:

ソプラノユリアーネ・バンゼ
指揮ジュゼッペ・シノポリ
演奏ドレスデン・シュターツカペレ

1999年5月29日,ドレスデン,ゼンパーオーパー (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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シノーポリはドレスデン・シュターツカペレで多くの名盤を残しています。その前に録音したフィルハーモニア管との演奏がキレていて衝撃的だったこともあってか、ドレスデン・シュターツカペレとの録音は物足りなく感じることもあります。ただギャリアを重ねていく上で、段々変わっていくものです。ドレスデン・シュターツカペレとの録音はとても良い演奏もあり、その一つがこのマーラーの第4番です。

第1楽章は大分演奏時間が長くなっています。ドレスデン・シュターツカペレの音色を良く生かして、いぶし銀の響きを活かし、歌う所をしなやかに歌い、テンポの緩急が良くついています。冒頭のカウベルから渋い響きで、ドイツの自然を感じさせる穏やかな響きで味わい深いです。フルート・ソロは非常に印象的です。後半は様々なマーラーのオーケストレーションを上手く再現しています。そして、現実世界から徐々に遠ざかっていきます第2楽章は元々不思議な雰囲気を持つ楽章ですが、ドレスデン・シュターツカペレのいぶし銀の響きと非常に上手くマッチして、独特の響きを醸し出しています。

第3楽章遅めのテンポでじっくり歌わせています。ホルンの響きなど印象的です。オーボエの旋律など、少しずつシリアスになっていきます。そして悲劇的に盛り上がりますが、シノポリの響きの作り方はさすがです。そこにいぶし銀の響きも加わって、絶望的な音楽をシリアスに表現しています。そして、テンポが急に速まり、快活な音楽となります。この辺りはかなり感情が入っています。穏やかさが戻ってきますが、弦の響きが非常に美しく、もう天上世界という雰囲気です。第4楽章は、穏やかで天国的な響きで始まり、そこにソプラノが入ります。最初の間奏は小気味良く速いテンポで演奏されます。ソプラノが戻ってきますが、リズミカルでとてもスリリングです。その後は穏やかです。

ワルター=ニューヨーク・フィル

マーラーの弟子ワルターの最初の録音
  • 名盤
  • 定番
  • 奥深さ
  • 芳醇
  • モノラル

おすすめ度:

ソプラノデジ・ハルバン
指揮ブルーノ・ワルター
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック

1945年5月10日,ニューヨーク,カーネギー・ホール (モノラル/セッション)

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ワルターが得意としていたマーラーですが、この録音は1945年の録音で、欧米では最初のスタジオ録音です。実は世界初録音は近衛秀麿と新交響楽団が行っています。このレコードは世界的にマラ4の参考音源として、重宝されたようです。ワルターはマーラーの弟子なので、特に参考音源などなくても当時のスタイルで演奏できます。

第1楽章は意外に普通の演奏です。モノラルとはいえ、しっかりした録音なのでマーラーの時代の演奏を期待してしまいますが、ポルタメントなどの装飾も少な目なモダンな演奏に聴こえます。ニューヨーク・フィルもマーラーゆかりのオケです。録音は近衛盤のみだったとはいえ、演奏機会はあったようなので、元々こんな演奏だったのか、時代と共に変わってきた演奏なのか、良く分かりませんね。ワルターは感情表現もしていますが、今の演奏に比べて素朴で、グロテスクになることはなく、聴き易い演奏です。第2楽章は少し不穏な雰囲気があります。ヴァイオリン・ソロはとても上手いです。第3楽章は最初は穏やかですが、後半に入ってくるとかなり感情を入れ込んで盛り上がります。ワルターは結構感情的な表現をするときはしますね。テンポの変化も激しいです。第4楽章は穏やかに始まります。ソプラノは活気を感じる歌声です。最初の間奏ではかなりテンポアップしています。その後は、パストラルを思わせる部分もあったりしつつ、穏やかな天上の音楽を繰り広げます。

感情的に強く表に出すか、は別として、ワルターがマーラーを深く理解した指揮者であることが感じられるCDです。

ノイマン=チェコ・フィル (1980年)

  • 名盤
  • 自然美

おすすめ度:

ソプラノマグダレーナ・ハヨーショヴァー
指揮ヴァーツラフ・ノイマン
演奏チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

1980年,プラハ,芸術家の家 (ステレオ/アナログ/セッション)

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楽譜・スコア

マーラー作曲の交響曲第4番の楽譜・スコアを挙げていきます。

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