イーゴリ・ストラヴィンスキー (Igor Stravinsky, 1882~1971) のバレエ『火の鳥』(L oiseau De Feu, The Firebird)について解説とおすすめの名盤のレビューをしていきます。ストラヴィンスキー作曲のバレエ『火の鳥』は、人気のあるストラヴィンスキー三大バレエの最初の一つです。
「火の鳥」の解説
ストラヴィンスキーのバレエ『火の鳥』について解説します。
初めてのバレエ作品
ストラヴィンスキーはリムスキー=コルサコフの弟子でしたが、遅咲きな作曲家でした。『火の鳥』の前も「花火」などの小さな作品を作曲していました。しかし、もう30歳という年齢です。
しかし、バレエリュス(ロシアバレエ団)のディアギレフはストラヴィンスキーの才能を見抜きます。バレエ『火の鳥』は元々ロシア5人組のリャードフに依頼されていました。しかし、リャードフの性格もあって遅々として進みませんでした。バレエ『火の鳥』は40分以上の大作です。ストラヴィンスキーは30歳にして大きなチャンスをつかんだのです。
最初から完成度の高いバレエ音楽
ストラヴィンスキーはディアギレフの期待に見事に答えました。最初の本格的な作品としては、大変高い完成度です。そして、この後、数年でストラヴィンスキーはバレエ『ペトルーシュカ』、バレエ『春の祭典』を書きあげ、世界に衝撃を与えることになります。
特にこの3作のインスピレーションの豊かさ、原始的な野蛮さ(バーバリズム)、複雑なリズムは、クラシック界にもバレエ界にも大きな衝撃を与え、現代的な音楽が増えていきます。おそらくは美術界にも大きな影響を与えていますね。
ドビュッシーも高く評価
バレエ『火の鳥』は、ストラヴィンスキーの3大バレエの中では、目立って衝撃的な作品ではありません。楽譜を見ると至る所に工夫のあとが見られますが、それまでのバレエ音楽の流れを汲んだ綺麗な音楽ですし、物語の内容も普通のバレエらしいものです。ドリーヴあたりでも作曲できそうな物語ですね。
クロード・ドビュッシーは、バレエ『火の鳥』の中に革新的なものを感じ取りましたが、この段階では受け入れて高く評価しました。もっとも、ドビュッシーはフランス的な美しい音楽を書く作曲家というイメージがありますが、実際は印象派の技法を創始した作曲家です。オペラ「ペレアスとメリザンド」や交響詩「海」などで、かなり革新的な技法を用いて、メシアンなどにつながる現代音楽への流れを作った作曲家でもありますね。
あらすじ
先述したようにバレエ『火の鳥』は筋書きが決まってから依頼された作品です。『ペトルーシュカ』『春の祭典』はストラヴィンスキーの見た白昼夢から台本を作成していますが、『火の鳥』の場合はそうではありません。
台本は振付を務めたミハイル・フォーキンがストラヴィンスキーと相談しながら作成しました。原作は2つのロシアの民話です。その違いを頭に置きつつ『火の鳥』のあらすじを簡単に書いてみます。
イワン王子は幸運の象徴である火の鳥を追って、カシチェイの魔法の庭に迷い込みます。そこに黄金のリンゴの木があり、その実を食べようと火の鳥が現れます。イワン王子は隠れていましたが、火の鳥を捕まえます。
火の鳥は放してくれるように懇願しますが、なかなか解放してくれません。そこで火の鳥は自分の黄金の羽根をイワン王子に渡し、危険が迫った時にその羽根を振るように言います。その羽根をもらったイワン王子は火の鳥を放します。
そこに13人の王女たちが現れます。イワン王子はその一人のツァレヴナと恋に落ちます。その王女は、カシチェイの魔法によって囚われの身となっていたのでした。
夜が明けるとカシチェイとその手下たちが戻って来て、イワン王子は捕らえられてしまいます。カシチェイはイワン王子に自分の力を見せつけた後、イワンを石にしようとします。そこでイワン王子が火の鳥の黄金の羽根を振ると、火の鳥が飛来し、カシチェイとその手下たちを魔法にかけて躍らせ、踊り疲れて観な寝てしまいます。
火の鳥はイワン王子にカシチェイの魂が卵の中にあることを告げ、魔法の木の下を探させます。イワン王子はその卵を見つけて割ります。すると、カシチェイの魔法が解け、石にされていた騎士たちは人間に戻りました。
イワン王子はツァレヴナ王女と結ばれ、大団円となります。
火の鳥が出てきたり、カシチェイが出てくる所は、若干SF的にも思えますが、魔女とか鬼とか妖精の類は、ヨーロッパにも昔からいたわけで、そんなに奇妙な筋書きではありませんね。
1.序奏(冒頭)
2.カシチェイの魔法の庭
3.イワン王子に追われた火の鳥の出現
4.火の鳥の踊り
5.イワン王子に捕らえられた火の鳥
6.火の鳥の嘆願
7.魔法にかけられた13人の王女たちの出現
8.金のリンゴと戯れる王女たち
9.イワン王子の突然の出現
10.王女たちのロンド
11.夜明け
12.魔法のカリヨン、怪物たちの登場、捕らえられたイワン
13.不死の魔王カシチェイの登場
14.魔王カシチェイとイワン王子の対決
15.王女たちの哀願
16.火の鳥の出現
17.火の鳥の魔法にかかったカシチェイの手下たちの踊り
18.カシチェイ一党の凶悪な踊り
19.火の鳥の子守歌
20.カシチェイの目覚め
21.カシチェイの死、深い闇
22.カシチェイの城と魔法の消滅、石にされていた騎士たちの復活、大団円
バレエ「火の鳥」の振付
バレエ『火の鳥』の振付は、ミハイル・フォーキンが担当しました。フォーキンはロシアの民族舞踊を得意としていて、ボロディンのオペラ「イーゴリ公」の韃靼人の踊りやリムスキー=コルサコフの『シェエラザード』の振付も行っています。コサックダンスが多く使われているのが印象的です。
それまでのプティパらの振付に比べると民族的でオリエンタリズムを感じるものですが、革命的とまではいかない感じです。まあ、そのあとがニジンスキーだから仕方ないですけど。フォーキンの振付は少しコミカルで好感が持てます。
初演
バレエ『火の鳥』の初演は1910年6月25日にパリ・オペラ座にてガブリエル・ピエルネの指揮により行われました。振付のミハイル・フォーキンで、イワン王子役も務めました。概ね好意的な評価で、
おすすめの名盤レビュー
バレエ『火の鳥』のお薦めの名盤をレビューしていきます。
『火の鳥』は、ストラヴィンスキーの3大バレエの一つとして非常に人気があります。沢山のCDが出ているのですが、名盤となるとあまり多くはないと思います。また、全曲よりも組曲でリリースされている場合が多いですね。良いディスクをいくつか紹介します。
ブレーズ=シカゴ交響楽団 (全曲)
ブレーズ2回目の録音はシカゴ響との録音です。派手さは少なめですが、クオリティの高さ、繊細な個所のニュアンスのつけ方、録音の良さによる高音質の3つが揃った名盤です。
弱音の響き美しく透明感があります。音質が極めて良く、繊細な弱音もきちんと聞き取れます。色彩的で繊細、クールで静かな世界観です。金管のソロが安定していること、フルートのソロが特に上手いです。
フォルテになるとシカゴ響の重厚さとパワーが炸裂しますが、透明感は失わず、美しい響きのままです。ファンタジーを描く『火の鳥』では大事なことです。「カスチェイらの凶悪な踊り」でも、それは変わらず、旧盤に比べると弦の弾き始めが丸くなった感じで、あえてシャープになることを避けています。フォルテでのスケールは大きいですね。
最初から最後まで夢の中にいるような演奏で、終曲でホルンを合図に現実世界に戻ってくる感じです。どの演奏でもそうですが、ブレーズ=シカゴ響の場合、ずっと静寂な世界が続いてきたので、最後の感動はひとしおです。
ブーレーズ=ニューヨーク・フィル (1910年全曲版)
ブーレーズは2回録音していますが、1回目のほうが鮮度が高く才気だっています。昔から評価の高い名盤です。一昔前は『火の鳥』といったらコレ、という定番の演奏でした。密度の高い演奏なので、いま聴いても得るものは多いです。やはりブレーズ自身が作曲家なので、ストラヴィンスキーの意図を十分汲んだ演奏になっています。細かくじっくり聴いていくにはいいですね。
冒頭の弱音ですが、積極的なテンポで始まります。速めのテンポでアクティブに演奏していきます。ニューヨーク・フィルハーモニックの反応の良さも素晴らしいです。小澤盤のようにフランスの色彩とは行きませんが、ツボはしっかりついています。
特にカシチェイの登場するシーンは、ニューヨークフィルのレヴェルの高い金管のおかげもあって、とても衝撃的です。密度が濃く、面白い所をしっかり聴かせてくれるので、全曲版でもあまり長く感じないです。録音の音質は、悪くは無いです。木管楽器のソロなど良く録音されていて、語り口なども上手いですね。
小澤征爾=パリ管弦楽団 (1972年)
小澤征爾はバレエ『火の鳥』の2つの録音を残しています。このパリ管弦楽団との録音が1回目で若いころの演奏です。2回目は手兵ボストン交響楽団とのものです。いずれもレベルの高い演奏なのですが、1回目のパリ管との演奏は、天性のインスピレーションに満ちた演奏で、若いころの小澤征爾の代表的な名盤になっています。当時、レコード・アカデミー賞に輝いた名盤です。
またパリ管弦楽団は、パリ音楽院管弦楽団を母体にしてできたオーケストラで、その後、ドイツ系の指揮者が多くなってしまうのですが、当時はまだフランスの響きが残っていました。小澤の鋭いインスピレーションあふれる指揮は、奇跡的ともいえるレヴェルで、パリ管の長所を見事に引き出しています。
昔から名高い録音ですが、いまでもこのCDが上位に挙げられるのです。もう古すぎるよな、と思って聴いてみたところ、今でも十二分に通用する名盤です。実際の所、録音も1972年なので特別古い訳でもないので、録音に不満を覚えることもありませんでした。小澤征爾は凄いというべきか、他に『火の鳥』で決定盤が出てこないというか…とにかく聴いていて非常に美しく、インスピレーションを掻き立てられる圧倒的な名盤です。
M.T.トーマス=サンフランシスコ交響楽団
M.T.トーマスとサンフランシスコ交響楽団はクオリティの高い録音を残しています。録音も自然さがあり高音質です。全体的に爽やかさがある名盤です。
序奏は非常に小さいピアニシモで始まり、カシチェイの魔法の庭では爽やかで色彩的な音色で自然に『火の鳥』の世界に導かれます。管楽器の響きも美しいですが、サンフランシスコ響の場合、弦の音色が素晴らしいと思います。
火の鳥の嘆願は色彩感と共に妖艶さも感じられる音色です。ホルンやフルートのソロは素晴らしく、自然でクオリティが高いです。王女たちのロンドはフレッシュさと色彩感が素晴らしいです。管は色彩的ですし、弦の音色が素晴らしいのがこのディスクの良い所です。
魔法のカリヨン、怪物たちの登場、捕らえられたイワンからは段々とダイナミックになり、金管が力強くハイレヴェルな響きを聴かせてくれます。どんなに盛り上がっても透明感のある響きです。不死の魔王カシチェイの登場以降もダイナミックでスケールの大きな響きを楽しめます。トランペットのキレは本物ですね。
最後のカシチェイの城と魔法の消滅、石にされていた騎士たちの復活、大団円はホルンの爽快なソロから始まり、穏やかに段々と盛り上がっていきます。テンポ設定も見事で、壮大な大団円を繰り広げます。
カップリングの『春の祭典』も非常にレヴェルの高い名演で、ストラヴィンスキーを聴くなら持っておきたい名盤です。
コリン・デイヴィス=アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
- 名盤
- 定番
- クール
- 妖艶
- 色彩感
- 迫力
おすすめ度:
指揮コリン・デイヴィス
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
1978年,アムステルダム,コンセルトヘボウ (ステレオ/アナログ/セッション)
コリン・デイヴィスとアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の録音は、コンセルトヘボウ管のクールで色彩的な響きを活かしたものです。テンポは緩急がかなりついていて、ここぞという時はかなり速いテンポです。録音はアナログですが低音がしっかりしていて高音質です。
ひんやりとした空間から出てくる色彩的な音色は、まさに『火の鳥』の世界です。そのままバレエの舞台に使えそうです。序奏などまるで地の底から響きだしてくるかのようです。C.デイヴィスらしく細かい所まで緻密に表現が練られています。管楽器のソロの非常に上手くてきれいに録音されています。ホルンなど、とても上手いです。「魔王カスチェイの登場」の場面はダイナミックでとてもキレが良く大迫力です。金管の咆哮など、オケの実力の高さを感じます。
最後のホルンソロは爽やかさがあり、非常にレヴェルが高いです。クレッシェンドしてオケのトゥッティはシャープさと透明感があり、爽快さを伴って曲を締めます。
演奏スタイルがスタンダードで、定番の演奏として今でも十分楽しめる名盤です。
ゲルギエフ=マリインスキー歌劇場管弦楽団
ゲルギエフとマリインスキー劇場管弦楽団の録音です。マリインスキー劇場はバレエ上演でも有名な劇場ですので、この曲はお手の物で、劇場らしいスケールの大きな演奏です。録音は1995年デジタル録音で高音質です。
序奏からロシア的な土の香りを感じます。その響きは「火の鳥」の幻想的な世界に相応しいと思います。やはりストラヴィンスキーはロシアの作曲家なんだなぁと改めて思います。メリハリがあり、テンポの変化も大きく、非常に聴きやすい演奏です。また情熱的な表現が上手く、「火の鳥の嘆願」や「夜明け」など、聴き物です。
金管もダイナミックでしっかりしており「魔王カシチェイ」の登場付近はキレの良いサウンドを聴かせてくれます。ゲルギエフはかなり速めのテンポですが、アンサンブルもしっかりしていて熱い演奏を聴かせてくれます。マリインスキー劇場の録音なのか木の響きで、色彩感よりは劇場のスケールを感じさせます。
終曲はホルンの繊細なソロから始まり、じっくりスケール大きく盛り上がります。壮大に盛り上がりますが、同時に爽やかさもあり、爽快さを持って締めくくります。
ロシア的な響きと情熱、ダイナミックさを堪能できる名盤です。カップリングのスクリャービンはとても良い演奏で、スクリャービンに開眼出来る名演です。
ネルソンス=バーミンガム市管弦楽団 (1910年版全曲)
ネルソンスとバーミンガム市管弦楽団の録音です。しなやかさと推進力があり、クールさはなく、むしろ民族的な温かみがあります。適度に不思議な雰囲気が出ています。ロシア的な響きも上手く紡ぎだしています。ネルソンスはラトビア出身なのでロシア的な響きの出し方を知っているようです。
ファンタジーの世界の中にずっといる雰囲気で、この演奏はブレーズ新盤のような緊張感は無く、静かな中にも様々な表現が聴こえてきます。弦セクションや木管など味わい深いですね。王女たちの踊りのシーンでは少し官能的だったり、多彩なニュアンスがありますね。ダイナミックな場面は凄い迫力ということは無くて、しなやかさがあります。「カスチェイらの凶悪な踊り」に関しては速めのテンポで迫力ある演奏です。静かなシーンになり「火の鳥の子守唄」は味わい深く聴けます。ラストでホルンが入ってからの盛り上がりも良いです。
『火の鳥』は静かな場面が多いですが、この演奏はクールさがあまりなく、味わい深く聴けるところが良いですね。味わい深さがあり、全曲に渡って充実感のある名盤です。
小澤征爾=ボストン交響楽団 (全曲/1983年)
小澤征爾と手兵ボストン交響楽団の演奏は、スコアの読み込みの深さと端正さを持ち込み、かなりの高音質で再録音しました。もちろん、小澤征爾とボストン交響楽団なので、基本的にはダイナミックな所は、ボストン響の金管が鮮やかに演奏してきます。こういう端正でしっかりした演奏で全曲聴き切るととても充実感を感じますね。
さらに、このCDの素晴らしさは「高音質」です。『火の鳥』は弱音の部分が長く続くため、音質が良いことは大きなアドヴァンテージです。
イギリスのエンジニア、クリストファー・パーカーによる名録音。パーカーのアメリカ制作を代表するジュリーニ&シカゴ響のブルックナー9番と並ぶ優秀録音盤としても知られています。
HMVより
ということで、相当優れた録音です。デュトワ盤のように聴いてすぐ分かるタイプの音質の良さではなく、本当の意味での名録音です。
デュトワ=モントリオール交響楽団
デュトワとモントリオール交響楽団の録音です。この組み合わせらしい手堅い演奏ですが、いつもに増して名演です。バレエ「火の鳥」の曲想とデュトワ=モントリオール交響楽団の組み合わせがぴったりマッチしていて、素晴らしいです。
デュトワの指揮は終始緊張感があり、精緻を究めています。モントリオール交響楽団の響きの弦の透明感とレベルの高い管楽器のおかげで、ピアニシモは透き通るような綺麗さ、フォルテシモでも響きに透明感があります。レベルの高い金管楽器が伸びやかなサウンドを聴かせてくれます。
バレエ「火の鳥」のスタンダードとして長く君臨しつづける名盤だと思います。
バレエ版ディスク
『火の鳥』のバレエ版のディスクもゲルギエフ盤が出たことで増えてきました。レビューしていきたいと思います。フォーキン振付の上演のディスクがいくつかリリースされています。
「火の鳥」はストラヴィンスキーの3大バレエの中では、取り上げられやすい演目です。バレエとして格別な見せ場があるわけでは無いのですが、物語が親しみやすいことと、フォーキンの振付のユニークさで楽しめる作品になっています。音楽だけで聴くと全曲版は長いと感じてしまいがちですが、バレエで観るとそんなことはなく、あっという間に観終わってしまいます。
このロイヤル・バレエの上演では、カシチェイがかなりコミカルで非常に親しみやすい舞台です。コミカルなところが得意なのはロイヤル・バレエの特徴ですね。ちょっとわざとらしいくらいです。最後はモスクワを描いた美しい背景で、とても感動します。
全体としてとても丁寧に仕上げられていて、見ごたえのある舞台です。「火の鳥」でこれだけ質の高い映像があるのは幸運です。
ゲルギエフとマリインスキー劇場バレエの上演で、貴重な「春の祭典」と一緒に収められたディスクです。ゲルギエフは「火の鳥」の演奏も良く、質の高い舞台です。ダンスのレヴェルがとても高いと思います。全体的にはあくまでしなやかです。カシチェイは見た目はボリショイバレエのようなちょっとホラーな雰囲気ですが、それほど怖くはないですね。
ロイヤルバレエのようなコミカルさは、ほとんどないですね。演奏もかなりテンポが速く、モダンな雰囲気もあります。照明や舞台装置などもマイリンスキー劇場のほうが異様な雰囲気に満ちていて、SFチックというか、独特な世界を作り上げています。全体的にボリショイバレエに似ているような気がしますので、これはロシア的な上演スタイルなのかも知れません。ロイヤルバレエとどっちが良いかは好みの問題かも知れません。
このディスクが出たことで、ロイヤルバレエのディスクが入手しにくくなったのがちょっと残念です。
このディスクは『ペトルーシュカ』が名舞台ですね。スタジオで収録された映像ですが、『火の鳥』のほうはちょっとB級のCGが入っていて残念です。一応、フォーキンの振付で踊っているので、CG等を外せば、踊りそのものはレベルが高いです。あとカシチェイがまるでホラーですね、笑。かなりSFチックに捉えているみたいですが、ちょっとやりすぎというか、B級映画みたいです。せっかくボリショイバレエなので、ちゃんとした舞台で観てみたいですね。
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楽譜
ストラヴィンスキーの3大バレエは改訂版が多いのですが、火の鳥は特に多いですね。オリジナルは1910年版、組曲は3種類あり、1911年版、1919年版、1945年版があります。1911年版はあまり演奏されません。組曲はバージョンによりかなり曲目構成が異なりますので、注意が必要です。
ミニチュア・スコア
ストラヴィンスキー : バレエ音楽 「火の鳥」 (全曲) (1909/1910年版)/オイレンブルグ社/小型スコア
5.0/5.0レビュー数:1個
大判スコア
Stravinsky: The Firebird in Full Score
4.4/5.0レビュー数:18個