ボレロ (ラヴェル)

『ボレロ』モーリス・ラヴェルが1928年に作曲したバレエ音楽です。ラヴェルの晩年の円熟期に作曲された作品です。『ボレロ』解説をした後で、おすすめの名盤を比較していきたいと思います。

一種類のリズムが繰り返され、徐々にクレッシェンドしていきます。そのリズムに乗せて色々な楽器がソロを吹いていきます。そして弦セクションのアンサンブルとなり、最後はトゥッティとなって終わります。音楽史では色々な作品がありましたが、『ボレロ』のような作品は初めてだと思います。

いろいろな楽器のソロが楽しめますし、オーケストラの実力を試される作品です。常に一定のテンポを保つ必要がありますし、ソロは各楽器が面白く聴かせてくれないと、聴衆は飽きてしまいます。

プレートル=RAI交響楽団の演奏
生粋のフランス人の演奏は一筋縄じゃいきませんね。

『ボレロ』の解説

ラヴェル『ボレロ』について解説します。

よく考えるとラヴェルはその知名度に比べて、多くの作品は残していません。一番大きい曲は「ダフニスとクロエ」でしょうか。あとは「クープランの墓」など小さめの組曲が多いです。新古典主義の影響も受けていると思います。

『ボレロ』は革新的?

『ボレロ』はラヴェルの円熟期の作品ですが、前衛的な作品が1900年~1920年ごろまでに多く書かれていることを考えると、少し遅い時期の作品かな、と思います。最初はアルベニスの作品のオーケストレーションを依頼されたのですが、権利の関係で簡単に行かないことが分かりました。

その時、ラヴェルに大胆で面白いアイデアが思い浮かんだのです。最初は「ファンダンゴ」と呼んでいましたが、最終的には『ボレロ』になりました。どちらもスペイン舞踊です。最初から最後までリズムも調性も変わらず、ただクレッシェンドしていくのみなんです。ピアノで試奏すればかなりシンプルだと思います。

『ボレロ』は、近代~現代音楽に当たりますが、実際は近代・現代のテクニックは使っていないし、古典派よりもシンプルな音楽なんです。

水戸黄門のような一定のリズム

クリュイタンス=パリ音楽院の名盤
筆者お気に入りのメローなサックスのソロから

『ボレロ』はスネヤによる同じリズムの上に、多くの楽器のソロや弦楽などが同じメロディを演奏し、最後は大音量で終わるという作品です。演奏時間は15分程度ですね。

ラヴェルはバスク地方というフランスでもスペインに隣接した地域に生まれました。母親もバスク系です。そのためスペイン風の舞曲になじみがありました。

なお、段々テンポを速くしていく演奏というものあるのですが、これはアメリカ初演でトスカニーニがやったことです。ところがラヴェルはその話を聞いて怒りました。ラヴェル自身によれば、ボレロは遅めのテンポ設定で、常に一定のテンポで演奏しなければならない、とのことです。難易度高いですね。

『ボレロ』のアイデアは、ショスタコーヴィチの交響曲第5番『革命』交響曲第7番『レニングラード』第1楽章展開部に使われるなど、意外に近現代音楽に大きな影響を与えています。ショスタコーヴィチはスネヤを軍隊の象徴として使っていますし。

水戸黄門の主題歌はボレロ?

水戸黄門の音楽はボレロから着想したと思います。
でも4拍子なのでスペインのボレロとは異なります。ですが、アメリカでは4拍子のボレロがあるんだそうです。ですから水戸黄門はやはりボレロなんですね。

スコア

ミニチュアスコアが1冊あると、解説も充実していますし、聴くときに参考になります。IMSLPにもあると思いますが、印刷の費用を考えるとミニチュアスコアの方がコスパが良いです。

バレエとしての『ボレロ』

『ボレロ』はもともとバレエ音楽として作曲されました。初演はイダ・ルビンシュタインのバレエ団で行われました。振付はあのニジンスカ、ニジンスキーの妹です。

『ボレロ』の音楽自体にストイックなものを感じますが、同じリズムの上で一人で15分間踊るのですから相当ストイックな作品です。ベジャールなど後世のコンテンポラリー・ダンスでも成功している作品で、今でもよく上演されます。

「ボレロ」のお薦めCD,名盤の比較

ラヴェル作曲『ボレロ』おすすめの名盤をレビューしていきます。『ボレロ』はシンプルな曲ですが、本当に色々な演奏があり、ここではその一部しか紹介できていません。曲がシンプルで難しいので演奏家の実力が出てしまいますし、色々なCDを聴き比べると新しい発見が多い曲です。

『ボレロ』のレビューは名盤を上に持ってこようとしていますが、必ずしもそうなっていません。基本、個性的な演奏が面白く、簡単には比べられないのです。特にマゼール盤プレートル盤は、個性的な名演で聴く価値のあるものですが、他と比べて良しあしを判定するのはとても難しいです。

ブレーズ=ベルリン・フィル

ベルリンフィルの名人芸としっかりしたブレーズのサポート
  • 名盤
  • 定番
  • 精緻
  • 色彩感

超おすすめ:

指揮ピエール・ブレーズ
演奏ベルリン・フィルハーモニー

1993年3月,ベルリン

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ブーレーズの指揮に、優れたソリストの集団であるベルリンフィルの演奏です。この『ボレロ』は間違いなく名盤です。

ブレーズはフランスの巨匠で作曲家としても成功おり、フランス音楽に対する理解は深いものがあります。ですが、割とインテンポで演奏することが多く、若いころの演奏はシャープでしたが、最近の演奏は丁寧な場合が多いです。しかし、この『ボレロ』に関しては全く別です。演奏がベルリン・フィルなのです。名手の揃ったベルリン・フィルの管楽器に、ブーレーズが指揮ですから表現もドイツ風になることなく、バランスの取れた名演となっています。ベルリン・フィルは国際的にソリスト級の奏者を集めていますから、ボレロのような曲なら、魅力的でハイレヴェルなソロを聴くことができます。フランス人のソリストほど自由ではありませんが、ソロのクオリティがとても高いです。特にトロンボーンはこんなに上手いソロは始めて聴きました。

ソロ、曲のまとめ方、録音のクオリティが全てハイレヴェルな超名盤です。古めの録音ですがクリュイタンス盤と双璧と言われています。

クリュイタンス=パリ音楽院管弦楽団

パリ音楽院管の個性あふれるソロが楽しめる、これぞフランスのエスプリ!
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感
  • フランスの香り

超おすすめ:

指揮アンドレ・クリュイタンス
演奏パリ音楽院管弦楽団

1961年,ステレオ(アナログ/セッション)

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古き良き「フランスのエスプリ」を体現したクリュイタンス=パリ音楽院管弦楽団の演奏です。パリ音楽院管は、史上最もフランス的なスタイルのオーケストラですね。アンサンブルはそれほど得意ではありませんが、ソロの個性は際立っています。例えば、モントゥーと「春の祭典」を録音していますが、リズムが完全に躓(つま)いて崩壊しています。ですが、独特の色彩感があって、よく聴くと魅力的な部分もあるんですよね。

『ボレロ』では、高名なソリストがいるのか分かりませんが、それぞれのソリストが思い切り歌いきっていて、各楽器の音色も独特です。特にサックスはそこまでやるのか、と聴いていて楽しくなってきます。上にYouTubeを貼りました。トロンボーンのソロも味があります。

やはり、このCDは今はほとんど無くなってしまったフランスのエスプリを持っていて、永遠の名盤といえると思います。

モントゥー=ロンドン交響楽団

  • 名盤
  • 色彩的
  • フランスの香り

おすすめ度:

指揮ピエール・モントゥー
演奏ロンドン交響楽団

1964年2月,ロンドン(ステレオ/アナログ/セッション)

曲目
  1. バレエ音楽『マ・メール・ロワ』全曲
  2. ラ・ヴァルス
  3. 亡き王女のためのパヴァーヌ
  4. スペイン狂詩曲
  5. ボレロ

ラヴェル:管弦楽作品集
在庫情報:残り1点 レビュー数:3個

モントゥーは作曲者のラヴェルと同い年です。ロンドン交響楽団はイギリスのオーケストラですが、ここではフランスのオケよりも演奏レヴェルがたかく、色彩的な演奏を繰り広げています。1964年録音で音質も良いです。

『ボレロ』は非常に美しく自然な演奏です。少し遅めのテンポで、各ソロのレヴェルは高いです。ソロにも、指揮にも特別な個性はありませんが、安定したリズムと透明感のある色彩感はモントゥーらしいです。

ボレロ以外の曲、「マ・メール・ロワ」「ラ・ヴァルス」「スペイン狂詩曲」など、とても良い演奏で、フランス的な芳醇な味わいがあります。モントゥーらしい本質をついた名演で、さらにフランスらしい自然な色彩感が加わっています。フランスのエスプリを感じさせるラヴェル集として、クリュイタンス盤に匹敵する名盤です。

カラヤン=ベルリン・フィル (1985年)

  • 名盤
  • 定番
  • 精緻
  • 重厚

おすすめ度:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1985年12月,ベルリン,フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/セッション)

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カラヤンとベルリンフィルの録音もあります。少なくとも3種類ありますが、1985年録音のものをレビューしてみます。

カラヤンはオーストリア人ですが、フランス音楽を無理にフランス風に演奏することはしません。そういう場合は、シンフォニックに演奏することが多いです。カラヤン=ベルリンフィルの組み合わせは、重厚とも言える位、しっかりした演奏をしているのに、ラヴェルの作品を味わい深く聴くことが出来ます。カラヤンは遅めのテンポを選んでいます。でもソロが色彩的で今のベルリン・フィルとは違った意味で充実しています。サックスのソロも大胆に表現しています。一番難しいトロンボーンのソロの上手さもベルリンフィルの特徴です。

ちなみにカラヤン=ベルリン・フィルで一番良いと言われているのは、以下のベルリン・フィルの絶頂期の1977年録音のものです。録音のほうに賛否あるようですけど。

カラヤン=ベルリン・フィル (1977年EMI盤)

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー

1977年1月5~7日,ベルリン,フィルハーモニーザール

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デュトワ=モントリオール交響楽団

ハイレヴェルな管楽器のソロと色彩的なアンサンブル
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感

超おすすめ:

指揮シャルル・デュトワ
演奏モントリオール交響楽団

1981年7月,モントリオール,聖ユスターシュ教会 (ステレオ/デジタル/セッション)

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デュトワ=モントリオール響は、ある意味、クリュイタンス盤の正反対ですね。音質は非常に良くて透明感があります。ソリストは非常にうまいですが、主張しすぎることはなく、きれいにまとめています。音を外すことなんてありません。(単に何度も撮り直したのかも知れませんが。)

弦楽器の音色などは、フランス的なものを感じます。でも本当のフランスのエスプリとはプレートルやクリュイタンスのことをいうのであって、少しやり過ぎな位、自由に表現しているものです。なので、フランス風に近い所があっても、やはりスイス風なカナダのオーケストラですね。

透き通った響きといい、ソロの技術的な上手さと言い、録音の良さと言い、素晴らしいです。安心して聴ける定番のディスクだと思います。

シャイー=コンセルトヘボウ管弦楽団

若いシャイーの鮮烈でフレッシュな名演
  • 名盤
  • 透明感
  • 色彩感
  • フレッシュ

超おすすめ:

指揮リッカルド・シャイー
演奏アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

1986年8月,アムステルダム,コンセルトヘボウ

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シャイーがまだ若い時の演奏です。オーケストラは透明で色彩感のある響きが特徴のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団です。

シャイーは少し速めのテンポで演奏していきます。まず驚くのはソロがとても生き生きしていることですね。シャイーもフレッシュな指揮をしていると思いますが、コンセルトヘボウの管楽器がフランスのオケのように自由に表現しているのです。こんなブリリアントな『ボレロ』を聴いたのは久々な気がします。

弦セクションが主題を演奏する所のフレッシュさは、他のディスクでは聴けないレヴェルです。この爽快さはいいですね。さらにダイナミックになっていきます。ラストはパーカッションが活躍し、金管もフレッシュさを壊さない程度にダイナミックです。新鮮で生き生きしていて、曲が終わっても、しばらく良い気分が続きます。

最後はトロンボーンのグリッサンドと一緒に叫び声が入っているのですが、アバド盤と同じです。これはイタリアのミラノ・スカラ座の名指揮者サバタのアイデアで、その後、アバドに引き継がれ、シャイー盤にも引き継がれている伝統のようです。シャイー盤では、そこまで目立たないですし、それほど不自然さは感じませんね。

クリュイタンス盤を聴いて、技術レヴェル的に今一つ満足できない人には、是非聴いてほしいと思います。とても技術レヴェルは高いですし、テンポも正確です。カップリング曲もとても新鮮な演奏で良いですね。

ショルティ=シカゴ交響楽団

円熟期の完成度・充実度の高い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 端正
  • スケール感

超おすすめ:

指揮ゲオルグ・ショルティ
演奏シカゴ交響楽団

1976年5月,シカゴ

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ショルティ=シカゴ交響楽団のボレロは、中庸の少し余裕あるテンポで丁寧に演奏されています。オケはシカゴ交響楽団ですからソロは名手揃いです。ソロは各楽器艶やかに、かつ朗々と歌っていて、気分よく聴けます。サックスはアメリカらしい表現で、なるほど面白いですね。トロンボーンなども全く余裕で綺麗にレガートで吹きこなしています。

フランス風とはいいませんが、バックも響きの厚さがあり、しっかりとアンサンブルが構築されています。弦の響きもなかなかフレッシュです。最後はダイナミックになり、厚みのある響きの上で盛り上がっていきます。しかし、過剰にダイナミックにならずに終わります。特別、面白い表現をしている訳ではありませんが、円熟期のショルティ=シカゴ交響楽団のしっかりした演奏を聴くことができ、聴いた後にも充実感があります。

『ボレロ』でも完成度・充実度の高い名盤だと思います。

小澤征爾=ボストン交響楽団

速めのテンポとリズムの躍動感、ラテン系の明るい響き
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩的

おすすめ度:

指揮小澤征爾
演奏ボストン交響楽団

1974年3月,4月,ボストン,シンフォニー・ホール (ステレオ/アナログ/セッション)

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小澤征爾とボストン交響楽団の演奏です。このコンビの演奏の中でも、かなり上位に来る名演奏です。

テンポは少し速めです。ボストン交響楽団のソロはかなりレヴェル高いです。フランスのラテン系の明るさが感じられ、リズムは力強く躍動感があります。サックスのソロは、パリ音楽院管とはまた違った個性があります。録音も良く、サックスの艶やかな音色を上手く捉えています。音量が大きくなってくるとスネヤの打ち込みも鋭くなってきます。弦の主題は、強く明るい日差しを感じるような爽やかさと熱気があります。音量もどんどんクレッシェンドしていき、ダイナミックになってきます。ラストはシャープに盛り上がり、凄い熱気です。

マゼール=フランス国立管弦楽団

  • 名盤
  • 個性的

おすすめ度:

指揮ロリン・マゼール
演奏フランス国立管弦楽団

1981年9月,パリ,フランス放送 (ステレオ/デジタル/セッション)

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マゼールかなり早めのテンポで、ビシビシと進めていきますフランス国立管弦楽団『惑星』でも凄い演奏をしていましたが、基本的にラテン系のオーケストラです。ただ、パリ音楽院管弦楽団ほど、特別に個性的ではないですね。

テンポは速めでキビキビ進みます。このフランス国立管弦楽団とのディスクはスピード争いしているようには聴こえません。このテンポ感は心地よいです。ソロはラテン系な明るさがあります。木管は良く聴くとそれぞれに結構フランス的な味があります。サックスは意外にすっきり吹いていますけど。トロンボーンも意外に軽々と吹きこなしています。弦セクションが入っても速いテンポは変わらず、どんどんダイナミックになっていきます。金管が入って、最後は白熱した演奏となり大迫力です。すっきりした演奏で、後味も良いです。

アバド=ロンドン交響楽団

速めのテンポでクオリティが高く充実した名盤
  • 名盤
  • 色彩感
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮クラウディオ・アバド
演奏ロンドン交響楽団

1985年6月,ワトフォード,ワトフォード・タウン・ホール(デジタル)

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アバド=ロンドン交響楽団の『ボレロ』です。最後に叫び声が入っていることで有名なディスクですね。それはそれとして、評価の高い演奏なのでレビューしてみたいと思います。

テンポは速めです。アバド=ロンドン交響楽団らしく、クオリティが高く艶やかな響きです。ソロは特別に個性を出している、という訳ではありませんが、当然のようにハイレヴェルです。特にトランペットやホルンは素晴らしい技巧を聴かせてくれます。サックスも軽くアクセントを入れつつリズミカルに歌っています。

1985年の録音にしては、個々の楽器はしっかり録音されているし、分離も良いです。また、色彩感のある木管のソロも綺麗に撮れていて、録音レヴェルは高く、録音スタッフの意気込みを感じる位です。

速めのテンポもあり、クレッシェンドもシャープで盛り上げ方が上手いです。弦の主題を過ぎると、どんどんダイナミックになってきます。中低音も良く入っていて、響きにボリュームがあります。

最後のトロンボーンのグリッサンドの個所に叫び声が入っていますが、世間で言われるほど目立つものではないですね。これはシャイー盤の説明で書いた通り、ミラノスカラ座の名指揮者サバタが考案したもので、それから受け継がれているようです。

全体的にクオリティの高い演奏で、テンポが速めで完成度の高い『ボレロ』を聴きたい方にはお薦めです。筆者は好みとしてはシャイー盤のフレッシュさがいいですが、アバド盤は手兵との演奏で、内容がとても充実しています。

マゼール=ウィーン・フィル

ウィーンフィルのソロの個性を引き出したユニークなボレロ
  • 名盤
  • 色彩感
  • 個性的

超おすすめ:

指揮ロリン・マゼール
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1996年6月7,10,11日,ウィーン,ムジークフェラインザール (ステレオ/デジタル/セッション)

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マゼールは今度はウィーンフィルとラヴェルを録音しています。録音の音質が非常に良くなりました。また、結構ユニークな演奏なんです。録音の透明度が高く、これまでは聴こえにくかった細部が良く聴こえるようになったことで、魅力が増しました。

ウィーン・フィルもソロの個性があるオーケストラです。フランスのオーケストラとは大分違いますが、ホルンなど使っている楽器が違う場合もあります。

ウィーンフィルの金管も大分レヴェルアップしてきてフランス物を上手く演奏するようになりました。でも、それが逆にウィーン・フィルの個性を際立たせています。木管のソロも細かい表現が良く聴こえますので、ウィーンフィルらしい表現を聴くことができます。一方、サックスは随分大人しい表現でした。

後半、アンサンブルになってくると、ウィーンフィルらしい柔らかい響きを上手く使っています。フワッとした感じのボレロですね。最後のほうはテンポを揺らしたりして、個性的に演奏しています。テンポ設定は早めですが、最後はユルく終わります。

マゼールのテンポ設定が早めなので、好みの問題が大きいような気がします。筆者はマゼール=ウィーンフィルのディスクは面白くて好みなので、評価を高めにつけています。

マゼール=フィルハーモニア管弦楽団

  • 名盤
  • 個性的

おすすめ度:

指揮ロリン・マゼール
演奏フィルハーモニア管弦楽団

1971年6月 (ステレオ/アナログ/セッション)

1971年録音で、若き日のマゼールの演奏です。テンポが速く、13分05秒で演奏しています。

プレートル=スカラ座フィル (2016年)

プレートルの愉しさ満載のボレロ
  • 名盤
  • 個性的
  • ユニーク
  • フランスの香り

超おすすめ:

指揮ジョルジュ・プレートル
演奏スカラ座フィルハーモニー

2016年2月22日,ミラノ,スカラ座(ステレオ/デジタル/ライヴ)

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プレートルのラテン系なユーモアに満ちたユニークなボレロです。Bメロの後半で遅くなるというのは、フィレンツェ五月祭管弦楽団とのディスクと一緒ですが、こちらはスカラ座フィルなので、イタリアのオケとしては最高レベルの技術力です。また2016年録音で音質も良いです。

それとこのディスクはプレートル最後のコンサートとなりました。プレートルは、指揮者デビューしてプーランクなどのフランスのエスプリを沢山含んだ曲を初演しました。フランスの良さを残しているパリ歌劇場管弦楽団と来日して個性的な演奏を披露するなど、本物のフランスのエスプリを持つ指揮者として、世界的に活躍しました。最後はNew Year’s concertまで出演していましたね。

そんなプレートルが最後のコンサートまで、個性とフランスらしさを持ち続けたのは、リスナーとしても幸運なことだったと思います。

スカラ座フィルは、フランスやドイツのオケと比べると、やはりダイナミックさは落ちるのですが、『ボレロ』では、最後までしっかりした演奏です。ラストのカンカンはかなり遅いテンポですが、これもユニークな演奏で、最後までフランスらしい演奏を繰り広げています。

プレートル=フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団

  • 個性的名演

おすすめ度:

プレートルのボレロは、上のYouTubeで見た通りですが、リズムは一定のテンポで進みますが、メロディの後半をリズムより遅らせるという大胆で面白いことをやっています

フィレンツェ五月祭管弦楽団の実力は、少し微妙なところがありますし、そもそもイタリアのオーケストラなのでフランスとは大分キャラクターが違います。

プレートルはオペラ指揮者でもありますが、ミラノ・スカラ座の指揮も良く行っています。フィレンツェ五月祭にもよく登場しました。ですので、一応、音楽祭向けのオケとはいえ、何度も指揮してきたのです。

フィレンツェ五月祭管弦楽団は、このボレロのテンポの揺らし方に慣れる所まで行かずに本番を迎えた気がしますが、ちょっと戸惑いながら演奏しているところが却って面白いです。

フランス人らしい、そしてプレートルらしい洒落な名演です。

トスカニーニ=NBC交響楽団 (1939年)

ラヴェルに酷評されたユニークなボレロ
  • 名盤
  • 歴史的名盤
  • ユニーク
  • モノラル

指揮アルトゥーロ・トスカニーニ
演奏NBC交響楽団

1939年,放送音源

アマゾンUnlimitedとは?

トスカニーニボレロのアメリカ初演を行った指揮者です。ところが、トスカニーニが段々とテンポを速くしていく演奏をしたため、ラヴェルに酷評されました。

この1939年のボレロも一筋縄では行きません。段々速くしている訳ではないようですが、ちょうどプレートルBメロでテンポダウンさせていますが、それとは違いますがテンポを動かしています。もしかしてイタリアの伝統なんですかね?ブレートルフィレンツェ五月祭管スカラ座フィルとの演奏で、Bメロのテンポを遅くしています。なおライヴを放送したのか、ソロで音を外している楽器が多いです。

CDを紹介しようと思いましたが、どこにも売っていませんでした。アマゾンミュージックにあったのでMP3かUnlimitedに入会してお聴きください。

ラヴェル=ラムルー管弦楽団 (1930年)

ラヴェルの自作自演!意外と面白い
  • 歴史的名盤
  • 自作自演
  • モノラル

指揮モーリス・ラヴェル
演奏ラムルー管弦楽団

1930年

アマゾンUnlimitedとは?

ラヴェルの自作自演です。ラヴェルは一定のテンポで遅めに演奏する、と言っていますが、確かに遅めのテンポではあります。ただ、細かい音符をわざと速めに演奏しているようです。これはスペインの流儀かもしれませんし、よく分かりませんが、これも結構ユニークですね。トロンボーンはグリッサンドになっていて、やっぱりこれはわざとですね。ラヴェルの自作自演は意外と音質も良く聴くに堪える演奏です。

「ボレロ」バレエ版

バレエ版はほとんどベジャール版やその流れをくむ振付ですね。

二十世紀バレエ団の芸術 [DVD]
3.0/5.0レビュー数:2個

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「ボレロ」のスコア・楽譜

ラヴェル作曲のボレロの楽譜・スコアを挙げていきます。

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