展覧会の絵 (ムソルグスキー)

モデスト・ムソルグスキー(Modest Mussorgsky, 1839~1881)組曲『展覧会の絵』(Pictures at an Exhibition)は、ラヴェルによってオーケストラ版に編曲されました。このページでは解説のあと、おすすめの名盤をレビューし、スコアや楽譜を紹介していきます。

『展覧会の絵』非常に有名なメロディが多く、幅広く親しまれています。どれが有名なメロディかと言えば、最初のトランペットのソロから最後のキエフの大門まで有名なメロディのオンパレードです。一方、「もう良く聴いたし飽きてしまった」という方もいると思います。しかし、後半では「死」を描くなど、結構奥の深い曲でもあります。色々な演奏を聴いていくと新しい発見がある曲です。

解説

ムソルグスキー作曲の組曲『展覧会の絵』を解説します。

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ラヴェルによるオーケストラ版編曲

組曲『展覧会の絵』は、1874年にムソルグスキーによって作曲されました。ピアノによるバージョンまでで、オーケストレーションは全く行われませんでした

そしてムソルグスキーは、多くの未完の作品を残したまま、若くして亡くなってしまいます。才能を高く評価していたリムスキー=コルサコフらによって、ムソルグスキーの名前が忘れ去られないよう、管弦楽作品やオペラの補筆、オーケストレーションが行われました。そして、「禿山の一夜」オペラ「ホヴァンチシナ」などが世に出て評価を勝ち得るに至りました。

組曲『展覧会の絵』は、音の魔術師と言われたフランスのモーリス・ラヴェル (Maurice Ravel) によってオーケストレーションが行われました。もともと展覧会にあった絵は、シンプルなものであったといわれています。それをムソルグスキーが鋭敏なインスピレーションで少しグロテスクな作品に仕立て上げます。そしてラヴェルによって、非常に色彩的にオーケストレーションされました。

本当の『展覧会の絵』は?

ある意味、『展覧会の絵』はムソルグスキーとラヴェルの合作といってもいいかも知れません。ストコフスキーの編曲もありますが、これはラヴェルの編曲があったからできたことだと思います。

しかしながら、ムソルグスキーはもともと奇怪な音楽を作曲する人でした。自作のオーケストレーションは、ダイナミックでグロテスクな場合が多いです。ラヴェルがオーケストレーションしたことで、ハイレヴェルな管弦楽曲になりましたが、ムソルグスキーが考えていたであろうグロテスクさは、かなりの程度失われたと思われます。

スヴェトラーノフ=ソヴィエト国立管弦楽団
個性的な名演です。

組曲『展覧会の絵』の構成

組曲『展覧会の絵』は、10枚の絵画を一つずつ見ていくという構成になっています。途中、有名なプロムナードが挿入され、まるで展覧会場を歩いて移動しているようです。後半は感情的に高ぶっていく雰囲気でプロムナードも現れなくなります。

組曲『展覧会の絵』

プロムナード:Promenade
展覧会を鑑賞する作者自身を表したものです。絵の印象によってさまざまに変化します。

1. 小人:Gnomus
古くからヨーロッパの伝説に登場する「地の精霊」です。

プロムナード:Promenade

2. 古城:Il vecchio castello
中世の吟遊詩人がシチリアーノのリズムに乗せて歌うセレナードです。

プロムナード:Promenade

3.テュイルリーの庭
 Tuileries – Dispute d’enfants apres jeux)
子供たちの遊びや他愛のない口げんかを表現しています。

4.ビドロ(牛車):Bydlo
牛車が遠くから近づいてきて、また遠ざかっていく様子です。

プロムナード:Promenade

5.卵の殻をつけたひよこのバレエ
バレエのためのデッサンとのことです。

6.ザムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ
ユダヤ教の聖歌に由来する威圧的な旋律と、おびえて歯がガタガタ震える様子(トランペット)を描いたものです。

7.リモージュの市場:Limoges – Le marche
3.テュルリーと同じく、活気に満ちたフランス民衆の生活の情景です。

8.カタコンベ(ローマ時代の墓)
  Catacombae – Sepulchrum Romanum
初期キリスト教の殉教者が眠る地下墓地の光景です。

9.死せる言葉による死者への呼びかけ
  Cum mortuis in lingua mortua
プロムナード主題による生者(作曲者自身)と死者との対話を描いています。

10.鶏の足の上に建つ小屋(バーバ・ヤガー)
  La cabane sur des pattes de poule – Baba-Yaga
森に迷い込んだ子供たちを捕まえて食べてしまう老婆の妖怪グロテスクな描写です。

11.キエフの大門:La grande porte de Kiev
古都キエフがキリスト教を国教としたことに因み、正教聖歌「あなたがキリストの洗礼を受けたとき」を引用しています。盛り上がって壮大なフィナーレとなり曲を終わります。

この『展覧会の絵』どこが有名、というより、ほとんどの曲がBGM等で使用され、有名なメロディが沢山出てきます。ピアノ曲を聴いても晩年のムソルグスキーは洗練されてきたのか、編曲しなくてもキャッチーで親しみやすいメロディが多く含まれています。

おすすめの名盤レビュー

組曲『展覧会の絵』(管弦楽版)おすすめの名盤をレビューしていきます。

全体的に見て、カラヤン盤、ゲルギエフ盤がスタンダードだと思うので、最初にこれを紹介します。しかし、そこからシカゴ響などアメリカのオケのヴィルトゥーゾ系の演奏があったり、チェリビダッケ盤のような深い味わいのディスクがあったり、と意外に広がりがあるのが『展覧会の絵』の面白い所です。

カラヤン=ベルリン・フィル(1986年)

スケールの大きさと完成度の高さ、圧倒的名盤!
  • 名盤
  • 定番
  • 洗練
  • 高音質

超おすすめ:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー

1986年2月,ベルリン,フィルハーモニー(ステレオ/デジタル/セッション)

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カラヤン=ベルリン・フィルの新盤の『展覧会の絵』です。この演奏は本当に素晴らしく、遅めのテンポで演奏されていますが、金管のクオリティと言い、録音の素晴らしさと言い、完成度が高いです。録音会場のフィルハーモニーのスカッとした響きもこの演奏にピッタリです。

遅めのテンポでカラヤンの円熟を感じますが、1960年代の旧盤に比べて響きが洗練されていて、かつダイナミックさが必要な個所ではベルリン・フィルは凄いスケールで盛り上がります。テンポの遅い演奏ですが、一通り聴いてみて飽きる部分はありません。少しほの暗さがあり、味わいがあるのは旧盤からの特徴ですが、重厚さや力強さは旧盤のほうがありますけど、演奏の完成度がとにかく高くてミスの一つもありません。透明感すら感じられます。

表現の仕方も円熟していますね。例えば「卵の殻をつけたひよこのバレエ」は力が抜けていて小気味よい演奏です。「ザムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ」の弦楽セクションなどは、厚みもあって神々しさすら感じられます「バーバ・ヤガー」はティンパニやパーカッションを鳴らしてダイナミックです。しかし、決して音が濁ることはありません。綺麗さを優先して迫力を抑えている訳ではなく、聴いていて不満はないです。最後の「キエフの大門」はダイナミックで圧倒的なスケールです。

カラヤン=ベルリン・フィルのCDの中でもトップクラスの凄さですね。カラヤン=ベルリン・フィルがずっと演奏してきて辿り着いた境地が録音されています。完成度という意味では、これを超えるCDは今後もう出てこないんじゃないか、と思える位です。

カラヤン=ベルリン・フィル (1965年)

技術だけではなく、独特の味わいのある名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 奥深さ
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1965年11月,1966年3月,ベルリン

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カラヤン、ベルリン・フィルの1960年代の録音です。カラヤンは『展覧会の絵』を得意曲としていて、継続的に演奏しています。ラストコンサートの演目も『展覧会の絵』でした。演奏はベルリン・フィルなので、技術的には文句なく素晴らしいです。1960年代の録音ですが、音質は悪くありません。

カラヤンは『展覧会の絵』について、他の指揮者とは違ったアプローチをしています。ラヴェルの華麗で色彩的なサウンドを前面には出さず、少しほの暗さがあるのです。ドイツ的な響きとも言えますし、録音したイエスキリスト教会の響きにもよくあっていて、味わい深さがあります。ゲルギエフ盤も華麗すぎない演奏ですが、こちらはロシア的な味わいで、少し違う響きです。しいて言えば、テンポは全然違いますがチェリビダッケ盤に近いと思います。

ベルリンフィルの機能的な面も良く出ていて、金管は決めることはきちんと決めていますし、ダイナミックさが必要な個所は重厚さのある演奏になっています。でも、独特の味わいがあるんですよね。そこがカラヤン盤の良いところだと思います。

ゲルギエフ=ウィーン・フィル (2000年)

ウィーン・フィルからスラヴ的な響きを引き出した名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 民族的
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮ワレリー・ゲルギエフ
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2000年4月 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

ゲルギエフ=ウィーン・フィルの演奏は、現在のスタンダードと言える演奏です。これまで「展覧会の絵」は金管楽器が活躍する曲で、ヴィルトゥーゾ系の組み合わせが定番でした。今でも人気はありますが、ショルティ=シカゴ交響楽団のような組み合わせです。しかし、やはりムソルグスキーはラヴェルの編曲を経てもなお、ロシア的、民族的な味のある演奏のほうが良いです。

このCDでのウィーンフィルは金管楽器もとてもハイレベルな演奏をしていて、ウィーンフィルとは思えない位です。ウィーン・フィルも意外に民族的(スラヴ的)な響きを出せるオーケストラです。ゲルギエフは適切なテンポとロシア的な情緒を両方もっていて、ウィーンフィルから最大限のサウンドを引き出してします。

このCDは『展覧会の絵』の定番の演奏として、しばらく君臨しそうな演奏ですね。

ゲルギエフ=マリインスキー劇場管 (2014年)

洗練された現代のロシアの響き、ロシア的で味わい深い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • ロシア風
  • 高音質

超おすすめ:

指揮ゲルギエフ(ワレリー)
演奏マリインスキー劇場管弦楽団

2014年6月&10月,マリインスキー・コンサート・ホール (ステレオ)

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ゲルギエフとマリインスキー劇場管弦楽団はロシア的なサウンドを持ち、アンサンブル能力も高く、個々のソロのレベルも非常に高いです。ゲルギエフの指揮に慣れていて、速いテンポでもきっちりついて行きます。ゲルギエフのテンポ取りはウィーン・フィル盤から大きくは変わっていません。録音の音質も良くロシア的な響きを良くとらえていますマリインスキー劇場管弦楽団はロシア的といっても、昔とは違って演奏のクオリティは非常に高く、品格があります。

冒頭のトランペット・ソロは、現代のロシアの響きです。とても上手く、ヴィブラートもなく自然ですが、民族的な味はまだまだ健在です。その後の弦も含めて、しっかりした演奏であると共に民族的な響きです。「小人」はほの暗さがあり、ゲルギエフは自然体で指揮していますが、オケは自然にロシア的な響きを紡ぎだしています。高音質で金管のアンサンブルのクオリティも高いです。「古城」は少し遅めのテンポで、コクのある響きの中、サックスが艶やかなメロディを奏でます。ロシア的ですが同時に洗練されています。

「ビドロ」もとてもいい雰囲気で、ユーフォニアムのソロも上手いです。土の香りのする響きが、ムソルグスキーの音楽に自然にフィットしています。「卵の殻をつけたひよこのバレエ」は一転、速いテンポでバレエ音楽のような色彩感に溢れています。同時に土の香りもあって、シカゴ響のネアカな演奏とは違う響きです。「バーバ・ヤガー」は迫力がありますが爆演ではなく、ウィーン・フィルとの録音のほうがテンポが速い位です。マリインスキー劇場のほうは、味わい深いです。「キエフの大門」はダイナミックですが、それだけではなく色々なことを表現しています。ゲルギエフはこの曲は演奏しつくしたと思うので、円熟した総決算と言っていい演奏でもあります。

ゲルギエフ=ウィーンフィルの演奏を聴いて、もっとロシア的な演奏を望むなら、マリインスキー劇場管弦楽団がいいかも知れません。ウィーンフィル、マリインスキー劇場管弦楽団はいずれもクオリティは十分なので、あとは好みの問題ですね。

ロト=レ・シエクル

  • 名盤
  • 色彩感
  • 古楽器

超おすすめ:

指揮フランソワ=グザヴィエ・ロト
演奏レ・シエクル

2019年11月,フィルハーモニー・ド・パリ (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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スヴェトラーノフ=ロシア国立管弦楽団

スヴェトラーノフ節全開の濃厚な爆演
  • 超名盤
  • スリリング
  • ダイナミック
  • ロシア風
  • 民族的

超おすすめ:

指揮エフゲニー・スヴェトラーノフ
演奏ロシア国立管弦楽団

1974年 (ステレオ/アナログ/セッション)

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スヴェトラーノフ=ロシア国立管弦楽団『展覧会の絵』非常にロシア的な名演です。もうこんな濃厚な演奏は聴けないでしょうね。『禿山の一夜』も壮絶な演奏です。

スヴェトラーノフらしいロシア的で濃厚な表現は素晴らしいです。少し暗さのある表現が『展覧会の絵』の曲の雰囲気によくあっていて味わいがあります。テンポ取りは自由自在ですが、遅めのテンポの静かな曲にも味わいがあって聴きごたえがあります。そして、当時のソヴィエト国立管弦楽団は世界でもトップレヴェルのオケであり、弦楽セクションの厚さといい、金管のパワーといい、西欧のトップオケを超えている部分も多いです。

ずっと廃盤なので中古で入手するか、アマゾンミュージックUnlimitedMP3ダウンロードがいいと思います。。MP3も十分な音質で、下手に中古を買って音飛びがあったりするよりはいいかも知れませんの。

シノポリ=ニューヨーク・フィル

オケの安定感と聴きごたえのある表現
  • 名盤
  • 奥深さ
  • スケール感

おすすめ度:

指揮ジュゼッペ・シノポリ
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック

1989年12月,ニューヨーク,マンハッタン・センター

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シノポリとニューヨーク・フィルハーモニックの演奏は、シノポリのイタリア的な快活さがある演奏で、シャープさがありますトランペットはとても上手く、弦もしっかりまとまったサウンドです。録音は若干ドライですが、なかなか良く、管楽器の音が綺麗に取れています。

また、シノポリの特徴ですけれど、理知的な要素と感情的な要素が同居していることです。基本的に複雑なオーケストレーションを明快に整理して、効果的に演奏しています。ですが、後半の暗めのところは寂寥感が強く、味わいもかなり出ています。キエフの大門はかなり重量級の演奏です。タイプの違う指揮者とオケの組み合わせですが、それぞれの良さを活かしていると思います。

レイボヴィッツ=ロイヤル・フィル (1962年)

シャープで独特の緊張感とグロテスクさのある名盤
  • 名盤
  • スリリング
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮ルネ・レイボヴィッツ
演奏ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

1962年1月17日,ロンドン,キングズウェイ・ホール(ステレオ/アナログ/セッション)

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レイホビッツはユダヤ系ポーランド人の作曲家で、新ウィーン楽派の技法を欧州全体に広めた人です。この『展覧会の絵』は、シャープでとてもグロテスクさのある名演です。1962年録音ですが、色彩的な部分も含めて音質は良いです。

トランペットのソロからシャープで速めのテンポです。「小人」ダイナミックで圧倒されます。これがロイヤルフィルなのか?と思えるダイナミックさです。「古城」は雰囲気が変わりとても味わいのある音楽です。ロイヤルフィルの色彩的な響きが生きています。細かいアーティキュレーションがついていて、細部へのこだわりはさすが作曲家です。「ビドロ」はクレッシェンドしてかなりダイナミックになります。「卵の殻をつけたひよこのバレエ」「死せる言葉による死者への呼びかけ」独特の不気味さがあり、味わいもある不思議な雰囲気「バーバ・ヤガー」は迫力と共に独特の不気味さがあります。「キエフの大門」はダイナミックで、テンポが速めなのでシャープさがあり、聴きごたえのある演奏です。

全体的に色彩感と透明感があり、シャープな切れ味です。そして独特の緊張感とグロテスクさがあります。ムソルグスキーらしい音楽になっていると思います。またカップリングの『禿山の一夜』はレイホビッツの編曲で怪演として知られています。他では聴けない表現が聴ける面白く貴重な名盤です。

ショルティ=シカゴ交響楽団

管楽器の名人芸、ド迫力のバーバヤガー
  • 名盤
  • 定番
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮ゲオルグ・ショルティ
演奏シカゴ交響楽団

1980年5月,シカゴ,メディナ・テンプル (ステレオ/セッション)

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ショルティのインテンポでしっかりした指揮と、シカゴ交響楽団の迫力で名盤です。少なくともゲルギエフ盤がリリースされるまで定番だった演奏です。

まず最初のトランペットソロから安定感が凄いす。さすが金管のシカゴ交響楽団ですね。「バーバ・ヤガー」の迫力が素晴らしく、やはり今でも通用する迫力とクオリティです。ロシア的な味わいはなく、スコアに忠実な演奏です。安易に民族性を求めない所がショルティの誠実な所です。

今でも聴き比べると、ゲルギエフは思ったほど迫力が無いので、迫力やヴィルトゥオーゾを求める人には、ショルティ盤やジュリーニ盤をお薦めします。

ライナー=シカゴ交響楽団

ダイナミックでソロもすごく上手い、圧倒的な名盤
  • 名盤
  • スリリング
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮フリッツ・ライナー
演奏シカゴ交響楽団

1957年,シカゴ,オーケストラ・ホール (ステレオ/アナログ/セッション)

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ライナーと手兵シカゴ交響楽団の演奏です。このコンビはダイナミックさや金管のソロがある曲はやはり凄い演奏です。この頃のシカゴ響は、今よりも熱しやすいオーケストラで、スリリングさもあります。

冒頭のトランペットはとても上手いです。音質も良く1959年録音とは思えません弦もシカゴ響らしくスケールが大きくダイナミックです。第1曲「小人」もシャープさのある演奏です。半面、第2曲「古城」はゆっくりしたテンポで味わい深い演奏です。シカゴ響の音色が明るいので、カラヤンスヴェトラーノフのような暗さはありませんが、メリハリのある表現です。第3曲「テュイルリーの庭」はシャープです。第4曲「牛車」聴き物では遅いテンポですが、スケール大きく盛り上がります。ユーフォニアムのソロの音色が良く上手いです。

その後もスコアを中心に情に溺れず、その曲の特徴を活かした演奏が続いていきます。別の絵の表現ですから、作者が同じといえど、それぞれに描写していく中でムソルグスキー自身の心情の変化も描いています。第10曲「バーバ・ヤガー」はド迫力です。シカゴ響のスケールの大きなパワーで、冒頭のアクセントも重さが違います。妖怪、というか怪獣が出て来そうです。第10曲「バーバ・ヤガー」はド迫力です。シカゴ響のスケールの大きなパワーで、冒頭のアクセントも重さが違います。妖怪、というか怪獣が出て来そうです。第11曲「キエフの大門」は、スケールが大きく圧倒的なダイナミックさです。凄いパワーでそのままのスケールで最後まで演奏しきっています。

ジュリーニ=シカゴ交響楽団

落ち着いてしっかり歩みを進めるシカゴ交響楽団
  • 名盤
  • 定番
  • クール

超おすすめ:

指揮カルロ・マリア・ジュリーニ
演奏シカゴ交響楽団

1976月4月,シカゴ (ステレオ/セッション)

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ジュリーニの1回目の録音です。録音の音質はしっかりしたものです。冒頭はシカゴ交響楽団トランペット・ソロが上手いです。ジュリーニは落ち着いたテンポでしっかり歩みを進めていきます。オーケストラがフォルテの所はダイナミックに鳴らしますが、基本的に味わい深い名演だと思います。シカゴ交響楽団はもともとスケールの大きなサウンドと少しひんやりした響きを持っているので、『展覧会の絵』には合うんですよね。「バーバヤガー」のような曲でも遅めのテンポですが、シカゴ交響楽団はダイナミックでスケール大きく演奏していて凄いです。十分迫力あります。「キエフの大門」もスケールが大きいので、本当に大きな建築物を想像してしまいます。

チェリビダッケ=ミュンヘン・フィル (1993年)

ゆっくりなテンポ、ほの暗く味わい深い名演
  • 名盤
  • 奥深さ
  • 重厚
  • スケール感
  • ライヴ

おすすめ度:

指揮セルジュ・チェリビダッケ
演奏ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

1993年 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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テンポが遅い、といえばチェリビダッケですが、半端は遅さではありません。昔、映像で見たときはここまで遅い感じはしなかったのですが、慣れですかね。慣れてくると、とても丁寧に演奏しているので、良い所が見えてきます。こういう演奏で時間を気にせず、まったり聴いていくのもいいと思います。

それにチェリビダッケは『展覧会の絵』との相性が良いようで、とても味わい深く聴かせてくれます。ほの暗く味わい深い名演で、ラヴェルの色彩的な編曲が地味に聴こえてくるので不思議です。ラヴェルの色彩的なオーケストレーションは生きていますが、違う色の色彩になっている感じです。サックスのソロなどもな、なんとも言えない味があります。「ビドロ(牛車)」、「カタコンベ」なども名演です。ミュンヘン・フィルですから、金管楽器もかなりパワフルです。「バーバヤガー」もテンポが遅いからと言って迫力不足なんて感じません。最後まで聴いてくると本当に感動します。

昔はLDもありましたが、これも良い映像でした。この演奏は、賛否が分かれそうですが、筆者は良いと思うので、高評価にしたいです。万人にはお薦めできませんけれど。来日時の演奏もあります。こちらも世評が高いですね。

  • 名盤
  • 個性的名演

指揮:チェリビダッケ、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1986年、人見記念講堂

チェリビダッケ=RAI放送交響楽団 (1959年)

チェリビダッケが若いころのテンポ速めのライヴ
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • ライヴ

おすすめ度:

指揮セルジュ・チェリビダッケ
演奏RAI放送交響楽団

1959年1月30日,トリノ (ステレオ/モノラル/ライヴ)

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チェリビダッケとRAI放送交響楽団の演奏です。1959年のトリノでのライヴで音質は若干ドライです。若いチェリビダッケの熱気と奥深さを感じる演奏です。RAI放送交響楽団のレヴェルは、特に高いとは言えませんが、イタリアのオケの中ではしっかりした演奏といえます。後年のミュンヘン・フィルとの名盤と比べて、良いとか悪いとかよりは、チェリビダッケの演奏をもっと色々聴きたい人にお薦めです。

冒頭のトランペット・ソロは技術的には当時のスタンダードかなと思います。オケ全体としてはイタリアらしい感じですが、フォルテの個所ではラテン系の熱気を感じます。「小人」に入る前に、G.P.(ゲネラルパウゼ:全休止)というより、一休みしています。そして、ゆっくりしたテンポで演奏しています。意外な所でG.P.が入っています。第2プロムナードは落ち着いていて、この頃からテンポが遅めだったんだなぁと感じます。曲間を少し長く開け、1曲1曲じっくり聴かせてくれるのは、後年のミュンヘン・フィル盤と同じですね。「古城」のサックスソロは味わいがあります。「テュイルリーの庭」は遅めのテンポでメリハリがありながらも、この辺りからチェリビダッケの術中にハマっていきます「ビドロ」ユーフォニアムソロは意外と上手いです。盛り上がってくるとオケ全体が熱気に満たさます

「ザムエル・ゴールデンベルグとシュムイレ」は、弦が熱く盛り上がりラテン系であると共にグロテスクさもあります。「リモージュの市場」速いテンポで活気があります。カタコンブは熱気とテンポの遅さでとてもスケールが大きいです。「死せる言葉による死者への呼びかけ」は深く沈みこんでいきます。「バーバ・ヤガー」は遅めのテンポながら、ダイナミックな熱気が凄いです。「キエフの大門」はとてもダイナミックです。オケがちょっと粗いですが、当時のイタリアのオケのラテン系な熱気が聴けます。パーカッションはとてもシャープで荒々しさがあります。ラストは盛り上がりますが、テンポが遅いままクレッシェンドしていき、とてもスケールが大きなしめくくりです。

パーヴォ・ヤルヴィ=NHK交響楽団

NHK交響楽団の実力を引き出す、しなやかな名演
  • 名盤
  • しなやか
  • ダイナミック
  • 高音質

おすすめ度:

指揮パーヴォ・ヤルヴィ
演奏NHK交響楽団

2016年9月 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

パーヴォ・ヤルヴィ=NHK交響楽団がメジャーレーベルであるRCAに録音したディスクです。2016年のライヴ録音です。NHK交響楽団の「展覧会の絵」といえば、冒頭のトランペットがどうしても上手くいかない印象がありますね。それもライヴではなおさらです。マルケヴィッチとの演奏でも惜しいですが外してます。名指揮者との演奏ですから相当なプレッシャーですよね。また、どちらかというとロシア的なダイナミックな演奏が多かったように思います。もともとN響はマッシブ(筋肉質)な響きを特徴としていて、世界の他のオケにはない独自のサウンドを持っています。マタチッチはこの響きを気に入っていたようです。

この新しいパーヴォ・ヤルヴィとの演奏は、これまでと大分雰囲気が違うようです。筋肉質で、少し荒さもあったN響ですが、ヤルヴィとのディスクでは、非常にしなやかなで余裕のある演奏をしている所が特徴的です。もちろん最初のトランペットも安定しています。大指揮者が来ると入魂の演奏で力みが出たりするN響ですが、P.ヤルヴィはそういう所が出ないように、余裕をもってしなやかに演奏させ、そのため細部がきめ細かく色彩的な演奏となっているのです。

パーヴォ・ヤルヴィはN響の良い所を上手く引き出して、聴いていて面白く、かつ技術的にも良い所が出た演奏に上手くまとめています。N響もこうやってメジャーレーベルへの録音に慣れてくれば、将来、もっと名演奏も期待できそうですね。

ピアノ版のおすすめの名盤

ムソルグスキー『展覧会の絵』ピアノ版の名盤をレビューしていきます。

ピアノ:アシュケナージ

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

アシュケナージ(ヴラディーミル)

ムソルグスキー:展覧会の絵
5.0/5.0レビュー数:3個

定番のアシュケナージの演奏です。アシュケナージは少しロシア的でロマンティックな演奏ですね。とはいえ、個性的という程ではありません。真摯に曲と向き合っています。迫力やスケールの大きさは、さすがヴィルトゥーゾという感じです。技術の改善で音質が向上してきた分、さらに良さがわかる演奏です。

ピアノ:高橋多佳子

ピアノの高橋多佳子の演奏は、新しい録音であることもあって、色彩感が前面に出た演奏です。少し個性的な個所もありますが、基本的に理知的なので、気まぐれなのではなく、きちんと楽譜を読みこんで研究した成果なのだと思います。

ピアノ:辻井伸行

  • 名盤

おすすめ度:

ピアノ:辻井伸行

ムソルグスキー:展覧会の絵
4.7/5.0レビュー数:22個

展覧会の絵
4.7/5.0レビュー数:22個

辻井伸行は言うまでもありませんが、全盲のピアニストです。その彼が「展覧会の絵」に挑むのですから、どんな演奏になるのだろうと思ってしまいます。

ところで辻井伸行は、展覧会に行ったことが無いわけではなく、母とよく美術館を訪ねたそうです。母が絵の印象を語り聞かせていたようです。辻井は想像を膨らませていたことでしょう。

そしてこの「展覧会の絵」は、非常に想像力豊かなものとなり、技術的な素晴らしさと、想像力の豊かさで、アメリカ・ツアーでは非常に高い評価を受けました。大変、力強い演奏で、プロムナードなどはなかなかダイナミックです。各曲の個性を良く生かした演奏で、テンポは速めでリズミカルです。後半に行くとグロテスクさも出てきます。

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楽譜・スコア

ムソルグスキー『展覧会の絵』の楽譜・スコアを紹介します。

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