高音質CD(SHM-CD/UHQCD/Blu-spec CD2/XRCD/Blu-ray Audio/SACD)とは?

CDを選ぶときについ迷ってしまう高音質CDの規格ですが、ここになるべく簡単にまとめてみます。

高音質CDの規格

高音質CDには色々な種類があります。主なものを紹介していきます。

Blu-spec CDとは?

Blu-spec CDとは、CDより高密度なデータが記録されているBlu-Rayディスクの製造技術をCDに取り入れたものです。2008年に発売が開始されました。仕様はCDと同じであるため、スペック的には同じです。
Blu-Rayディスク用に開発された高分子ポリカーボネート樹脂を使用しています。また、Blu-Rayディスク用に開発された青紫色半導体レーザーをカッティングに使用しています。

さらに改良版として、Blu-spec CD2(ブルースペックCD2)が開発され、現在はこちらが主流です。原盤材料に半導体製造用シリコンウェハーを採用し、原盤の記録層に金属酸化物レジストを採用しています。

ブロムシュテットの名盤
Blu-spec CD2は、比較的安価な場合も多い。

※Blue-Ray Audioという規格もありますが、Blu-spec CDとは異なる規格で、通常のCDプレイヤーでは再生できないので、ご注意ください。

SHM-CDとは?

SHM-CDスーパー・ハイ・マテリアルCDの略です。簡単に言うと普通のCDと異なる材料(液晶パネル用ポリカーボネート樹脂)を使用し、盤面の透明度を増して、読み取りエラーを減少させる仕組みです。
仕様はCDと同じであるため、スペック的には同じです。
CDの製造工程で透明度が下がるなどで音質が劣化してしまう可能性を、材料を変えることで低減させたもの、と考えればOKです。

ムターの名盤、ヴァイオリン名曲集
普通のCDより価格は高め

UHQCDとは?

HQCDハイ・クオリティCDの略です。メモリーテック株式会社という日本のメーカが開発しました。
こちらも仕様は通常のCDと同じです。
SHM-CDはプラスチックの透明度を上げていましたが、HQCDはそれに加え基盤の反射膜も特殊合金にして、読み取り精度を上げています。
2015年にさらに性能アップしたUHQCD(アルティメット・ハイ・クオリティCD、Ultimate High Quality CD)を開発しました。現在はこちらが主流です。

ノイマンの代表盤『新世界より』
通常のCDより価格は高め

XRCDとは?

XRCDExtended Resolution Compact Discの略です。ビクターエンタテインメントが開発しています。
仕様はCDと同じであるため、スペック的には同じです。
この技術は説明するのが難しいのですが、それまでのCDの製造精度を上げたりする技術の他、アナログマスターテープをデジタルサンプリングする過程を高品位化するなどして、音質向上を果たしています。色々な技術を採用し、職人的感性やノウハウも使って音質をグレードアップしていますが、アナログマスターテープからサンプリングする過程を改良しているので、1980年以前のアナログ録音に大きな効果があります。
実際、オーディオ専門店からの評価が高いです。

フリッツ・ライナー&シカゴ交響楽団
アナログ録音でしっかりしたマスターテープがあれば音質向上が狙える

Blu-ray Audioとは

Blu-ray Audio(ブルーレイ・オーディオ)とはブルーレイに音声のみを収録したディスクです。そのため、CDプレイヤーでは再生できませんが、広く普及している映像用Blu-Rayプレーヤーで聴くことが出来ます。

スペックはCDよりも良く、非圧縮のリニアPCM 192kHz/24bitまでサポートのハイレゾ音源まで収録可能です。現時点でもっとも手軽なハイレゾ音源と思います。

マーラー:交響曲 第8番 24-bit 96kHzステレオ/サラウンド
Blu-Rayなので、ハイレゾのみならず、サラウンドにも対応できます。

SACDとは?

SACDはスーパーオーディオCDの略です。CDのスペック自体を大幅に向上させハイレゾ規格(DSD 192kHz/24bit)に対応したCDです。一般にストリーミング等のハイレゾ音源はPCM 192kHz/24bitであり、SACDはさらに高音質です。SACD専用プレーヤーで再生すると劇的に高音質になります。
SACDと普通のCDを2重構造にした製品が多く、普通のCDプレイヤーでも再生できます。(ただし、音質は普通のCDと同じ)これはSACDハイブリットと呼ばれています。
SACDのみだと専用のSACDプレイヤーが無いと再生自体が出来ません。SACDシングルレイヤーと呼ばれる製品で、2重構造ではなくシンプルで、SACDの製造精度、読取り精度が向上します。

ポッジャーの『四季』(SACDハイブリット)
新しい録音であり、SACDだと非常に高音質です。
ムラヴィンスキーのブラ4(SACDシングルレイヤー)
昔の録音ですが、リマスタリングした上で、SACDでリリースしています。

まとめ

SHM-CD、UHQCD、Blu-spec CD2、XRCDは、いずれも従来のCDの規格のまま、高音質化を狙った規格です。
そのため従来のCDプレイヤーで再生可能で音質向上が期待できます。

SACDは規格自体をグレードアップしたため、再生には専用のSACDプレーヤーが必要ですが、音質の向上は著しく、聴いてすぐ違いが分かるリアルな音です。

SHM-CD、UHQCD、Blu-spec CD2は製造時・再生時のエラーを低減させることを狙っています。逆に言うと音楽CDは製造時、再生時にそれなりにエラーがあったということですね。精度をアップすることで音質も向上します。

ちなみに、そんなにエラーがあるならデータ記録用CDはどうして読めるのか?というと、読み取りに失敗したデータを再読取するからです。音楽CDは時間の制約があるので、時間優先で設計されています。

ただ具体的にどの程度音質が向上するか、は明示されていません。普通のCDでも製造した会社によって精度も異なりますし。

XRCDは従来のCDの仕様の中で、人間の耳で聴いた時に高音質になるように様々な方法を使ってチューニングされたもの、といえます。アナログの古めの音源だと大きな効果があります。

SACDはハイレゾに対応した次世代の規格で、SACDシングルレイヤーは従来のCDプレイヤーでは再生できません。SACDとCDの2層構造にしたものをSACDハイブリットと呼び、従来のCDプレイヤーでも再生可能です。専用のSACDプレイヤーで聴くと圧倒的な音質の良さが分かると思います。(オーディオセットにもよりますけれど)

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