ヘンデル メサイア(ハレルヤ・コーラス,他)

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル (Georg Friedrich Handel,1685-1759)作曲のオラトリオ『メサイア』 (Oratorio “Messiah”) HWV.56について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

オラトリオ『メサイア』は、第2幕の最後に演奏される「ハレルヤ・コーラス」で有名です。しかし、ヘンデルの円熟期の傑作であり、ハレルヤ・コーラスを中心とした構成も素晴らしいですし、「ハレルヤ・コーラス」ほどではないですが、有名な曲は他にもあります。

解説

ヘンデルオラトリオ『メサイア』について解説します。

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イギリスのロンドンにて、イタリア・オペラを作曲し、上演することで劇場を運営していたヘンデルですが、ライバルの劇場が現れたり、観客も次第にイタリア・オペラに飽きてきて、劇場の収益が減ってきました。

オラトリオの作曲

そこで、起死回生の一手として、舞台がなく、舞台装置や衣装が不要でコストが安い、英語のオラトリオの作曲に乗り出します。英語のオラトリオ作品を当代の大作曲家が作曲するのですから、イギリス人にとってとても名誉なことです。それが上手くハマり、ヘンデルのオラトリオは人気が出るようになりました。『メサイア』が作曲されるまで、数多くのオラトリオが作曲され、上演されました。上演コストも安く、劇場以外の場所でも上演可能なことも有利に働きました。ヘンデルは最終的には16のオラトリオを作曲しています。

よくバッハの4つの受難曲と比較されますが、ヘンデルのオラトリオは基本的にオペラの代りとして作曲されています。そのため、宗教性は少なく、『メサイア』以外のオラトリオは宗教に関する内容ではありません『メサイア』は他のオラトリオよりはキリスト教音楽を意識し、合唱中心でフーガなどのポリフォニー様式を積極的に取り入れています。それでも、バッハほどの敬虔さはなく、比較的平易で分かりやすい曲です。

構成と聴き所

『メサイア』は救世主、メシアのことです。聖書そのものではなくマタイ伝ヨハネ伝でもなく、有名で分かりやすいストーリーを色々な書物から引用し、再構成して台本にしています。その辺りは当初は非難されたりしていましたが、この曲の役割はキリスト教の物語を分かりやすく庶民に広めるものだと思います。

長い曲ですので、かなりかいつまんで書いておきます。全部で3部から構成されています。オーケストラの編成は小さく、音楽はシンプルですが、時に円熟したヘンデルの凄みを感じます。一曲が素晴らしいというより、小曲が連続していくことによって、繊細な雰囲気づくりをしています。

構成と聴き所

■第1部:「メシア到来の預言と誕生、メシアの宣教」
予言からメシア(キリスト)の誕生の場面が描かれています。神聖かつ喜びが感じられ、ヘンデルの表現力の手腕に感服させられます。小曲の集まりですが、親しみやすいリズミカルな曲が多いことも『メサイア』の特徴ですね。

序曲

フランス風序曲で始まります。短い曲ですが、ヘンデルらしいシンプルさがあり、これから始まる悲劇を予感させる名曲です。主部の跳躍音型も効果的です。『メサイア』の開始に相応しいです。

第7曲「彼はレビの子孫を清め」
合唱の難しそうなメリスマが印象的な曲です。

第8曲「見よ、おとめがみごもって」
アルト独唱ですが、オーケストラのオスティナートが印象的です。『メサイア』は、オスティナートの手法を使って印象を深くしている曲が多いです。

第12曲「ひとりのみどりごがわれわれのために生れた」
キリストの生誕を明るく平和に祝います。

第13曲「ピファ」(パルトラル)
コレッリの時代から受け継がれた形式のパストラーレです。これは有名な曲で、単独でも演奏されます。舞曲の種類はイタリアのシチリアーナです。

第17曲「いと高きところでは、神に栄光があるように」
クリスマスらしい音楽です。えっと、曲名忘れましたが、とても有名なクリスマスソングの引用ですね。

■第2部:「メシアの受難と復活、メシアの教えの伝播」
第2部はキリストが十字架に張り付けられ、拷問を受けた後、昇天するシーンで、劇的で切迫感があります。

第2曲「まことに彼はわれわれの病を負い」
オスティナートを効果的に使って、悲痛さを盛り上げていきます。
第3曲「彼の打たれた傷によって」
フーガですが、オスティナート的な繰り返しで悲痛さが表現されています。
第4曲「われわれはみな羊のように迷って」
突然、明るさのある曲が現れたりします。
第5曲「すべて彼を見る者は」
鋭いアクセントが効果的な曲です。

こんな感じで、徐々にかつ劇的に盛り上がっていきます。キリスト教なのでキリストの昇天は悲痛であると共に、宗教としての完成を意味していると言えます。なので、明るい曲が入っている訳ですね。ハレルヤ・コーラスも勝利を祝うような曲です。

第21曲「天に座する者は笑い」
明るくなったり、悲痛になったりしながら、盛り上がり、頂点に近づいてきたことを感じる明るいカノンです。

第22曲「おまえは鉄のつえをもって」
ヴィブラートなしのヴァイオリンが鋭い音を出す音楽は、拷問のシーンを描写しています。このヴァイオリンの使い方はショスタコーヴィチの交響曲第14番『死者の歌』を想起させます。

第23曲「ハレルヤ」
有名なハレルヤコーラスです。『メサイア』はやはりこの曲が頂点になります。


■第3部「メシアのもたらした救い〜永遠のいのち」
キリストの復活をおだやかに祝うような幸福感に満ちた音楽です。

第4曲「ラッパが響いて」
バロックトランペットのソロがある、とても難しい曲です。バロックトランペット自体が難しく、このソロをきれいに吹ける奏者は世界でも数えるほどしか居ないのだとか。モーツァルトは安全策か、これをオーボエに変えてしまったのですが、トランペットのままにしておけば、今でももっとモーツァルト版が演奏されたでしょうね。

第8曲「アーメン・フーガ」
メサイアの最後を飾るフーガです。これも有名な曲で、シンプルですが終曲に相応しい名曲です。

実はイギリスの識字率は低かった

日本は江戸時代から識字率が割と高く、江戸の町人ならば、かわら版など、一種の新聞も読んでいたほどです。また挿絵のはいった漫画のようなものも既にありました。寺子屋は江戸のみならず、全国至る所にあり、貧しい子供でも読み書きや簡単な計算位は出来ました。貧しい子供は家庭を手伝って農業の手伝いをしていたので、簡単な教育しか受けていませんが、それでも世界的に見ると識字率は低くはなく、というか、識字率や江戸庶民の文化を見ると、世界有数だった言っても過言ではないです。

一方、ヨーロッパの識字率は意外にも低く、首都ロンドンの貴族や上級市民なら教育を受けていましたが、教育を受けられない人も多かったようです。なおプロテスタントの国では聖書を重視していたので、信者自身が読めるよう、聖書を各国語に翻訳したうえ、17世紀には義務教育を導入した国もあります。

識字率が低いということは、彼らはキリスト教の信者でありながら、「聖書(新約聖書)」を読めなかったのです。しかし、普段は英語で話していましたので、『メサイア』のようなオラトリオを聴けば、聖書の大筋が理解できるという訳で重宝されています。ヘンデルは、慈善事業として、慈善院のような子供や文字を知らない人々に向けて、積極的に『メサイア』を演奏しています。台本もオペラに近く、宗教的な敬虔な雰囲気はそこまでありません。

モーツァルト編曲版

ヘンデルの『メサイア』は大きな成功を収め、イギリス以外でもヨーロッパ大陸のドイツなどで歌い継がれていましたが、やがてバロック時代も終わり、楽器編成が変わっていきます。通奏低音はなくなり、クラリネットが導入されるなど、古典派のオーケストラの編成はバロック時代と大きく異なります。『メサイア』が歌い継がれるには、その時代のオーケストラの編成に合わせる必要が出てきました。

それを率先して行ったのが1780年代、ウィーン宮廷図書館長スヴィーテン男爵です。モーツァルトにヘンデルのオラトリオの編曲を依頼しました。ベートーヴェンにヘンデルやバッハを伝えた人物としても有名です。ベートーヴェンがヘンデルを知らなかったなら、交響曲第9番『合唱付き』は作曲されなかったかも知れません。バロック音楽の一部が演奏され続けたのは、スヴィーテン男爵の影響が大きいです。モーツァルトがヘンデルやバッハを知る契機にもなり、例えば交響曲第41番『ジュピター』終楽章がフーガになっているのは、その影響もあります。

モーツァルトは『アキスとガラテア』K.566(1788年)『メサイア』K.572(1789年)『アレクサンダーの饗宴』K.591(1790年)『聖セシリアの祝日への讃歌』K.592(1790年)を編曲しました。これは現在のオーケストラでも演奏されます。

ただカットがあることと、やはりオリジナルのオーケストレーションの方が素晴らしいため、聴くならオリジナル版がいいですね。ただアマチュアで演奏する場合にモーツァルト版が良く使用されます。その参考としてCDの紹介には入れておきます。

作曲されてから現在まで歌い継がれる

こういった努力もあって、『メサイア』はアメリカでも歌われるようになり、作曲されてから、現在までずっと歌い継がれている稀有な名曲となりましたバッハの受難曲に比べても宗教色が薄目なことから、日本でも自然に受け入れられ、何故かキリスト教国ではないのに、とても人気がある曲になっています。

おすすめの名盤レビュー

それでは、ヘンデル作曲オラトリオ『メサイア』名盤をレビューしていきましょう。

オラトリオの場合、歌詞が分からないとストーリーも分からず、折角、頂点にハレルヤコーラスが出てきても、その意味が分からないかも知れません。一番良いのは最初は日本語字幕付きの映像で見て、ストーリーをつかんでから、色々なCDを聴いてみることだと思います。

また、オリジナルモーツァルト編曲版が2種類あります。モーツァルト編曲版は現代のオーケストラでも演奏しやすく、適度にカットされているため親しみやすいのですが、演奏はオリジナル版のほうが楽しめます。特にバロックトランペットのソロは、モーツァルト編曲版では木管に置き換えられており、それだけでも聴き所が一つ少なくなります。特に理由が無ければ、オリジナル版をバロック演奏で聴くのがお薦めです。

合唱でモーツァルト版を演奏する時でも、一度はオリジナル版で全曲聴いてみることをお薦めします。それだけ聴き所が多いです。

ホグウット=エンシェント室内管弦楽団,他 (1979年)

『メサイア』の古楽器演奏の草分け
  • 名盤
  • 定番
  • 古楽器

超おすすめ:

ソプラノジュディス・ネルソン
ソプラノエマ・カークビー
コントラルトキャロライン・ワトキンソン
テノールポール・エリオット
バスデイヴィッド・トーマス
合唱ウェストミンスター大聖堂聖歌隊
指揮クリストファー・ホグウッド
演奏エンシェント室内管弦楽団

1982年1月,ウェストミンスター大聖堂(ステレオ/アナログ)

日本語字幕

ホグウッドとエンシェント室内管弦楽団、他の演奏です。古楽器演奏初期の名盤です。やはり一番安心して聴けるのがホグウッド盤かな、と思います。ホグウッドは奇をてらった実験的なことはせずに、古楽器特有の良さを引き出しています。もっと新しい演奏は良い所もありますが、今もってこの演奏はスタンダードだと思います。

第1部序曲軽快なフランス風序曲の典型的な演奏で、少しスッキリしすぎているかも知れませんが、とても自然な演奏です。第1曲から安心感のある雰囲気を作っています。第12曲は、もっとリズミカルでもいいように思いますが、キリスト誕生の幸福感に満ちています。続くピファは、さすがでバグパイプの音が聴こえてきそうな演奏です。

第2部リズミカルで自然に盛り上がっていくような演奏です。編成がそこまで大きくなく、録音も奇麗なのでもしかすると分かりにくいかも知れませんが、段々盛り上がって熱気を帯び。熱狂までは行きませんが、ハレルヤ・コーラスで頂点を迎えます。明るい曲はあくまで明るくリズミカルに、演奏されています。そして、バロック楽器にしか表現できない鋭い表現も遠慮なくやっています。例えば第22曲ヴィブラートのない弦楽器の鋭い演奏で、綺麗に録音されてはいますが、結構迫力のある演奏です。ハレルヤ・コーラスはなかなかしっかりした演奏で、古楽器演奏としては極端に小編成すぎず、盛り上がるべき所で、しっかり盛り上がります。物足りない所は無く、金管やパーカッションも盛り上げ、頂点を築ています。CDの録音は透明感があるので、DVDで見るほうが分かりやすいかも知れませんね。

第3部は安心感のある響きの美しい演奏です。第4曲「ラッパが響いて」バロック・トランペットのソロは非常に上手いです。上手すぎて、バロック・トランペットなのか疑問になる位ですが、たまにそれらしい響きがあるので、やはり上手いバロック・トランペットですね。最後のアーメンコーラスはバロック演奏らしいしなやかな演奏です。しかし、段々盛り上がり、最後はスケールの大きな演奏で幕を閉じます。

ホグウット=エンシェント室内管弦楽団,他 (1979年)

『メサイア』の古楽器演奏の草分け
  • 名盤
  • 定番
  • 古楽器

超おすすめ:

ソプラノジュディス・ネルソン
ソプラノエマ・カークビー
コントラルトキャロライン・ワトキンソン
テノールポール・エリオット
バスデイヴィッド・トーマス
合唱オックスフォード・クライスト・チャーチ聖歌隊
指揮クリストファー・ホグウッド
演奏エンシェント室内管弦楽団

1979年9月,ロンドン,セント・ジュード・オン・ザ・ヒル(ステレオ/アナログ/セッション)

ヤーコプス=フライブルク・バロック・オーケストラ,他 (2006年)

奥深さのあるドラマティックな演奏
  • 名盤
  • 定番
  • 共感
  • 芳醇
  • 古楽器
  • 高音質

超おすすめ:

ソプラノシャスティン・アヴェモ
アルトパトリシア・バードン
コントラルトローレンス・ザゾ
テノールコビー・ヴァン・レンズブルク
バスニール・デイヴィス
合唱クレア・カレッジ合唱団
指揮ルネ・ヤーコプス
演奏フライブルク・バロック・オーケストラ

2006年1月,フライデルク,パウルスザーク(ステレオ/デジタル/セッション)

ルネ・ヤーコプスは、歌手出身の指揮者です。特にバロック・オペラを得意としていて、沢山の録音があります。この『メサイア』はドラマティックで表情付けに深みがあります。

第1部は平穏な演奏で、リズミカルな舞曲ベースの曲は、もう少しシャープに演奏してほしい箇所もありますが、演奏レヴェルは非常に高く、歌唱の表現には深みを感じます。明るさや悲痛さの精妙な雰囲気作りも素晴らしく、ただシンプルなだけではない新しい『メサイア』のドラマティックな表現です。

第2部はさらにドラマティックで強弱やアクセントがしっかりしています弦にも厚みがあり、濃厚さもある表現で、ホグウッドより感情表現が深いです。新しく音質が良いことも関係しているかも知れません。後半に行くにつれ、盛り上がりが素晴らしく迫力があります。低音域も効いていて単に小編成なだけでは、ここまでの表現は聴けないと思います。特にハレルヤ・コーラスの前の曲は恐ろしいまでの迫力です。そしてハレルヤ・コーラスは穏やかに始まり、ダイナミックに盛り上がっていきます

第3部は平穏に進みますが、やはり表現はこなれていて穏やかさにも暖かみがあります。第4曲「ラッパが響いて」バロックトランペットが柔らかい響きで、とても上手いです。アーメン・フーガは響きが充実していてメサイア全曲を聴いてきた感動があります。

鈴木雅明=バッハ・コレギウム・ジャパン,他 (1996年)

  • 名盤
  • 定番
  • 古楽器

ソプラノ鈴木美登里
カウンターテノール米良美一
テノールジョン・エルウィス
バスデイヴィッド・トーマス
合唱
指揮鈴木雅明
演奏バッハ・コレギウム・ジャパン

1996年12月(ステレオ/デジタル/セッション)

アマゾンで見る
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」(全曲)

在庫:通常5~10日以内に発送します。レビュー数:50個

ガーディナー=イングリッシュ・バロック・ソロイスツ,他 (1982年)

  • 名盤
  • 定番
  • 古楽器

おすすめ度:

ソプラノマーガレット・マーシャル
メゾソプラノキャサリン・ロビン
カウンターテナーチャールズ・ブレット
テノールアントニー・ロルフ・ジョンソン
バスロバート・ヘイル
ボーイソプラノソウル・カーク
合唱モンテヴェルディ合唱団
指揮ジョン・エリオット・ガーディナー
演奏イングリッシュ・バロック・ソロイスツ

1982年11月11-20日,ロンドン,セント・ジョンズ教会(ステレオ/デジタル/セッション)

ガーディナーの演奏は、古楽器を使ったものですが、ホグウッドに比べると、さらにリズミカルで力強さもあります。

第1部序曲はかなりリズミカルで筋肉質なリズムと言える位です。録音も透明感などはあまり重視していないようで、しっかりした響きの演奏です。第1曲から平穏な音楽づくりです。第6曲メリスマもしっかり合唱していてさすがモンテヴェルディ合唱団のレヴェルの高さを感じます第11曲は明るくリズミカルです。キリスト生誕の喜びを活発なリズムで表現しています。次のピファはテンポは速めでリズムがしっかりしていますが、透明感もあり穏やかさもありパストラーレらしい音楽作りです。

第2部はシリアスさが強いです。合唱も感情が入っていて、ドラマティックな表現があります。他の古楽器演奏に比べてリズムを活かした表現が強いです。でもこれは『メサイア』の第2部で古楽器オケを活かすとてもいい方法です。リズミカルな曲が連続し、曲調は様々に変わります徐々に盛り上げ熱狂といってもいい位まで盛り上がります第22曲は鋭いリズムで強く悲痛な表現をしています。そして、続くハレルヤ・コーラスでは一転しなやかな表現から始め、徐々に盛り上げて熱狂の頂点に達します

第3部は平穏にはじまります。リズミカルと言っても比較的、という話で静かな曲は、平穏に演奏していています。第2曲も神々しさがあります。さて、バロックトランペットはもちろん本格的なもので、やはり上手いですね。コンサートなどでは、こんなに素晴らしいバロックトランペットにはなかなかお目にかかれません。最後のアーメンコーラスはリズム感があり、ダイナミックさもあります。テンポは遅めですが、力強く盛り上がっていきます。

ここまでストレートにリズミカルな演奏は、古楽器オケと言えども少ないので、非常に貴重ですし、第2部などドラマティックな展開にも繋がっていて、好みは分かれるかも知れませんが、古楽器オケらしい名演だと思います。

リヒター=ロンドン・フィル,他 (1973年)

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

ソプラノヘレン・ドナート
アルトアンナ・レイノルズ
テノールスチュアート・バロウズ
バスドナルド・マッキンタイアー
合唱ジョン・オールディス合唱団
指揮カール・リヒター
演奏ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

1972,1973年(ステレオ/アナログ/セッション)

リヒター=ロンドンフィル、他オリジナル版の『メサイア』を全曲録音したものです。フランス風序曲でも音は詰めずに演奏しており、基本譜面通りなのはバッハの演奏スタイルと同じです。雰囲気作りは素晴らしく、この序曲からして大聖堂で演奏している雰囲気満点です。ヘンデルというよりバッハの演奏スタイルを持ち込んだ感じがしますが、『メサイア』でも通用することが分かります。こういう演奏が気に入る人は結構いると思いますので、一度聴いてみてはいかがでしょう。

第12曲はキリストの生誕らしく、清純で清々しさのある響きです。多分、リヒター以外では聴けない響きですね。合唱のレヴェルも高いです。第13曲ピッファはとてもクールですが、神聖な雰囲気があって良いです。ドイツの寒いクリスマスといった感じですね。展開していくと感情も入ってきて、暖かみも出てきます。

第2部雰囲気は清涼で清々しいまま進みます。最近の演奏に多いドラマティックな所はそれほどありません。モダン・オケでしかも不慣れなロンドン・フィルなので思い切りやるとヘンデルを超えてしまうのかも知れません。第6曲古楽器演奏との一番の違いだと思います。鋭さは無く、逆にテヌートがかかり、ヴィブラートもかかっているので、全然違います。第9曲アリオーソは非常に素晴らしい演奏です。テノール独唱も味わい深いです。第21曲など、明るい曲はリズミカルに上手く演奏しています。合唱のメリスマも上手く、対位法もきれいに聴こえます。半面、第22曲若干遠慮気味で、やはり古楽器オケのほうが鋭く良い演奏になります。古楽器オケの演奏にある熱狂的な盛り上がりはそれほどありません。

ハレルヤ・コーラス清々しく神々しい演奏です。管楽器も入ってオーケストレーションが派手になり、それがそのまま演奏に出ていて、ちょうどよい感じです。ハレルヤ・コーラスが目的な人には、これだけ切り出して聴いても名演です。

第3部は安心感がありますが、やはり大聖堂の神々しい雰囲気を保ったまま進みます。第2曲とても神々しい合唱で始まります。第3曲はどんなトランペットを使っているのか分かりませんが、ピッコロ・トランペットかも知れませんね。ただ良く響いていて上手く雰囲気が出ています。最後のアーメンコーラスは壮麗な響きで盛り上がって終わります。

マッケラス=ロイヤル・フィル,他 (1988年)

モーツァルト編曲版とフルオケによるダイナミックさのある演奏
  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

ソプラノフェリシティ・ロット
アルトフェリシティ・パルマー
テノールフィリップ・ラングリッジ
バスロバート・ロイド
合唱ハダースフィールド合唱協会
指揮チャールズ・マッケラス
演奏ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団

1988年1月1-5日,ロンドン,ヘンリー・ウッド・ホール(ステレオ/デジタル/セッション)

アマゾンで見る
Messiah

レビュー数:13個

モーツァルト編曲版は色々探しましたが、コレ、という演奏が見当たらないですね。コルボ盤を聴いてみたかったのですが、廃盤のようです。他にもいくつかあったのですが、モーツァルト編曲版の特徴を上手く演奏しているのは、やはり定番のマッケラスでした。ロイヤル・フィルというモダン・オーケストラなので、ダイナミックさがありますが、それも一興だと思います。

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楽譜・スコア

ヘンデル作曲のオラトリオ『メサイア』の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

ミニチュア・スコア

合唱楽譜

楽曲分析

読み物(時代背景、伝記、他)

ヘンデルの伝記を読むと、バロック音楽の時代背景が良く分かります。イギリスはちょうど世界を支配する国家として、絶頂を迎えていました。ロンドンの市民も比較的豊かです。そこで市民や貴族に向けた劇場を運営し、商業的にも音楽的にも成功を得たのがヘンデルです。同時代のバッハや、その後のモーツァルト、ベートーヴェン、ロマン派の作曲家と比べ、音楽以外の所でも波乱に満ちた生涯だったことが分かります。

合唱の参考書籍

『メサイア』ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱付き』と並び、アマチュア合唱団で人気の演目です。そのため、合唱のための指南書が沢山出版されています。

電子スコア

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