マーラー 交響曲第8番『千人の交響曲』

グスタフ・マーラー (Gustav Mahler,1860-1911)作曲の交響曲第8番『千人の交響曲』変ホ長調 (Symphony No.8 “Symphonie der Tausend” Es-dur)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。『千人の交響曲』は名前の通り1000人前後の演奏者を必要とし、スケールが大きいだけではなく、音楽の深みもあります。ワンストップでスコアと楽譜まで紹介します。

解説

マーラー交響曲第8番『千人の交響曲』について解説します。

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作曲

1906年夏にヴェルター湖畔マイアーニックで作曲されました。大規模な交響曲ですが作曲に要した期間は短く、ひと夏でスケッチされ。翌年の1907年夏にオーケストレーションが行われ完成しました。

交響曲第4番以来の声楽付き交響曲であり、4声部の独唱と大規模な合唱、バンダのソプラノなど、これまでにない大編成の交響曲となりました。最初から最後まで声楽が活躍するため、オラトリオに近い交響曲、と言われます。既存の交響曲で近いものを探せば、メンデルスゾーンの交響曲第2番『賛歌』でしょうか。でも、規模はずっと大きくなっています。

カンタータやオラトリオに近い、と言われていますし、第1部は「来たれ、創造主たる聖霊よ」となっています。しかし、第2部ゲーテの戯曲『ファウスト』を歌詞としています。物語を表現するためにソリストを割り当てたという意味ではオラトリオに近いです。

しかし特に宗教色が強いという訳でもなく、ヘンデルのオラトリオ『メサイア』などとは大分違います。マーラーはユダヤ教からカトリックに改宗していますが、純粋な信仰心というより、当時台頭し始めた反ユダヤ主義の影響が大きく、便宜的にそうした、という意見もありますし。ただ『ファウスト』から抜粋した個所は、マグダラのマリアなど、キリスト教色の強い箇所かも知れません。

大規模・大編成でまるでエジプトのピラミッドを思わせる交響曲ですが、マーラー自身も指揮者メンゲルベルクに宛てた手紙で、

大宇宙が響き始める様子を想像してください。それは、もはや人間の声ではなく、運行する惑星であり太陽です。

<省略>

これまでの作品には、いずれも主観的な悲劇を扱ってきたが、この交響曲は、偉大な歓喜と栄光を讃えているものです。

by Wikipedia

と書いています。この辺りは、第7番『夜の歌』で、既にこの傾向は見られます。第5番第6番の路線から、第2番~第4番の路線に戻ったとも言えるかも知れませんが、新しい境地を開いて交響曲第9番『大地の歌』などの晩年の円熟した名作につながった、と言えるかも知れません。

1000人という規模の大きさが強調されがちな交響曲ですが、芸術的価値はとても高いもので、むしろマーラーの交響曲の中でも代表作の一つと位置付けられます。

初演の大成功

これまでにない大規模な作品であり、コンサート自体が大変な交響曲ですが、運よく完成から3年後に初演の機会が訪れました。エミール・グートマンにより企画された4カ月に及ぶ音楽祭「ミュンヘン博覧会1910」のメインイベントとして行われました。

初演は1910年9月12日にミュンヘンにてマーラー自身の指揮により、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の前身であるカイム管弦楽団が演奏し、合唱はウィーン楽友協会合唱団250名、リーデル協会合唱団250名、ミュンヘン中央歌唱学校の児童350名が参加しました。トータルで文字通り1000人を超える規模で行われました。

初演は大成功で、マーラーの生涯でも最大の成功となりました。

また初演の会場には各界の著名人が列席していました。マーラーの弟子たちもおり、ブルーノ・ワルター、ウィレム・メンゲルベルク、オットー・クレンペラー、レオポルド・ストコフスキーも会場にいました。レオポルド・ストコフスキーはアメリカ初演を行っています。

曲の構成

交響曲第8番『千人の交響曲』は第1部と第2部から成り立っています。第1部はまとまった音楽でポリフォニーを使用しています。ベートーヴェン第九の第4楽章のように一気に聴けます。第2部は切れ目のないオラトリオのような音楽です。こちらはストーリーを追いながら聴くのが良いと思います。独唱や合唱は役回りを持っています。

独唱、合唱

合唱は、男声合唱、女声合唱、少年合唱から成り立っています。このうち、少年合唱は天使役です。

独唱は、以下のような配役になっています。
第1ソプラノ:罪深き女(マグダラのマリア)
第2ソプラノ:贖罪の女のひとり(グレートヒェン)
第3ソプラノ:栄光の聖母
第1メゾ・ソプラノ:サマリアの女
第2メゾ・ソプラノ:エジプトのマリア
テノール:マリア崇拝の博士
バリトン:法悦の教父
バス:瞑想の教父

第1部は歌詞を賛歌「来たれ、創造主たる聖霊よ」から採っています。CDによってトラックの振り方は異なると思います。

第1部の主な構成

「創造の主、聖霊よ」
「いと高きにある慈悲で満たさせたまえ」
「我らの肉体の弱さに」
「その光をもって我らの五感を高め」
「守り神と呼ばれる聖霊」
「父なる主に栄光あれ」

第2部はゲーテの戯曲『ファウスト』第2部「山峡」の第5幕から終幕を歌詞にしています。第2部序盤は10分程度オーケストラのみで演奏されます。

第2部の主な構成

ポーコ・アダージョ
ピウ・モッソ(アレグロ・モデラート)


森は揺らいでなびき (合唱とこだま)
永遠の法悦の炎 (法悦の教父)
私の足もとで断崖絶壁が (瞑想の教父)


霊界の気高い一員が (天使)
地上の残り滓を運ぶのは (天使になりきったものたち)
岩の頂のまわりを霧のように (なりたての天使たち)


世を支配する最高の女王よ (マリアをたたえる博士)
触れることのできぬあなたにも (合唱)


その愛にかけてお願い申し上げます (罪深き女(マグダラのマリア))
たぐいない御方、光り輝く御方 (贖罪の女のひとり(グレートヒェン))
この人は手足も逞しくなり (昇天した子供たち)


来たれ、もっと高い天へ昇れ! (栄光の聖母&合唱)
すべて懺悔の気のある情け深い人々よ (マリアをたたえる博士&合唱)
はかなきものはすべて (神秘の合唱)

『ファウスト』の主人公ファウスト悪魔の力を借り、若返ります。そして、村娘のグレートヒェンを誘惑しますが、生まれた子供と共にグレートヒェンを捨ててしまいます。グレートヒェンは子供殺しの罪でファウストの名を叫びながら死刑に処せられますが、悔悟によって地獄からは救われます。

マグダラのマリアは聖書に出てきます。罪深い女性、つまり娼婦だったのですが、イエスの足に香油を塗り懺悔(ざんげ)して許されます。その後、イエスが磔(はりつけ)にされ、復活するまでを見届けたとされますが、復活したイエスに触れようとして「我に触るな」と言われ、イエスは布教する生活に入り、マグダラのマリアは隠遁して生涯を終えたということです。

おすすめの名盤レビュー

それでは、マーラー作曲交響曲第8番『千人の交響曲』名盤をレビューしていきましょう。

ショルティ=シカゴ交響楽団

凄い迫力とクオリティの両立、『千人の交響曲』の王道を行く名盤
  • 名盤
  • 定番
  • クオリティ
  • 情熱的
  • 白熱

超おすすめ:

ソプラノ1ヘザー・ハーパー
ソプラノ2ルチア・ポップ
テノールルネ・コロ
指揮ゲオルグ・ショルティ
演奏シカゴ交響楽団
合唱ウィーン国立歌劇場合唱団・ウィーン楽友協会合唱団
少年合唱ウィーン少年合唱団

1971年8月30日-9月2日,ウィーン,ゾフィエンザール (ステレオ/デジタル/セッション)

ショルティとシカゴ交響楽団の録音です。ウィーンのゾフィエンザールの録音で、合唱はウィーンの合唱団が務めています。音質は安定していてノイズも少なくレヴェルが高いです。

第1部冒頭から理想的なテンポで力強く白熱した演奏が繰り広げられています。情熱的で迫力があるだけではなく、アンサンブルはしっかりとまとめられていますし、透明感を感じる位のクオリティです。オケの響きはシカゴ響らしい力強さと透明感がありますが、ウィーンのゾフィエンザールの音響もあってか、クールさよりはスケール感や熱気が感じられます。もちろん、アンサンブルの正確さはさすがシカゴ響です。ウィーンの合唱団はふくよかで柔らかい響きで、シカゴ響の響きと上手く溶け合っています。クレッシェンドしていく所はマッシヴで、スケールが大きく、ここもシカゴ響ならでは、です。ショルティはキビキビと仕切っていきますが、テンポ設定が素晴らしく、王道を行くような指揮ぶりで、第1部は圧巻の演奏で、あっという間の30分です。

第2部はシャープな弦のトレモロで始まります。落ち着いたテンポ取りでシリアスな表現です。盛り上がってきたときの切れ味の良いシカゴ響の演奏は、聴いていて心地よいです。バリトンが入るとオペラのようです。ショルティはオペラも得意なので、当然のようにハイレヴェルの演奏を繰り広げています。バンダなど、空間を使った曲ですが、ステレオの録音でも距離をしっかり感じられる位、録音が良いです。「霊界の気高い一員が」では、テンポアップしてリズミカルに演奏しています。シカゴ響の演奏が凄いです。「来たれ、もっと高い天へ昇れ! 」ではルチア・ポップや少年合唱の美声がしっかり録音され、シカゴ響の流れるような伴奏も良いです。ラストは圧倒的にスケール大きく盛り上がります。シカゴ響は、いくらダイナミックになっても音色が濁ることが無いのが凄いです。改めてシカゴ響の凄さを認識させられます。

とてもメリハリのある演奏で、テンポは少し速めのインテンポなので、第2部も飽きずに聴きとおせると思います。熱気や感情表現で攻めている名盤が多い中で、ショルティ盤は両者のバランスをとても上手くとっています。このディスクは長く聴き継がれていくべき名盤だと思います。

バーンスタイン=ウィーン・フィル

バーンスタインの凄いテンション、白熱の名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 壮絶
  • スリリング
  • ダイナミック

超おすすめ:

ソプラノマーガレット・プライス
ソプラノジュディス・ブレゲン
ソプラノゲルティ・ツォイマー
アルトトゥルデリーゼ・シュミット
アルトアグネス・バルツァ
テノールケネス・リーゲル
バリトンヘルマン・プライ
バスジョゼ・ヴァン・ダム
少年合唱ウィーン少年合唱団
合唱ウィーン国立歌劇場合唱団・ウィーン楽友協会合唱団
指揮レナード・バーンスタイン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1975年8月,ザルツブルク (ステレオ/アナログ/ライヴ)

バーンスタインとウィーン・フィルのライヴ録音です。バーンスタインの気合いの入りようが凄い名演奏で、この時期のバーンスタインとしては速めのテンポで熱気のある演奏です。始めて聴く方は、DVDの日本語字幕付きをお薦めします。下にリンクがあります。輸入盤は日本語字幕が無いので、よくご確認ください。

第1部凄みと熱気の渦のような冒頭、その後の歌手陣のアンサンブルも豪華さがあります。オケの部分はスリリングでトランペットを全開に鳴らして迫力が半端じゃないです。しかもバーンスタインは円熟していて味わい深い所はゆったりしたテンポでじっくり聴かせてくれます。緩急のつけ方が半端でなくピチカートも弦が切れるんじゃないかと思う位です。

第2部は静かに始まりますが、バーンスタインは最初から白熱していて、フォルテの所があると圧倒的な何かの叫びのような音響になります。テノールが出てくると一旦遅くなりますが、とてもテンションが高いです。中盤になるとテンポが落ち着いてきてソプラノの歌声が神々しいです。合唱が出てくる所は落ち着いたテンポのまま、盛り上がります。最後の落ち着いたコラールを経て、段々と壮大に盛り上がり、合唱・オケのトゥッティは、遅いテンポで圧倒的なスケールです。圧倒されるし、とても感動できる演奏です。

『千人の交響曲』初めて聴く人にもお薦めの演奏です。この曲は最初は第2部が飽きやすいのですが、このテンションの高い演奏なら、飽きずに聴けると思います。

テンシュテット=ロンドン・フィル (1986年)

適度な緊張感と熱気の入ったダイナミックでスリリングな名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 白熱
  • ダイナミック

超おすすめ:

ソプラノ1エリザベス・コネル
ソプラノ2イーディス・ウィーンズ
ソプラノ3フェリシティ・ロット
コントラルト1トゥルーデリーゼ・シュミット
コントラルト2ナディーヌ・ドゥニーズ
テノールリチャード・ヴァーサル
バリトンヨルマ・ヒュニネン
バスハンス・ゾーティン
合唱ティフィン・スクール少年合唱団
合唱ロンドン・フィルハーモニー合唱団
指揮クラウス・テンシュテット
演奏ロンドン・フィルハーモニック

1986年,ロンドン,ウォルサムストウ・タウン・ホール,ウェストミンスター大聖堂 (ステレオ/デジタル/セッション)

テンシュテットとロンドン・フィルの録音です。非常に素晴らしい演奏で、ダイナミックで感情的に盛り上がりますが、それが適度な所に収まっていて、バーンスタイン盤ほど、テンポが速くなったりせず、味わい深さを堪能できるスケールの大きな演奏です。アゴーギク(テンポの変化)はかなり大きく、スリリングな所はとてもスリリングです。

第1部冒頭はとてもスリリングに始まります。歌唱が出てくるとテンポをぐっと落とし、味わい深い演奏になります。またテンシュテットの特徴として、少しグロテスクさのある所も全く遠慮なく、ストレートに演奏してくる所があります。でも多少グロテスクさがあったほうが表現に深みが出ます。スケールの大きな所では、テンポを遅くしてスケール感を出しています。やはり千人の交響曲は気合いが入りますが、むしろ余裕があったほうが合唱も実力が出せるというものです。盛り上がって第1部は終わります。

第2部は静かに始まりますが、最初の管弦楽のみの部分に色々な感情表現が出てきます。テンシュテットの場合、ほぼすべての音に感情を入れ込んでいて、テンポが遅くても緊張感は保たれています。マーラーの少し自虐的な悔いるような感情表現は素晴らしいです。ここでも少々の余裕があり、強奏になっても響きは綺麗です。天使の合唱の部分は素晴らしいです。コンサートホールの音場の広さを感じます。シャープな響きも多いですが、物語をじっくり味わって聴くことが出来ます。細かくは書きませんけど、味わい深い表現が多く、特に栄光の聖母が出てくる場面は感動的です。その後の天使の合唱も素晴らしく、じっくり落ち着いて味わって聴くことが出来るのが良いです。神秘の合唱も透明感がありますが、とてもテンポが遅めでいい所を味わい深く聴かせてくれますね。最後は遅いテンポのまま、思い切り盛り上がり、ダイナミックに終わります。

私が知る限りでは『千人の交響曲』の一番の名盤です。第2部は遅いのですが、この味わいが分かれば、全く飽きる所はありません。でも、この曲は良さが分かりにくいので、始めて聴く人にはバーンスタイン盤がいいかもしれないですね。バーンスタイン盤でこの曲に開眼しておけば、どんな名演奏でも味わって聴けると思います。

ネゼ=セガン=フィラデルフィア管弦楽団

凄い白熱ぶりだが、細かい部分までしっかりまとめ上げている名盤
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • 丁寧
  • ダイナミック
  • 高音質

おすすめ度:

ソプラノアンジェラ・ミード
メゾ・ソプラノ藤村実穂子
テノールアンソニー・ディーン・グリフィー
指揮ヤニック・ネゼ=セガン
演奏フィラデルフィア管弦楽団
合唱ウェストミンスター・シンフォニック合唱団/ワシントン・コーラルアーツ・ソサエティ
少年合唱アメリカ少年合唱団

2016年3月10-13日,フィラデルフィア (ステレオ/デジタル/セッション)

ヤニック・ネゼ=セガンとフィラデルフィア管弦楽団の録音です。フィラデルフィア管弦楽団という、アメリカの実力派のオケを中心とした演奏です。ネゼ=セガンは今の所、特別マーラー指揮者という訳ではないと思いますが、とても上手くまとめていて、凄い白熱した演奏です。2016年録音で高音質です。

第1部は速めのテンポでネゼ=セガンはオケや合唱を煽りつつも理性のある指揮ぶりです。歌手陣と合唱が白熱していて、凄い力演です。合唱は声を張り上げて熱唱しますが、細部は丁寧にまとめられています。オルガンもダイナミックですし、フィラデルフィア管もダイナミックで金管など、遠慮なく鳴らしています。

第2部は静かで暗さのある雰囲気で、妖艶な雰囲気を上手く作っています。感情面の表現も上手く、味わい深く聴かせてくれます。ただ、感情表現に没入しすぎない所がネゼ=セガンの特徴でしょうか。録音のせいもあるかも知れませんが、壮大な世界を描くよりは歌手やオケの絡み合いに繊細さも感じられます。その結果、落ち着いてファウストの物語を楽しみながら、曲を聴き進めていけます。もちろん、オケが活躍する個所はテンポを挙げたり、ラストはダイナミックです。そして、ライヴならではの嵐のブラボーコールです。

新しい録音の中ではなかなか素晴らしい演奏だと思います。ショルティともラトルとも違うネゼ=セガンのマーラーを聴かせてくれます。

ラトル=バーミンガム市交響楽団 (2004年ライヴ)

若いラトルの知的で颯爽とした名盤
  • 名盤
  • 知的
  • スリリング
  • ダイナミック
  • ライヴ

おすすめ度:

ソプラノ1クリスティーヌ・ブリューワー
ソプラノ2ソイレ・イソコスキ
ソプラノ3ユリアーネ・バンゼ
メゾソプラノ1ビルギット・レンメルト
メゾソプラノ2ジェーン・ヘンシェル
テノールジョン・ヴィラーズ
バリトンデイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン
バスジョン・リライヤ
合唱バーミンガム市交響合唱団
合唱ロンドン交響合唱団
合唱バーミンガム市交響ユース合唱団
合唱トロント児童合唱団
指揮サイモン・ラトル
演奏バーミンガム市交響楽団

2004年6月,バーミンガム,シンフォニー・ホール(ステレオ/デジタル/ライヴ)

サイモン・ラトルとバーミンガム市交響楽団のライヴ録音です。このライヴの時、ラトルは既にベルリン・フィルの音楽監督に就任していました。まだ若さがありますが、若さのパワーで押し切るような演奏ではないです。シャープな響きではっきりとした音楽づくりをしていますが、元々知的な所もあって、颯爽とした第1部は気分よく聴けますし、第2部はじっくりストーリーを聴かせてくれます

第1部速めのテンポです。録音の解像度が良く残響も適切なので、各パートが綺麗に録音されていて、ライヴとは思えない高音質です。同時に音の密度もしっかりあって、ダイナミックでリズミカルで楽しめます。バーミンガム市響はトランペットなど、とても上手くスリリングですし、合唱も複数の合唱団がしっかり合わせていて、上手いです。最後はさわやかさも感じる位で、ダイナミックかつ颯爽と曲を終えます

第2部は、落ち着いた音楽で始まります。マーラーらしいか、と言われると、難しい質問だと思いますが、冗長になりがちな第2部をしっかり整理して演奏しているのは良いことです。オーケストラが強奏するところはとてもシャープです。テノールが入りファウストが始まりますが、上手く整理されていて、たまにスパイスのようにオケのシャープな強奏が入り、小気味良くまとまっていて飽きさせません。天使が入る所はオケもシャープです。ラストの「すべて懺悔の気のある情け深い人々よ」の後はかなりダイナミックになっていきますが、透明感があります。神秘の合唱の辺りはオケも透明で色彩的です。クレッシェンドして頂点に達すると、とても感動的です。

ラトルは理知的ですがマーラーを得意とする指揮者です。感情で押し切らず、しっかりとハイレヴェルにまとめられた名盤です。

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演奏のDVD,Blu-Ray

『千人の交響曲』は演奏者の規模も大きく、配置も様々に工夫されていて、映像で観ることもお薦めです。日本語字幕があれば、第2部のストーリーも良く分かります。

バーンスタイン=ウィーン・フィル

  • 名盤
  • 定番
  • 壮絶
  • スリリング
  • ダイナミック

超おすすめ:

ソプラノマーガレット・プライス
ソプラノジュディス・ブレゲン
ソプラノゲルティ・ツォイマー
アルトトゥルデリーゼ・シュミット
アルトアグネス・バルツァ
テノールケネス・リーゲル
バリトンヘルマン・プライ
バスジョゼ・ヴァン・ダム
少年合唱ウィーン少年合唱団
合唱ウィーン国立歌劇場合唱団・ウィーン楽友協会合唱団
指揮レナード・バーンスタイン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1975年8月,ザルツブルク

シャイー=ルツェルン祝祭管弦楽団

  • 名盤
  • 定番

ソプラノ1リカルダ・メルベート
ソプラノ2ユリアーネ・バンセ
ソプラノ3アンナ・ルチア・リヒター
メゾソプラノサラ・ミンガルド
アルト藤村実穂子
テノールアンドレアス・シャーガー
バリトンペーター・マッティ
バスサミュエル・ユン
少年合唱テルツ少年合唱団
合唱ラトヴィア放送合唱団、バイエルン放送合唱団、オルフェオン・ドノスティアラ
指揮リッカルド・シャイー
演奏ルツェルン祝祭管弦楽団

2016年8月12,13日,ルツェルン,KKLコンサートホール(ライヴ)

字幕独英仏韓中日

マーラーの『千人の交響曲』は、映像で観るのが楽しい作品です。ライヴの方が盛り上がりますし。また、歌詞が大事なので日本語字幕は大事と思います。

シャイーの演奏は、テンポは遅めでスケールが大きいものです。もちろん緩急は良くついていて、リズミカルな所もありますけれど、バーンスタインやラトルのようにキビキビと進めていく、というよりは大きな世界を感じさせる演奏です。

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楽譜・スコア

マーラー作曲の交響曲第8番『千人の交響曲』の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

ミニチュア・スコア

電子スコア

タブレット端末等で閲覧する場合は、画面サイズや解像度の問題で読みにくい場合があります。購入前に「無料サンプル」でご確認ください。

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