モーツァルト 交響曲第35番『ハフナー』

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (Wolfgang Amadeus Mozart,1756-1791)作曲の交響曲第35番 ニ長調 K.385 (Symphony No.35 D-Dur)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

解説

モーツァルト交響曲第35番『ハフナー』について解説します。

実はセレナーデを交響曲にしたもの

モーツァルト交響曲第35番『ハフナー』は、実はセレナーデとして書かれました。愛称の『ハフナー』は、貴族のハフナー家です。そのためのセレナーデだったのですが、演奏会用に交響曲に転用されました。そのため非常に明るく華やかで、親しみやすい交響曲になっています。

有名なメロディ

第1楽章のダイナミックな主題は有名でしょうかね?大きな跳躍を含んでいてスケールが大きな主題です。さらに弦の音階が出てきますが、これもかなりダイナミックで華やかです。その後、出てくるトランペットは軍楽隊風でハフナー家の威厳を示しています。第2楽章や第4楽章の冒頭の主題も有名ですね。

ただ『ハフナー』は展開部が小さめで交響曲第33番で垣間見えた深みには欠けます。モーツァルトの交響曲の中でも少し毛色の違った曲として、純粋に楽しんで聴いたほうが良さそうです。至る所に有名なメロディを沢山含んでいるため、色々な個所がBGMとして使われています。

トランペットとティンパニ

この時期のトランペットティンパニは軍楽隊の楽器として登場します。強いアクセントを持つ古楽器が効果的です。ベートーヴェンの時代までそういった扱いです。

作曲の経緯

モーツァルトはハフナー家に2つのセレナードを書いています。一つは1776年に作曲されたセレナード第7番『ハフナー・セレナード』です。もう一つは1782年にセレナーデとして作曲された本作品で、ハフナー家が貴族になったことへの祝賀として作曲されました。
しかし1783年3月23日の予約演奏会のために交響曲に編曲され、4楽章構成となりました。不要となった「メヌエット」1曲は楽譜が散逸し、「行進曲」は別の作品となっています。

アマチュアオーケストラでも演奏しやすい

交響曲に編曲された際にクラリネットを加えた2管編成となりました。アマチュアオーケストラで演奏する時にも、クラリネットの出番が無くならないことと、お客さんからの評判が良いので選曲しやすいです。

クラリネットと交響曲

クラリネットはちょうどモーツァルトの時代に開発された楽器で、クラリネットを気に入ったモーツァルトはクラリネット協奏曲を書いていますが、交響曲ではこの第35番第40番にしか使用されていません。
ハイドンもロンドンセットになってやっと使い始めましたが、交響曲第100番『軍隊』交響曲第101番『時計』交響曲第104番『ロンドンなど、一部の交響曲でしか使用されていません。ベートーヴェン以降になってオーケストラの通常の編成に定着します。

おすすめの名盤レビュー

それでは、モーツァルト作曲交響曲第35番『ハフナー』名盤をレビューしていきましょう。

ベーム=ベルリン・フィル

昔ながらのモーツァルト演奏のスタンダード

ベーム=ベルリンフィルは、昔ながらのモーツァルト演奏のスタンダードです。結構、スケールが大きく、オーストリア風のロココ調の軽さや華やかさはありますが、骨組みはしっかりしています。

『ハフナー』の第1楽章は結構しっかりした作りのソナタ形式なので、よく分かります。ちなみに後年のウィーンフィルとの録音に比べて、颯爽としています。第2楽章もしっかりした土台の上で、ロココ調の親しみやすいメロディが奏でられます。第3楽章はかなり華やかでスケールの大きなメヌエットです。このメヌエットは『ハフナー』の特徴ですね。第4楽章はベームらしい表現ですが、テンポは速めで爽快です。

ベームの演奏は、ベルリンフィルにせよ、ウィーンフィルにせよ、『ハフナー』を聴くうえで外せない永遠のスタンダードですね。

セル=クリーヴランド管

小規模な交響曲でも決して手を抜かないセルのこだわり

セルのモーツァルトはあまり聴いたことが無かったのですが、なるほど他の演奏と違って安易にロココ風に流れていない所はいいですね。スコアをしっかり読み切ったうえで自在に演奏しています。ピリオド奏法とは違ったクールさを感じますが、これは良い意味でのクールさで、新しい発見が多い演奏です。

『ハフナー』はセレナードを交響曲にしたものなので、華やかに演奏すると逆に華やかになり過ぎて、交響曲としては面白くありません。セルの演奏は『ハフナー』を交響曲として面白く充実した音楽として聴けます

もちろん有名なメロディも多いですが、目立たせることなく自然さ演奏しています第4楽章はかなりテンポが速く、ピリオド奏法を先取りしたような感じもします。しかし、かなり内容が濃くて『ハフナー』のような小規模な交響曲でも決して手を抜かないセルのこだわりが感じられます。セル=クリーヴランド管とモーツァルトの相性の良さがよく分かる名演です。

アーノンクール=コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン

古楽器奏法で個性的だが、同時に格調が高い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 円熟
  • 芳醇
  • 古楽器
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮ニコラウス・アーノンクール
演奏コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン

2012年12月,ウィーン,ムジークフェラインザール(ライヴ)

アーノンクールとウィーン・コンツェルト・ムジクスの演奏は、長年一緒にやってきたメンバーなので、アーノンクールの古楽器奏法も個性も知り尽くしています。そういうコンビでアーノンクールらしい、個性的でユニークな演奏を繰り広げています。

まず第1楽章の最初の主題から個性的で、鋭い響きのティンパニに、大きなパウゼが入ります。展開部に入ると古楽器奏法のオンパレードという感じです。第2楽章かなり速いテンポで、穏やかな有名なメロディを期待していた人には肩透かしでしょうか。ここまで速いと速すぎる気がします。しかし、何回か聴くとすぐに慣れてしまいます。モーツァルトの時代はベームよりは速かったと思いますが、どの位のテンポだったんでしょうね。第3楽章はスケールが大きく華やかです。ベームとアーティキュレーションが全然違います。華やかでも格調の高さが同時にありますね。第4楽章はベームよりも完成度が高いかも知れません。かなりダイナミックでスケールの大きな演奏です。

色々と個性的で面白いことをやっても、アーノンクールのモーツァルトは格調が高いです。それは小さめの『ハフナー』でも同じですね。

バーンスタイン=ウィーン・フィル

バーンスタイン=ウィーン・フィルの録音はライヴで、良い演奏とさほどではない録音が入り混じっていますが、『ハフナー』は良い演奏です。

第1楽章は少しパワー不足かもと思いましたが、肩の力が抜けていて、土台からしっかり構築したベームとは大分違う演奏です。しかし、ウィーンフィルの美点を上手く出して、自然な音楽になっていて自然に聴けます。第2楽章は遅めのテンポでなかなか味わい深いです。第3楽章はなかなかのスケールです。第4楽章はかなり速いテンポでスリリングです。

特別、個性的な所は無い演奏ですが、ウィーン・フィルがリラックスして実力を発揮しており、要所はバーンスタインが引き締めて、全体として自然体の演奏で、聴いていて楽しいです

小澤征爾=水戸室内管弦楽団

ブリュッヘン=18世紀オーケストラ

ブリュッヘン=18世紀オケのモーツァルトは昔から評価が高い演奏ですが、何故か廃盤に近い状態が続いています。正直に言ってしまうとベーム盤よりもクオリティの高い決定盤だと思うのですけれど、勿体ないことです。ブリュッヘンは古楽器だからとテンポを速くせずに、モダンオケとあまり変わらないテンポで演奏しています。モーツァルトらしい感情表現も得意です。なので、どの番号でも非常に味わい深く聴けるのです。しかも、折り目正しいアンサンブルのクオリティの高さは今でも最高の演奏だと思います。

第1楽章は遅めのテンポで、短いですが壮大なスケールの音楽を構築しています。ダイナミックさもあり、短調の部分では古楽器の弦の響きが味わい深いです。第2楽章は少し速いと感じるかも知れませんが、ロマンティックに歌い上げています。古楽器の渋い音色で嫌味が全くありません。第3楽章はスケールの大きなメヌエットを自然に演奏しています。第4楽章のテンポは的確で、少し速めですが、表現をするのに最適なテンポです。

最近は、アーノンクールが個性的ながらも円熟してきて良い演奏をしているので、ライバルも多いかも知れませんけど、これだけの完成度の名盤は滅多にないので、万人におすすめしたいですね

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楽譜・スコア

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