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没後もさまざまな形でリリースが続くテンシュテットのマーラー演奏。最近ではLPOとの二番が記憶に新しいところだが、魅力度ではこちらの四番もひけを取らない。1976年９月、SWRSO（＝南西ドイツ放送響）客演時の演奏で、楽団の本拠地バーデン・バーデンでの収録。演奏時間52分38秒。他に歌曲集「子供の不思議な角笛」からの３曲（76年８月収録、７分56秒）を併録する。どちらもソプラノはエヴァ・チャポー。
テンシュテットの四番といえば、一般的にはEMIでのスタジオ収録版がよく知られている（82年LPO、個人全集にも収容）。本作はそれより６年前、テンシュテット50歳の母国オケでの演奏ということで、両者の表現にはかなりの差がある。やや居住まいを正した感のあるEMIに対し、こちらはオケのドライヴ感に富み、しかし立ち居振舞いに品格を失わぬところが魅力。特に第三楽章の感情振幅の大きさは、たぶんバーンスタインを超えてこの曲の音源で随一だろう。
EMI盤とどちらを取るかは好きずきとはいえ、本作を推す人が多くてもまったく不思議は無い。
オケのSWRSOは、後にギーレンを擁してのマーラー全集録音で名を馳せることになるのだが、本作収録時点でも演奏水準の高さは印象的。LPOがきちんと目の詰まったウールとすれば、こちらは精密鋳造品のようなテクスチャーで、やはり余人をもって代え難いオケである。
なお本作は一発録りの放送用音源（拍手は入っていない）を流用しているようだが、上質なホールトーンを活かしたオフマイク録音で、ヘンスラー／プロフィルのマスタリングも優秀。同時期の日本の放送音源CDと雲泥の差というのは、喜ぶべきか悲しむべきか。
