チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Peter Ilyich Tchaikovsky, 1840~1893)が作曲したヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35です。非常にロマンティックで人気のある協奏曲です。このページではこのヴァイオリン協奏曲の解説と、お薦めの名盤をレビューしていきます。

チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲は有名で人気がありますし、アマチュア・オーケストラでもプロのソリストを迎えて良く演奏されます。ただ難度が非常に高く、プロと言ってもソリストを選ぶのが大変な位です。

バティアシュヴィリの演奏:大人の表現力!

解説

チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲 ニ長調を解説します。

作曲の経緯

庄司さやか、テミルカーノフ

チャイコフスキーは結婚しましたが、よほど相性が悪かったようで、わずか20日で失敗となってしまいました。その精神的痛手を癒すために、スイス旅行に行きます。

1878年3月、旅行先で弟子のヴァイオリン奏者ヨーゼフ・コテックがチャイコフスキーを訪ね、彼の携えてきた楽譜の中からラロの「スペイン交響曲」に興味を持ちます。チャイコフスキーは、フォン・メック未亡人に宛てて

レオ・ドリーヴやビゼーと同じく、彼は深遠さを追い求めずに、辛抱強く月並みさを避けて新しい形式を探求しています。そしてドイツ人のように確立された伝統を守るのではなく、”音楽的な美しさ”の方に関心を持っています。

と手紙で報告しています。これがチャイコフスキーがヴァイオリン協奏曲を書く直接のきっかけだったと言われています。

チャイコフスキーは1974年にヴァイオリン協奏曲を作曲します。チャイコフスキーは沢山のインスピレーションを得ます。

炎のような霊感を得た

フォン・メック夫人に報告しています。11日後には草稿が出来上がりますが、草稿を見直して中間楽章のアンダンテを書き直すことに決めます。チャイコフスキーはわずか一日で新しいアンダンテを書きあげました。古いほうのアンダンテ楽章は『なつかしい土地の思い出』作品42の第1曲「瞑想曲」として出版されています。

献呈と初演

チャイコフスキーは弟子のコデックの果たした大きな役割を認めていましたが、献呈はもっと高名なヴァイオリニストにしています。

まずチャイコフスキーはペテルブルグ音楽院の教授で名ヴァイオリニストのレオポルド・アウアーに依頼しますが、「演奏不可能」と断られてしまいます。この曲はライプツィヒ音楽院で教授を務めていたアドルフ・ブロツキーによって献呈されることになりました。

初演は、1881年12月4日、ウィーンにて、ブロツキーのヴァイオリンとハンス・リヒターの指揮で行われました。

初演は不評でした。中でもウィーンの批評家エドヴァルド・ハンスリックの

悪臭を放つ音楽

批評家エドヴァルド・ハンスリック

という言葉にはチャイコフスキーも大きなショックを受けます。ドイツのブラームスなどの曲に比べれば、憂鬱な感情を吐き出したようなチャイコフスキーの協奏曲はそういう風に聴こえたのかも知れません。もっとも、ハンスリックはブルックナー批判でも有名なので、単に口が悪すぎたのかも知れませんけど。ブロツキーがヨーロッパ各地で取り上げたことで、このヴァイオリン協奏曲は徐々に認知されていきました。

アウアー版

レオポルド・アウアーこの曲の一部を簡略化し、カットを施したうえで各地で繰り返し演奏し広めました。この版は一応チャイコフスキーの許可を得ているということで、「アウアー版」と呼ばれています。アウアーの弟子であるヤッシャ・ハイフェッツが好んで演奏しました。

しかし、チャイコフスキーのオリジナル版を演奏する奏者もいました。またチャイコフスキー・コンクールではオリジナル版で演奏することになっているため、現在演奏されるものはオリジナル版がベースです。ただし、ほとんどのヴァイオリニストはソロパートで部分的にアウアー版を取り入れています

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調

3楽章構成です。非常にロマンティックな曲で、全曲にあまりに感傷的な音楽が続くため、最初は聴衆も受け入れにくかったのでしょうね。

第1楽章:アレグロ・モデラートーモデラート・アッサイ
ソナタ形式です。第1ヴァイオリンの序奏で始まります。主部に入ってもチャイコフスキーらしいロマンティックなメロディが続きます。再現部の前に、カデンツァが置かれています。

■第2楽章:カンツォネッタ、アンダンテ
管楽器による導入部に続いて、憂いのある主題が奏されます。切れ目なしで第3楽章に入ります。

■第3楽章:フィナーレ,アレグロ・ヴィヴァチッシモ
躍動的な序奏に続いて、ロンド主題が現れます。ロシア舞曲風の部分が挿入されています。最後は舞曲風に激しく盛り上がります。

おすすめの名盤レビュー

チャイコフスキー作曲のヴァイオリン協奏曲お薦めCDをレビューしていきます。

近年、リリースされるアルバムが多く、女流ヴァイオリニストの演奏が多いですね。技術的には十分でそこは比較の対象ではなく、表現が気に入るかどうかがポイントだと思います。なので星の数はあまり気にしなくていいと思います。結構、表現に力を入れている演奏が多いですし、個性をアピールしている演奏も多いです。

なんだか選ぶのが難しい、と感じた方には、まずはムローヴァ盤諏訪内晶子旧盤をお薦めしておきます。この2つは割とスタンダードな名盤なので、そこから色々な表現の演奏を聴いていくといいと思います。

フラング,イェンセン=デンマーク国立放送響

エレガントな表現力と、安定した超絶技巧!文句なしの名演奏!
  • 名盤
  • 定番
  • 情熱
  • 優雅
  • 超絶技巧
  • 高音質

超おすすめ:

ヴァイオリンヴィルデ・フラング
指揮エイヴィン・グルベルグ・イェンセン
演奏デンマーク国立放送交響楽団

2011年8月29-31日,コペンハーゲン,DR Koncerthuset,(ステレオ/デジタル/セッション)

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ヴィルデ・フラングノルウェーの女流ヴァイオリニストです。あまり著名ではありませんが、このチャイコフスキーのコンチェルトは凄い演奏ですね。第1楽章は感情表現がとても素晴らしいです。しなやかで感情的な部分ではしっかり感情を入れていています。伴奏も彼女の演奏に合わせて情熱的に盛り上がります。

第2楽章もエレガントで美しい演奏です。ヴォキャブラリーの豊富さを感じる演奏です。また伴奏のソロも上手いです。デンマーク国立放送交響楽団はこんなに上手かったのですね。最近レヴェルアップしてきたのでしょうか。第3楽章は超絶技巧が凄いです。まさにスーパーテクニックでこの速さでよくこんなに安定した演奏ができるものだ、と心底感心してしまいます。ラストは圧倒的です。録音は2011年でなかなか良いです。

バティアシュヴィリ,バレンボイム=シュターツカペレ・ベルリン

バティアシュヴィリの繊細で切れ味鋭い表現、ダイナミックな伴奏
  • 名盤
  • 繊細
  • 情熱的
  • スリリング

超おすすめ:

バイオリンリサ・バティアシュヴィリ
指揮ダニエル・バレンボイム
演奏シュターツカペレ・ベルリン

2015年6月

バティアシュヴィリの独奏にバレンボイムが伴奏をつけた演奏です。バティアシュヴィリは、繊細さがあり、しなやかな所から切れ味良く盛り上がってきます。鋭い音色も魅力です。伴奏のバレンボイムは遅めのテンポでバティアシュヴィリの様子を見ながら、かなりダイナミックな伴奏をつけています。第2楽章はとても繊細です。ポルタメントもかなり控えめです。この表現は日本人にも受け入れられやすそうですね。第3楽章は伴奏陣のダイナミックな主題から始まります。かなり速めのテンポですが、鋭さのある表現で気分爽快に弾いていきます。ラストは凄いテクニックも披露しています。

バティアシュヴィリは、多くの女流ヴァイオリニストがひしめく中で、個性の光る存在だと思います。カップリングのシベリウスも名演です。

五嶋みどり,アバド=ベルリン・フィル

五嶋みどりの情熱とアバド=ベルリンフィルの好サポート!
  • 名盤
  • 定番
  • 情熱的
  • 高音質
  • ライヴ

超おすすめ:

ヴァイオリン五嶋みどり
指揮クラウディオ・アバド
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1995年3月7-11日

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
在庫情報:残り2点レビュー数:69個

THE ART OF MIDORI
在庫情報:残り19点 レビュー数:82個

アバド=ベルリンフィルの好サポートの元、五嶋みどりは、テクニック的にも表現的にも素晴らしい演奏を繰り広げています。

五嶋みどり繊細でスピーディな表現は、アバドと相性がいいようです。冒頭はアバド=ベルリンフィルは少し速めのテンポで出てきます。先ほど繊細と書きましたが、五嶋みどりはベルリンフィルをバックにしても、音量の不足を感じさせません。ダイナミックに弾いています。伴奏はイタリア人のアバドと国際的な奏者が集まっているベルリンフィルです。この演奏はあまりロシア的な民族性は無さそうです。ただムローヴァのようなクールさはあまり感じません。もっともチャイコフスキースイスで作曲した訳ですから、寒さはこの協奏曲には入っていないのかも知れませんけれど。

五嶋みどりの情熱的な感情表現は非常に素晴らしいです。これだけ激しく感情を表現しても音色は全く艶やかさを失わないところも凄いです。録音は1990年代のライヴということで最新の録音に比べると落ちますが、ライヴ録音としては状態が良いと思います。

Vn:諏訪内晶子,キタエンコ=モスクワ・フィル

流れるような表現と超絶技巧!コンクール直後のエネルギーに圧倒される超名演!
  • 名盤
  • スリリング
  • 情熱的
  • ライヴ

超おすすめ:

ヴァイオリン諏訪内晶子
指揮ドミトリー・キタエンコ
演奏モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

1990年 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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諏訪内晶子チャイコフスキー国際コンクール直後の演奏です。圧倒的なエネルギーに圧倒される名演です。バックのキタエンコ=モスクワ・フィルもロシア的な伴奏をつけていて、情熱的な音楽を支えています。

また諏訪内晶子のヴァイオリンの音色は、今よりクールで艶やかです。1990年の録音ですが良い音質です。しなやかで流れるようなレガートは既にありますが、この頃はまだそれ程目立たない感じですね。その代わりすごくフレッシュさがあります。テクニックと演奏の勢いが凄いので、あっという間に聴き終えてしまいます。細かいミスはあるのですが、こういう緊迫感のあるストレートな演奏だとあまり気にならないですね。

情熱的で熱い演奏を聴きたい人には、絶対外せない名盤です。この曲を始めて聴く人も、これを聴けばこの曲の面白さに目覚めると思いますよ。

ムローヴァ,小澤=ボストン交響楽団

ムローヴァの完璧なテクニック、水彩画のような名盤!
  • 名盤
  • 定番
  • クール
  • 超絶技巧
  • スリリング

超おすすめ:

ヴァイオリンヴィクトリア・ムローヴァ
指揮小澤征爾
演奏ボストン交響楽団

1985年(ステレオ/デジタル/セッション)

メンデルスゾーン:VN協奏曲
在庫情報:レビュー数:7個

ムローヴァはロシア出身のヴァイオリニストなので、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はお国モノです。また伴奏の小澤征爾もチャイコフスキーは得意な曲目です。ムローヴァの演奏はまずベースとなる技術が半端じゃなく凄いです。全曲にわたって、大抵の演奏では一か所くらいは不安定になったりするものですが、このCDでは不安定になるようなことは一切ないのですから。その上に、ロシア的な少しクールな情緒を入れています。

第1楽章から安定した演奏を繰り広げ、最後のフィナーレではこれでもか!とアッチェランドしますが、ムローヴァの演奏は全く崩れません。驚くべき技術の安定度です。ロマンティックな表現もしていますが、決して過剰ではなく、高い品格を保っています

伴奏の小澤=ボストン響も水彩画のようなクールな伴奏をつけています。スケールが大きくなる時もありますが、粘ったりはしません。この協奏曲は油絵のような演奏もありますし、感情表現が激しい演奏もありますが、クールなところが逆に良い方向に出ていると思います。

庄司紗矢香,チョン・ミュンフン=フランス国立放送フィル

庄司紗矢香が若いころのフレッシュな演奏
  • 名盤
  • フレッシュ
  • スリリング

おすすめ度:

ヴァイオリン庄司紗矢香
指揮チョン・ミュンフン
演奏フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団

2005年10月,パリ

庄司紗矢香がデビューしたての頃に録音したチャイコフスキーです。当時から、庄司紗矢香は、テクニックやリズム感など日本人離れしていて、非常に期待されていました。今は、上のYouTubeにあるようにロシア楽壇の最高峰であるテミルカーノフ=サンクト・ペテルブルグ・フィルとの共演を続けて、表現力に深みが増してきているので、テミルカーノフ=サンクト・ペテルブルグ・フィルと再録音してくれれば、とてもいいですね。

この演奏はデビューして数年程度の若いころのCDです。チャイコフスキーは既に素晴らしいテクニックを駆使して十分聴きごたえのある演奏をしています。今に比べると当時はパガニーニコンクールで優勝したこともあってか、パガニーニのようなポルタメントを良く使って艶やかで華やかな音色を出しています。それにしてもテクニックの上手さは折り紙付きですね。

しかし、その後、プロコフィエフへの適性に気づいたり、テミルカーノフから気に入られたりして、最近テミルカーノフとプロコフィエフの協奏曲のCDなど、いくつかリリースしています。多分チャイコフスキーもテミルカーノフも時期が来れば録音するんじゃないか、と思います。今後もとても期待できる日本人ヴァイオリニストです。

Vn:ムター,プレヴィン=ウィーン・フィル

プレヴィンの伴奏のもと、自由自在に演奏するムター
  • 名盤
  • 定番
  • ロマンティック
  • 芳醇

おすすめ度:

ヴァイオリンアンネ=ゾフィー・ムター
指揮アンドレ・プレヴィン
演奏ウィーン・フィルハーモニー

2003年9月,ウィーン

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ムターは、この時の夫であるプレヴィン(5回結婚したらしい)とウィーン・フィルの伴奏で、チャイコンに臨みました。カラヤンとのCDがあるとはいえ、これはかなり昔の話です。

表現のヴォキャブラリーは経験と共に増してきていると感じます。テンポを上手く動かして、深みのある表現をしてきています。と思えば、時に急にテンポが速くなり、シャープな表現をすることもあります。またプレヴィンも深みが出てきたころですね。ただムターのテンポについていけていない傾向もあるかも知れません。ムターは線の細い表現をすることもあり、昔の油絵のような表現から大分変ってきたようです。ヴィブラートも途中で力を抜いたりして哀愁のある独特の表現をしています。この辺りの表現力はヴォキャブラリーも多くて素晴らしいですね。

第3楽章はかなりのスピードです。テクニックは健在ですね。表現はロマンティックですが、繊細さがあり、押しつけがましい所が無いので、自然に聴けます。普段、聴くにもいい演奏だと思います。

Vn:ムター,カラヤン=ベルリン・フィル

カラヤン時代のムターの油絵を思わせる名盤
  • 名盤
  • 定番
  • ロマンティック
  • 格調
  • ダイナミック

超おすすめ:

ヴァイオリンアンネ=ゾフィー・ムター
指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー

1988年8月,ザルツブルク(ステレオ/デジタル/ライヴ)

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ムターがまだ25歳の時の演奏で、晩年のカラヤンとの共演はこれが最後でした。現在はしなやかさと豊富なボキャブラリーで表現力のあるムターですが、カラヤンと活動していた時代は男声顔負けのダイナミックなヴァイオリンで、まるで油絵を見ているかのような、独特の味のある演奏をしていました。もちろん、これはカラヤンの影響も強いと思います。ムターはカラヤンが発掘して育てた逸材ですから。

カラヤンは最晩年のスタイルで、ウィーン・フィルを相手に遅いテンポでダイナミックでスケールの大きな伴奏をつけています。ムターはこのカラヤンのイメージにぴったりなダイナミックで艶やかな演奏で、両者の息はぴったりです。カラヤンとムターの最後の名演奏であり、演奏スタイルは完成の域に達しています。充実感のある演奏です。

Vn:ヤンセン,ハーディング=マーラー・チェンバー・オーケストラ

さらに進化を続けるジャニーヌ・ヤンセンに脱帽
  • 名盤
  • 定番
  • 情熱的
  • 高音質

おすすめ度:

ヴァイオリンジャニーヌ・ヤンセン
指揮ダニエル・ハーディング
演奏マーラー・チェンバー・オーケストラ

2008年7月23日 (ステレオ/デジタル)

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このCDを聴くとヤンセンはやはり凄い演奏技術を持ったヴァイオリニストだということを再認識させられます。今回のCDではハーディングとの共演になっています。ハーディングは遅めのテンポで伴奏をつけていますが、ヤンセンは自由自在に弾いています。どうも、ソロと伴奏で少しズレが感じられなくもないですね。でも、演奏が進むにつれてオケのほうも合わせてきます。ヤンセンはテンポの変化も大きく、かなり即興的に弾くタイプなんですかね。

シャープで力強い音色で、女性的な情熱のようなものも感じます。テクニックの完璧さはさらに高まり、しなやかな表現も上手いですし、表現のヴォキャブラリーが増えているように感じます。第2楽章など、特によく感じられます。第3楽章は本当に自由自在で、かなり速いテンポですがテクニックを持て余しているんじゃないかと思う位、素晴らしいです。

Vn:バイバ・スクリデ,ネルソンズ=バーミンガム市響

男声顔負けの太い音色、特有のうねるようなレガート
  • 名盤
  • 熱演
  • 芳醇
  • スリリング

おすすめ度:

ヴァイオリンバイバ・スクリデ
指揮アンドリス・ネルソンス
演奏バーミンガム市交響楽団

2004年9月,バーミンガム (ステレオ/デジタル/セッション)

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第1楽章は速めのテンポでしっかりしたダイナミックさのある演奏です。伴奏のネルソンス=バーミンガム市交響楽団もそうですし、バイバ・スクリデなかなか太い響きを出して、男声顔負けのダイナミックで骨格のしっかりした演奏をしています。またテクニックも素晴らしいですし、彼女特有のうねるようなレガートも健在です。第2楽章は打って変わって遅いテンポでじっくり味わい深い演奏です。この彫りの深さはバイバ・スクリデならではだと思います。第3楽章は速いテンポで超絶技巧を魅せつけてくれます。

ヒラリー・ハーン,ペトレンコ=リヴァプール・フィル

ロマンティックになりすぎず、しなやかに歌い上げる
  • 名盤
  • しなやか
  • 高音質

おすすめ度:

ヴァイオリンヒラリー・ハーン
指揮ワシーリ・ペトレンコ
演奏ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー

2015年6月,リヴァプール (ステレオ/デジタル/セッション)

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ヒラリー・ハーンは、いつもよりゆっくり目のテンポで、しなやかに歌っています。伴奏はペトレンコで、少しテンポに個性がありますが、しっかりした伴奏をつけています。個人的には、感情を沢山いれすぎなこのコンチェルトで、シャープでクールな演奏を期待していたのですが、意外とテンポが遅いので少し驚きました。ヒラリー・ハーンの高度な技巧はいつも通りで要所では素晴らしいテクニックを聴かせてくれます。しなやかさはありますが、感情表現を強くしているわけではなく、逆に普段よりも冷静な演奏と言えるかもしれません。華やかになることを避けているように聴こえるのです。普通のロマンティックな演奏に飽きた人は、これを聴いてみると新しい発見があるかも知れません。

チェボタリョーワ,トカチェンコ=ロシア交響楽団

  • 名盤

おすすめ度:

Vnアナスタシア・チェボタリョーワ
指揮アニシモフ・トカチェンコ
演奏ロシア・シンフォニー・オーケストラ

2003年6月27日-7月1日,モスクワ,ロシア放送・録音カンパニー(ステレオ)

コパチンスカヤ,クルレンティス=ムジカエテルナ

一つの実験、うまく行ったかはリスナー次第
  • 名盤
  • 知的
  • スリリング
  • ダイナミック

ヴァイオリンパトリシア・コパチンスカヤ
指揮テオドール・クルレンツィス
演奏ムジカ・エテルナ

2014年5月,ペルミ国立チャイコフスキー・オペラ&バレエ劇場

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これまでの常識を大きく覆す演奏です。全く別の曲を聴いているかのようです。名演かどうかは、なんとも言えませんが、新しい発見があることは間違いないですね。

伴奏は速めのテンポで小気味良く演奏され、持ち前のリズム感が発揮されています。ヴァイオリンはかなりテンポが速めで、長いレガートは無く、小気味良いフレーズとなっています。ロマンティックなイメージのあるこの協奏曲のイメージを一新する演奏です。急に速くなったり、テンポ取りは自由自在です。ヴァイオリンも急にテンポアップして超絶技巧を見せつけたりしてユニークです。第2楽章はゆったりしたテンポですが、テヌートは使わずヴィブラートも使わず、フレージングも短めです。第3楽章物凄く速いテンポです。ヴァイオリンの表現は自由です。しかし、速いテンポで超絶技巧を見せ付けます。

とりあえず過剰にロマンティックにならないのはいい所です。この曲は元々ロマンティックすぎると思いますし。新しい演奏スタイルのヒントとして、まず既成概念を壊した感じでしょうか。面白く聴ける演奏です。カップリングの『結婚』凄い名演です。クルレンツィスとストラヴィンスキーの愛称は鉄板ですね。

オイストラフ,オーマンディ=フィラデルフィア管

オイストラフの十八番、美しい音色
  • 名盤
  • 定番
  • ダイナミック

おすすめ度:

ヴァイオリンダヴィッド・オイストラフ
指揮ユージン・オーマンディ
演奏フィラデルフィア管弦楽団

1959年12月,フィラデルフィア

オイストラフは20世紀中盤のロシアを代表する巨匠です。伴奏のフィラデルフィア管弦楽団は、アメリカのオーケストラの中ではラフマニノフの自作自演の伴奏を務めたりと、ロシアと関係の深いオーケストラです。オイストラフのチャイコンの伴奏をするのに良いオケの一つと言えます。

この演奏は、録音状態が良くオイストラフのヴァイオリンの音色が意外に繊細だったり、美しい響きだということがよく分かります。オイストラフはチャイコフスキーの感情が沢山入ったコンチェルトに対して自然体で演奏しています。もちろん感情表現も入っていますが、控えめです。いつものようにふくよかな音色でマイペースで弾いていきます。第3楽章は速いテンポです。オイストラフは余裕で自由に溌剌と弾いています。テクニックは完璧で、1959年の演奏とは思えません。

オイストラフは、技術的にはロシア式のヴァイオリン奏法で、後のムローヴァ(ロシア出身)の完璧な名演を思い起こさせます。

ハイフェッツ,ライナー=シカゴ交響楽団

難曲をあっけらかんとスマートに弾きこなす。
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • ダイナミック

おすすめ度:

ヴァイオリンヤッシャ・ハイフェッツ
指揮フリッツ・ライナー
演奏シカゴ交響楽団

1957年4月19日,シカゴ,オーケストラ・ホール

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ハイフェッツはテクニックでは当時敵うヴァイオリニストは居ない位、凄かったらしいです。ただ、思い切り音をすっ飛ばしたりするときもあったとか。そのハイフェッツのテクニックを堪能できるのがこのCDです

ライナー=シカゴ響の伴奏が、かなりダイナミックに始まります。このコンビの場合、ヴァイオリン協奏曲だからと言って、遠慮して演奏することは無さそうです。実際、かなりハイレヴェルな伴奏だと思います。ハイフェッツはテクニックは素晴らしく、難しいこの協奏曲をいとも簡単に弾いています。ハイフェッツのようなヴィルトォーゾ系のヴァイオリニストは表現力が足りないと言われがちですが、それはどうなのか、実際聴いてみてください。チャイコンの場合、曲がもともとロマンティックすぎるので、変に感情的な表現を持ち込むと逆に品格が落ちてしまうこともあるんです。トータルとして悪い演奏では無いのですが、どうもハイフェッツのレガートが如何にもヴィルトォーゾという感じです。近年のムターヤンセンと比べるとテクニック的にも十分追いついていますし、表現があっけらかんとしすぎて物足りない、というのが正直な感想です。

またアウアー版を使っているからか、第1楽章の途中で譜面を変えて弾いている個所があるようです。(他にも何か所かあるようです。)

川久保賜紀,下野竜也=新日本フィル

2002年チャイコフスキー・コンクールで1位
  • 名盤
  • しなやか
  • 優雅

おすすめ度:

ヴァイオリン川久保賜紀
指揮下野竜也
演奏新日本フィルハーモニー

2004年4月12-14日,東京,すみだトリフォニーホール(ステレオ/デジタル/セッション)

川久保賜紀は、チャイコフスキーではかなり力強い芯のある音で弾いています。オーケストラもスケールの大きな伴奏で応じています。録音はなかなか良いと思います。

表現のほうは、まだ磨きをかける余地があるようにも感じますけれど、技術は素晴らしいです。艶のある音色なのでロマンティックなところにはとても良く合います。第1楽章は鋭い演奏が必要なところは、少し迷いがあるような気がします。技術的な話では無くて、曲をどうまとめるか、の話ですけれど。スケール大きくまとめるなら、それに徹したほうがいい気がしました。第2楽章ロマンティックに演奏していて良い演奏でした。第3楽章でテンポアップしても技術的には何の問題もなく、特に迷いも感じられず、楽しんで聴けます。テンポが遅くなると結構太い音も出せるので、ダイナミックに演奏しています。テンポの速い所でも技術的にはとても安定しています。

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楽譜

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の楽譜・スコアを紹介します。

ミニチュア・スコア

大型スコア

ヴァイオリン譜面

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