ショパン ピアノ協奏曲第1番

フレデリック・ショパン (Fryderyk Chopin,1810-1809)作曲のピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 (Piano concerto No.1 e-moll)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

ショパンのピアノ協奏曲は、ピアノファンには知らない人はいない超有名曲です。ショパンコンクールなどで演奏されることも多いですね。

お薦めコンサート

🎵イリーナ・メジューエワ ピアノリサイタル

■2023/5/7(日)14:00 開演 ( 13:15 開場 ) 会場:サラマンカホール (岐阜県)

オールショパンプログラム

解説

ショパンピアノ協奏曲第1番について解説します。

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ピアノ好きで、この曲を知らない人はいない、と書きましたが、クラシックファンでもオーケストラなど、他の楽器のファンの場合は意外に縁が少ない曲だったりします。ピアノ協奏曲ですが、ショパンはあまり管弦楽作品を作曲していないため、オーケストレーションが今一つだったり、オケが活躍する所が少なく、華麗なピアノが目立つ曲であるため、あまりアマチュアオーケストラでも取り上げない事が多いです。そんなわけで解説を書いていきたいと思います。

実は2番目に作曲されたピアノ協奏曲第1番

ピアノ協奏曲第1番は、実は第2番が完成し、初演されてから書かれています。といってもいずれも1830年の作曲で、ほぼ同じ時期です。ピアノ協奏曲第2番1830年3月17日にワルシャワでのプロデビュー演奏会で初演されています。その後、すぐにピアノ協奏曲第1番の作曲を始めます

新作のコンチェルトのアダージョはホ長調だ。これはことさら効果を狙ってのものではなく、むしろロマンツェ風の、静かで、憂いがちな、それでいて懐かしいさまざまな思い出を呼び起こすようなある場所を、心を込めて、じっと見つめているようなイメージを与えようとしたものなのだ。美しい春の夜の、月光を浴びながら瞑想する、そのようなものでもある

Wikipediaより

確かに第2楽章はロマンティックな名曲となりました。

何といってもまだショパンは20歳で、デビューしたばかりです。それで、こんな曲を書いてしまうのは凄い才能です。一方、少し若書きな所があります。1830年のうちに完成し、同1830年10月11日に初演しました。そしてフランスへ渡り1832年にパリで演奏され好評を博します

オーケストレーションへのチャレンジ

ピアノ協奏曲なので当然かもしれませんが、このショパンの第1番は特にピアノの比重が高いピアノ協奏曲です。まだ若いショパンが不慣れなオーケストレーションに苦労したのは言うまでもありません。それと、やはりピアノとオケのバランスには特に苦労したようです。ピアノの比重が高い曲に聴こえますが、わざとそう言う風に書いた曲なんですね。

1830年作曲、実はロマン派前期

このピアノ協奏曲が書かれた1830年には、まだロマン派のピアノ協奏曲は作曲されていませんでした。シューマンのピアノ協奏曲は1845年、グリーグのピアノ協奏曲はその後に作曲されています。ラヴェルのピアノ協奏曲なんてずっと後です。

見本と言えばベートーヴェンピアノ協奏曲などになると思います。しかし、ベートーヴェンとショパンでは作風が大きく異なります。カルクブレンナーという作曲家がいくつかピアノ協奏曲を書いていて、これを参考にしたようです。とはいえ、現在でも演奏され、凄い人気を誇るピアノ協奏曲が1830年代に作曲されたというのは驚くべきことです。

1830年代といえば、ベートーヴェンの少し後です。そのためブリュッヘンが古楽器でピリオド演奏した位です。しかし、今の楽器で弾いてもさして違和感も感じない位、モダンな音楽です。ショパンのピアノ協奏曲は時代を大きく超えていた、と言えますね。しかも、1830年からずっと評価が高く、演奏され続けているんです。

その後、ショパンはピアノ協奏曲を書いていないし、大した管弦楽曲も書いておらず、ピアノ演奏とピアノ作品の作曲に専念しています。

おすすめの名盤レビュー

それでは、ショパン作曲ピアノ協奏曲第1番名盤をレビューしていきましょう。

ピアノ:ブレハッチ,セムコフ=ロイヤル・コンセルトヘボウ管

品格に溢れた深みのある名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 品格
  • 芳醇
  • 高音質

超おすすめ:

ピアノラファウ・ブレハッチ
指揮イェジー・セムコフ
演奏ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

2009年7月2日,アムステルダム,コンセルトヘボウ (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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2005年ショパン・コンクールで優勝した当代屈指のショパン弾きブレハッチのピアノによる演奏です。伴奏はセムコフとコンセルトヘボウ管という一流オケです。ライヴですが、完璧な演奏ですね。2009年録音で高音質です。

第1楽章の冒頭のオケはしっかりした色彩感と重厚感のある落ち着いた弦セクションの演奏で始まります。アゴーギクは少な目でわざとらしさが無く、セムコフの枯れた表現が味わい深いです。コンセルトヘボウ管の管楽器のソロも素晴らしいです。ピアノは繊細で透明感と気品に溢れた表現で、タッチの正確さに舌を巻きます。ブレハッチの表現と巨匠セムコフの演奏は、とても良い組み合わせで、格調高く過剰な表現はありませんが、非常な味わいがあります。ピアノとホルンとの掛け合いなど、染み入るような味わい深さと気品を兼ね備えています

第2楽章は透明感のある響きの中、ピアノが繊細かつ格調高く演奏します。同時に精妙な色彩感があります。オケの響きもピアノの表現に相応しく、格調の高さを引き立てています。曲が進むにつれ、味わいが深まっていきます。第3楽章は速めのテンポでスリリングですが、格調を失うことはありません。ブレハッチはポーランド出身ですが、民謡風な主題はポーランド舞曲らしいリズム感と哀愁があって楽しめます。後半はかなり超絶技巧ですが、完璧に弾きこなしながらも派手にならず、ポーランド風のリズム感と色彩感を持ったまま盛り上がり、曲を締めくくります。

ツィメルマン=ポーランド祝祭管弦楽団

ツィメルマンの弾き振りによる理想のコンビネーション
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • 優雅
  • 芳醇
  • 高音質

超おすすめ:

ピアノ&指揮:クリスチャン・ツィメルマン
演奏ポーランド祝祭管弦楽団

1999年8月,トリノ (ステレオ/デジタル/セッション)

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ショパンと同じポーランド出身のクリスチャン・ツィメルマンポーランド祝祭管弦楽団を弾き振りしたものです。2000年度第38回レコード・アカデミー賞協奏曲部門賞を受賞しています。ポーランド祝祭管弦楽団はツィメルマンが結成したオーケストラです。レヴェルは高く、ショパンの協奏曲の伴奏は弾き慣れていて、安定しています。1999年の録音で音質は非常に良くしっかりしています。

第1楽章冒頭のオケは、繊細でロマンティックな表現で目から鱗が落ちる素晴らしさです。オケによるピアノの登場の雰囲気作りもとても素晴らしいです。ピアノはクオリティが高く味わいのある演奏です。ツィメルマンは感傷的に弾いていきますが、オケは少数精鋭でツィメルマンの演奏を絶妙にサポートしています。ポーランド風の民族的な響きもあって味わい深いです。第2楽章はロマンティックなだけではなく、様々な表情があります。第3楽章とてもリズミカルでポーランドの民族舞踊の雰囲気が良く伝わってきます。雰囲気も生き生きとしていて純粋な楽しさのある演奏です。オケの民族的な音色も魅力的です。

ツィメルマンが結成したオケだけあって、ピアノと伴奏はほぼ一体と言えるレヴェルで、練り上げられたクオリティの高い演奏です。初めて聴く人にもとてもお薦めのCDです。

アルゲリッチ,アバド=ロンドン交響楽団

アルゲリッチの感情表現とアバドとの相性の良さ
  • 名盤
  • 定番
  • ロマンティック
  • スリリング
  • ダイナミック

超おすすめ:

ピアノマルタ・アルゲリッチ
指揮クラウディオ・アバド
演奏ロンドン交響楽団

1968年(ステレオ/アナログ/セッション)

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ショパン・コンクール優勝から3年アルゲリッチのピアノ独奏と、アバド=ロンドン交響楽団の演奏です。アルゲリッチもアバドも若かったことと、小回りの利く演奏やスリリングなテンポ感などアルゲリッチとアバドはとても相性がいいですね。

第1楽章は長めのオケの後にピアノが入ってきます。この曲の場合、ここでソロと伴奏のイメージがズレていたら終わりです。若いアルゲリッチは流麗で、速めのテンポで入ってくるので、アバドとの相性はやはり絶妙ですね。ピアノが入るとアバドは伴奏をかなり抑えて線の細い響きなり、アルゲリッチの精妙な表現もきれいに聴こえます。テンポの変化は絶妙で、ピアノとオケの丁々発止のやり取りも聴けます。クレッシェンドの所はテンポも速くスリリングです。この辺りのピアノと伴奏の一体感は素晴らしいです。

第2楽章はほとんどピアノの独壇場ですが、陰ながら伴奏が上手く支えています。それによってアルゲリッチが幻想的な主題を弱い音量で弾いてもきれいに聴こえます。やはり天性の感性というべきか、1990年代のデュトワとの共演の時でもそこまで演奏スタイルが変化せず、言い換えれば既に完成している訳なので凄いと思います。第3楽章はリズミカルになり、アルゲリッチは楽しそうにノリノリで弾いています。一方、アバドもこういうリズミカルな音楽は得意です。時にとてもスリリングになり、聴いているとあっという間に終わってしまう印象です。

ブーニン,コルド=ワルシャワ国立フィル (2001年)

大ブームを巻き起こしたロマンティックな名演
  • 名盤
  • ロマンティック
  • 民族的
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノスタニスラフ・ブーニン
指揮カジミエシュ・コルド
演奏ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

2001年11月25日,北海道,札幌コンサートホール,Kitara (ステレオ/デジタル/セッション)

ブーニンは1980年代にショパンコンクールで優勝し、来日して大ブームを巻き起こしました。ロマンティックなショパンの演奏は、冬のポーランドを彷彿とさせます。このディスクは2001年の2度目の録音です。まさにこの曲のイメージ通りで、今聴いてもなかなかの名演です。

トリフォノフ,プレトニョフ=マーラー室内管 (2017年)

曲への理解度が深く、繊細な表現の名盤
  • 名盤
  • 定番
  • しなやか
  • 繊細
  • 優美
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノダニール・トリフォノフ
指揮ミハイル・プレトニョフ
演奏マーラー室内管弦楽団

2017年4月-5月,ハンブルク (ステレオ/デジタル/セッション)

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ピアノのダニール・トリフォノフ「2010年混戦のショパン・コンクール第3位入賞で国際舞台に踊り出し、翌年ルービンシュタイン・コンクール優勝&チャイコフスキー・コンクール優勝&グランプリ」という、ロシアの奇才です。特にショパンの演奏に優れ、若手の中でも屈指のショパン弾きです。また作曲家でもあります。指揮はロシアのプレトニョフです。ロシア人コンビですが、ロシアの民族性は特になく、クオリティの高い演奏を繰り広げています。

第1楽章冒頭は落ち着いた伴奏で始まります。プレトニョフのしなやかな表現で、この時点で他の演奏とは少し違いますね。高音質で木管など手に取るように聴こえますピアノは柔らかくも粒の立った音色で、なかなか色彩感があります。しなやかな伴奏と上手くフィットしています。技巧的な個所もクオリティが高く、常に繊細でしなやかです。

第2楽章もしなやかで優美な演奏です。遅めのテンポでじっくりと繊細に歌いこんでいます。感情に任せて盛り上がりすぎることなく、曲の陰影や和声の変化に応じた繊細な感情表現です。第3楽章はピアノが軽妙でリズミカルです。色彩感溢れる響きで、リズミカルに爽快に盛り上がっていきます。クオリティが高く、また純粋に楽しめる演奏です。

ポリーニ,クレツキ=フィルハーモニア管弦楽団

ポリーニの凛としたピアノ、クレツキの深みのある伴奏
  • 名盤
  • 透明感
  • 色彩感
  • ロマンティック
  • スリリング

超おすすめ:

ピアノマウリツィオ・ポリーニ
指揮パウル・クレツキ
演奏フィルハーモニア管弦楽団

1960年4月20-21日,ロンドン,アビー・ロード第1スタジオ (ステレオ/アナログ/セッション)

ポリーニのピアノ独奏、伴奏はクレツキとフィルハーモニア管弦楽団です。ポリーニが「ショパン・コンクール」に優勝した直後の1960年に録音されました。ポリーニの後年の活躍を十分予感させる凛とした音色で技巧的にもスリリングです。伴奏がポーランド人の指揮者で作曲家であるクレツキで、伴奏が若いポリーニの演奏に深みを加えています。録音は1960年のスタンダードな音質だと思います。

第1楽章の冒頭はクレツキとフィルハーモニア管の響きの透明感が高く、しかも深みがあります。味わい深くフィルハーモニア管がポーランドのオケのように聴こえます。ポリーニのピアノはデビュー直後とは思えない落ち着きぶりです。速めのテンポで透明で色彩感に満ちた音色でクオリティの高い演奏を繰り広げています。静かな個所は少しテンポを落とし、凛とした響きを保ちながら味わい深い演奏です。若い感性も感じますが、技巧の正確さなど、新人離れしている感じです。

第2楽章はオケの格調高い響きで始まります。ポリーニは少し速めのテンポで、透き通ったタッチが素晴らしいです。ロマンティックですが、感情に溺れることはありません。とても絶妙な表現です。第3楽章は重厚なオケで始まります。ポリーニはテンポを速めて主題をリズミカルに演奏します。ポーランドの舞曲を上手く表現しています。オケは重厚ですが、リズムはシャープでクレツキらしいコクがあります。ポリーニは自由で多彩な表現を駆使して、とても楽しく聴かせてくれます。

ショパンのピアノ協奏曲はロマンティックさがあって横に流れがちな気もします。ポリーニの演奏にはそういった先入観が感じられず、センス良く真摯な名盤です。

ルービンシュタイン,スクロヴァチェフスキ=ロンドン新響

巨匠アルトゥール・ルービンシュタインの歴史的名盤
  • 歴史的名盤
  • 情熱的
  • スリリング

超おすすめ:

ピアノアルトゥール・ルービンシュタイン
指揮スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
演奏ロンドン新交響楽団

1961年6月8,9日,ロンドン,ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール (ステレオ/アナログ/セッション)

巨匠ルービンシュタインのピアノによる演奏です。伴奏は指揮は若い頃のスクロヴァチェフスキロンドン新交響楽団の組み合わせです。古き良き名盤、という雰囲気に満ちた演奏です。録音の音質も当時としては良く、聴きやすいです。歴史的名盤の位置づけですが、今聴いても新鮮さがあります。

第1楽章冒頭のオケはシャープな伴奏で近年の演奏とは大分違います。聴いていてスカッとする位、シャープで情熱的です。ピアノのルービンシュタインはアクティブでメリハリのあるストレートな表現です。確実なタッチで難易度の高いパッセージも軽々と弾きこなしていき、とてもヴィルトゥオーゾ性の高い演奏です。それで居ながら、華麗になりすぎることはなく、ショパンらしさを上手く表現しています。ポーランド的な哀愁というより、古き良き哀愁が感じられる演奏です。オケもメリハリがあって、色々な音が聴こえてきて楽しめます。

第2楽章は穏やかで、古い録音なので透明感とは行きませんが、きっと最近の録音だったら透明感があっただろうと思います。ピアノは暖かみがあり、ロマンティックに弾いていきます。木管とのからみも味わい深いですね。中盤から後半にかけてはスケールも大きく、表現の幅が広いです。第3楽章はダイナミックなオケで始まり、ピアノが入るとテンポアップしてとてもスリリングです。装飾は軽妙で上手い歌いまわしです。オケもショパンとは思えないほどシャープなリズムです。ポーランド風の舞曲も絶妙な味付けです。後半は超絶技巧とダイナミックさもあり、スリリングに盛り上がっていき、曲を締めくくります。

アルゲリッチ,デュトワ=モントリオール交響楽団

色彩的な伴奏に幻想的なアルゲリッチのピアノ
  • 名盤
  • 定番
  • 繊細
  • 色彩的
  • ダイナミック
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノマルタ・アルゲリッチ
指揮シャルル・デュトワ
演奏モントリオール交響楽団

1998年10月,モントリオール,聖ユスターシュ教会(ステレオ/デジタル/セッション)

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ベテランとなったアルゲリッチのピアノ独奏デュトワとモントリオール交響楽団の伴奏です。1998年録音と新しく音質も良いです。少しクールで芳醇な響きのデュトワの伴奏に、アルゲリッチはいつものような色彩感あふれる鮮やかな演奏です。アルゲリッチが繊細な表現です。

伴奏に色彩感があるので、他の演奏とは大分違って、アルゲリッチの世界観を表現することは上手くいっていると思います。情熱をぶつけてくるような演奏ではなく、詩的な味わいがある大人の演奏ですね。もともとエキゾチックで色彩的な響きをもつアルゲリッチなので、とてもうまく行っています。特に第2楽章は感情も入れ込んで、オケとも息が合い、とてもいい演奏です。第3楽章はオケも活躍する楽章で、あくまでアルゲリッチが主役ですが、上手くピアノを盛り立てています。アルゲリッチは、自由自在と言ってもいい位の演奏で、テクニックも素晴らしいです。

アヴデーエワ,ブリュッヘン=18世紀オーケストラ

実はロマン派初期の作曲家、全然違うショパンの古楽器演奏
  • 名盤
  • 透明感
  • 古楽器

おすすめ度:

ピアノユリアンナ・アヴデーエワ
指揮フランス・ブリュッヘン
演奏18世紀オーケストラ

2012年,ポーランド放送ヴィトルト・ルトスワフスキ・コンサート・スタジオ (ステレオ/デジタル/セッション)

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2010年ショパン国際ピアノコンクールで優勝したユリアンナ・アヴデーエワ1849年製のエラールのピアノを弾いたピリオド演奏です。女性ピアニストの優勝はアルゲリッチ以来とのことです。初演が1830年なので、オケはピリオド奏法といっても完全な古楽器奏法とは違うと思います。18世紀オケも恐らく、弦は逆ぞりの弓ですかね。

第1楽章しっかりした響きのオケによる主題提示から始まります。録音が新しいので透明感があります。ピアノは現在のピアノ程、華麗さはありません。暖かみがある音色です。ブリュッヘンはオケをしっかりコントロールして、音量を出すべき所はしっかり出し、ピアノが中心の所はかなり押さえています。オケの存在感がモダン演奏よりも大きく、オーケストレーションの未熟さもそこまで感じられないですね。モダン楽器でのショパンの響きよりはベートーヴェンのピアノ協奏曲の響きの延長であることが感じられます。第2楽章は幻想的な透明感、とは行きませんが、暖かみがある音色で味わいがあります。第3楽章とてもリズミカルでピリオド奏法の良さが一番出ていると思います。ポーランドの舞曲のような音楽にはピリオド奏法は良く合いますね。

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楽譜・スコア

ショパン作曲のピアノ協奏曲第1番の楽譜・スコアを挙げていきます。

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