ジャン・シベリウス (Jean Sibelius, 1865~1957)の交響曲第6番 ニ短調 作品104について、解説と、おすすめの名盤をレビューしていきます。
解説
シベリウス作曲の交響曲第6番の解説をしていきます。
作曲まで
交響曲第6番ニ短調を着想したのが1914年、その間、他の作品の作成やフィンランド独立などもあり、作曲し終えたのは1923年でした。初演は1923年にシベリウス自身の指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニーの演奏で行われました。
小さく美しい名作
シベリウス交響曲第6番というと、シベリウスの交響曲の中で一番知名度が低いかも知れませんね。演奏時間も25分~30分と短いですし、ダイナミックさはありません。
大編成の通常のオーケストラで演奏されますが、室内楽的な美しさを持った交響曲です。新古典主義風の作品であり、教会旋法のドリア旋法を使っています。シベリウスはパレストリーナなどルネッサンス時代の作曲家の宗教音楽を研究し、旋法や対位法を取り入れたのです。
その結果、(ゆがんでいない)真珠のようなコンパクトな名作となりました。
出だしから名作
この交響曲は、前奏の出来を聴くと全体の出来が分かってしまうくらい前奏が美しく、そして難しい曲です。この凛(りん)とした前奏は「白鳥のような美しさ」と例えられます。
その後も恐ろしいまでに透き通っていて、調性音楽に慣れた耳には少し捉えどころがないような雰囲気です。
長調とも短調ともいえないような微妙な哀愁はドリア旋法の特徴です。対位法が色々なところに使われていますが、第3楽章に顕著で非常に上手い使い方をしていて、マーラーの交響曲第9番のスケルツォを思い出してしまいます。
おすすめの名盤レビュー
シベリウス作曲の交響曲第6番のおすすめの名盤をレビューしていきます。
ブロムシュテットとサンフランシスコ交響楽団の録音です。ブロムシュテットの曲の理解の深さ、サンフランシスコ交響楽団の透き通った音色、途轍もなく上手いソロ、優秀な録音と色々な要素が揃って、凄い演奏になりました。超名演ですね。
最初の前奏から、気合の入り方が違うようです。この曲の場合はフィンランドの民族的要素はあまり必要ではないので、サンフランシスコ交響楽団に最適ですね。
ブロムシュテットは要所はしっかり聴かせてくれますが、作為的なことはせず、かなり早めのテンポで進めています。オケの性格な音程と明晰な録音のおかげでドリア旋法、対位法が使われている部分などは、極めて効果的で、聴いていてよく分かります。
30分足らずで終わってしまうのが惜しい演奏ですね。
ベルグルンドは3種類の演奏がありますが、ヨーロッパ室内管弦楽団を指揮した3度目の全集が透明感が高く、交響曲第6番も名演です。実はヘルシンキ・フィルハーモニーを指揮した2度目の第6番も名演なので、難しい所ではあります。
ヴァンスカとラハティ交響楽団の録音です。十分に交響曲第6番の素晴らしさがわかるディスクだと思います。ただ、ブロムシュテットやベルグルンドを聴いた後だと、凛とした美しさ、よりも少し穏やかでフィンランドの民族性も併せ持った演奏に聴こえますね。第4楽章が少しユニークな解釈で面白いです。
他の演奏が緊張感を出し過ぎで、これが普通の演奏なのかも知れませんけど。管理人はこの演奏で十分楽しめますし、過度な緊張感がない分聴きやすいとも言えますね。
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楽譜
シベリウス作曲の交響曲第6番の楽譜・スコアを挙げていきます。
シベリウス: 交響曲 第6番 ニ短調 Op.104/ウィルヘルム・ハンセン社/中型スコア
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Symphony No. 6 Op. 104
5つ星のうち3.7レビュー数:3個の評価
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