シベリウス 交響曲第3番Op.52

ジャン・シベリウス (Jean Sibelius,1865-1957)作曲の交響曲 第3番 ハ長調 Op.52 (symphony no.3 c-dur Op.52)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。

解説

シベリウス交響曲 第3番 ハ長調 Op.52について解説します。

素朴な交響曲で人気があります。

シベリウス郊外へ引越す

1904年、ジャン・シベリウスは39歳の時に、ヘルシンキ郊外のヤルヴェンパーへ引っ越しました。ヤルヴェンパーはヘルシンキからは北に37kmの位置にある。自然に囲まれたヤルヴェンパーでシベリウスは再び創作意欲を取り戻します。以下の場所ですね。

シベリウスは以降、1957年に亡くなるまで、ずっとこの地で過ごします。ヤルヴェンパーに建てた家にはシベリウスの妻の名前を取り「アイノラ」と名付けました。

アールヌーボー建築のログハウスです。この「アイノラ」邸は現存しており、市の中心から南に約2kmの所にあり、観光名所にもなっています。

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そして1907年3月、イギリスのロイヤル・フィルハーモニーの依頼による交響曲の作曲に着手します。完成は1907年7月です。

実はシベリウスファンに大人気

交響曲第3番は、一見、地味な交響曲ですが、シベリウスファンからは非常に人気の高い曲です。

シベリウスの交響曲は第1番を例外として、意外と緊張感に満ちている内省的な曲が多いので、この交響曲第3番は第1楽章の第1主題から、本当にほっとさせてくれる曲なのです。交響曲全体としても力みが無くて、本当に自然体です。

しかし、アマチュアのオーケストラで演奏する機会はほぼありませんし、プロのコンサートでもなかなかプログラムに登場しない交響曲ですね。

おすすめの名盤レビュー

それでは、シベリウス作曲交響曲 第3番 ハ長調 Op.52名盤をレビューしていきましょう。

ヴァンスカ=ラハティ交響楽団

  • 名盤
  • 定番
  • 民族的名演

超おすすめ:

指揮オスモ・ヴァンスカ
演奏ラハティ交響楽団

1996-1997年,フィンランド,ラハティ,十字架教会 (ステレオ/デジタル/セッション)

ヴァンスカ=ラハティ交響楽団の交響曲第3番は素朴でフィンランドの自然を味わい深く描いた非常に素晴らしい名演です。北欧の涼しい風と自然が感じられますし、展開部では感情的な盛り上がりも適度にあり、聴いていて満足感が高いです。弦も小気味良く鳴りますし、管楽器のソロは民族色豊かです。録音もヌケが良くて、分解能が高く、気分良く聴けます。

ヴァンスカはミネソタ管弦楽団と再録音していますが、素朴さという意味で、ラハティ交響楽団が予想以上の演奏をしていると思います。やはりラハティ交響楽団は地元フィンランドの地方オケで、1988年からヴァンスカの元、シベリウスを演奏しつづけてきたわけですから。何故か何度聞いても飽きない演奏です。

ちなみにラハティは以下の場所にあります。ラハティ交響楽団はシベリウスホールを本拠地にしています。首都のヘルシンキに比べて自然が豊富です。

でも、よく聞いてみるとロングトーンのクレッシェンドなど、作為的なことは色々やっているので、ヴァンスカの実力によるものでしょうね。それに、特別にテクニックを誇示するような曲ではないことも、ラハティ交響楽団にとって好都合かもだったかも知れません。ラハティ交響楽団はフィンランドの地方オケの割にはとても上手いオケなのですが、メジャーなオーケストラではありませんからね。

管理人の好みも入るかも知れませんが、いまのところ、シベリウス交響曲第3番のベスト盤です。

ベルグルンド=ヘルシンキ・フィル

  • 名盤
  • 定番
  • 民族的

超おすすめ:

指揮パーヴォ・ベルグルンド
演奏ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

ベルグルンドとヘルシンキ・フィルの録音です。割と人間の内面に分け入っていくようなシリアスな演奏をするベルグルンドですが、このヘルシンキ・フィルとの交響曲第3番では、素朴なメロディを活かした自然体の演奏になっています。一方で、たまに出てくるここぞという音型はきちんと逃さず、味わい深く聴かせてくれます。聴いていて充実感のある演奏です。

ムラヴィンスキー=レニングラード・フィル

  • 名盤

おすすめ度:

指揮エフゲニー・ムラヴィンスキー
演奏レニングラード・フィルハーモニー

1963-1965年 (ステレオ/アナログ/セッション)

ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルの録音です。このページの先頭のYouTubeの演奏です。少し古いことと録音状態があまりよくないようで、特に強奏では音質がわるいですね。ただ、中音域がしっかりしているせいか、それほど聴きにくい音質ではないです。

ムラヴィンスキーなので厳しい音楽づくりを想像してしまいますが、確かにそういう部分はあるものの、意外に情緒があってシベリウスらしい自然賛美の音楽になっています。弦楽器の音色が素晴らしいですし、管楽器のソロも上手いですね。

それにしてもムラヴィンスキーが録音したシベリウスは、交響曲第7番とこの第3番です。ムラヴィンスキーもよほどお気に召したのでしょうね。

ブロムシュテット=サンフランシスコ交響楽団

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

指揮ヘルベルト・ブロムシュテット
演奏サンフランシスコ交響楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

ブロムシュテットは速めのテンポで小気味良く曲を進めていきます。オーケストラのサンフランシスコ交響楽団は非常に透明できれいな響きですが、フィンランドの自然を表現するという意味では、交響曲第3番は地元フィンランドのオケには敵わないかも知れません。特に第2楽章がちょっと静かすぎるんじゃないか?と思いました。

併録されている交響曲第6番の素晴らしさと比べると、あと一歩物足りない感じかも知れません。

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楽譜・スコア

シベリウス作曲の交響曲 第3番 ハ長調 Op.52の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

ミニチュア・スコア

シベリウス 交響曲第3番 ハ長調 作品52 (OGT 255)

シベリウス 交響曲第3番 ハ長調 作品52 (OGT 255)
解説:神部 智
レビュー数:3個の評価

大判スコア

Sibelius: Symphonies Nos. 3 and 4 in Full Score

Sibelius: Symphonies Nos. 3 and 4 in Full Score
レビュー数:12個の評価
中古品¥2,000 より

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