ジャン・シベリウス「アンダンテ・フェスティーボ」(祝祭アンダンテ)作品34は、晩年のシベリウスが作曲した弦楽合奏曲です。ティンパニが加わることもあります。
非常に有名な作品で、人気があります。本ページでは解説の後、名盤がいくつかリリースされていますので、聞き比べてみたいと思います。
「アンダンテ・フェスティーヴォ」の解説
シベリウス作曲の「アンダンテ・フェスティーボ」について解説します。
祝祭のための音楽
最初は弦楽四重奏として1922年に書かれました。サイナトゥサロ製作所の25周年記念祝賀会のために作曲されたものです。1922年は交響曲第6番と同時期ですので、もう円熟した時期の作品ですね。
これを1930年に弦楽合奏(ティンパニ任意使用)に編曲し、1941年に出版されました。最初に弦楽四重奏で作曲されてから8年経っており、単に弦楽合奏に編曲しただけではなく、和声の変更なども行われました。演奏時間は4分~7分と幅がありますが、以下の演奏では5分30秒程度です。
シベリウスを得意とする日本の巨匠尾高忠明と東京フィルの演奏ですが、非常に素晴らしいですね。
教会音楽のような曲
祝祭のための音楽とありますが、どちらかというと教会で演奏されそうな音楽です。実際、コラールのような音楽であり、途中、教会旋法を使用し、アーメン終止で終わるという、意外に複雑な作りの曲になっています。
サイナトゥサロ製作所は合板(ごうはん)の工場なのですが、工場の25周年記念というよりは、教会音楽やエレジー(哀歌)を思わせる音楽になっています。
美しい音楽で人気
プロからもアマチュアからも支持されていますし、弦楽四重奏のみならず、管楽のアンサンブルの譜面も出ています。いろいろなジャンルで人気の高い作品ですし、アンコールにも良いですね。
もちろん、聴くほうも「アンダンテ・フェスティーボ」が入ったシベリウスの管弦楽曲集のディスクであれば、入門にとても良さそうですね。
「アンダンテ・フェスティーヴォ」の名盤
シベリウス作曲の「アンダンテ・フェスティーボ」のお薦めの名盤をレビューしていきます。
シベリウスを得意とするヴァンスカとフィンランドのラハティ交響楽団の演奏です。「アンダンテ・フェスティーボ」でもやはり民族的な味のある名演です。ラハティ交響楽団の弦の響きは民族的な味があって素晴らしいです。
他には声楽中心の楽曲で構成されていて、マイナーながら素晴らしい曲が収録されています。ちょっと曲目がマイナーかも、という以外は広くお薦めできるディスクです。
フィンランドの対岸であるエストニアの指揮者ネーメ・ヤルヴィとエーデポリ管弦楽団の演奏です。「アンダンテ・フェスティーボ」では、ネーメ・ヤルヴィは少し早めのテンポで民族的なサウンドを響かせていて、なかなかの演奏です。
また、このアルバムは有名な組曲「カレリア」や交響詩なども収録されていて、シベリウスの管弦楽曲入門にもとてもお薦めできます。シベリウスの世界を堪能できること、請け合いのディスクです。
有名なシベリウス自身の指揮による演奏です。1939年収録という古い録音ですが、それを考えれば、録音状態は悪くなく、演奏の美しさは十分伝わってきます。この曲を演奏する指揮者やメンバーの参考として良い音源ですね。
テンペラ・カルテットは結成して約20年を迎えたフィンランドの弦楽四重奏団です。テンポも適切で、味わいもあり、さすがお国物という感じです。弦楽四重奏版でとてもお薦めできるディスクです。
珍しい弦楽カルテット版もあります。非常に録音も良く、上手い弦楽四重奏団です。テンポは大分速めで4分台で演奏しています。こういう、サラッとした演奏もカッコいいですね。
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「アンダンテ・フェスティーヴォ」の楽譜
シベリウス作曲の「アンダンテ・フェスティーボ」の楽譜を挙げていきます。