
ドミートリイ・ショスタコーヴィチ (Dmitri Shostakovich,1906-1975)作曲の交響曲第5番『革命』Op.47について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。やはり第4楽章が有名で人気でしょうか。でも全曲に渡って聴きどころが多い名曲です。
解説
ショスタコーヴィチの交響曲第5番『革命』Op.47について解説します。
ショスタコーヴィチは20世紀にソヴィエトで活躍した作曲家です。ソヴィエトの作曲家の中で、もっとも活発な作曲活動を繰り広げた人です。
ソヴィエト当局へのご機嫌取り?
しかし、実はショスタコーヴィチは前作の交響曲第4番やこれまでのオペラ作品などで、その長大で難しい音楽がソヴィエト当局の批判を浴びてしまったという事情がありました。(プラウダ批判)
今聴くと交響曲第4番はそれほど難しい音楽ではなく、むしろショスタコーヴィチの前半を代表する名曲です。しかし当時としては現代音楽的で難解に聴こえましたし、ソヴィエトの一般大衆に受けるような音楽ではありませんでした。あまりソヴィエト当局の批判を浴びると、大作曲家ショスタコーヴィチといえどもソヴィエト楽壇から追放されてしまう訳で、大作曲家ショスタコーヴィチとしてもこれに反抗するのは勇気のいることでした。
しかも、交響曲第5番は、ベートーヴェンの『運命』交響曲の番号です。ソヴィエトはベートーヴェンのような力強く勝利をつかむような交響曲を期待していました。
結果として、交響曲第5番は最初から最後まで、前衛的な要素のない曲になりましたが、それでも十分名曲です。第1楽章の弦の開始や第3楽章のいかめしいクレッシェンドなど、素晴らしい聴きどころが沢山あります。交響曲のストーリーはまさに「運命」であり、同時にショスタコーヴィチの良さも十分発揮された名曲になったのでした。
ソヴィエト当局(ソ連作家同盟)からも「社会主義リアリズム」のもっとも高尚な理想を示す好例として絶賛されました。
ショスタコーヴィチの交響曲の入門編
この交響曲第5番自体、素晴らしい作品ですが、ショスタコーヴィチには全部で15曲の交響曲があります。交響曲第7番『レニングラード』、第8番、第9番などは聴きやすいかも知れません。交響曲第10番も凍てついた大地のような第1楽章を除けば、面白く聴けるかも知れません。
交響曲第4番以降の交響曲は、クラシックファンなら聴いておきたいところですね。ソヴィエトの歴史を知っていれば、より理解しやすいです。最後のほうは、第14番「死者の歌」や第15番のような少しエグい交響曲も出てきますが、いずれも理解できれば技法的にも内容的にも凄い名作です。
交響曲第5番『革命』は、ショスタコーヴィチの世界への扉を開く登竜門です。
有名で大人気の第4楽章
ショスタコーヴィチ交響曲第5番『革命』は、オーケストラのみならず、吹奏楽に至るまで大人気の作品です。それはこの曲がショスタコーヴィチの交響曲の中で、ダントツで親しみやすいからです。
特に第4楽章は前半のスピーディでスリリングな所、最後のスケールの大きな終わり方も非常に人気のある要因です。編成が大きく多彩な打楽器や管楽器が登場することも要因の一つですね。
20世紀の音楽なので、音楽にしてもオーケストレーションにしても近代的でかっこいいです。
政治の話や歴史の話など色々ありますが、ショスタコーヴィチが作曲した名曲であることには変わりないので、シンプルに楽しんで聴くのが一番良いですね。
楽曲の構成
ショスタコーヴィチ交響曲第5番『革命』は4楽章構成の交響曲です。第1楽章の冒頭の弦による苦悩に満ちた主題で始まり、軍楽隊を想起させるスネヤやトランペットの音楽を挟みつつ展開していきます。そして第4楽章のフィナーレで輝かしい勝利をつかむ、という交響曲の典型的なストーリーと言えます。
またビゼーの歌劇『カルメン』からの引用が全曲にわたって行われています。
第1楽章: モデラート~アレグロ・ノン・トロッポ
冒頭の弦楽器の主題からインパクトがあります。ソナタ形式ですが、展開部が行進曲風になっています。第2主題は『カルメン』の「ハバネラ」から引用されています。
中間のマーチ風の個所は有名で聴きごたえがあります。ちなみに交響曲第7番でも同様の構成になっており、有名なメロディが登場します。
第2楽章: アレグレット
スケルツォです。おどけた木管のメロディと、キビキビとしたトランペットが対照的です。
第3楽章: ラルゴ
緩徐楽章です。金管、パーカッションは休みで、弦と木管のみで演奏されます。途中2回のクレッシェンドがあり、物凄いインパクトです。『革命』は聴きやすい交響曲ですが、第3楽章のこの部分はショスタコーヴィチの本質が表れた名曲と言えます。
第4楽章: アレグロ・ノン・トロッポ
フィナーレです。金管で演奏される冒頭の主題は有名で非常に人気があります。一度、落ち着いた後、スケールの大きなクライマックスを迎え、ダイナミックに曲を締めます。
第4楽章ラストのテンポ
この楽章のラストは、スコアのバージョンによってテンポが異なります。1939年の初版では♩=188となっていてかなり速いです。1947年に再販された際に♪=184となり、倍近く遅くなり、初版は校訂ミスとされました。初版のバーンスタイン旧盤は初版のスコアを元にしています。これは自筆譜が失われているため、本当の所はわかりません。息子のマキシム・ショスタコーヴィチの証言や、ムラヴィンスキーの初演時の筆写譜の研究などで、♪=184が正しいということでほぼ決着しています。
おすすめの名盤レビュー
ショスタコーヴィチ作曲の交響曲第5番『革命』のおすすめの名盤をレビューしていきます。
初演したムラヴィンスキー=レニングラードフィルの演奏が圧倒的です。ショスタコーヴィチの交響曲では、初演者の録音が残っており、凄くリアリティがある場合が多いです。同時代を生きたロシアの演奏家ですし、初演のリハーサルではショスタコーヴィチも参加して意見のやり取りをするからでしょう。
ムラヴィンスキーは沢山の録音が出ていますので迷いますが、演奏内容は基本的には変わらず、新しいほど円熟してテンポが少し遅くなる程度です。録音の音質の違いが大きいです。
ムラヴィンスキー=レニングラード・フィル (1984年)
ショスタコーヴィチはムラヴィンスキーとの関係を切り離して聴くことは難しいです。ムラヴィンスキー=レニングラードフィルという、世界的に見てずば抜けた技術力を持つ演奏家がいたから、すぐに世界に認知されたのだと思います。初演はムラヴィンスキー=レニングラードフィルですが、ショスタコーヴィチとムラヴィンスキーはやり取りしながら初演の演奏を作っていきます。ムラヴィンスキーは巨匠なので、ショスタコーヴィチが楽譜に書き込んだ表現やテンポを尊重しつつも、演奏家であるムラヴィンスキーの意見が通ることも多かったと思います。例えば最後の勝利の場面を強調するためにテンポを遅くするなど、スコアとは多少異なる解釈があります。
ムラヴィンスキーはこの曲の本質をよく理解して、素晴らしい演奏を成し遂げたわけですが、ベートーヴェンの「運命」に近い位置づけを強調して、ソヴィエト当局が納得するような演奏に仕立て上げた、ともいえるかも知れません。そこはショスタコーヴィチ自身も分かっていて了承したのだと思います。
ムラヴィンスキーはライヴも含めて多くの録音を残していますが、いずれも演奏は緊迫したリアリティのあるもので安定しています。正直、音質以外は他の演奏を圧倒しています。第3楽章の厳(いか)めしいクレッシェンドや第4楽章のスピードと独特の響きは他のオケや指揮者では再現できないレヴェルで圧倒的です。どう演奏したら、こんなサウンドが出てくるんだろう?と感心するばかりです。このリアリティは同時代の演奏家であるムラヴンスキーにしか成しえない演奏だと思います。問題は録音の音質です。ロシア国内の録音の多いですが、西側に演奏旅行に来た時に録音したものが、適度な残響があって良い録音です。
現在、一番人気はビクター盤で1984年にモスクワで録音したディスクです。当時の最新技術で細部まで録音されています。それ以前はウィーン盤が一番メジャーで今でも十分良い音質です。
ムラヴィンスキー=レニングラード・フィル (1978年ウィーンライヴ)
ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルの録音で一番有名なのはこのウィーン・ライヴです。ウィーン楽友協会大ホールで録音されたため適度な残響があり、アナログ録音の完成度が高い1970年代後半で音質も安定しています。ロシアの大地を思わせるひんやりとした響きが、自然な残響で楽しめます。
ムラヴィンスキー⁼レニングラード・フィルの最盛期で演奏内容も素晴らしく、凄まじい緊張感に満ちた演奏です。特に低音域の響きがしっかり録音されており、最盛期のレニングラード・フィルの重厚な響きを味わえます。リマスタリングや別音源の発見などでさらに音質が良くなっています。適度な残響があり、独特の雰囲気のあるディスクで筆者の一番のお気に入りです。
ネルソンス=ボストン交響楽団
ネルソンスとボストン交響楽団の新しい2015年の録音で非常に音質が良いディスクです。ボストン交響楽団も質の高い演奏で良く応えている名盤です。ダイナミックな所もスケールが大きく凄いですが、むしろ弱音の部分で他のディスクでは聴けないような音楽があります。
第1楽章は神妙に始まりますが、ネルソンスの場合、ソヴィエトを思わせるようなサウンドではなく、あくまでボストン交響楽団の響きです。とても丁寧で練り上げられた質の高さを感じます。テンポを細かくコントロールして、繊細に表現しているのが印象的です。マーチ風の個所は遅いテンポで始まります。徐々にアッチェランドして大きく盛り上がり、最後は強烈なスネヤとスケールの大きなトゥッティになります。第2楽章は弦が結構厚めの音を出して始まります。響きが薄い個所では凄い透明感があります。
第3楽章は透明感と幅広さのあるフワッとした弦のアンサンブルで始まります。やはり木管ソロの個所の透明感は凄いです。クレッシェンドの部分は、壮大に盛り上がります。この演奏では、その後の最後の繊細で悲痛な個所が良く録音されていて印象的です。
第4楽章は爆走せず、落ち着いたテンポでしっかり丁寧に演奏しています。ボストン響の金管が心地良く響きます。音程の良さのせいもあり、残響に残る和音が印象的です。後半、高弦や木管の響きの美しさは特筆すべきレヴェルです。ラストの3拍子は遅いテンポで、そのままのテンポで盛り上がっていきます。盛り上がっても響きが汚くなることはありません。あくまで綺麗に響いています。
ライヴで拍手が入っていますが、客席がとても盛り上がっている様子が伝わってきます。
バーンスタイン=ニューヨーク・フィル (1959年)
バーンスタイン=ニューヨークフィルはこの曲を2回録音しています。バーンスタインはショスタコーヴィチを得意としていますが、まず、バーンスタインらしい演奏である1回目の録音を紹介したいと思います。ムラヴィンスキーと同様に名演奏なのですが、全体的にテンポが速いのが特徴です。第4楽章は最初から速いテンポで飛ばしています。ラストのテンポは凄い速さで熱狂的です。
第1楽章の冒頭は切れ味鋭くシャープで迫力があります。昔のバーンスタインのほうがシャープでリズミカルですね。ニューヨーク・フィルもバーンスタインの指揮では、軽快さのある演奏を繰り広げます。マーチ風に盛り上がっていく個所も速めで颯爽としていて、聴いていて気分が良いです。最後はニューヨークフィルの重厚なパワーで盛り上がります。第2楽章は速めのテンポで颯爽と進みます。スネヤと金管の響きがシャープで心地よいです。木管も小気味良い演奏です。
第3楽章は遅いテンポで弦セクションのレガートで厚みのある響きが味わい深いです。ニューヨーク・フィルはロシアの凍てついた響きではありませんが、神妙でシリアスです。遅いテンポで慈しむように演奏していきます。クレッシェンドの個所では、熱気を帯びたニューヨークフィルの厚みのある弦が、スケールの大きく盛り上がります。
第4楽章は熱気がありスピーディでシャープな素晴らしい演奏です。途中からさらにアッチェランドし、ムラヴィンスキー盤よりも速くなります。ラストのスケールの大きな箇所でテンポがすごく速いです。これは解説に書いたようにスコアの校訂ミスということで決着が着いていますが、確かに、この速いテンポは結構説得力があります。逆にムラヴィンスキーは壮大な勝利を表現するために遅くしたのでは?と言われていた程です。
音質は1959年と古い録音の割には良いです。SACDが効果的かも知れません。ロシアの凍てついた大地のようなクールな響きはありませんが、凄い熱気がありアメリカの演奏家としてソヴィエトの演奏家と対抗しようとしたのかな、と思います。バーンスタイン盤はスコアをストレートに再現した名演で、ムラヴィンスキーとの違いなど、聴いていてとても面白いです。
アンチェル=チェコ・フィル (1961年)
アンチェルとチェコフィルの録音です。アンチェル時代はチェコ・フィルでもショスタコーヴィチを演奏していました。交響曲は少なくとも第1番、第5番、第7番があり、いずれもリアリティのある名演です。ただ1960年代で東側の録音のため音質は今一つで、近年SACDやハイレゾ化などで深みのある響きが再現できるようになりました。独特の弦の響きや重低音など当時の響きが蘇ってきました。
第1楽章の冒頭は重厚でシャープな響きで、ショスタコーヴィチらしい響きです。今のチェコフィルとは大分違います。1960年代という録音のせいもあるかも知れませんが、少し金属的な響きも混じっていて、モダンな感じがします。テンポは全体的にインテンポで変化が少なめです。ヴィブラートを掛けたホルンが入ってくると、やはりロシアの影響を受けた東ヨーロッパのオケです。また木管、特にフルートの響きがとても良いです。
中間のマーチ風の個所は、金管やパーカッションの響きは重厚でチェコフィルとは思えない独特なサウンドです。感情もある程度入っていますが、他の演奏に比べるとクールだと思います。
第2楽章のスケルツォは重厚で独特な響きが良いです。ホルンなど非常にいい音をだしています。トリオのヴァイオリンソロでチェコフィルを感じますね。トリオも別の独特な響きの世界です。
第3楽章は弦楽セクションのなかなか味わい深いサウンドです。クレッシェンドの個所は重低音が効いていて、独特の凄みがあります。中間付近は木管が素晴らしい音色を出しています。後半の盛り上がりの部分はチェコフィルの響きも凄いですが、アンチェルの理知的な解釈もあって、面白く聴けます。その後は悲痛な表現となり、ここはムラヴィンスキーを超える部分もある気がします。
第4楽章は少し遅めのテンポで始まり、アッチェランドするかと思いきや、そのままのテンポで進みます。アンチェルの理知的な面が良く出ていて、シャープかつ重厚な響きで正確なアンサンブルです。ラストはバーンスタインのように速めテンポで演奏しています。金管にヴィブラートがかかる所はロシア的ですが、あくまで理知的な演奏で、壮大になりすぎずに終わります。
ロストロポーヴィチ=ワシントン・ナショナル響
ロストロポーヴィチとワシントン・ナショナル響の『革命』です。以前、たまたま新日本フィルのロストロポーヴィチ最後の演奏会を聴きに行き、ロストロポーヴィチのショスタコーヴィチ観を理解し、あまりの凍てついた表現に圧倒されました。それから、ロストロポーヴィッチのショスタコーヴィチも聴くべし、と思っています。
ロストロポーヴィチの演奏は重厚です。それは大きく重い氷の塊を、思い切り投げ落としたような重鈍な重さで、そこに重い感情も入っています。
第1楽章の冒頭から重さを感じるアクセントが入っています。ナショナル響は音が明るいのでロシア的な響きとは行きませんが、しっかりした演奏をしていると思います。マーチ風の個所もレヴェルが高いです。ナショナル響がもう少し重厚な響きだったら、さらに良かったかも知れません。
第2楽章はスタッカートではなくテヌートをつけています。ロストロポーヴィチらしいですね。ヴァイオリンソロは上手いですね。リタルダンドの取り方も独特です。第2楽章でこれだけ面白い演奏もなかなか無いですね。
第3楽章はこの演奏の白眉です。響きの厚い演奏で感情的な熱さも内に秘めています。自由なデュナーミク(強弱)は面白いです。そして物々しいクレッシェンドが始まります。ロストロポーヴィチはかなり重々しい表現です。中間の木管のソロも綺麗ですし、録音も良いです。なかなか味わい深いものがあります。2回目の盛り上がりはさらに圧倒的な感情の盛り上がりで圧倒されるものがあります。
第4楽章は遅いテンポで始まり、主部に入って速くなります。ワシントン・ナショナル響は結構いい演奏をしていて、金管などは上手く綺麗に響いています。ラストは凄く遅いテンポでダイナミックに演奏されています。テンポは頻繁に変わりますが、重厚さを感じる名演です。
ムラヴィンスキーやバーンスタインとは大分違いますが、ロストロポーヴィチ盤は聴いておくべき名盤だと思います。
ネーメ・ヤルヴィ=スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
ネーメ・ヤルヴィとスコティッシュ・ナショナル響いえば、第7番『レニングラード』の白熱した名演のイメージがあります。『革命』も近い印象で白熱して聴き所を上手く聴かせてくれるのはネーメ・ヤルヴィの良さですね。録音はシャンドス・レーベルらしく残響が豊富です。
第1楽章は鋭い弦で始まります。テンポは少し速めで、前へ前へと進んでいきます。メリハリがあって飽きさせません。N.ヤルヴィの気合いが伝わってきます。マーチ風の所は急にテンポを速めて、さらにアッチェランドしていきます。大分速くなってきたと思ってもさらにアッチェランドをかけて物凄い盛り上がりで、パーカッションも思い切り鳴らして大騒ぎといった風情です。
第2楽章はダイナミックな演奏です。強弱がしっかりついていて、リズミカルで楽しめる演奏です。このディスクも新しい録音とまでは言えませんが、音質はなかなか良いです。各楽器の色彩的な音色が楽しめます。弱音部分も大きめでピチカートでも遠慮なく、鳴らしてきます。
第3楽章は少し厚めの響きでふくよか、といってもいい位の響きで始まります。木管もソロの部分はチェレスタの伴奏のみですが、残響が豊富です。クレッシェンドしていく部分はかなり早めの段階でどんどんクレッシェンドしていき、スケールが大きいです。その後も曲に対する共感が感じられる演奏です。2回目のクレッシェンドは圧倒的です。その後はやはり曲に対する強い共感が感じられます。
第4楽章はネーメ・ヤルヴィらしく熱く迫力のある演奏です。スコティッシュ・ナショナル管弦楽団もシャープでダイナミックなサウンドで応えています。金管などかなり凄い迫力です。ダイナミックでスピードの速い演奏を期待していた人も満足だと思います。ラストも遅めのテンポでダイナミックに盛り上がります。
ネーメ・ヤルヴィ盤は雰囲気が良く出ていて熱気がありダイナミックな名盤です。初めて聴く人にもお薦めです。
ホーネック=ピッツバーク交響楽団
ホーネックとピッツバーグ交響楽団の録音です。新しい2013年の録音で、音質がとても良く、ピッツバーグ響の弦の艶やかな響きを良く捉えています。
第1楽章は鋭いアクセントで始まります。その後は、ピッツバーグ響の弦の音色のなめらかさに驚かされます。ホーネックは実に繊細な表現で、オケも見事にそれに応えています。マーチ風に盛り上がっている個所では、金管やパーカッションのレヴェルの高さを感じさせてくれます。迫力もありますし、盛り上がっても荒くなることはありません。この色彩的な音色はロシア勢との大きな違いです。第2楽章は管楽器のアンサンブルが良く、ホーネックはテンポを微妙に揺らしつつ、細かいところまで有機的なアンサンブルです。
第3楽章は非常に繊細に、遅いテンポで演奏しています。しかし、重くなることはなく、淡い色彩感が感じられます。クレッシェンドの個所はスケール大きく盛り上がりますが、野蛮になることはありません。後半になるほど、感情的な盛り上がりを見せます。2回目のクレッシェンドではかなり熱く盛り上がります。
第4楽章は速いテンポでダイナミックかつ爽快です。管のレヴェルの高さが存分に発揮され、速いテンポでもパワー全開でも、しっかりしたアンサンブルで凄いです。ロシアのオケとは違う現代的な響きです。中間の遅い個所は繊細で幻想的な雰囲気です。
ネルソンス⁼ボストン響もそうですが、以前は圧倒的な演奏だったムラヴィンスキー⁼レニングラード・フィルの演奏も技術的には追いついていますね。ロシアのオケは時代のリアリティがあるので、そこは勝負になりませんが、こういう洗練された新しい魅力を持つハイレヴェルの演奏が増えてきたと思います。
ムラヴィンスキー=レニングラード・フィル (1973年東京ライヴ)
CD,MP3をさらに探す
映像(BlueRay, DVD)
演奏の映像を紹介します。スヴェトラーノフの映像は貴重です。
キーピング・スコア Symphony No 5 (M.T.トーマス)
楽譜
ショスタコーヴィチ作曲の交響曲第5番『革命』のスコア・楽譜を挙げていきます。