
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (Wolfgang Amadeus Mozart,1756-1791)作曲の交響曲 第33番 変ロ長調 K.319 (Symphony No.33 b-dur K.319)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。
解説
モーツァルトの交響曲 第33番 変ロ長調 K.319について解説します。
モーツァルトは1777年~1778年にかけて、マンハイム~パリへ旅行しました。自身の就職活動もかねてのことでした。
マンハイムは古典派の交響楽団の聖地のような都市で、大規模なオーケストラが常設されていました。シュターミツやカンナビヒが交響曲を書き、当時のドイツの中では音楽の先端を行く場所でした。そのスタイルはまさにロココ調。テレマンの時代から続いてきた洗練されたスタイルがそのまま受け継がれて発展しています。
それを目の当たりにしたモーツァルトは旅行中、パリにて3楽章形式の第31番『パリ』を作曲します。1779年にザルツブルグに戻った後も第32番、第33番、第34番と、立て続けに交響曲を書いていきます。
第31番『パリ』は華麗な交響曲ですが、第33番はもっと小編成に向けて書かれ、内容的に大きな進展がみられる交響曲です。それは展開部のちょっとした転調の仕方などですが、演奏してみると大きな効果があります。おそらくこの曲はマンハイム楽派の交響曲を既に超えていると思います。
いずれにせよ、どこか子供っぽい第29番と比べるとこれらの交響曲は長足の進歩を遂げています。
第1楽章:アレグロ・アッサイ
ソナタ形式です。多彩な楽想がちりばめられ、マンハイム楽派の技法を既に吸収して、新しい試みが行われています。才気あふれたモーツァルトらしい音楽です。
展開部では交響曲第41番『ジュピター』で最終楽章に登場する壮大なフーガのモチーフとなるグレゴリオ聖歌由来のモチーフが登場します。この辺りの転調の仕方は単に華やかなだけではなく、人間的な感情を描写しているようで、形式は古典派ですが、中身はロマン派に少しだけ踏み込んでいるように思います。
第2楽章:アンダンテ~モデラート
緩徐楽章です。モーツァルトはやはり感情表現が上手いですね。しみじみと聴ける良い音楽です。
第3楽章:メヌエット
メヌエット楽章ですが、モーツァルトはメヌエット楽章でも感情表現が上手いです。一番いいのは第41番『ジュピター』のメヌエットですが、この33番のメヌエットも素晴らしく、主部は弦の跳躍による鋭い表現が印象的です。トリオは対象的にレントラー風の明るい音楽となります。
第4楽章:アレグロ・アッサイ
ソナタ形式です。軽快でユニークな音楽ですが、子供っぽさも少し残る楽章です。
交響曲第31番は3楽章形式でした。第32番は単一楽章、第34番は楽譜が定まらず、あまり演奏されません。しかし、第33番を聴くとモーツァルトは後期に向けて、交響曲のスタイルをほぼ確立したといっていいと思います。もっとも最初は3楽章構成でメヌエットは、あとから追加されたようですが。
おすすめの名盤レビュー
それでは、モーツァルト作曲交響曲 第33番 変ロ長調 K.319の名盤をレビューしていきましょう。
クライバー=バイエルン放送交響楽団
C.クライバーのこのDVDの場合、メインはやはりブラ4です。が、モーツァルト第33番も超名演です。1996年の収録で少し健康面に不安を抱えて、指揮ぶりは衰えが見られますが、演奏はとても充実しています。C.クライバーはモーツァルトは33番と36番しか録音していないと思います。特に33番がお気に入りらしく、他にも33番のディスクがあります。
C.クライバーはいつもの通り、拍を振るということは無く、音楽の横の流れを振っています。またに出てくる強いアクセントは鋭く振ってメリハリが良くついています。
モーツァルトの33番は、まだ子供っぽさも残る音楽の中で出てくる少しグロテスクともいえる不協和音を上手く活かしています。これは将来第41番で壮大なフーガとして出てくるモチーフですけれど。この辺りの転調の妙味をとても上手く、しなやかに表現しています。
C.クライバーが指揮すると、ドイツ的な硬さは全くなく、オーストリア的な軽妙なリズムが前面に出てきます。これが33番にはとても合うのです。これ以上の演奏が今後出てくるだろうか、と考えてしまいます。
ヨッフム来日時の演奏です。椅子に座って演奏していて、演奏自体とても円熟しています。筆者が中高生のころに来日し、映像を見ましたがこのモーツァルトは非常に印象深く記憶に残っています。
ヨッフムも33番、36番がお気に入りのようで、別の欄で紹介しますが、その組み合わせのCDも残しています。この来日時の演奏は、手兵ともいえるアムステルダム・コンセルトヘボウ管との演奏で、こちらのほうがオケの能力は上ですね。
演奏は、古楽器奏法などがまだ普及していなかった1980年代ですので、昔のスタイルです。いずれにせよ、円熟しきった巨匠の演奏ですから、とても味わい深いものです。
モーツァルトの33番は、まだモーツァルトが大人になりきれていない時代の作品だと思います。しかし、その軽妙さは筆舌に尽くし難いものがあり、当時のヨッフムのような巨匠が演奏すると非常に良さが出ますね。
第1楽章は円熟したしっかりした骨格の上に、軽妙で繊細な演奏が繰り広げられていきます。第2楽章は薄く繊細なオーケストレーションの上で、端正かつ少し感情を入れた巨匠ならではの名演です。第4楽章も良い演奏で、巨匠のヨッフムが楽しみながら指揮しているのが良く伝わってきます。
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楽譜・スコア
モーツァルト作曲の交響曲 第33番 変ロ長調 K.319の楽譜・スコアを挙げていきます。
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