チャイコフスキー 弦楽セレナードOp.48

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー (Peter Ilyich Tchaikovsky,1840-1893)作曲の弦楽セレナード ハ長調 Op.48 (String Serenade c-dur Op.48)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

前奏の弦楽のトッティや、第2楽章のワルツなど、有名なメロディが沢山詰め込まれています。人気がある曲ですので名盤も多く、大編成から小編成まで、色々な弦楽オーケストラがCDをリリースしています。

小澤征爾の渾身の指揮ぶり

解説

チャイコフスキーの弦楽セレナードについて解説します。

ロシアの大地

一般的に弦楽の音楽といえば室内オーケストラのような小編成のものを想起するのではないでしょうか?

チャイコフスキーの弦楽セレナーデは全くイメージが違い、ロシアの凍てついた大地を思わせるような重厚な弦楽のトゥッティから始まります。

フェドセーエフ=モスクワ放送交響楽団

このイメージは、その後、ボロディン、ストラヴィンスキー、そしてショスタコーヴィチに至るまで、ロシア音楽根底に流れているものを感じますね。

ロシアの大地は今でいうウクライナのキエフなどでは農業が盛んですが、モスクワやサンクトペテルブルグなど、北の都市では本当に凍てついた大地というのがふさわしいと思えます。そして、ロシア音楽では、それを思わせる曲を沢山聴くことが出来ます。

作曲の経緯と構成

弦楽セレナーデはチャイコフスキーが1880年に作曲した弦楽アンサンブルです。初演は1881年10月30日にサンクト・ペテルブルクで、ロシア音楽協会のオーケストラで行われました。初演は大成功でした。

第1楽章は有名な弦楽のトッティによる前奏から始まり、展開部なしのソナタ形式となっています。第2楽章はワルツで、この曲も有名です。第3楽章はアダージョ、第4楽章はアレグロで最後に第1楽章前奏が戻ってきて終わります。

ロシアの大地を思わせる弦のトゥッティも良いですが、モーツァルトのころのセレナーデの形式に近い軽快さもあります。大編成のオーケストラでも小編成の弦楽アンサンブルでも違う楽しみがあります。とても充実した名曲です。

比較的小編成で指揮者なしでの演奏

全体的にシンプルな構成ですが、なかなか難しい曲です。このシンプルさの中でこれだけのことを表現できるチャイコフスキーの円熟を感じることができる名曲ですね。

お薦めの名盤レビュー

チャイコフスキー弦楽セレナードの名盤をレビューしていきたいと思います。

チャイコフスキーの弦楽セレナードは、大編成で演奏するのが普通でした。しかし、近年、小編成の弦楽アンサンブルでも演奏するようになり、新しい演奏スタイルのCDも出てきています。

フェドセーエフ=モスクワ放送交響楽団

ロシアの大地を思わせるスケールの大きな弦楽
  • 名盤
  • 芳醇
  • 民族的
  • お国物

超おすすめ:

指揮ウラジーミル・フェドセーエフ
演奏モスクワ放送交響楽団

2006年10月,モスクワ(ステレオ/デジタル/セッション)

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ロシアの大地というのを一番実感させられる演奏を聴きたいなら、フェドセーエフ=モスクワ放送交響楽団は外せません。この独特の音色をどのように表現すれば良いのでしょうか?

上に音質はいまいちですが、YouTubeを貼っておきました。こんな感じで大編成で独特の土の香りのする演奏なのです。もっともこのYouTubeでも音質が悪くて低音のレヴェルがかなり低いのですが。是非、CDかAmazon Unlimited MDなどで聴いてみてほしいです。

フェドセーエフはNHK交響楽団への客演もあり、このときも弦楽セレナードを演奏しています。名演でしたが、モスクワ放送交響楽団のような音は簡単には出せないですね。モスクワ放送交響楽団だと、やはり寒さを感じる響きなのです。

なお、チャイコフスキー交響楽団は、旧モスクワ放送交響楽団が改名したものです。ですので、同じオーケストラです。あとは録音の状態などありますが、音質は3番目のチャイコフスキー交響楽団に改名した後の録音が新しい分良いですし、フェドセーエフの円熟も感じられますね。

実は筆者は生演奏でも聴いたことがあって、それは弦楽合奏というよりもまるで舞台の床全体から音が鳴っているようで驚きました。これまでは、いずれもなかなか入手が大変な名盤でした。

新しいアルバムで在庫があったので掲載しておきます。カップリングの「ロココの主題による変奏曲」も名演です。またAmazon Unlimitedでも簡単に聴ける時代になりました。本当に素晴らしい名盤です。

また、ロジェストヴェンスキーのチャイ4のカップリングで入っている弦楽セレナードも在庫があるようなので、貼っておきます。

このコンビの得意曲なので、どの演奏をとっても完成度は高いです。録音の音質は新しいほうが良いですけど。

  • 名盤
  • 芳醇
  • 民族的
  • お国物

超おすすめ:

指揮ウラジーミル・フェドセーエフ
演奏モスクワ放送交響楽団

1992年,モスクワ放送大スタジオ(ステレオ/セッション)

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小澤征爾=サイトウキネン・オーケストラ

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

指揮:小澤征爾、サイトウ・キネン・オーケストラ

弦楽セレナーデは小澤征爾の師匠である斉藤秀雄が指揮法の授業で伝授した曲です。師匠の名前を冠したサイトウキネン・オーケストラとの挙げてみたいと思います。

小澤征爾がチャイコフスキーを得意としているか?は意見が分かれるかも知れませんが、弦楽セレナードは本当に沢山の回数、演奏してきただけあって、すごい集中力で完全に骨身に染みついている感じです。

病気からの復活公演での演奏で、とても集中度の高い名盤になっています。意外に早めのテンポで始まり、とても復活公演と思えない音楽作りです。

上に貼ったYouTubeは小澤征爾の指揮ぶりは、若いオーケストラの演奏ですが、乱れはありますがスリリングな演奏になっています。サイトウキネン・オーケストラだと大編成ですが、全く重さを感じさせず、スリリングな演奏になっていて、やはり凄い名盤だと思います。

サイトウキネンオーケストラのアンサンブル力も素晴らしく、大編成でありながら、少しの乱れもないのは驚くべきことです。やはり得意曲だけあって、鍛えられ方が違うのでしょうね。

カラヤン=ベルリン・フィル

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

指揮:カラヤン(ヘルベルト・フォン)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

弦楽セレナードはカラヤン=ベルリンフィルが得意としているレパートリーです。ベルリンフィルの弦の分厚さが堪能(たんのう)できます。

ロシア人の演奏と違って、チャイコフスキーとしてゴージャスな所が好みの分かれ目かなと思います。凍てついた大地って感じではないですからね。

踊りの音楽であるバレエ音楽の演奏でここまで派手にやられると、ちょっと違うんじゃないか?と思ってしまいますが、弦楽セレナードならこういう演奏もアリかなと思います。カラヤンらしい名盤です。

コリン・デイヴィス=バイエルン放送交響楽団

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

指揮コリン・デイヴィス
演奏バイエルン放送交響楽団

1987年1月5-8日(ステレオ/セッション)

コリン・デイヴィスとバイエルン放送交響楽団の演奏です。

第1楽章ドイツのオケらしい重厚な響きです。出だしを少しふわっとさせているところはさすがコリン・デイヴィスです。優雅な音楽なので、ダイナミックすぎるのも相応しくないですね。主部に入ると少し遅めのテンポでスケールの大きな音楽が展開されて行きます。力を抜いて軽やかに演奏しており、優雅さもあります。編成が大きいので重厚さがある響きになりますけれど。第2楽章は打って変わって小回りの利いたワルツになります。ワルツはお隣のオーストリアのオケは上手いですが、バイエルン放送響も厚みはありますが、軽妙なワルツのリズムで上手く演奏しています。第3楽章は、この演奏で一番の聴き所です。芳醇な響きでスケールが大きく盛り上がります。じっくり味わい深く聴けます。第4楽章は適度にスケールが大きく重厚さがあります。

バイエルン放送交響楽団はドイツのオケの中でもドイツらしい重厚さとパワーを持っているので、彼らの特徴を活かした名演です。コリン・デイヴィスは上手くコントロールして、重厚になりすぎたり、荒くなったりしないようにしていて、品格の保たれた演奏になっています。

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