ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30

この曲はロマンティックな第2番と同様人気曲です。ただ初心者は最初のうちは聴きづらいかもしれません。ピアノの難所が長い間つづくからです。

歴史上、数あるピアノ協奏曲の中でも、このピアノ協奏曲第3番は、技術的・音楽的の双方の面で「最高の難曲」とされています。アルゲリッチなど、一部のピアニストはピアノ協奏曲第2番は弾かず、この第3番のみ名盤を残している位、ピアニストの中でも特別な曲です。第1楽章の冒頭、第3楽章の主題は有名なメロディです。

お薦めコンサート

🎵プレトニョフ ラフマニノフピアノ協奏曲全曲演奏会

2023/9/13(水) 19:00開演 東京オペラシティ

ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第1番 嬰へ短調 Op.1
ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18

■2023/9/21(木) 19:00開演 東京オペラシティ

ラフマニノフ
ピアノ協奏曲第4番 ト短調 Op.40
ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30

解説

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ラフマニノフピアノ協奏曲第3番を解説してみます。

作曲の経緯と概要

セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30は、1909年夏にタンボフ州イワノフカの別荘で作曲されました。初演は、1909年11月28日にニューヨークのカーネギーホールにて、ラフマニノフ自身のピアノとウォルター・ダムロッシュ指揮ニューヨーク交響楽団にて行われました。

タンボフ州イワノフカの別荘の場所は以下ですね。モスクワの南のほうで、ロシアの中では暖かいのでしょうね。

作曲したタンボフ州イワノフカの別荘の場所

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番はピアノ・ソロが超絶技巧で、難曲として有名ですが、ロマンティックで有名なピアノ協奏曲第2番と共にラフマニノフを代表する作品です。どちらも人気があり、甲乙つけがたいです。

聴くほうとしては、ピアノ協奏曲第2番のほうが断然聴きやすいです。ピアノ協奏曲第3番は、分かりやすく抑揚をつけた演奏でないと、45分という長めの演奏時間もあって飽きやすいです。ラフマニノフ本人ですら、カットして演奏していたくらいです。始めて聴く方には、アルゲリッチ盤をお薦めします。もっとも、このページに挙げている録音はいずれも飽きずに聴き通せるレヴェルのものばかりですけれど。

またピアニストによって第2番、第3番のどちらかしか演奏しない場合もあり、好みが分かれるところのようです。例えばマルタ・アルゲリッチはピアノ協奏曲第3番しか録音していません。

ピアノ協奏曲史上、最高の難曲

献呈された当時の名ピアニストであるヨーゼフ・ホフマンも、「この曲は私に合わない」「私は手の大きさが小さすぎる」などといって、コンサートでは一度も演奏しませんでした。(ならば、なぜ献呈を受けたのだ…)

どこが難しい、というより曲全体が難所のかたまりなのです。リストのように技巧を見せつけるために難しい曲になったのではなく、ラフマニノフの音楽的要求から結果としてピアノソロが難しくなったのです。

音楽映画「シャイン」にも使われました。

オーストラリア出身の天才ピアニスト、デビッド・ヘルフゴットが、苦難を乗り越え演奏家として再起するまでを描いた感動ドラマ。

若手のピアニストによる演奏

当時のピアニストには演奏が難しかったようですが、若手の中でピアノ協奏曲第3番をレパートリーに組み込むピアニストが登場してきます。

中でもホロヴィッツが有名です。ウラディミール・ホロヴィッツはピアノ協奏曲第3番を「私の曲」と呼んでいました。自作自演の録音の前、1930年にピアノ協奏曲第3番を世界初録音しています。その後、2回録音しています。

また、ヴァルター・ギーゼキングは、2種類のカデンツァで難易度の高い「オッシア」を弾いていた数少ないピアニストの一人です。

クライバーンの演奏

そして、1958年に初開催されたチャイコフスキー国際コンクールで、ピアノ部門第一位となったヴァン・クライバーンが本選でこの曲を演奏したことから、さらに多くのピアニストがチャレンジするようになりました。

最近では多くのピアニストがピアノ協奏曲第3番を弾いていますが、中でもアシュケナージはこの作品を4度録音しており、2種類のカデンツァを弾き分けています。

ラフマニノフ本人は、ピアノ協奏曲第3番の演奏のほうは若手に任せ、カットして演奏しています。自作自演の録音でもカットがあります。

曲の構成

全曲で45分というのは、交響曲なら良くありますが、3楽章構成のピアノ協奏曲としては長いです。全体的にピアノソロの部分が長く、特に第1楽章のカデンツァは壮大です。

第1楽章 (Allegro ma non troppo)

自由なソナタ形式で書かれています。第1楽章の第一主題は有名です。この主題は全曲を通して出てきます。静謐でロマン的な雰囲気の中に激情が秘められている音楽です。
第1楽章に展開部から再現部への移行部にカデンツァがありますが、2種類のカデンツァがあります。
1.「オリジナル」(小カデンツァ)
2.「オッシア」(大カデンツァ)

いずれにしても13~17分かかる長いカデンツァです。

第2楽章 (Intermezzo: Adagio)

三部形式と変奏曲の2つを合わせ持つ形式で書かれています。

第3楽章 (Finale: Alla breve)

ラフマニノフ独自の自由なソナタ形式です。ピアノソロのパッセージの細かさが印象的です。第3楽章のリズムはラフマニノフらしい舞曲のリズムが入っています。シンプルな曲ではありませんが、後半の盛り上がりはなかなか華麗です。

「ラフマニノフ終止」で終わります。「ジャンジャカジャン」という終わり方ですね。

ラフマニノフ終止ピアノ協奏曲第2番でも使われています。吹奏楽のマーチでよく使用されていたものを使ったものです。まあ、「ラフマニノフ終止」と特別命名するほどのものでもありませんが、ピアノ協奏曲で使用するのは珍しいですね。

おすすめの名盤レビュー

ラフマニノフピアノ協奏曲第3番のおすすめの名盤をレビューしていきます。

あまり聴いたことが無い人が、この曲を攻略するには、長いピアノ独奏部分が聴きやすい演奏が良いと思います。そうするとアルゲリッチ盤ユジャ・ワン盤が最右翼です。ブニアティシヴィリ盤は、ロシア的な味わいがあってお薦めです。ヴォロドス盤は重厚と言える位のダイナミックさがあり、こちらも聴きやすい演奏です。アシュケナージ盤はラフマニノフに対する理解が深く、非常にレヴェルの高い名盤です。

ブニアティシヴィリ,パーヴォ・ヤルヴィ=チェコ・フィル

力強く情熱的な名盤、民族的な響きも感じられる
  • 名盤
  • 定番
  • 情熱的
  • 民族的
  • 高音質

超おすすめ:

ピアノカティア・ブニアティシヴィリ
指揮パーヴォ・ヤルヴィ
演奏チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

2016年11月11,12日,プラハ,ルドルフィヌム (ステレオ/デジタル/セッション)

カティア・ブニアティシヴィリロシアのグルジア出身のピアニストです。ブニアティシヴィリ力強く情熱的で、素晴らしい超絶技巧の持ち主です。伴奏は知的で才気だったP.ヤルヴィとチェコフィルという豪華な組み合わせです。チェコ・フィルはビロードのようなコクのある弦の響きがあり、ラフマニノフにも良く合います。

この曲はピアノの華麗なソロが続く曲なのですが、ブニアティシヴィリは第1楽章最初から速いテンポで飛ばしていて、ガンガン弾いていき、そのテクニックには舌を巻きます。ブニアティシヴィリは中央アジアのジョージア(グルジア)出身です。美人の国として有名なアルメニアの隣です。情熱的な舞曲で有名なハチャトゥリアンの出身地でもあります。アルゲリッチ盤とはまた異なる、力強く情熱的で民族的で官能的な響きを持っています。また、少し影のある表現でセンスにも富んでいます。

第2楽章は冒頭のオケも繊細で素晴らしく、そこに色彩感のある雰囲気でピアノが入ってきます。力強さと抒情性を兼ね備えた演奏です。中間の民謡風な所も、凄い技巧を聴かせてくれます。女流ピアニストですが太い音色で、難所をしっかり弾ききっています。情熱的ですが、技術的にはとても安定しています。オケは民族的な表現も上手いですが、P.ヤルヴィの指揮のもと知的な演奏を繰り広げています。

第3楽章速めのテンポで積極的で力強く技巧的です。ロシア的な民族性を出してきたり、いろいろなボキャブラリーを見せてくれます。鮮やかなテクニックですが、音色が少しくすんだ民族性を感じるもので、技巧ばかりが前面に出ることなく、味わい深さもある演奏です。色彩感が必要な個所は、スケールが大きくオーロラのようです。またピアノもオケもリズム感が良いです。

ブニアティシヴィリは技巧的に素晴らしいですが、それだけではなく情熱と味わいのある音楽を聴かせてくれます。伴奏は、P.ヤルヴィのアンサンブル力といい、チェコフィルの響きと言い、ピアノと方向性がとても良くあっていて好サポートです。

アルゲリッチ,シャイー=ベルリン放響

色彩的で情熱的、アルゲリッチらしい名演
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩的
  • ライヴ

超おすすめ:

ピアノマルタ・アルゲリッチ
指揮リッカルド・シャイー
演奏ベルリン放送交響楽団

1982年12月,ベルリン (ステレオ/デジタル/セッション)

マルタ・アルゲリッチのピアノ独奏とシャイー、ベルリン放送響の伴奏のディスクです。アルゲリッチはラフマニノフは第3番を好んで録音していますが、鮮やかで流麗な色彩感溢れる名盤です。シャイーの伴奏も上手く熱気があり、トータルでとても白熱していて、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の魅力を十二分に引き出しています。ライヴですが音質は安定しています。演奏の熱狂ぶりはライヴ特有かも知れませんが、ピアノ演奏は完璧でライヴとは思えないレヴェルです。

第1楽章の入りからして早いテンポで色彩的、さりげない情緒もあります。テンポが速いこともあって、とても聴きやすくこの第3番の良さがすぐに分かります。ピアノ協奏曲第2番並みに分かりやすく、アルゲリッチの世界観にあっという間に引き込まれます。アルゲリッチは細かいパッセージを速いテンポでいとも簡単に弾いていきます。アルゲリッチらしいスペイン風の色彩感というのでしょうか、色彩的なピアノで長いソロやカデンツァも集中力が高く、表現のボキャブラリーが豊富です。スリリングに演奏したかと思えば、オーロラのような圧倒的なスケールを引き出したり、テンポ取りも細かいルバートがかかっています。

第2楽章ピアノは圧巻で、とても印象的な表現が随所に見られます。ラフマニノフが曲に埋め込んだ様々な要素を、音にしていきます。アルゲリッチのテクニックが素晴らしいのは当然で、インスピレーション溢れる表現が聴き物です。ピアノの表現の可能性を極限まで追求したこの曲の凄さを、インスピレーション豊富に再現しています。他の演奏では聴けない世界観ですね。オケもスケールの大きな演奏です。

第3楽章速いテンポでとても華麗です。オーケストラとの息も良く合っています。ピアノは妖艶で力強く、華麗でリズミカルで、曲が進むとどんどん白熱していきます。最後の盛り上がりもとても色彩的で、素晴らしいです。

こんな演奏を一生一度は実演で聴いてみたいものですね。

アシュケナージ,ハイティンク=コンセルトヘボウ管

抒情性に溢れたロマンテックなラフマニノフ
  • 名盤
  • 定番
  • 抒情的
  • ロマンティック
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノウラディーミル・アシュケナージ
指揮ベルナルド・ハイティンク
演奏ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

1985年5月,1986年11月 (ステレオ/デジタル/セッション)

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アシュケナージはピアノ協奏曲第3番でも多数の名盤を残しています。ここではハイティンクとアムステルダム・コンセルトヘボウ管が伴奏を務めた完成度の高い名盤を紹介したいと思います。録音も新し目でしっかりした音質です。

第1楽章は速めのテンポで始まります。アシュケナージ独特のしなやかなタッチを聴かせてくれますが、オケが主題を演奏し始めると、ピアノの細かいパッセージを華麗に弾き始めます。ラフマニノフが得意なヴィルトゥーゾの演奏という感じですね。伴奏のオーケストラも、非常に素晴らしいです。ハイティンク=コンセルトヘボウ管は、ラフマニノフらしいロシア的な響きで、特に弦セクションにコクがあって味わい深いです。

またアシュケナージのピアノの語彙の豊富さに驚かされます。しなやかで清潔に演奏したり、華麗に細かいパッセージを弾いてみたり、ロシア的な響きを出してみたり、とじっくり聴いてみると色々に変化していて、一本調子になると飽きやすいこの曲を面白く聴かせてくれます。

第3楽章はかなりテンポが速く華麗ですね。アルゲリッチの色彩的で華麗な響きも素晴らしいですけど、アシュケナージの演奏は大分違う方向の演奏で、オケの響きの素晴らしさも含めて、表情豊かな名盤です。

ユジャ・ワン,ドゥダメル=シモンボリバルオーケストラ

色彩感とさわやかさ、スリリングな名盤
  • 名盤
  • 繊細
  • スリリング
  • 色彩的
  • ライヴ
  • 高音質

超おすすめ:

ピアノユジャ・ワン
指揮グスターヴォ・ドゥダメル
演奏シモン・ボリバル・オーケストラ

2013年2月,カラカス (ステレオ/デジタル/ライヴ)

ユジャ・ワンはテクニックと繊細な表現力を持ったピアニストです。ドゥダメル=シモン・ボリバル・オーケストラが一応アマチュアとはいえ、驚くべき優れた演奏をするオケです。この演奏は期待を大幅に超えた名演奏です。録音もとても良いです。ユジャ・ワンは色彩的で変幻自在ですが、聴きやすい表現の演奏です。深みがない、という人もいるかも知れませんが、まだそこまでベテラン・ピアニストと比較できる年代でもないですしね。この曲では変幻自在で集中度の高い演奏を繰り広げています。

第1楽章から速いテンポで情熱的かつ色彩感があり、ファンタジー溢れるしなやかな演奏です。表現に繊細さがあり、しなやかに入ってきます。弦の主題もノビノビとラフマニノフらしい演奏です。テンポアップしても全く当たり前のように難しいパッセージを弾いていきます。カデンツァとてもスリリングでオーロラのように圧倒的な色彩感と鮮やかさです。その自由なテンポにドゥダメルは上手くしなやかに伴奏をつけていて、管楽器は白熱してもピアノとピッタリです。余程リハーサルをしたのか、ドゥダメルの才能なのでしょうか。ユジャ・ワンはしなやかな弱音で弾く場面も多いですが、オケは決してそれを上回る音量で演奏することはありません。ライヴで結構白熱していて、テンポも速めでスリリングなのに、こんなに息のあった演奏はなかなか聴けないレヴェルです。

第2楽章オケの伴奏はまるでロシアのオケのように、ロシアの大地を感じさせる演奏です。ピアノは難しいパッセージが続きますが、ユジャ・ワンは東洋的な繊細な表現と色彩的な響きで弾ききっています。特に細かいパッセージはとてもクオリティが高いです。

第3楽章かなり速いですが、超絶技巧できれいに弾ききっていますリズム感の良さは折り紙付きです。ライヴですが、ミスタッチや響きの濁りはありません。オケは少し荒いですが、とても白熱しています。オケのリズム感も折り紙付きですね。ラストはピアノもオケも物凄いスパートですね。拍手も熱狂的です。

ロマンティックな表現の中にもラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を俯瞰的に聴くことが出来る、しっかりした構築力を伴っていることを書いておきます。この演奏は速めのテンポで、曲の構造が聴き取れる、という意味では適正なテンポ取りかも知れません。自作自演もテンポが速いですしね。

ジルベルシュテイン,アバド=ベルリン・フィル

  • 名盤
  • 定番

ピアノリーリャ・ジルベルシュテイン
指揮クラウディオ・アバド
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1993年9月,ベルリン (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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ヴォロドス,レヴァイン=ベルリンフィル

ヴィルトゥオーゾの重厚でメリハリのある熱演!
  • 名盤
  • スケール感
  • ダイナミック
  • お国物
  • 高音質
  • ライヴ

おすすめ度:

ピアノアルカーディ・ヴォロドス
指揮ジェームズ・レヴァイン
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1999年6月20-23日,フィルハーモニー,ベルリン (ステレオ/デジタル/ライヴ)

ピアノ独奏のヴォロドスは技術でも世界で一二を争うヴィルトゥオーゾです。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、ロシア人ヴォロドスにとってお国モノです。でも、この演奏を聴く限り「難曲」とか「ラフマニノフ最高の協奏曲」などのように、構えて聴く必要はないです。ラフ3として熱く楽しく聴ける演奏です。

ダイナミックな熱演を繰り広げています。ライヴだからということもあるかも知れません。レヴァイン=ベルリンフィルもダイナミックな伴奏をつけています。もちろんダイナミックさが全曲続くわけではなく、ダイナミックな所もあれば、繊細でロマンティックな表現の所もあります。大カデンツァを弾いていますが、長いピアノ独奏でも抑揚が上手くついていて楽しめます。

第3楽章主題がリズミカルに弾いています。最後はオケも上手く大迫力で、ベルリンフィルのパワーに負けることなくピアノも対等に演奏しきっています。聴いた後の満足感も高いです。最後の拍手も凄いブラヴォーコールです。

難曲の第3番にあって、ライヴなのにテクニックが安定していて、全体を通して全く破綻がないのは凄いことです。聴いて分かり易く、クオリティの高い名盤です。

シェリー,トムソン=ロイヤル・スコティッシュ管

色彩的で力強いピアノと程よい残響
  • 名盤
  • 洗練
  • 色彩的
  • ダイナミック
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノハワード・シェリー
指揮ブライデン・トムソン
演奏ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

ラフマニノフ弾きとして知られるハワード・シェリーのピアノによる全曲録音です。伴奏のトムソン、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団も色彩感のある音色で良い伴奏を付けています。録音は残響が適切で高音質です。

ロマンティックで色彩的なピアノですが、過剰にロマンティックに浸ることは無く、ラフマニノフの協奏曲の持っている魅力をストレートに引き出しています。

ラフマニノフ自作自演

貴重な歴史的名盤
  • 歴史的名盤
  • 定番
  • スリリング
  • 超絶技巧

超おすすめ:

ピアノセルゲイ・ラフマニノフ
指揮ユージン・オーマンディ
演奏フィラデルフィア管弦楽団

1939年,1940年 (モノラル/アナログ/セッション)

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ラフマニノフ自身がピアノソロを弾いた自作自演です。1939年の録音ですから、もちろん録音は古く、音質も悪いですね。それを知ったうえで聴いてほしい歴史的名盤です。なにしろ作曲者自身の演奏ですから、これからいろいろな演奏を聴くうえでも、もしかして演奏するうえでも重要な示唆を与えてくれることは間違いありません。

ピアノ協奏曲第3番は作曲者自身もカットして録音しています。確かに聴き始めの人にとっては、このピアノ協奏曲で45分という時間は長いと感じられますから、当時のピアニストもカットして演奏していたそうです。

ラフマニノフのピアノは非常に技術レヴェルが高く、1939年の録音とは思えないほどしっかり録音されています。第1楽章は速いテンポで、アルゲリッチ盤よりも早いテンポです。ロマンティックな感情表現はそれほど強調せず、そのため現代の演奏にも通じる知的な解釈でバランスが良いです。実際は、感情表現の豊富な曲なので、それでも十分ロマンティックな面が出ています。色彩的な表現もそれほどなく、フィラデルフィア管弦楽団という当時最も色彩的なオケをバックに演奏しているのに、それを強調することはありません。

第2楽章もカットされていますが、すっきりした演奏です。それでも物足りなさは無く、自分で作曲した曲なので深く知り尽くして、必要最小限の表現で十分なのだと思います。ラフマニノフの超絶技巧の凄さは良く伝わって来ます。オケは色彩感たっぷりに演奏していますが、録音の古さも感じますね。第3楽章も速いテンポで超絶技巧です。1930年代ですが、現代でも十分通用するテクニックです。リズミカルでスリリングに盛り上がります。

オーケストラはポルタメントの使用が目立ちますが、これは当時の流行で、さらに前のブラームスの時代にはヴィブラートよりもポルタメントのほうが頻繁に使われていたと言われています。ラフマニノフのピアノ演奏を聴く、というだけでも貴重な名盤ですが、予想を超えて内容が素晴らしく、録音が良ければ現代でも十分通用する名演です。

クライバーン,コンドラシン=モスクワ・フィル

チャイコフスキー国際コンクールから帰国、ミリオンセラーの歴史的名盤
  • 歴史的名盤
  • スリリング
  • 超絶技巧
  • ライヴ

おすすめ度:

ピアノヴァン・クライバーン
指揮キリル・コンドラシン
演奏モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

1958年4月11日,モスクワ,第1回チャイコフスキー国際コンクール本選ライヴ (モノラル/アナログ/ライヴ)

チャイコフスキー国際コンクール・ファイナルでの演奏です。コンドラシン=モスクワフィルの素晴らしい伴奏の元、クライバーンは輪郭のはっきりした分かりやすい演奏です。おそらく上に貼ってあるYouTubeの映像と同じ演奏のように思いますが、情報が少ないので何とも言えないですけれど。

クライバーンのテクニックの素晴らしさもよく分かります。若さとストレートな情熱で演奏していて、円熟した巨匠の演奏とは違いますが、こういう演奏も素晴らしいですし、ピアノ協奏曲第3番の入門に良い演奏と思います。

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演奏の映像(DVD,BlueRay)

ピアノの難曲として知られるラフマニノフの3番ですが、そのテクニックを映像で楽しむこともできます。

ブロンフマン,ラトル=ベルリン・フィル

  • 名盤
  • スリリング
  • ダイナミック
  • 高音質
  • ライヴ

おすすめ度:

ピアノイェフィム・ブロンフマン
指揮サイモン・ラトル
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2009年6月21日,ベルリン,オリンピックスタジアム (ステレオ/デジタル/ライヴ)

ピアノ:クライバーン, コンドラシン=モスクワ・フィル

  • 歴史的名盤
  • 定番

ピアノヴァン クライバーン
指揮キリル・コンドラシン
演奏モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

1958年,モスクワ音楽院大ホール (ステレオ/アナログ/セッション)

DVD,Blu-Rayをさらに探す

楽譜・スコア

ラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第3番の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

ミニチュアスコア

大判スコア

ピアノ2台編曲版

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