セルゲイ・ラフマニノフ (Sergei Rachmaninov,1873-1943)作曲のパガニーニの主題による狂詩曲 Op.47 (Rhapsody on a Theme of Paganini Op.47)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。
解説
ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲 Op.47について解説します。
ラフマニノフは1909年にアメリカに渡りますが、どうもアメリカの土地に合わなかったようで、ピアノの演奏活動は活発でしたが、作曲活動が後退してしまいました。1934年にラフマニノフはスイスのルツェルン湖畔に別荘を建て、それ以降毎年夏の間だけ、そこで作曲活動を行いました。そして、ラフマニノフの最後のピアノ作品である『パガニーニの主題による狂詩曲』も作曲されました。
『パガニーニの主題による狂詩曲』は変奏曲であり、パガニーニのヴァイオリン「24の奇想曲」の第24番の主題を引用し、これを24回変奏するという曲です。途中、ベルリオーズの幻想交響曲第5楽章でも使用された「怒りの日」の旋律も引用されています。ピアノ・ソロとオーケストラの編成という意味ではピアノ協奏曲ですが、楽曲の形式は変奏曲なので、ラプソディ(狂詩曲)としたのでしょう。ピアノ・ソロは鮮やかで技巧的に書かれています。
パガニーニの作品から引用した主題は親しみやすいもので、非常に有名なメロディです。「怒りの日」の旋律も有名です。それらの旋律を引用した時点で分かり易く、聴衆にも受け入れられやすいことは明らかですね。また、変奏の中でも第19変奏は有名です。もちろん、それだけではなくピアノとオケの絡み方や変奏の仕方も機転が利いていて、陰影の差が大きく、後期の作品に共通したリズムのスリリングさもあり24回も変奏しても全く飽きない円熟した音楽です。
初演は1934年11月にアメリカのボルティモアにおいて、ラフマニノフ自身のピアノとストコフスキーの指揮により行われました。初演は好評を博しました。
おすすめの名盤レビュー
それでは、ラフマニノフ作曲パガニーニの主題による狂詩曲 Op.47の名盤をレビューしていきましょう。
反田恭平,バッティストーニ=東京フィル
前半はピアノのほうがオケよりも目立ちますが、ピアノの反田恭平はしっかりしたタッチと鋭い表現力で、スリリングにオケを引っ張っていきます。オケもバッティストーニの指揮のもと、シャープでスリリングな演奏を繰り広げています。有名な第19変奏は繊細に表現しています。後半はオケも活躍しますが、バッティストーニは東京フィルを自在に操り、非常にスリリングでダイナミックな演奏を繰り広げていて、伴奏陣のレヴェルの高さも感じられます。新しい録音で音質がとても良いです。
辻井伸行,ペトレンコ=ロイヤル・リヴァプール・フィル
ピアノ:カッチェン,ボールト=ロンドン・フィル
ピアノ:マツーエフ,ゲルギエフ=マリインスキー劇場管弦楽団
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楽譜・スコア
ラフマニノフ作曲のパガニーニの主題による狂詩曲 Op.47の楽譜・スコアを挙げていきます。