ブルックナー 交響曲第9番

アントン・ブルックナー (Anton Bruckner,1824-1896)作曲の交響曲第9番 ニ短調 (Symphony No.9 d-moll)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

解説

ブルックナー交響曲第9番について解説します。

なかなか進まない作曲

ブルックナーは交響曲第7番の成功により、交響曲作曲家としての地位を確固たるものにしました。

しかし、だんだん認められては来たものの、ブルックナーの交響曲は、当時としては演奏しにくい交響曲であり、その後も問題が続きます。交響曲第8番は今でこそ、完成されたブルックナーの交響曲として、非常に高い評価を受けていますが、作曲された当時は初演を拒否されて改訂し、スケルツォの中間部を入れ替えるなど、それまで通りの紆余曲折を続けていました。

交響曲第9番は1887年8月に着手されました。この時、第8番の第1稿は完成していましたが、演奏拒否により初演できず、そのため交響曲第9番の作曲は延期し、第8番の改訂やミサ曲の改訂、またさらに以前の交響曲の改訂などを行ったため第9番の作曲ができないまま、主に改定作業で数年間が過ぎてしまいました。

交響曲第9番の作曲は1891年になってやっと再開することが出来ました。そして1894年に第3楽章まで完成させます。再開した後も、かなり時間がかかっていますね。

ブルックナーは健康状態が思わしくなく、5階の部屋への階段の上り下りにも苦労する状態でした。そこで、オーストリア皇帝の配慮でベルヴェテーレ宮殿の平屋の管理人用住居が与えられました。

そこで最後の第4楽章の作曲を続けましたが、完成する前に世を去ってしまいます。1896年10月11日のことでした。

死期を悟ったブルックナーは、第4楽章の代わりに『テ・デウム』を演奏することを希望しています。

しかし、各楽章とも20分以上の大作であり、規模が大きく完成度も『テ・デウム』より高いことから、第3楽章までで演奏を終えるのが普通です。

初演

初演は1903年2月11日に、ブルックナーの弟子の一人であるレーヴェの指揮によるウィーンフィルの演奏で行われました。しかし、この時、演奏されたのはレーヴェにより改訂されたヴァージョンでした。この曲の特徴であるグロテスクさのある不協和音などは、変えられていました。

その後、弟子たちの改訂を取り除いた原典版を作成することが出来ました。これは1930年代になってやっと演奏されています。

現在のバージョンはハース版とノヴァーク版がありますが、ブルックナーの書いた原典版をもとに作成されており、極端な差はありません。

曲の構成

未完成の交響曲第9番ですが、通常の4楽章構成を目指して作曲されました。ベートーヴェンの交響曲第9番と同じニ短調であること、第3楽章にスケルツォを置いていること、などが特徴です。

全体的にスケールが大きく、神秘的で、宇宙的といってもいい位です。筆者の考えですが、交響曲第8番が人間界のブルックナーの最高傑作とするなら、交響曲第9番は天上界の音楽を目指したのではないかと思ってしまいます。それだけ崇高な響きを保ち、他の交響曲とは少し違った作品になっています。

第1楽章:荘厳に、神秘的に

ソナタ形式です。3つの主題を持っています。20分以上もかかる壮大な楽章です。ブルックナー開始(トレモロ)で始まりますが、クレッシェンドし、金管楽器を中心としたトゥッティにより壮大な第一主題が提示されます。その後、穏やかな弦による第2主題、第3主題が現れます。最後は壮大にダイナミックに終わります。

第2楽章:スケルツォ

シンプルなスケルツォです。ですが、空間のスケールの大きさを感じさせます。中間部はテンポが速くなり、軽快な音楽になりますが、全体的に神秘的な雰囲気を維持しています。

第3楽章:アダージョ(穏やかに、荘厳に)

拡大されたソナタ形式です。まず激しい表現を伴って盛り上がります。オーケストレーションは簡潔ですが、不協和音を上手く使って荘厳な雰囲気を持っています。

終盤の盛り上がりはグロテスクで破局的です。筆者の個人的な感覚では、まるで天上(界)が落ちてきたかのような、圧倒的な破局を感じます。ブルックナーは教会のオルガン奏者であったわけで、終始キリスト教とは縁が切れないのですが、第9番は宗教的な要素が特に多いと思います。音楽なので、宗教の知識とは無関係に、この辺りの圧倒的な迫力は感じられると思います。

最後は、自身の交響曲第8番第3楽章の冒頭や第7番第1楽章の第1主題などが、回想され、平穏な雰囲気で曲を閉じます。

第4楽章:(未完成)

第4楽章は未完成ですが、作曲に着手していて、素材を書いたスケッチは多く存在します。そこから他の作曲家が引き継いで完成されたバージョンも存在します。

おすすめの名盤レビュー

それでは、ブルックナー作曲交響曲第9番名盤をレビューしていきましょう。

ヴァント=ベルリン・フィル

  • 名盤
  • 定番
  • 円熟
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮ギュンター・ヴァント
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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ヴァントは晩年にいくつか第9番の録音を残しています。ミュンヘンフィルとのディスク、手兵北ドイツ放送交響楽団とのディスクなどです。第9番は宇宙的とも言える位、スケールの大きな曲であり、ベルリンフィルの金管などスケールの大きさ、透明でクールな響きがとても良い方向に出ていて名演です。

第1楽章は、鳴らし過ぎず、非常に峻厳さのある引き締まった演奏となっています。ベルリンフィルの機能性を活かしていて、壮麗かつ透明感が素晴らしいです。しかし、必要以上のスケールの大きさはあえて控えて、その代わりに密度の濃い演奏になっています。第2楽章のスケルツォは速めのテンポでリズミカルに演奏しています。これだけ円熟していても、簡単にはテンポを遅くしないで、緻密さを保っています。初心貫徹ですね。

第3楽章はスケールの大きなゆったりした演奏が多い、というか、筆者の愛聴盤が朝比奈隆盤だから、というのもありますけれど、そういう演奏になってはいません。少しグロテスクさのある和音をきちんと鳴らして、複雑な世界を作っていきます。長い楽章ですが、終盤の盛り上がりでの何とも表現しにくい独特の世界は、そういった真摯な音楽の積み重ねの結果として、必然的にそうなったのだ、と思います。このまるで天上が落ちてくるような不思議な世界観を表現していて、ブルックナーが完成させた最後の楽章の凄みを感じざる負えませんね。もしかするとブルックナーもシューベルトの「未完成」のように予定より凄い音楽を書いてしまい、第4楽章がなかなか書けなかったのかも知れない、と思ってしまいます。

カラヤン=ベルリン・フィル

  • 名盤
  • 定番
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1975年9月13-16日,ベルリン,フィルハーモーニー

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カラヤンにはベルリンフィルといくつかの録音があって、それぞれ大分演奏スタイルが異なります。

1960年代の録音だとかなりダイナミックなようです。ここでは、1975年から始まった全集録音の演奏をレビューしたいと思います。

第1楽章ベルリンフィルのパワーを活かして、金管が凄い音圧です。第2楽章はベルリンフィルのトゥッティで分厚い弦が重厚な響きを出しており、神々の音楽を感じさせます。

第3楽章もカラヤン=ベルリンフィルの最盛期の録音らしく、分厚い響きを惜しげもなく響かせています。クレッシェンドしていってその頂点は凄い響きです。カラヤンのドライなアプローチが功を奏した演奏です。当然、グロテスクな不協和音もそのまま演奏するので、凄い響きの空間になります。ただ、テンポが遅くなっていることもあって、そこまで破滅的な音楽にはなっていません。

第9番は、カラヤン=ベルリンフィルでも特に素晴らしい名盤ですね。

朝比奈隆=大阪フィル

  • 名盤
  • 円熟
  • ダイナミック
  • 宇宙的

超おすすめ:

指揮朝比奈隆
演奏大阪フィルハーモニー管弦楽団

1994年

朝比奈隆のブルックナー第9番は、ヴァントよりも沢山の録音があります。この1994年の録音は当時の大阪フィルとしても凄い名演だったのではないかと思います。その後、2001年の録音があり、これが一番出回っている録音ですね。ただ、もう90代の演奏なので老化が感じられると言われていて、一番世評が高いのは1995年の録音のようです。これは1994年なので違うのですかね。

またNHK交響楽団との録音もあります。筆者としては、1980年の新日本フィルとの録音が懐かしいです。新日本フィルは日本のオケの中では金管が強いので、最初から思い切り鳴らしているのですが、トロンボーンがいい所で音を外してしまっています。でも、演奏スタイルはその頃からあまり変わっていません。

大阪フィルは少なくともベルリンフィルのような凄いオケではありませんが、やはり手兵だけあって、技術的には上手いはずの都響との演奏よりもずっと名演です。北ドイツ放送交響楽団など、ヨーロッパのオケへの客演もあったはずですが、やはり大阪フィルには敵わないですね。

第1楽章ピアニシモから盛り上がって金管の咆哮に至るまで、とても息の長いクレッシェンドです。ここはヴァントとは全く違う点で、スケールが非常に大きく、宇宙的といいたくなるような演奏です。朝比奈隆の円熟と風格で厳しさや密度がそこまで無くても、ブルックナーの9番の世界を一番よく表した演奏だと思います。1980年の新日本フィルとの演奏と比べて大枠同じスタイルですが、細かい表現のボキャブラリーが増えています

第2楽章はスケルツォの軽快さというよりも、重厚さのある演奏です。音符の長さが印象的ですね。最初は響きの悪いホールを補うようなアイデアだったのかも知れませんが、今では完全に定着して、朝比奈隆の特徴の一つになっています。筆者としては、スケルツォは軽快にやってもらったほうが好みなのですが、日本人はあまり3拍子系は得意ではないということかも知れません。中間部は非常に美しく、表現の幅が大分増しています。

第3楽章もスケールの大きな演奏です。長大な緩徐楽章を心情豊かに演奏しています。風格も第1楽章以上のものがあり、豊かな響きに身を任せながら心地よく聴くことが出来ます。所々、不協和音や少しグロテスクなところもありますが、どちらかというとスケールの大きさのほうが勝っています。オケは少し甘いですが、朝比奈隆は分かって演奏しているように聴こえます。

シューリヒト=ウィーン・フィル

  • 名盤
  • 個性的
  • ライヴ

おすすめ度:

指揮カール・シューリヒト
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1961年

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シューリヒトのブルックナーはテンポが速いことで有名です。この第9番も他の演奏に比べると大分速めのテンポを取っています。

この録音は演奏がウィーン・フィルであることと、録音の音質も良く、速いテンポで音の密度は高いのですが、ウィーン・フィルらしい透明感のある響きを聴くことができます。

第1楽章は急激にクレッシェンドし、金管による第1主題はかなりダイナミックです。その後、力を抜いて、弦主体の主題が演奏されます。リズミカルで余分な力が入っていないこと、金管でダイナミックな所は容赦なくダイナミックに演奏しているので、物足りなさはありません。逆に密度が濃いので充実感があります。第1楽章の最後は、物凄いダイナミックさです。

シューリヒトは速すぎなのか?

よく考えてみると欧米ではブルックナーはそれほど遅い演奏ばかりではありません、ヨッフムは自由なテンポで凄く速い時もあります。レーグナーも結構速めです。

遅いテンポなのはクナッパーツブッシュの影響が大きいかも知れませんね。クナのワーグナーは遅さを実感できますが、ブルックナーは遅いテンポで演奏しても違和感がありません。日本では朝比奈隆が遅いテンポで演奏してきました。その後、晩年のヴァントが遅いテンポで録音すると、遅いテンポで演奏する指揮者が増えたように思います。

第2楽章は快適なテンポです。ウィーン・フィルの透明感のある響きは、神々しさを醸し出しています。

第3楽章は、少し急かされているような感じに聴こえます。特に不協和音が増えてクレッシェンドしていく所など、アッチェランド気味で危機感みたいなものを感じます。後半のダイナミックな所など、他の演奏にはない表現で、面白いです。

ヨッフム=ミュンヘン・フィル

  • 名盤
  • 円熟
  • ライヴ

指揮オイゲン・ヨッフム
演奏ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

1983年7月20日,ヘルクレスザール(ライヴ)

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ヨッフムは、ベルリンフィルとドレスデン・シュターツカペレの2つのオケで全集を録音しています。ただ、割と若いころの録音で、音質も今一つですし、テンポも自由自在で他の演奏とは大分違います。それにまだ円熟していないころの演奏です。

円熟したころのディスクは、このミュンヘンフィルとのものが知られています。円熟したといっても、テンポはそれほど落ちていないし、まだまだ自由自在な演奏です。一方、ミュンヘンフィルは上手いです。こんなにレヴェルの高いオケだったのですね。特に金管は素晴らしく、ベルリンフィル並みです。昔はクナッパーツブッシュ、その後はチェリビダッケとテンポの遅いブルックナーをやらせたら右に出るオケはいないでしょうね。

第1楽章の冒頭のクレッシェンドは息の長いクレッシェンドで、頂点ではミュンヘンフィルの金管楽器の号砲が聴けます。凄いスケールです。ライヴですが録音が良いことも書いておきます。ドレスデン・シュターツカペレとの全集は1970年代の録音ですが、東ドイツのスプラフォンの録音のせいか、あまり音質が良いとは言えません。ですので、このライヴはミュンヘンフィルの大きなダイナミクスを見事に捉えていて、それまでの録音とは雲泥の差です。第1楽章はブル8の第1楽章ようにダイナミックな演奏になっています。

第2楽章もスケールが大きいです。ヨッフムの指揮も良いですし、ミュンヘンフィルのダイナミックなサウンドは本当に素晴らしいです。ヨッフムも思い切り金管を鳴らしていて、トランペットなどそんな動きがあったのか、と初めて知った位です。

第3楽章もまずはスケールが大きく、弦楽器に大きくて速いヴィヴラートを掛けさせて思い切り濃厚に歌わせています。最初の強奏の所では、ちょっとわざとらしい強弱がつけられていて、その辺りは好みが分かれそうですね。あまり本質的ではありませんけれど。第3楽章はテンポが遅く濃厚な味わいは円熟の証でしょうね。終盤の破滅的な盛り上がりは思い切り鳴らし切っています。神の雷が落ちたかのようです。ここまでやってくれると第9番を聴いた甲斐があるというものですね。ヨッフムのブルックナーは評価が定まらない所がありましたが、本質的な所はもちろん良く知っているのだと思います。

演奏が終わって随分たってから拍手が始まりブラヴォーコールに包まれています。

レーグナー=ベルリン放送交響楽団

  • 名盤
  • 個性的

おすすめ度:

指揮ハインツ・レーグナー
演奏ベルリン放送交響楽団

1983年2月9-12日,ベルリン放送局SRK1

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東ドイツの名指揮者ハインツ・レーグナーはブルックナーを得意としていて、全集を録音しています。その演奏スタイルは少しユニークです。独自性が強いですけれど、あえて言えばシューリヒト盤に近いです。テンポは結構速めです。

第一楽章はテンポは速めですがスケールが大きく、朝比奈ほどではないですが、宇宙的なスケールを感じます。東側のベルリン放送交響楽団の金管のパワーもなかなかです。その後、弦楽器の主題の部分も基本的には速めです。リズムに対するセンスを感じます。

第2楽章は非常にリズミカルでメリハリがあり、透明感があり、非常に楽しめます。ブル9の第2楽章で一番好きな演奏ですね。

第3楽章はシューリヒト盤のように速くはなく、大分ゆっくりしたテンポで進んでいきます。テンポの変化がある程度あり、色彩感すら感じる演奏です。なかなか味わいがあります。後半のグロテスクなところもリアリティがある演奏で壮絶です。

レーグナーは昔、気まぐれで買って聴いていたのですが、意外と当たりだったみたいですね。

ブロムシュテット=ライプツィヒ・ゲヴァントハウス

  • 名盤
  • 円熟
  • 高音質

おすすめ度:

指揮ヘルベルト・ブロムシュテット
演奏ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

1995年1月,1997年6月,ライプツィヒ

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ブロムシュテットは若いころにドレスデン・シュターツカペレとブルックナーの第4番『ロマンティック』、第7番を録音して、非常に自然美を感じさせる名盤を残しています。もう晩年となったブロムシュテットはライプツィヒ・ゲヴァントハウスと全集を録音しました。録音技術も進化しましたし、ゲヴァントハウスもレヴェルアップしたということで、期待された録音です。

第1楽章から、ブロムシュテットらしい引き締まった演奏です。第9番なので、昔の4番、7番とは違ってスケールの大きいシリアスな音楽です。とはいっても朝比奈隆のような宇宙的なスケールはありません。引き締まった演奏ですが、ヴァントほど緻密ではなく、中庸といった所でしょうか。ゲヴァントハウスの少しくすんだ音色が印象的です。

最初のクレッシェンドのところはダイナミックではありますが、かなりスケールが大きく、少し宇宙的な感じがします。その後は、割と中庸で真摯な演奏スタイルになります。テンポは少し遅めで進みます。全体的にテンポが遅くてもたれる個所はありません。最後はダイナミックに終わります。

第2楽章はリズミカルですが、ダイナミックさの目立つ演奏です。

第3楽章はスケールの大きさはそこまでではありませんが、かなりキツい不協和音も真正面から鳴らしていて、ブルックナーが完成させた最後の楽章に相応しい名演です。

ゲヴァントハウスのくすんだ音色がやはり印象的です。最初に聴いたときには、思ったより特徴の少ない演奏かな、と思ったのですが、噛めば噛むほど味が出てくる名演です。派手さは無いですが本質を突いた演奏だと思います。

アーノンクール=ウィーン・フィル

  • 名盤
  • 個性的
  • ライヴ
  • 高音質

おすすめ度:

指揮ニコラウス・アーノンクール
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2002年8月14-20日,ザルツブルク,祝祭大劇場

アーノンクール=ウィーン・フィルの演奏です。とうとうウィーンフィルもピリオド奏法に一歩踏み出しました。

第1楽章はシャープでスケールが大きな演奏です。頂点での金管もダイナミックです。メリハリがあり、テンポは中庸ですが、少し速めでしょうか。金管を結構鳴らしているので、ベルリンフィルかと思ってしまいます。またピリオド奏法の影響もあってか、透明感がかなりあります。音質は新しめの録音なので良いですね。最後はかなりダイナミックです。

第2楽章もダイナミックですね。重厚さはあまり感じられませんが、透明感のある響きのまま、金管楽器が思い切り演奏していて、気分の良い演奏です。

第3楽章はダイナミックなところは良いです。ただテンポが落ち着かない所があり、円熟した演奏という感じでもないですね。ただ不協和音を強調しており、グロテスクさがあります。後半の破滅的な盛り上がりも凄い迫力です。

これまでのブルックナーの交響曲第9番とはだいぶ異なる透明な響きと壮麗さのある演奏で、世評はちょっと過小評価なように思います。今までの演奏は第3楽章で終わることを前提にしていました。この演奏は第4楽章があることを想定しているように思います。

ラトル=ベルリン・フィル(第4楽章付)補筆完成版

  • 名盤
  • 定番
  • 高音質

おすすめ度:

指揮サイモン・ラトル
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2012年2月,ベルリン,フィルハーモニー,デジタル(ライヴ)

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未完の第4楽章を補筆して完成させたバージョンがあります。この最後に行き詰った感じの濃い第3楽章に続く音楽はどのようなものだったのでしょうか。興味は尽きませんが、聴きたいような聴きたくないような不思議な気分です。変な先入観はつけたくないですしね。でも、思い切って一つ聴いてみることにしたいと思います。

補筆したバージョンは大きく2種類あります。ブルックナーのスケッチは散逸しているのか、研究が進むと今まで発見されていなかったスケッチが見つかり、それを使用した次のバージョンを作成する、というように段々と完成度を増していっています。複数人の作曲家がプロジェクトを構成して補筆を行っているため、メンバーも入れ替わっているようです。詳しくは上のHMVのページにいくと非常に詳しく記載されています。

このディスクでは1992年に刊行された「サマーレ、フィリップス、コールス、マッツーカ版(SPCM版)」の最新版が使用されていますが、ラトル本人と研究者の一人であるコールスが加わり、ユースオーケストラなどでの試演と修正を経て、ラトルも納得のバージョンを作り上げました。

さて、第1楽章から聴いてみましょう。まずはラトルのベルリンフィルの扱いの上手さに驚きます。ベルリンフィルは過去にヴァント、カラヤンなどと名演を残してきた「ブルックナー・オーケストラ」の一つです。特に第8番、第9番の演奏では他のオケの追随を許さないものがあります。すなわちベルリンフィルが本領を発揮すれば、マーラー指揮者として実績のあるラトルも良い演奏が出来るという訳です。

最初のクレッシェンドからトゥッティに至る所は、非常にクオリティの高い響きで名演奏です。その後はテンポ取りが少し速めで、いつものラトルの演奏かなと思いますが、それでも結構聴きごたえがあります。清涼感のあるブルックナーですが、ここぞという時はベルリンフィルのダイナミックさで壮麗な演奏になります。

第3楽章は透明感のある響きで、手兵のベルリンフィルのコントロール能力では客演のヴァントよりも上ですね。響きが落ち着いています。ヴァントのように円熟した味のある演奏ではありませんが、不協和音をきちんと響かせていて、グロテスクさのある世界観もしっかり表現しています。

さて、補筆の第4楽章です。どんな感じなんでしょうか。唐突に始まりました。ブル8の第4楽章のようにダイナミックさがあり、ユニゾンで主題を提示します。パズルを組み合わせるようにスケッチを組み合わせていったのでしょうか。もちろん、スケッチですからブルックナーの場合、初稿はかなり和声進行が大胆だったり、詰めが甘かったりします。それを時間を掛けて推敲し、時には書き直して、作曲していくスタイルです。それを考えると、スケッチを組み合わせたものは、推敲前のかなりラフなものだと思われます。

それにしても何でしょうかね、現代絵画でも見ている感じで、一筋縄ではいかない感じです。そのうち第1楽章の回想を思われる所が出てきます。その後はワーグナーのような音楽になっていきます。テンポ取りも第1楽章~第3楽章までに比べて、第4楽章は速いです。この主題を演奏するにはテンポを速めにせざるを得ないかも知れませんけど。第8番も引用されているみたいです。終盤の第1楽章第1主題を取り入れた対位法的音楽は迫力がありました。

さて、ストーリー的にはどうなんでしょうかね。この補筆版を聴く限りではブル8のようにダイナミックに終わっているので、とりあえずハッピーエンドのようです。何故、そうなったのか、経緯が分かりませんでしたけど。

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楽譜・スコア

ブルックナー作曲の交響曲第9番の楽譜・スコアを挙げていきます。

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