ブルックナー 交響曲第8番

アントン・ブルックナー (Anton Bruckner,1824-1896)作曲の交響曲第8番 ハ短調 (Symphony No.8 c-Moll)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

解説

ブルックナー交響曲第8番について解説します。

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ブルックナーの最高傑作

ブルックナーの交響曲第8番は、ブルックナーの最高傑作と言われる交響曲です。ハ短調ベートーヴェン「運命」と同じ調性です。また第2楽章にスケルツォを置くのはベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」と同じですね。いろんな意味でベートーヴェンを意識していると思われます。またこれは、次の交響曲第9番を意識していて、第4楽章に合唱を使うことを考え、ベートーヴェンを参考にして変更していったとも考えられます。前作のロマンティックさがある交響曲第7番とは大分雰囲気が変わり、非常に力強い交響曲となっています。

マタチッチ=NHK交響楽団:第4楽章のマッシヴな演奏!

懐(ふところ)の深い音楽

ブルックナーの交響曲第8番は、もちろん演奏時間も長いですが、第3楽章のアダージョなど、深遠でいつまでも終わらないかのようです。そして第4楽章は全体がダイナミックです。強と弱の差が大きく、非常に懐(ふところ)の深い音楽になっています。

この交響曲はまたトレモロに始まるブルックナー開始やブルックナー・リズムが出てきていることも特徴です。特にブルックナー・リズムは交響曲第4番以来ですが、第4番に比べて重要なところに出てきます。中間のバイオリンから出てくる所が非常に美しく、交響曲第8番の聴きどころの一つです。

最高傑作でも変わらなかった改訂癖

ブルックナーはこの最高傑作交響曲第8番でも大きな改訂を自ら行っています。1887年に第1稿が作曲され、1890年に改訂され第2稿となりました。この改訂は主に冗長な個所や和声進行を削除したものですが、スケルツォのトリオは大分変化しています。通常は第2稿ベースのハース版やノヴァーク版が使用されます。しかし、弟子ヨーゼフ・シャルクが改竄(かいざん)した改訂版が最初に出版されたため、昔の指揮者はシャルク版を使用していることも多いです。

初演に際してはなかなか指揮者が見つからず、色々な指揮者に依頼して断られています。結局、初演は1892年でハンス・リヒターの指揮によりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会で行われました。

おすすめの名盤レビュー

ブルックナー作曲交響曲第8番名盤をレビューしていきましょう。

中古CDってどの位、劣化するの?

ヴァント=ベルリン・フィル (2001年)

円熟したヴァントとベルリン・フィルのダイナミックな名盤
  • 名盤
  • 定番
  • クオリティ
  • スケール感
  • 円熟
  • 高音質

超おすすめ:

指揮ギュンター・ヴァント
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2001年1月19-22日,ベルリン,フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/ライヴ)

ヴァントは非常に完璧主義というか厳しい演奏をする指揮者です。ヴァントは昔からブルックナーに力を入れていました。ケルン放送交響楽団とも全集を作成しています。晩年になると一気に円熟してきてブルックナー指揮者としての評価が高まり、大人気になりました。ヴァント自身がそれほど変わったわけではありません。ヴァントは昔から、そして晩年も完璧主義で、細かいところまでキチっと演奏する指揮者です。相手がベルリン・フィルだったのが良かったのかも知れません。昔、カラヤンがなかなか厳しい演奏をしていましたから。

第1楽章ヴァントの引き締まった音楽とベルリン・フィルのモダンな響きが絶妙なバランスです。ピンと緊張感の糸の通った演奏で、クールな響きです。アンサンブルのクオリティの高さは圧倒的なものがあります。それと共にヴァントの円熟による遅いテンポで、過剰な厳しさがない自然体で、懐の深いスケールの大きな演奏になっています。第2楽章は遅めのテンポですが、リズミカルでスケールの大きなスケルツォです。中間部は響きに透明感があり、管楽器、特にホルンの音色の素晴らしさが印象的です。素朴さというより、大聖堂で演奏しているかのような清涼感があります。

第3楽章はかなり遅めのテンポと透明感、重厚感のある響きで、構築的な音楽を作っています。ヴァントらしいクオリティですが、その中で弱音になると味わいもあり、弦の響きやハープの響きが美しいです。壮麗な響きは大聖堂で演奏しているかのようで、神々しさがあります。響きの透明感やそれに付随する緊張感もありますが、円熟したヴァントらしい自然体の演奏でもあります。この辺りのバランスが老境に達して味わいが出てきても、安易な妥協は許さないヴァントらしいですね。曲が進むにつれ、深みが増して、味わい深く聴かせてくれます。

第4楽章はベルリン・フィルの機能を活かしたダイナミックでスケールの大きな演奏です。テンポは中庸でリズミカルさがあります。中間あたりはベルリン・フィルからとても透明感と深みのある響きを引き出しています。ベルリン・フィルからこういう響きを引き出せる指揮者も少ないでしょうね。ラストの盛り上がりは、表現の深みとベルリン・フィルの実力で、言葉では表現できないよう音の洪水で圧倒されます。

トータルとしてとてもバランスの良い演奏で、技術的にもクオリティが高いですし、音楽にじっくり浸りたい人にも良い演奏です。

クナッパーツブッシュ=ミュンヘン・フィル (1963年)

遅いブルックナー演奏の元祖、やがて神々しい音楽の世界へ
  • 名盤
  • 定番
  • 繊細
  • 円熟
  • 神々しさ

超おすすめ:

指揮ハンス・クナッパーツブッシュ
演奏ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

1963年1月,ミュンヘン,バヴァリア・スタジオ (ステレオ/アナログ/セッション)

クナッパーツブッシュミュンヘンフィルとの録音と、ウィーンフィルとのライヴ録音などがあります。どちらも素晴らしく、私は響きの良いウィーンフィル盤を好んで聴いていましたが、最近はリマスタリングのおかげもあってか、手兵ミュンヘンフィルの演奏の評価も上がっています。スタジオ録音で響きがドライなのですが、リマスタリングが大分改善され、元々の音質自体は悪くなく、ステレオ録音です。本来の良さが前面に出てきました。朝比奈隆やティントナーなど遅いテンポの演奏は、クナッパーツブッシュが居なければ無かったかも知れません。クナの場合は、単に譜面通りという訳では無く、細かいテンポの変化があり、自然さの中にも時にドラマティックな表現もしてきます。

第1楽章は遅いテンポですが、ミュンヘンフィルの弦の響きは美しく、金管は鋭角的な響きで男性的です。その中にリマスタリングにより、しなやかさが出てきたように思います。残響は少なめですがドライさはあまり感じず、浸れる演奏になっています。改訂版ですが、第8番に関しては他の番号程の変更はないため、そこまで気になりません。繰り返しが少ない所も、テンポが遅いため物足りないことはなく、じっくり浸って味わい深いです。他の演奏では、第1楽章はピンと張りつめた緊張感がありますが、全楽章を通して聴くと緊張感だけでなく色々な表現が聴こえてきます。表現は深掘りされていて、スコアの読みは深く、他の演奏では聴けない表現が出てきて、新たな気付きも多いです。第2楽章も遅めですが、リズムがしっかりしていて楽しめます。素朴で雄大で、かつリズミカルというクナにしかできない表現だと思います。中間部は、厚みのある弦が心地よく、ホルンの響きも素晴らしいです。テンポを揺らして、じっくり味わい深く聴かせてくれます。

第3楽章は雄大の一言に尽きます。雄大なのですが、表現は意外に繊細で、大味になることはなく丁寧です。強弱もしっかりついていて、特に弱音の個所はしなやかで繊細です。手兵のミュンヘンフィルはクナの遅いテンポに慣れていますし、一音一音味わい深く聴かせてくれます。長い楽章ですが、聴き進むにつれ味わいや深みが増していき、やがて神々しいほどになっていきます。第4楽章遅いテンポでスケール壮大です。デュオニソス的でダイナミックさがありますが、ゆったりしたテンポの中でじっくり浸れる演奏で、宇宙的と言える位の壮大さはクナッパーツブッシュならでは凄さです。中間あたりではさらにテンポを落とし、一つ一つの音を味わい深く聴かせてくれます。ラストの盛り上がりは圧倒的です。

シューリヒト=ウィーン・フィル (1963年)

速いテンポで重厚さが無いのに非常に充実した名演
  • 名盤
  • スリリング
  • 白熱
  • ライヴ

おすすめ度:

指揮カール・シューリヒト
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1963年,ウィーン,Groser Saal des Musikvereins (ステレオ/アナログ/セッション)

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シューリヒトブルックナー第8番、第9番にはウィーン・フィルのCDがあり、非常に充実した名演奏となっています。シューリヒトは、いつも通りモーツァルトのように淡々と演奏していますが、フォルテシモでは全開、余計な粘りがないことが、この演奏をすっきりした味わい深い名演に仕立て上げています

テンポが速めで重厚さが無くても、だからこそ、この曲の本質が見えてくるようにも思います。情熱的でダイナミックな演奏でも十分良さがでるのです。マタチッチクナッパーツブッシュのような個性的なテンポ取りでも許容する懐の深さがあるのですね。

また、シューリヒト盤はテンポが速いので、緩みや弛みとは無縁です。時折現れる自然を描写したかのような主題もとても上手く演奏して、良い雰囲気を出しています。

マタチッチ=NHK交響楽団 (1984年)

マタチッチ=N響の筋肉質で男気のあるブル8
  • 名盤
  • スリリング
  • マッシヴ
  • ダイナミック
  • 円熟
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮ロブロ・フォン・マタチッチ
演奏NHK交響楽団

1984年3月7日,NHKホール (ステレオ/デジタル/ライヴ)

マタチッチチェコフィルとブルックナーを録音しているのですが、何故か一番お得意の交響曲第8番は飛ばしています。ですので、このNHK交響楽団とのライヴしかないのです。チェコフィルとは第5番、第7番、第9番を録音していますので、まさに第8番はNHK交響楽団のために取っておいた感じです。

マッシブ(筋肉質)でNHK交響楽団の良さを前面に押し出した演奏です。マタチッチはこのNHK交響楽団のサウンドをとても気に入っていたようです。交響曲第8番はまさにマタチッチ=NHK交響楽団にうってつけで、第1楽章、第4楽章ではマッシブな響きとマタチッチの独特のリズム感がマッチしていて他の演奏にはない迫力です。途中、金管の音程がずれようが、音を少し外そうが、そんなことは気になりません。

一方、第3楽章のアダージョもじっくり演奏していて、感動的な演奏になっています。ここでもNHK交響楽団の弦楽セクションのシャープで深みのあるサウンドを上手く引き出していて、深みのあるアダージョになっているのです。

ちなみにマタチッチ=NHK交響楽団のライヴ録音は、197年と1984年来日の2種類がありますが、1984年録音のほうが演奏が安定していますので、こちらをお薦めします。

朝比奈=大阪フィル (2001年)

手兵大阪フィルと朝比奈隆の円熟した完成度の高い名演
  • 名盤
  • 奥深さ
  • 円熟
  • 迫力
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮朝比奈隆
演奏大阪フィルハーモニー管弦楽団

2001年7月23,25日,東京・サントリーホール (ステレオ/デジタル/ライヴ)

朝比奈隆ブルックナー指揮者ですが、一番得意なのは交響曲第8番です。数多くあるブル8のディスクの中で一番名演なのがこのディスクです。2002年度レコード・アカデミー大賞(交響曲部門)を受賞しており、伝説の名演と言われています。非常にスケールの大きな演奏です。欧米の音楽家もブルックナーに関してはテンポが遅い指揮者が増えているので、朝比奈隆が特別テンポが遅い指揮者とは言えなくなりました。

やはり手兵である大阪フィルが朝比奈隆の音楽を深く理解していることが良いです。特に第3楽章のいつまでも終わらない、悠久の夕暮れのような表現がすばらしく、朝比奈隆の指揮だったら、何時間かかろうと聴いていられるんじゃないか、と思ってしまいます。

リズミカルな個所は、昔は大阪フィルのアンサンブルが崩れ気味でしたが、2001年の録音では急速に大阪フィルがレベルアップしたため安心して聴けます。ヨーロッパの一流オケと比べてみても、朝比奈隆が例えば北ドイツ放送交響楽団などに客演するとオケのテンポが勝手に早くなってしまいますし、シカゴ交響楽団に倍管を拒否され響きが鋭くなり、遅いテンポで間延びしてしまったりしています。欧米のオケとの演奏はレヴェルが高いのですが、朝比奈隆の解釈を再現するとなると難しいものだな、と思いました。

朝比奈隆の解釈を一番忠実に再現できる大阪フィルとの名演が残っているのは貴重です。

チェリビダッケ=ミュンヘン (1993年)

チェリビダッケらしい遅さの極み、ミュンヘン・フィルの実力を再認識
  • 名盤
  • 奥深さ
  • 円熟
  • 壮大
  • 高音質
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮セルジュ・チェリビダッケ
演奏ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

1993年 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

チェリビダッケはブル8を「あらゆる交響曲の頂点」と呼んでいました。思い入れがあるだけ、完成度の高い名演になっています。この1993年ライヴでは、音質がとても良いです。ミュンヘン・フィルも素晴らしく、弦のビロードのような厚みのあるサウンドと言い、迫力ある金管といい、オケの実力の高さをヒシヒシと感じます。チェリビダッケのブルックナーの入門にも良いと思いました。

第1楽章から途轍(とてつ)もなく遅いテンポです。朝比奈よりもずっと遅いです。ミュンヘン・フィルは慣れているので、遅いテンポを持て余したり、勝手にテンポアップしてくことはありません。ゆーっくり、じーっくりとスケールの大きな音楽を味あわせてくれます。盛り上がりでの白熱した音響を、高音質でしっかり捉えており、スタジオ録音かと思えるくらいです。ダイナミックですが、噛めば噛むほど味が出るような奥の深い演奏です。第2楽章はそこまで遅くはなく、リズムがしっかりしています。チェリビダッケだから、どこでも遅いというわけでは無いのですね。スケルツォとして楽しんで聴けます。

第3楽章は遅いテンポに戻り、またゆっくりとした語り口で演奏していきます。悠久の時間の流れを感じている所に、ミュンヘン・フィルのレヴェルの高い弦が清涼な響きを奏でます。静謐(せいひつ)な佇(たたず)まいで、ふわっとした感じの朝比奈ともまた違う方向性です。ドイツの深い森に入ったかのようで、時間を忘れて聴き入ってしまいます。

第4楽章は遅めですが、そこまででもありません。ティンパニを強く打ち込み、金管をスケール大きく鳴らし、壮大ながらも躍動感が感じられます。弱音で穏やかな部分では、とても清涼感が感じられ、深い自然の中に居るかのようです。後半は神々しさすら感じられ、金管の強奏と、深みのある静かな部分が大きなメリハリを持って表現されています。コーダは遅いテンポのまま、壮大に盛り上がります。このラストの金管は本当に壮絶です。

とても聴きごたえのある演奏で、チェリビダッケを再認識しました。管理人は特にチェリファンではないのですが、それでも凄さに圧倒される名演です。

チェリビダッケ=ミュンヘン・フィル (リスボン・ライヴ)

既に伝説と化したリスボン・ライヴ
  • 名盤
  • 定番

指揮セルジュ・チェリビダッケ
演奏ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

1994年4月23日,コリセウ・リスボン・ポルトガル国営放送 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

朝比奈=大阪フィル (1994年)

手兵大阪フィルと朝比奈隆の円熟した完成度の高い名演
  • 名盤
  • 奥深さ
  • 円熟
  • 迫力
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮朝比奈隆
演奏大阪フィルハーモニー管弦楽団

1994年,サントリーホール (ステレオ/デジタル/ライヴ)

朝比奈隆氏の最盛期の大阪フィルとのライヴです。1994年で録音も良く、大阪フィルの演奏技術も急速に向上してきている時期です。2002年のライヴもありますが、こちらの方が評価が高いようです。晩年のスケールの大きく、懐の深い演奏が堪能できます。

第1楽章は遅いテンポで始まり、大阪フィルのふくよかな響きにも味があります。他の指揮者は第1楽章は緊張感がありますが、この演奏も多少緊張感はあるのですが、枯れた響きと宇宙的とも思えるスケールの大きさに圧倒されます。特に威圧的な演奏では無いのですが、圧倒されてしまいます。曲を上手く再現するとそうなるのでしょうか。

第3楽章は、もうテンポとか時間の概念を忘れて聴いたほうがいい名演です。今、何分とかあと何分などと考えずにただただ音楽に身を任せてください。そうしないと、この演奏の本当の凄さが分かりません。この楽章は寄せては返す波のように永遠に続くのだ、と考えて聴いたほうが色々なものが聴こえてきます。あるいは、夕暮れは15分もすれば終わってしまいますが、永遠に続く夕暮れのようなものです。

第4楽章も遅めのインテンポで響きのスケールが大きいです。金管が活躍する楽章ですが、まだこの時代の大阪フィルは金管の音程などまたに心もとない時がありますかね。朝比奈氏は円熟していて深みのある演奏をしていると思います。大部分は弦も金管も良いバランスで大阪フィルらしい、ふくよかな響きを保っています。

この演奏の特徴を挙げるとすれば、意外と感情が込められていることです。朝比奈隆の演奏スタイルは基本的に毎回同じで深化していっているのですが、毎回少しずつ違う所もあります。円熟の境地にあっても新しい模索を続けていることろは素晴らしいですね。

このライヴは名演として非常に名高く、拍手も延々と続いています。当日、客席にいないと伝わってこない部分も多いと思いますが、CDで聴いても完成度の高い名演であることは十分伝わってきます。

ティーレマン=ウィーン・フィル

高音質でウィーンフィルの響きをじっくり堪能
  • 名盤
  • 透明感
  • ライヴ
  • 高音質

おすすめ度:

指揮クリスティアン・ティーレマン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2019年10月5日&13日,ウィーン,ムジークフェライン(ライヴ)

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最近、ヴァント朝比奈隆のような本物のブルックナー指揮者が居なくなって久しいです。最近の録音はテンポの速めのものが多いように思いますし。ティーレマンは期待できる指揮者の最右翼だと思います。今回はウィーンフィルとの録音を聴いてみました。

第1楽章の冒頭は、あまりダイナミックさはなく、たぶんこのページの他の演奏と比べると物足りなく感じるかも知れません。ブルックナーが得意な指揮者は晩年になって大化けする人も多くて、そんな巨匠の最晩年の演奏と比べるのは酷かも知れません。ヴァントやマタチッチなどと比べるとしたら、もっと円熟してからにすべきかも知れませんね。ティーレマンはウィーンフィルとの相性は良いようで、ふくよかに鳴らし過ぎることはなく、第1楽章の中間位からは響きの美しい演奏、という方向性が見えてきます。

第3楽章はこの演奏の白眉ですね。ウィーンフィルの透明感のある響きを活かして、なかなか聴けない音響になっています。ふくよかに鳴らすのではなく、遅いテンポながらも、少し薄めな響きで、細かいテクスチャには非常なこだわりを感じます。録音の良さもあって、透明な響きに身をゆだねて聴くことができます。第4楽章はあまりダイナミックではありませんが、スケールが大きい演奏です。むしろ中間あたりが非常に響きが美しく、聴きどころです。

もっとも、ヴァントマタチッチ朝比奈隆らのような心底感動させられるような演奏には、まだ円熟を待たないといけないかも知れません。でも、今、生演奏で聴けるブルックナーの中で、素晴らしい演奏であることは間違いないと思います。

カラヤン=ウィーン・フィル

磨き抜かれた美しい音色とカラヤンの円熟
  • 名盤
  • 定番
  • クオリティ
  • 円熟
  • 高音質

おすすめ度:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1988年11月,ウィーン,ムジークフェライン (ステレオ/デジタル/セッション)

カラヤン最晩年のウィーンフィルとの演奏です。さすがのカラヤンも枯れてきて、底辺はしっかりした演奏ながらも、美しい演奏と言われています。磨き抜かれた美しい演奏ではあるけれど、普通の円熟したブルックナー指揮者とは大分違う演奏といえると思います。クオリティは非常に高く、晩年のカラヤンらしい演奏と言えます。

映像(DVD)

カラヤン=ウィーン・フィル (ハース版)

磨き抜かれた美しい音色とカラヤンの円熟
  • 名盤
  • 定番
  • クオリティ
  • 円熟
  • 高音質

超おすすめ:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1988年11月,ウィーン,ムジークフェライン (ステレオ/ライヴ)

音源はオリジナル音源(リニアPCM/STEREO)に加え、b-sharpによるリマスター音源2種類([リニアPCM/STEREO]と[DTS HD Master Audio/5.0サラウンド])の合計3種類を収録

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最晩年のカラヤンの映像です。ウィーン・フィルも非常にクオリティの高い演奏を繰り広げており、CDもリリースされていますが、カラヤンの最晩年の指揮ぶりが見られる、という意味でとても貴重な映像です。ムジークフェライン・ザールでの収録で、コンサートの雰囲気も含めて、良く伝わって来ます。

マタチッチ=NHK交響楽団 (1984年)

マタチッチ=N響の筋肉質で男気のあるブル8
  • 名盤
  • スリリング
  • ダイナミック
  • 円熟
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮ロブロ・フォン・マタチッチ
演奏NHK交響楽団

1984年3月7日,NHKホール (ステレオ/デジタル/ライヴ)

巨匠マタチッチの指揮が見られる映像です。マタチッチは世界的に活躍した巨匠ですが、その割にはCDや映像を残していません。マタチッチの指揮ぶりがNHKでの映像で発売されていることは、とても貴重です。既に円熟期で、指揮棒を持たずに、有名な手でチョップするような指揮ぶりですが、そこから引き出される音楽はマッシブでスケールの大きな名演です。

朝比奈=NHK交響楽団

雄大で力強いN響との名盤
  • 名盤
  • 奥深さ
  • 円熟
  • 迫力
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮朝比奈隆
演奏NHK交響楽団

1997年3月6日,NHKホール (ステレオ/カラー/4:3/ライヴ)

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朝比奈隆ブルックナー8番では、NHK交響楽団との演奏も名盤です。ブルックナー交響曲第8番でマタチッチと名演を残しているNHK交響楽団との演奏です。大阪フィルよりも機能的でダイナミックさがあるため、大分違った演奏が聴けます。朝比奈隆は昔はNHK交響楽団の指揮台にもよく上がりましたが、そのうちN響は欧米の一流指揮者を迎えるようになりました。それで朝比奈はずっとNHK交響楽団にラヴコールを送っていたのです。それが実現されたのがこの録音です。

大阪フィルとは大分サウンドが違います。まず、NHKホールのデットな響きで、折角の朝比奈隆の芳醇な響きを聴くことはできません。せめてサントリーホールだったら良かったと思うのですが。その代わりにNHK交響楽団のマッシヴ(筋肉質)な響きがNHKホールのデットさを補って余りあります。朝比奈隆も長い間待ったNHK交響楽団との共演ということで集中力が高いです。その結果、第4楽章などは大阪フィルとは大きく異なり、ダイナミックで感動的な名演となっています。

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楽譜・スコア

ブルックナー作曲の交響曲第8番のスコア・楽譜を挙げて行きます。

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