ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン (Ludwig van Beethoven,1770-1827)作曲の『コリオラン』序曲 Op.62 (“Coriolan” overture Op.62)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップでスコアと楽譜まで紹介します。
解説
ベートーヴェンの『コリオラン』序曲について解説します。
1807年に作曲された演奏会用序曲です。戯曲『コリオラン』を観たのが作曲のきっかけです。
古代ローマで大きな勢力を持っていた英雄コリオラヌスが、政治上の意見の相違で追放されてしまいます。
その後、英雄コリオラヌスは隣国の将軍となり、大軍とともにローマへの進攻に参加します。
しかし献身的な妻と母の忠告で再び祖国側についたので殺されてしまいます。
エグモントと異なり、戯曲の音楽は作曲されませんでした。
『コリオラン』序曲が作曲されたのは、交響曲第5番『運命』が作曲された年であり、ハ短調と調性が同じであるなど、類似点が認められます。コリオラン序曲を演奏した後に『運命』を演奏する、というプログラムも構想にあったのでしょうか。単に戯曲の内容からハ短調を選んだだけかも知れませんし、自分の『運命』と重ね合わせて、あえてハ短調にしたのかも知れません。
曲を聴いていると、祖国と隣国、献身的な妻の忠告など、主人公の葛藤がセンス良く描かれています。
曲の構成
演奏時間は約8分程度です。
フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2
ホルン×2、トランペット×2
ティンパニ
弦五部
おすすめの名盤レビュー
それでは、ベートーヴェン作曲『コリオラン』序曲の名盤をレビューしていきましょう。
カルロス・クライバー=バイエルン国立歌劇場管弦楽団 (1996年)
カルロス・クライバーはコリオラン序曲を好んで取り上げました。とても絶妙でセンスの良い演奏です。ダイナミックさもありますが、弦楽器などのゆっくりした動きが、コリオラヌスの心中の葛藤を表現するような、誇り誇り高く味わい深い表現で絶妙です。この短い曲でここまで楽しませてくれるのはカルロス・クライバーならでは、だと思います。
カップリングはブラームスの交響曲第4番、モーツァルトの交響曲第33番と、いずれもC.クライバー得意の名演奏です。CDもあるのですが、録音状態が悪いですね。
フルトヴェングラー=ベルリン・フィル (1943年)
フルトヴェングラーとベルリンフィルの1943年の録音です。セッション録音のためか、リマスタリングするとどんどん音が良くなり、今回は原盤をエルプ社レーザープレイヤーでリマスタリングして、物凄いダイナミックレンジが現れました。
冒頭の一音から物凄い白熱した壮絶な演奏です。このリアリティは恐らくリマスタリングでかなり改善された利点を受けているものと思います。これを聴くまで『コリオラン』序曲は、ベートーヴェンの中でもセンスの良い小序曲程度にしか考えていませんでしたが、この劇的な表現を聴いて180度考えが変わりました。
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楽譜・スコア
ベートーヴェン作曲の『コリオラン』序曲の楽譜・スコアを挙げていきます。
ミニチュア・スコア
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