オネゲル 交響曲第5番『3つのレ』

アルテュール・オネゲル (Arthur Honegger,1892-1955)作曲の交響曲第5番『3つのレ』 (Di tre re)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

解説

オネゲル交響曲第5番『3つのレ』を解説します。

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第2次世界大戦の直後に作曲

1947年に依頼を受け、1950年に作曲された交響曲です。オネゲル最後の交響曲となりました。ちょうど第2次世界大戦の直後であり、それを反映してか、厳しい曲調の交響曲になっています。それまでの悲劇とともに、将来への切迫した不安が感じられる交響曲でもあります。それはまるで機械が暴走するかのようです。

ヒンデミットの『世界の調和』(標題は多分皮肉を含んでいるでしょう)などもそうですね。オネゲルはやはり悲観的な性格なのだと思いますが、それがストレートに表れたのが、この交響曲第5番『3つのレ』です。

「3つのレ」の意味って?

3楽章構成の交響曲です。「3つのレ」は全楽章が「レ」の音で終わるためついた標題です。イタリア語で「3人の王」を意味する言葉遊びにも掛けている、とのことです。

「レ」で終わるとのことですが、第2楽章は無調音楽なので何とも言えませんが、他の楽章で考えてみます。第1楽章の「クラーヴェ」は、お墓という意味です。第2次世界大戦も関係あるでしょうけれど、バロック時代の合奏協奏曲にも出てきます。名曲ヘンデルの合奏協奏曲第7番第1楽章はクラーヴェです。別に深刻な曲ではありません。遅いテンポの曲をそういう風に呼んでいました。

第1楽章の主調は何でしょう?二調なら「二」の音で終わるのは普通です。音階でレというなら、まずは教会旋法のドリア音階を思い出します。でもドリア音階は哀愁を帯びた雰囲気で、スコットランド民謡や君が代もドリア音階だといわれています。でもこの曲はドリア音階には聴こえないですね。

他に「レ」といえば、ドッペルドミナントですね。ドミナントの基音が「ソ」、そのドミナントであるドッペルドミナントは「レ」を基音とした長和音です。主和音に移行するには2回解決する必要があります。

「運命」との関係

さて、オネゲルはこの作品をベートーヴェンの交響曲第5番『運命』の影を感じさせる、と自ら言っているのです。

確かに「3つのレ」は交響曲第5番でオネゲルなりの運命交響曲であるかも知れません。でもベートーヴェンの運命は勝利で終わるのではなかったでしょうか?オネゲルは「影を感じる」としか言っていないので何ともいえませんし、想像はどんどん膨らんでしまうところです。

ベートーヴェンの「運命」は勝利の第4楽章がなんとなく空虚な感じもします。耳が聞こえなくなる、という運命に打ち勝てたといえるのでしょうか?架空の勝利、というか勝利への願望なのかも知れません。

おすすめの名盤レビュー

オネゲル作曲の交響曲第5番『3つのレ』のおすすめの名盤をレビューしていきます。

ネーメ・ヤルヴィ=デンマーク国立放送交響

神の音楽だけではなく、人間味もある演奏
  • 名盤
  • 共感
  • 白熱
  • 高音質

超おすすめ:

指揮ネーメ・ヤルヴィ
演奏デンマーク国立放送交響楽団

1992年,デンマーク放送コンサートホール(ステレオ/デジタル/セッション)

ネーメ・ヤルヴィオネゲルは、内容をよく表現しているうえに、響きがキツくなることもありません。新古典主義の交響曲演奏はやはりネーメ・ヤルヴィですね。

交響曲第5番『3つのレ』暴走した機関車のような表現で、沸騰せんばかりの白熱した演奏になっています。しかし、響きが芳醇なせいもあって、聴きやすいと思います。

特に第3楽章の暴走っぷりは半端ではないです。パシフィック231じゃないですが、壊れた機関車が制御不能で暴走していくようです。オネゲルの交響曲第5番を理解できる名盤です。率直に言って第5番『3つのレ』はこれを持っておけばOKです。

マルケヴィッチ=ラムルー管弦楽団

  • 名盤
  • 定番
  • シャープ
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮イーゴリ・マルケヴィッチ
演奏ラムルー管弦楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

マルケヴィッチの演奏は、ストレートでキツさがあります。「春の祭典」で鋭い演奏をするコンビですから当然でしょう。でも交響曲第5番には、思い入れがあるのか、とても鋭く爆演になっています。聴いていて痛いくらいです。

でもオネゲルを理解するには良い演奏なので一度は聴いてみてほしい演奏です。

マルケヴィッチ=RAIS交響楽団

  • 名、、ライヴ

指揮イーゴリ・マルケヴィッチ
演奏RAIS交響楽団

1952年3月6日,ベルリン,ティタニア・パラスト (モノラル/アナログ/ライヴ)

マルケヴィッチとRAIS交響楽団のライヴ録音です。

ファビオ・ルイージ=スイスロマンド管弦楽団

  • 名盤
  • 定番
  • 高音質

超おすすめ:

指揮ファビオ・ルイージ
演奏スイスロマンド管弦楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

ファビオ・ルイージとスイス・ロマンド管弦楽団の全集からです。全集として見ても最も優れた演奏です。メリハリがあって分かりやすく、交響曲第5番もなかなかの演奏です。ファビオ・ルイージははっきりした語り口で感情表現もしっかりしています。スイスロマンド管弦楽団は透明感の弦楽器と意外にパワフルな管楽器でオネゲルに相応しいサウンドとなっています。

オネゲルの場合、何故か全集録音より一部の交響曲を録音している演奏家のほうが素晴らしいディスクを残しているため、一曲ずつ買っていったほうがいいかも知れませんが、全集を買うならおすすめの名盤です。

デュトワ=バイエルン放送交響楽団

  • 名盤
  • 職人的

おすすめ度:

指揮シャルル・デュトワ
演奏バイエルン放送交響楽団

1982年,1985年,ミュンヘン,ヘラクレス・ザール (ステレオ/デジタル/セッション)

デュトワはオネゲルに対して、真摯に向き合い、楽譜をまじめに音にしています。そして、オーケストラもとても上手いのです。しかし、曲の持つ感情的要素を一切切り捨ててしまっているようです。

こうなるとオネゲルは何も語らなくなってしまうようです。少なくともこのディスクで交響曲第5番『3つのレ』の面白さに目覚めることはない、と思います。いろんな演奏を聴いて曲を知ってから、この演奏を聴いてみるとなるほど、と思う場面があるかも知れません。

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スコア・楽譜

オネゲル作曲の交響曲第5番の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

ミニチュアスコア

Symphony 5 Di Tre Re (Edition Eulenburg)
5.0/5.0レビュー数:1個

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