オネゲル 交響曲第2番

アルテュール・オネゲル (Arthur Honegger,1892-1955)作曲の交響曲 第2番(弦楽とトランペットのための) (Symphony no.2)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。第2番はシリアスなオネゲルの交響曲の中では聴きやすい曲です。入門曲として良いですが、これを足掛かりにして第3番第5番の凄さが分かると良いですね。

解説

オネゲル交響曲第2番について解説します。

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アルテュール・オネゲルはスイスとフランスの二重国籍を持っていましたが、主にフランスで活躍した作曲家です。交響的運動第1番『パシフィック231』劇的オラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』など、有名な作品は既に作曲した後で、作曲家としての評価は確立していますが、交響曲の名作はこの後に作曲されていきます。

作曲の経緯

1936年の旧バーゼル室内管弦楽団の創立10周年記念で演奏するために、指揮者パウル・ザッハーによりオネゲルに委嘱されました。
しかし作曲は大幅に遅れ、1941年にやっと完成しました。作曲中に、フランスのパリはドイツ軍に占拠されるなど、まさに戦禍の中で作曲されており、まさに激しい戦争の中、どちらが勝利するかはまだ分からない状況です。がそのため陰鬱な曲調ですが、第3楽章の終盤でトランペットが入り割と明るく終わることから、オネゲルの交響曲の中では比較的良く演奏される作品となっています。

初演

初演は、第2次世界大戦中の1942年5月18日に行われました。スイスのチューリヒ・コレギウム・ムジクムで、委嘱したパウル・ザッハー指揮バーゼル室内管弦楽団の演奏です。

交響曲第2番はパウル・ザッハーに献呈されています。

曲の構成

オネゲルの交響曲第2番は、旧バーゼル室内管弦楽団のために作曲されたため、小編成で比較的規模の小さい交響曲となっています。3楽章構成ですし、演奏時間は約25分です。

第1楽章:モルト・モデラート

第2楽章:アダージョ・メスト

第3楽章:ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポ

編成

弦5部
トランペット×1(任意)

おすすめの名盤レビュー

それでは、オネゲル作曲交響曲第2番名盤をレビューしていきましょう。

ミュンシュ=パリ管弦楽団

  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感
  • 神秘的
  • 白熱

超おすすめ:

指揮シャルル・ミュンシュ
演奏パリ管弦楽団

1968年 (ステレオ/アナログ/セッション)

ミュンシュとパリ管弦楽団の録音です。ボストン響とも録音がありますが、いずれも名演です。パリ管とのこのディスクは音質は良いとは言えませんが、リマスタリングの結果か、臨場感のある響きです。

第1楽章はパリ管らしく、ソロの表現に深みがあり、コクのある音色です。不協和音をうまく生かして臨場感のある演奏を展開していきます。テンポが速まって弦の主題が出てくると、色彩感と鋭さのある弦の響きで圧倒されます。静かな箇所は神秘的で、オネゲルの世界観を上手く音にしています。アンサンブルも良く、しっかりした演奏です。

第2楽章は、雰囲気たっぷりでパリ管の色彩的で妖艶な音色で、シリアスに表現していきます。次第に高揚していき、シリアスなまま白熱してクライマックスを築き上げています。第3楽章は速めなテンポで表現はシリアスですがリズミカルです。段々と熱気を帯びていき、トランペットの登場がとても効果的です。最後は白熱して曲を締めます。

カラヤン=ベルリン・フィル

  • 名盤
  • 定番
  • 透明感
  • 哀愁
  • 熱気

超おすすめ:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1969年 (ステレオ/アナログ/セッション)

カラヤンとベルリン・フィルの録音です。カラヤンは近現代音楽をとても得意としており、オネゲルもカラヤン=ベルリン・フィルでなければ聴くことが出来ない響きがあります。録音は少し古いですが、安定しておりダイナミクスのあるこの演奏を十分録音しきっています。

第1楽章序奏は静かでベルリン・フィルの光沢のある艶やかな響きが素晴らしいです。主部に入るとかなりテンポアップしてスリリングな演奏になっていきます。カラヤンの演奏の中でここまで感情を入れたスリリングな表現はあまりないと思います。ベルリン・フィルの弦の厚みを活かして、鋭いアーティキュレーションで盛り上がります。中ほどのクライマックスは感情表現も含めて大迫力です。シリアスさを前面に押し出しすぎず、曲の良さを自然に引き出しています。

第2楽章は透明感があり、悲哀を帯びた表現です。弦は哀歌のような旋律を良く歌っており、味わい深さがあります。第3楽章は少し速めのテンポで進んでいきます。熱気をはらんで段々と盛り上がります。サウンドやアンサンブルのクオリティが高く、弦は金属の表面のような滑らかさがあり、ベルリン・フィルで無いと聴けない音楽です。リズムが複雑になってくると白熱してきます。トランペットは少し控えめですが、クオリティの高さと熱気が両立したような演奏です。

カップリングの交響曲第3番『典礼風』が超名演です。初めて聴く方にもお薦めです。

デュトワ=バイエルン放送交響楽団

  • 名盤
  • 定番
  • クオリティ
  • 力強さ
  • 高音質

おすすめ度:

指揮シャルル・デュトワ
演奏バイエルン放送交響楽団

1982年,ミュンヘン,ヘラクレス・ザール(ステレオ/デジタル/セッション)

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デュトワがドイツのバイエルン放送交響楽団を指揮したオネゲルの交響曲全集です。比較的新しい録音で、音質も良好です。

第1楽章ドイツのオケらしい重低音で始まります。デュトワは遅めのテンポでじっくり演奏していきます。主部は少し遅めのテンポで、バイエルン放送響から透明感のあるサウンドを引き出しています。スイス、フランス、ドイツを足して割ったようなサウンドで、丁寧にクオリティの高い演奏を繰り広げます。陰鬱さやシリアスさはそれほど強調されず、センスの良いリズム感が強調されています。後半は透明感の中でもドイツ的な力強さで盛り上がります。

第2楽章は透明感の中に抑制された奥ゆかしい表現です。段々とバイエルン放送響らしい重厚な響きで盛り上がります。大げさな表現は無く等身大の表現で、デュトワの職人らしい所を聴かせてくれます。第3楽章は少し速めのテンポで引き締まった音楽を展開していきます。音質の解像度が良く、ポリフォニーの絡みがよく聴こえてきます。重厚な響きで盛り上がり、なかなかスリリングです。トランペットは控えめですが、それでも十分存在感があります。

カラヤンやミュンシュを聴いていると、もっとメリハリがあってもいいのでは?と思いますが、オネゲルの交響曲第2番をしっかり演奏した玄人好みの名盤と思います。

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楽譜・スコア

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