プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番

セルゲイ・プロコフィエフ (Sergeevich Prokofiev,1891-1953)作曲のピアノ協奏曲 第2番 ト短調 Op.16 (Piano Concerto no.2 g-moll Op.16)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

お薦めコンサート

🎵ピアノ:アブドゥライモフ、ジャナンドレア・ノセダ=NHK交響楽団

■2023/6/10(土)18:00 開演 ( 17:00 開場 )会場:NHKホール (東京都)

■2023/6/11(日)14:00 開演 ( 13:00 開場 )会場:NHKホール (東京都)

プロコフィエフ/交響組曲「3つのオレンジへの恋」作品33bis
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品16
カゼッラ/歌劇「蛇女」からの交響的断章(日本初演)

解説

プロコフィエフピアノ協奏曲第2番について解説します。

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2019年10月4日に公開された映画『蜜蜂と遠雷』で、第4楽章が使われています。非常な難曲として知られています。

作曲

サンクトペテルブルク音楽院のピアノ科に在籍していた1912年~1913年4月に作曲しました。まだ若い作曲家のチャレンジングな作品といえます。

ロシア革命の混乱の中で一度楽譜が失われており、プロコフィエフは記憶からスコアを復元し、同時に改訂が行われました。現在はこの改訂版が使用されています。

ピアノ協奏曲の中でも難曲として知られています。

プロコフィエフは1914年にロシアバレエ団のセルゲイ・ディアギレフと会った時に、この曲を弾いて見せました。それが契機となって『スキタイ組曲』『道化師』が作曲されることになりました。

初演

初演は1913年夏にパヴロフスクにてプロコフィエフ自身のピアノ独奏、A.P.アスラーノフの指揮で行われました。
その初演は大きな騒動に発展し、翌日の新聞にも悪評が書かれています。
偶然にもストラヴィンスキーの『春の祭典』と同じ年ですね。ちょうど新しい音楽が生み出されていった時期なんでしょう。

楽曲の構成

4楽章形式です。演奏時間は約30分です。

第1楽章:アンダンティーノ

第2楽章:スケルツォ、ヴィヴァーチェ

第3楽章:間奏曲、アレグロ・モデラート

第4楽章:フィナーレ、アレグロ・テンペストーソ

編成

独奏ピアノ
フルート×2、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2
ホルン×4、トランペット×2、トロンボーン×3、チューバ
ティンパニ、大太鼓、小太鼓、シンバル、タンブリン
弦五部

おすすめの名盤レビュー

それでは、プロコフィエフ作曲ピアノ協奏曲第2番名盤をレビューしていきましょう。

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ピアノ:ユンディ・リ, 小澤征爾=ベルリン・フィル

爆発的ともいえる圧倒的盛り上がりとクオリティの高さの両立
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • 白熱
  • ダイアミック
  • 高音質

超おすすめ:

ピアノユンディ・リ
指揮小澤征爾
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2007年5月24-27日,ベルリン,フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/ライヴ)

この曲を得意とするユンディ・リのピアノ独奏とプロコフィエフを得意とする最盛期の小澤征爾の指揮、演奏はベルリン・フィルという凄い組み合わせです。小澤征爾はベルリン・フィルとプロコフィエフ交響曲全集を録音していますが、鋭いインスピレーションとベルリン・フィルの機能性を最大に発揮した全集でした。またこの録音は非常に音質が良くグラモフォンのライヴ録音の中でもクオリティの高い音質です。

第1楽章はピアノのユンディ・リは非常にダイナミックで輝きのある演奏で、小澤=ベルリン・フィルはうねりのあるサウンドで持てる機能性を最大限発揮したような白熱した演奏です。作曲したプロコフィエフのインスピレーションの豊富な曲なので、このコンビに相応しいです。録音は弱音から強奏までリアルに捉えています。ユンディ・リは伴奏のダイナミックさに押されることなく、力強いピアノです。第2楽章は限界を攻めるような速いテンポですが、音を外したりリズムがずれたりすることも全くなく完璧な演奏です。

第3楽章は熱気のある伴奏から始まります。金管が咆哮し、弦の響きは密度の高いものです。ピアノはそんなオケに全く負けることなく白熱した演奏を繰り広げます。リズミカルな個所でも軽快というよりスリルがあります。複雑なオーケストレーションを録音はしっかり捉えています。第4楽章は速めのテンポで尋常ではない位の白熱ぶりです。ピアノとオケの野獣のような絡み合いであっという間に感じます。静かな所はピアノもオケも落ち着きがあり、透明感があり、深みも感じる位です。最後の2分はアンサンブルのクオリティが高いのにスリリングでこれ以上ない位、白熱していて圧倒されます。

とっつきにくい、と言われがちで複雑なプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番ですが、この演奏は曲の面白みを最大限に引き出した奇跡的と言える位の名盤です。

ピアノ:ユジャ・ワン, ドゥダメル=シモン・ボリバル交響楽団

  • 名盤
  • 定番
  • しなやか
  • 妖艶
  • 色彩的
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノユジャ・ワン
指揮グスターボ・ドゥダメル
演奏ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団

2013年2月,カラカス (ステレオ/デジタル/ライヴ)

ピアノ独奏はユジャ・ワン、ベネズエラのドゥダメルとシモン・ボリバル・ユース・オーケストラの録音です。新しめの録音で音質は良く色彩感があります。

第1楽章ユジャ・ワンはしなやかで妖艶とも言える表現で、他の録音とは一線を画しています。シモン・ボリバル・オケは重厚な響きでダイナミックですが、ドゥダメルによってしっかりコントロールされています。ピアノが色彩感があるため、オケもそこまで圧倒的な迫力では無く、むしろ落ち着いて聴ける演奏ですね。十分面白みはあり、こういう軽妙な演奏もいいものです。終盤はオケが凄い迫力で、南米のユースオケとは思えない凄さです。第2楽章はピアノが軽妙なタッチで、それに合わせてドゥダメルは細かく繊細さのあるアンサンブルを繰り広げます。

第3楽章はダイナミックですが、他の録音と比べるとインテリジェンスを感じる音楽で、この曲に対するモダニズムは特別感じさせず、自然な表現になっています。ユジャ・ワンは色彩感のあるピアノで多彩な表現を楽しませてくれます。第4楽章軽快なピアノで始まります。テンポは速めです。シモンボリバル・オケもこういうリズミカルな表現が得意で、絶妙なアンサンブルです。静かな個所はしなやかで歌心のある表現で楽しめます。その後、小気味良く盛り上がっていきます。最後の2分はダイナミックで、きめ細かいアンサンブルで、ピアノとオケが細かい音符までしっかり合っていて鳥肌です。

他の圧倒的迫力の演奏も聴いておくべきですが、こういう色彩感のある表現が可能なのだと気づかせてくれる名盤と言えます。

ピアノ:レーゼル, ボンガルツ=ライプツィヒ放送交響楽団

この曲の面白みを引き出した昔からの定番
  • 名盤
  • 定番
  • 白熱
  • ダイナミック

超おすすめ:

ピアノペーター・レーゼル
指揮ハインツ・ボンガルツ
演奏ライプツィヒ放送交響楽団

1969年11月3-7日,ライプツィヒ,和解教会(Versohnungskirche) (ステレオ/デジタル/セッション)

ピアノはペーター・レーゼル、ボンガルツとライプツィヒ放送交響楽団の録音です。昔からの定番の名盤です。録音は1969年と古めですが、当時の東側の録音技術は高いです。

第1楽章は落ち着いて始まります。ピアノとオケが同等という感じで、オケの分厚い響きの中にピアノがダイナミックに弾いていきます。この演奏を聴くとこの曲のモダニズムな部分を良く感じます。ユンディ・リ盤ほどの熱気はなく、むしろ落ち着きを感じます。じっくり聴きたい方に良いですね。後半はとてもダイナミックですが、現代的な音楽として演奏されています。終盤のオケの咆哮は爆発的です。第2楽章は速めのテンポでダイナミックに一気果敢に演奏されています。

第3楽章はライプツィヒ放送響の重厚な響きがダイナミックで、当時のライプツィヒ放送響のレヴェルの高さが伺い知れます。ピアノも負けずにダイナミックで情熱的です。プロコフィエフのオーケストレーションの面白さを目立たせています。全体的にかなり色彩感があります。第4楽章は凄い迫力で始まります。ピアノのダイナミックなタッチ、オケの咆哮で凄い響きです。曲想が落ち着いてくるとしなやかさもあるピアノの表現が良いですね。後半盛り上がってくるとまたダイナミックになりますが、しなやかさもあり結構味わい深く聴けます。終盤2分は凄く白熱した演奏で凄いです。

若い才気に溢れたプロコフィエフのインスピレーションに溢れたスコアで面白みのある個所をしっかり押さえていて定番と言うに相応しいです。初めて聴いた人でもこの曲の面白みをよく理解できる名盤です。

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楽譜・スコア

プロコフィエフ作曲のピアノ協奏曲第2番の楽譜・スコアを挙げていきます。

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