ブランデンブルク協奏曲第3番 (J.S.バッハ)

ヨハン・クリスティアン・バッハ (Johann Christian Bach,1735-1782)作曲のブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV1048 (BRNDENBURG CONCERTO No.3 G-Dur)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップでスコアや楽譜もご紹介します。

解説

バッハブランデンブルク協奏曲第3番について解説します。

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『ブランデンブルク協奏曲』ブランデンブルク=シュヴェート辺境伯クリスティアン・ルートヴィヒに献呈された協奏曲集です。1719年に演奏されたと推測されています。

実際はどの曲がいつ作曲されたかは不明で、既存の器楽曲を流用あるいは編曲して協奏曲集にしたと考えられています。作曲された順番は、第6番、第3番、第1番、第2番、第4番、第5番です。第3番は1818年頃と言われていますが、実際はさらに前のヴァイマール時代(1708年~1717年)にさかのぼると推測されています。

このブランデンブルク協奏曲の第3番は、年代的には2番目に作曲されたものです。ベルリンの国立図書館にバッハの自筆譜が残されています。ヴァイオリン3人、ヴィオラ3人、チェロ3人と通奏低音のために書かれ、ヴィヴァルディの弦楽コンチェルトのような、イタリア様式の影響が強く感じられます。

実はヴァイマール時代の1713年ヨハン・エルンスト公子がオランダから帰国した際にヴィヴァルディの作品3やトレッリ、マルチェッロといったイタリアの作曲家の協奏曲の楽譜を持ち帰っています。そしてエルンストはバッハらにこれらの協奏曲をクラヴィーア(オルガン、チェンバロなど鍵盤楽器)のための協奏曲へ、編曲するように依頼しました。例えば「4つのヴァイオリンによる協奏曲」を編曲した「4つのチェンバロによる協奏曲」は有名かも知れません。それ以外にもいくつかの曲を編曲しています。それによりバッハはヴィヴァルディを中心としたイタリアの協奏曲形式に精通することになりました。

第1楽章9声部の複雑な対位法で書かれており、同じ楽器でアンサンブルしたかと思えば、次はパートをまたがってアンサンブルしたり、と変幻自在なアンサンブルです。そういう意味ではヘンデルの合奏協奏曲Op.6テレマンの『ターフェルムジーク』を先取りしています。フーガとは言えませんが、近い要素もあり、リトルネット形式の中にフーガの要素を当てはめているようにも見えます。ヴィヴァルディも同様の曲があり、バッハが知っていたかどうか不明ですが、ヴィヴァルディの弦楽コンチェルトRV.134はフーガをリトルネッロ形式に当てはめています。また第1楽章はとてもドラマティックな展開をしていきます。これはリューベクで活躍していたオルガン作曲家のブクステフーデの影響もあると思いますが、ヴィヴァルディの影響も強いと思います。

また、後年カンタータ『心より至高なものを愛する』(BWV174)のシンフォニアに転用されています。

緩徐楽章である第2楽章フリギア終止が書かれているのみで、即興演奏を要求していると考えられますが、特に指定はありません。恐らくバッハ自身が即興演奏したと考えられます。古楽器演奏であっても、そのまま和音のみを演奏している録音や装飾程度の録音も多いです。第3楽章はジーグ風の舞曲でここでも対位法が効果的に使われています。ジーグはイタリア風の6/8拍子のものと、3/4拍子のものがありますが、後者が使われています。

おすすめの名盤レビュー

それでは、バッハ作曲ブランデンブルク協奏曲第3番名盤をレビューしていきましょう。

サヴァール=ル・コンセール・デ・ナシオン

低音がしっかりした芳醇な響き、サヴァールの円熟が感じられる名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 円熟
  • 格調
  • 古楽器

超おすすめ:

指揮ジョルディ・サヴァール
演奏ル・コンセール・デ・ナシオン

1991年3月,イタリア,パドゥヴァ,ジュスティ・デル・ジャルディーノ館 (ステレオ/デジタル/セッション)

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サヴァールはチェロと同じ音域のガンバの奏者です。そのため、低音がしっかりしており低音から積み重ねるように響きを作り上げています。結果としてドイツ的な響きになっています。リヒター盤が好きで古楽器演奏を聴いてみたい方にはお薦めの名盤です。録音が新しく音質も非常に良いです。

第1楽章は古楽器奏法で対位法の見通しの良いアンサンブルで楽しめます。それと同時にドイツ的な重心の低さがあり、ヴァイオリンからチェロまでバランスの良い演奏です。サヴァールの円熟も加わり、バッハ特有のドラマティックな音楽づくりで、非常に聴きごたえがあります。ドラマティックですが作為的な所を全く感じさせない所が凄いですね。第2楽章ヒストリカル・チェンバロのソロで音色が芳醇で良いです。第3楽章は舞曲ですが落ち着きがあり、大人の演奏です。

サヴァールの渋さが曲にとてもマッチしていて、聴きごたえがあります。

リヒター=ミュンヘン・バッハ管弦楽団

真摯なアプローチとドイツ的な重厚さ
  • 名盤
  • 定番
  • 格調
  • 重厚

おすすめ度:

指揮カール・リヒター
演奏ミュンヘン・バッハ管弦楽団

1967年1月,ミュンヘン (ステレオ/アナログ/セッション)

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カール・リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団の録音はモダン楽器による演奏です。昔からの定番ですね。ドイツ的な重厚さのある響きで楽譜に忠実ですが、第2楽章はチェンバロの即興演奏をしていて当時の様式を偲ばせます。

第1楽章は1パート複数人で演奏しているようです。ドイツ・バロック風の重厚な雰囲気を楽しめます。まとめ方が難しい曲ですが、バッハらしいドラマティックな音楽づくりはさすがリヒターです。一方、ヴィブラートが入っていて、テヌートが目立つため、対位法の見通しが今一つです。第2楽章モダン・チェンバロの即興演奏が入っています。第3楽章は少し遅めのテンポでしっかり演奏しています。ヴィブラートが強いことと、最後のリタルダンドが好みの分かれ目ですね。

今から考えれば、古楽器演奏がメジャーになる前の真摯な演奏と言えます。古楽器を含めてみてもスタンダードな名演奏で、今聴くと逆に新しい発見があります

ベルリン古楽アカデミー

透明感のある響き、古楽器の老舗らしい演奏
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • 透明感
  • 古楽器

超おすすめ:

演奏ベルリン古楽アカデミー

1997年5,10月 (ステレオ/デジタル/セッション)

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ベルリン古楽アカデミーはドイツ3大バロックオケの一つでクオリティの非常に高い演奏です。全ての奏者のレヴェルが高く、第3番には相応しいですね。

第1楽章は見通しの良い透明感のある響きです。弦の響きに艶があり、豪華さも感じる位です。対位法の見通しの良さ、シャープなリズムが心地よいです。サヴァール盤ほどのドラマは感じませんが、指揮者がいない自主的なアンサンブルで、全員がソリスト、と感じさせる丁々発止のスリルがあります。アンサンブルのクオリティも高いです。第2楽章チェンバロの長めの即興です。良く研究された即興ですね。当時、おそらくチェンバロはバッハ自身が弾いたと思いますが、テクニックを魅せつけるような演奏だったのではないかと想像します。第3楽章ジーグの本来の速めのテンポでスリリングです。古楽器らしいシャープな切れ味のある演奏です。

ターフェルムジーク・バロック・アンサンブル

上手さと言い表現と言い、最も優れた演奏の一つ
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • 情熱的
  • 古楽器

超おすすめ:

演奏ターフェルムジーク・バロック・アンサンブル

1993年 (ステレオ/デジタル/セッション)

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ターフェルムジーク・バロック・アンサンブルはカナダの古楽器アンサンブルです。1990年代において、テクニック面で圧倒的な上手さを誇ったアンサンブルです。同時に表現も優れていて、バロックらしい音色でバロック初期から古典派までレパートリーとしています。各メンバーが非常に上手いことと、映像をよく見てみると、ヴァイオリンの顎当てやチェロのピンなど、ただ古楽器に忠実というよりは、音楽づくり優先のアンサンブルであると言えます。弦楽器が主体なのも第3番に相応しいです。他の番号も優れた演奏ですけれど。

第1楽章各奏者のスリリングなアンサンブルが楽しめます。もっとテンポの速い転送もありますが、これだけ自由でクオリティの高いアンサンブルはなかなかありません。リズムのノリの良さ、シャープさのある響き、今聴くとコクのある音色で味わいもあります。後半は不協和音を躊躇なく目立たせ、とてもドラマティックな演奏となっていて、とても振幅の大きな表現です。第2楽章はシンプルでセンスの良いヴァイオリンの即興です。第3楽章は速いテンポでシャープなリズムの演奏です。とてもリズミカルでスリリングです。こういう曲のセンスの良さには脱帽です。

この演奏を最初に聴いたときには、先鋭的に聴こえましたが、今聴くと自然でセンスが良く、長く残るスタンダードな名盤といって過言ではないと思います。

クイケン=ラ・プティットバンド

丁寧で細部までしっかりした名盤
  • 名盤
  • スリリング
  • 古楽器

おすすめ度:

指揮シギスヴァルト・クイケン
演奏ラ・プティットバンド

2009年10月19-23日,ベルギー,ギャラクシー・スタジオ (ステレオ/デジタル/セッション)

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クイケンとラ・プティットバンドの演奏です。古楽器の演奏の中ではとても丁寧な演奏で、スタンダードな名盤と言えます。古楽器演奏の中でも作為がほとんど感じられず、極端な表現のない自然さのある演奏です。

第1楽章少し遅めのテンポでリズミカルに丁寧に演奏されています。古楽器奏法を活かした演奏ですで、細かいアーティキュレーションなど、じっくり練られています。ドラマティックさは無く、曲の持っている力でそのまま演奏しています。対位法の絡み方もとても丁寧で好感が持てますし、参考演奏としても最上級です。第2楽章ヴァイオリンのソロとチェンバロの絡みでとても良い雰囲気です。第3楽章スピード感があります。この楽章もスリリングに飛ばすことは無く、丁寧さがあり細部までしっかりした演奏です。

ゲーベル=ムジカ・アンティクヮ・ケルン

速いテンポでスリリング、尖った名盤
  • 名盤
  • スリリング
  • 古楽器

おすすめ度:

指揮ラインハルト・ゲーベル
演奏ムジカ・アンティクヮ・ケルン

1986年6月 (ステレオ/デジタル/セッション)

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ゲーベルとムジカ・アンティクァ・ケルンの演奏です。聴いていて、とてもスリリングで爽快で楽しめる演奏です。

第1楽章テンポの速さが印象的です。リズムが強調されており溌剌とした演奏です。また鋭角的な音色で、少しくすみがかった音色が味わい深いです。だんだんと情熱的になっていき、曲が進んだ短調の部分も強い感情表現です。第2楽章は和音のみです。第3楽章凄く速いです。リズミカルで良いとも思いますが、対位法は聴き取りにくいですね。このテンポで軽々と演奏してしまうムジカ・アンティクァ・ケルンは凄いです。

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