ボロディン 交響曲第2番

アレクサンドル・ボロディン (Alexander Borodin,1833-1887)作曲の交響曲第2番 ロ短調 (交響曲第2番 h-Moll)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

フェドセーエフ=NHK交響楽団の名演

解説

ボロディン交響曲第2番 ロ短調について解説します。

ロシアの国民楽派で交響曲を作曲したのは、ボロディンとリムスキー=コルサコフです。どちらも3曲作曲していますが、ボロディンの第3番は第3楽章の途中までしかできませんでした。交響曲第2番はボロディン自身によって『勇者』という愛称がつけられています。一方、日本では略して「ボロ2」と呼ばれます。ボロディンはチャイコフスキーに比肩するロシアの交響曲作曲家でもあります。最初の1966年に作曲した交響曲第1番から熱烈な高評価を得ています。

交響曲第2番は第1番の成功のあと、早速作曲が開始されますが、医科大学の教授(こちら本業)に就任したり、フランツ・リストを訪問したり、と多忙な生活を送り、なかなか作曲が進みません。一方、フランツ・リストの助力で1980年にはドイツで交響曲第1番が演奏され、ロシアの交響曲として初めて好評を博しました。

1985年になり、やっと交響曲第2番が完成し、ベルギーで2つの交響曲が演奏され、好評を博しています。この後、西欧においてもチャイコフスキーがロシアの交響曲作家の代表的存在となっていきますが、ボロディンはそれより前に西欧で成功していたのです。昔は、ロシアの交響曲といえば、チャイコフスキーか、ボロディンと言われていたそうです。

ロシアとロシア人の国民性を知ろうとすれば、チャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』とボロディンの交響曲第2番を聴くだけで十分である。

by.ワインガルトナー

そして、ボロディンの交響曲第2番について次のように書いています。

みなぎる気迫と暮らしへの愛情、そして自然の力を表現している。それは、ロシアの大自然への賛歌であり、ロシアの大地を照らす太陽への賛歌だ

by.ワインガルトナー

確かにボロディンは交響曲第3番作曲中に過労がたたったのか急逝してしまいました。そのため本当に深みのある交響曲、例えばチャイコフスキーの第4番以降のような作品までは到達しませんでした。エキゾチックであり、非常に聴きやすく分かり易いことも成功の要因だと思います。

昔から親しまれていたが故に、古い演奏にボロディンの交響曲第2番が出てきたりします。ちなみにカリンニコフの交響曲も昔のほうが良く演奏されたようです。このページにもエーリヒ・クライバーの演奏が、カルロス・クライバーの演奏とカップリングされたディスクがあります。近衛秀麿もお気に入りだったそうです。

ロジェストヴェンスキーが読響に来た時に聴きに行ったのですが、生演奏で聴いたロジェストヴェンスキーのボロ2は、それまで聴いたことが無いような面白い弾き方で始まっていました。ちなみに確か第3番はボロディンが完成させた所までで演奏を止めた記憶があります。(記憶違いでしたらすみません。)

おすすめの名盤レビュー

それでは、ボロディン作曲交響曲第2番 ロ短調名盤をレビューしていきましょう。

コンドラシン=ロイヤル・コンセルトヘボウ管

  • お国物

指揮キリル・コンドラシン
演奏ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

1980年6月,アムステルダム,コンセルトヘボウ,ステレオ(ライヴ)

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カルロス・クライバー=シュトゥットガルト放送交響楽団

  • 名盤
  • スリリング

超おすすめ:

指揮カルロス・クライバー
演奏シュトゥットガルト放送交響楽団

1972年12月12日,シュトゥットガルト,SDR放送スタジオ,ステレオ

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カルロス・クライバーの数少ないレパートリーの中にボロ2が入っていたとは意外でした。でもこの演奏はカルロス・クライバーらしいスリリングな名演です。

冒頭はかなり速めのテンポで始まります。この演奏は重厚で土臭い方向ではなく、ロシア風とは少し違いますが凄く熱気があり、スピード感があってスリリングです。鋭いアクセントもいいですし、どんどんテンポアップしていき、盛り上がっていきます。『運命』と同じように沸騰せんばかりに盛り上がります。たまに美しいメロディが出てくると対比が大きくて効果的です。どこまでも盛り上がっていき、爆演になって終わります。

第2楽章は最初から凄くテンポが速く、煽りまくって進みます。ちょっと曲の趣旨からずれている気もしますが、楽しい演奏です。ロマンティックな所も十分ロマンティックですが、テンポは速いままなのです。第3楽章がアンダンテで緩徐楽章になっています。この楽章は遅めに演奏していますが、盛り上がってくると白熱してきます。でも、基本的に味わい深さのある演奏です。ロシア的とまでは行きませんが、ドイツのオケはダイナミックなので、近いものがある気がします。第4楽章はまた凄いテンポで始まります。かなり激しい舞曲のようです。パーカッションもかなり鳴らしています。とてもスリリングで楽しめます。全曲、もともと飽きるような曲でもありませんが、ここまでスリリングな演奏は他にないと思います。

親のエーリヒ・クライバーも同じような演奏スタイルです。ちょっと録音が悪いこともあって、カルロス・クライバーのような圧倒的なスリリングさがあるかどうか分かりませんが、このCDのおかげでカルロス・クライバーは親の真似をしていた、という人もいますね。多分、スコアや演奏スタイルは受け継いでいるでしょうけれど。

ロジェストヴェンスキー=王立ストックホルム・フィル

  • 名盤
  • 個性的
  • お国物

超おすすめ:

指揮ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー
演奏王立ストックホルム・フィルハーモニー

ロジェストヴェンスキーと透明感の高い北欧の音色を持つロイヤル・ストックホルム・フィルの組み合わせです。それでボロディンだと、オケのキャラが少し違うような気はします。

第1楽章は普通のテンポで始まります。結構テンポが速い演奏が多い中でロジェストヴェンスキーのテンポは実はあまり速くはないですね。他の曲でもそうですけど、実は普通のテンポで演奏している場合が多いと思います。読響の時に聴いた冒頭の怪演は、このディスクではやっていないようです。落ち着いたテンポの中でロイヤル・ストックホルム・フィルは味わいのある演奏を繰り広げています。第2楽章も同じですが、遅めのテンポなので、色々な表現ができるというものです。音質も良いですし、オケのレヴェルは高く、ソロも上手いので、他の野蛮な演奏とは違った味わいが楽しめます

第3楽章は始まりのハープから、素朴ながらもバレエ音楽のような色彩が感じられます。スケールの大きな音楽になっていて、透明感が素晴らしいです。ホルンも上手く、音質が良いので良く響き渡っています。この楽章は、この演奏の白眉ですね。指揮者はロジェストヴェンスキーですから、ツボは押さえています。聴きごたえのある演奏です。第4楽章落ち着いたテンポ設定ですがダイナミックです。ロジェストヴェンスキーの懐の深い指揮ももと、オケもかなり金管が頑張っていて、ダイナミックでロシア風な演奏です。テンポが遅めなのでスケールの大きさに繋がっていて、これはこれで名演だと思います。

派手な演奏が多い中で、こういう落ち着いた演奏も、味わいがあって良いです。

スヴェトラーノフ=ロシア国立交響楽団

円熟し始めたロシアの巨匠の味わいとダイナミックさ
  • 名盤
  • ダイナミック
  • 円熟
  • お国物

おすすめ度:

指揮エフゲニー・スヴェトラーノフ
演奏ロシア国立交響楽団

1992-1993年

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スヴェトラーノフと手兵のロシア国立交響楽団との演奏です。録音は1993年なのでスヴェトラーノフが円熟し始めたころでしょうか。そのため、渋みのあるサウンドでテンポは遅めです。ロジェストヴェンスキーの演奏よりも遅いです。

冒頭は、スタッカート気味ですが、遅めのテンポで主題を演奏しています。ダイナミックですが、ソ連時代のような爆速の爆演ではありません。円熟していてとても味わい深いです。素朴さもあるのですが、格調高さも感じる演奏です。それにツボはよく分かっているわけで、こんなところでこんなに味わい深い音楽があったのか、と感心してしまいます第2楽章も遅めです。特にトリオは遅めで、味わい深いです。歌わせ方が良いですね。

第3楽章ホルンのソロの時点で広々とした中央アジアの草原に連れていかれてしまいます。ボロディンはホルンの使い方が上手いですね。生演奏でフェドセーエフ=モスクワ放送管弦楽団の『中央アジアの草原にて』を聴いたことがありますが、それは恐ろしい位上手いホルンでした。同コンビのCDでは味わえないサウンドでした。スヴェトラーノフのこの楽章も多分、生演奏で聴いたらもっと凄いのだと思います。第4楽章はスケールが大きな演奏です。ダイナミックですが、きちんとした演奏で、格調もあります。ダイナミックなだけではなく、これだけしっかり演奏された第4楽章は滅多になく、このページの演奏の中では一番だと思います。

アンセルメ=スイス・ロマンド管弦楽団

  • 名盤

指揮エルネスト・アンセルメ
演奏スイス・ロマンド管弦楽団

1954年

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エルネスト・アンセルメはロシアの国民楽派の曲を多く録音しています。しかもなかなかの名演です。録音が古めなせいもあるかも知れませんが、結構ダイナミックでロシアの民族的な味がある演奏が多いです。

ボロディンは2番と3番を録音しています。未完成の3番は貴重な録音でしたが、ボロディンの全集もいくつか出てきたので、珍しいとは言えなくなりました。ただ、バラキレフの交響詩「タマーラ」がカップリングされているのが凄いですね。スイスロマンド管弦楽団は、色彩的なサウンドを売りにしていたオケでしたが、このロシアものをやるときは別のオケのようにダイナミックになります。

第1楽章は速めのテンポで主題を刻むように演奏して始まります。第2楽章はロシア的な民族性を感じる緩徐楽章です。緩徐楽章にしては、なかなか色彩的で飽きさせませんけど、アンセルメの演奏も変化に富んでいて素晴らしいです。第3楽章に入るとリズミカルな演奏でテンポも速めでスリリングです。オーボエなどロシア風ですし、パーカッションも思い切り鳴らしていて楽しめる演奏です。第4楽章に入ります。この楽章も色彩的ですが、味わいのあるメロディがなかなか良く表現されています。弦楽器の響きもロシアの大地を感じるような所があり、味わい深いです。

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楽譜

ボロディン作曲の交響曲第2番 ロ短調の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュア・スコア

zen-on score ボロディン:交響曲第2番ロ短調

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Symphony No. 2 B minor (Eulenburg Studienpartituren) (English Edition)

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