
『ペトルーシュカ』(Petrushka) はイーゴル・ストラヴィンスキー (Igor Stravinsky, 1882~1971) が作曲した三大バレエの2作目です。このページでは『ペトルーシュカ』の解説のあと、おすすめの名盤をレビューします。また、バレエ版ディスクやスコア・楽譜までワンストップで紹介していきます。
ペトルーシュカは即興的なピアノ協奏曲的な面もあります。またトランペットやフルートなど各楽器のソロも多く、聴きどころは満載です。序奏や謝肉祭のシーンなどは物語と関係ありませんが、多彩なロシアのコサックダンスが取り入れられていて、ロシア的な面白さもあります。
解説
ストラヴィンスキー作曲の『ペトルーシュカ』を解説します。
ストラヴィンスキーのインスピレーションから誕生
ストラヴィンスキー三大バレエの第2作目です。バレエ「火の鳥」はストラヴィンスキーが参加した時には既に筋書きが決まっていました。しかし、第2作目のバレエ「ペトルーシュカ」はストラヴィンスキーが見た白昼夢からインスピレーションを得て台本が書かれました。
人形に突然人間の魂が入り、動き始める。しかし、ペトルーシュカは障害のある人形でした。そして人間と同じように恋愛し、ムーア人と三角関係になりますが、最終的には屈強なムーア人(アフリカ人)に刀で殺されてしまいます。祭りが終わり人形遣いが人形から魂を抜いて帰ろうとすると、なんと小屋の上からペトルーシュカの亡霊が現れます。
即興的な音楽
「ペトルーシュカ」は、もともとストラヴィンスキーが即興的に作曲した3楽章のピアノ曲をベースにしています。そのため、もともと確固とした形式を持っているわけではなく、即興的な音楽となっています。序奏を除いた音楽は、どんどん場面が展開していき、やがて頂点を迎えるという自由な形式で作曲されています。
謝肉祭が舞台になっていることもあり、音楽もロシア的なリズムが多いですね。新しいテーマがどんどん出てくるので、それらをどう演奏するのか楽しみながら聴けます。
強烈な生命力と理不尽なストーリー
ペトルーシュカや人形たちの強烈な生命力が感じられます。この生命力というのはバレエ「春の祭典」のテーマにもなっていますが、ストラヴィンスキーの白昼夢はさぞ強烈なものだったのでしょうね。
ペトルーシュカは生命を吹き込まれた後、人間以上の執着力で、恋愛を成就しようとしたり、ムーア人に挑んだりします。そして体を目いっぱい使って、奇妙なダンスで自分の感情を表現するのです。
しかし、ピエロであるペトルーシュカは人形の女の子に振られた上、結局人形ですから、いくら主張をしても、仮に恋愛が成就しても、人形使いが魔法を解いてしまえば、皆ただの人形になってしまいます。そこがとても理不尽なのです。ストラヴィンスキーの白昼夢から生まれたといわれるストーリーは「春の祭典」もそうですが、解決できない理不尽さを持っています。
最後は魔術師に魂を抜かれたペトルーシュカの亡霊が見世物小屋に現れる位、凄い生命力です。音楽だけ聴くとよく分かりませんが、バレエの舞台を見ると見世物小屋の上に亡霊が出てくるシーンを良く再現しています。

曲の構成
4場からなるバレエの音楽です。組曲でも基本的に同様ですが、ラストがフォルテで終わるようになっています。ストーリーでは大事なペトルーシュカの亡霊が現れる、という場面が無くなっています。
■第1部: 謝肉祭の市
・序奏
・人形使いの見世物小屋
・ロシアの踊り
■第2部: ペトルーシュカの部屋
■第3部:ムーア人の部屋
・ムーア人の部屋
・バレリーナの踊り
・ワルツ
■第4部:謝肉祭の市
・乳母の踊り
・熊を連れた農夫の踊り
・行商人と二人のジプシー娘
・馭者と馬丁たちの踊り
・仮装した人々
・ペトルーシュカとムーア人の喧嘩
・終景:ペトルーシュカの死
・警官と人形使い
・ペトルーシュカの亡霊
おすすめの名盤レビュー
ストラヴィンスキー作曲の『ペトルーシュカ』のおすすめの名盤をレビューします。
『ペトルーシュカ』を理解したい人は、バレエの映像は見ておくべきです。バレエとしても名作ですし、舞台を知ると聴き方が変わってくる曲ですね。
『ペトルーシュカ』はスタンダードな演奏と、個性的で表情豊かな演奏の2つに分かれるように思います。決定盤、というのが無いのですが、スタンダードな名盤としてはサロネン盤、メータ盤、ブレーズ旧盤などがあります。スタンダードでクオリティ重視な演奏であっても「生命力」や「インスピレーション」は大事な要素です。
曲自体に即興性があるので、個性的な表現が出来る曲です。フェドセーエフ盤はとてもロシア的でコサック・ダンスなど上手く演奏しています。初演者であるモントゥー盤も表現が面白いです。恐らく『春の祭典』より名演だと思います。マゼール盤も面白いと思います。小澤盤は両者の中間あたりでしょうか。
メータ=ロサンジェルス・フィル
メータ=ロサンジェルス・フィルハーモニックの演奏は、『ペトルーシュカ』が名演奏です。ストラヴィンスキーの3大バレエといいますが、「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」で全てが名盤という演奏家はほぼいないですね。メータは「ペトルーシュカ」が名盤です。
メータの素晴らしさは、その「生命力」です。導入から既に生命力と迫力に満ちていて、響きに輝きを感じます。しかし、メータらしくテンポは速くもなく遅くもなく、適切です。その中でオーケストラの実力も素晴らしいですし、安心して聴ける定番の演奏でもあります。ストレートで、即興性には欠ける部分があるかも知れません。その点、他に面白い演奏がいくつかありますので、そちらに譲ることにして、メータらしい安定感の中に、ダイナミックな生命力を感じる名盤です。
サロネン=フィルハーモニア管弦楽団 (1991年)
サロネンの『ペトルーシュカ』は昔から定評があります。ロスフィルが来日した時に、サロネン=ロス・フィルの『ペトルーシュカ』の実演に接しましたが、スマートかつしなやかでロス・フィルの金管の表現力に感嘆しました。
サロネンが活躍を始めたころのフィルハーモニア管弦楽団とのディスクはサロネンの『ペトルーシュカ』の評価を高めた名盤です。若いころから知的な指揮で、フィルハーモニア管からクオリティの高いサウンドを引き出しています。
「序奏」は、シャープでスリリングな名演です。フィルハーモニア管の管楽器のクオリティが高く、オーケストレーションをしっかり再現しています。メータのダイナミックさに比べ、鋭さがあり生命力があると共にアンサンブルのクオリティが高いです。フルートソロはクールで聴き心地が良いです。
「ペトルーシュカの部屋」は、他では聴けない繊細な表現があります。ペトルーシュカの叫びみたいな強烈な音楽になりがちですが、サロネンの表現はもっとスッキリしています。繊細に恋愛感情を表現しているように聴こえます。「ムーア人の部屋」は意外とダイナミックですね。女の子の人形が吹くトランペットは、なかなか雰囲気がでています。ムーア人の音楽のほうは、もう一つ表現の余地がある気がします。メータなどはその辺りまで表現していますし。「謝肉祭」はシャープで、ダイナミックな演奏です。
シャープでクール、かつ繊細な所が良いと思います。考えてみると繊細さを強調した演奏は少ないですから。
小澤征爾=ボストン交響楽団
小澤征爾=ボストン交響楽団は、レコーディングになると大人しくなって、質は高いけれど迫力が少ない演奏が多いかった印象があります。しかし、この1969年録音のディスクはライヴのようにテンションが高くフレッシュさのある名演です。1969年録音と思えない位、音質は良いです。若いころの小澤の場合、熱気があり過ぎてテンポが走っている時もありますが、このディスクはそんなことはなく、クオリティが高いです。
冒頭から速いテンポで飛ばしていきます。ボストン交響楽団の響きもスカッとして気持ちがいいですね。途中、さらにテンポアップする所がある位ですが、とてもフレッシュで生きいきしています。その後、人形遣いが笛を吹くシーンでは、しなやかな表現が良く合っています。人形が突然踊りだすシーンも生命力が感じられます。
「ペトルーシュカの部屋」では、M.T.トーマスのピアノがブリリアントな響きです。小澤のペトルーシュカに対する共感でしょうか、非常にしなやかで美しいフルートのソロがとても印象的です。強いインスピレーションも感じられます。「ムーア人の部屋」は、グロテスクさはそれほどありませんがダイナミックです。ボストン響の金管やパーカッションもとても素晴らしい演奏です。トランペットの技術レヴェルも高いです。「謝肉祭」の場面も急に目の前が開けたようにフレッシュです。テンポ取りは少し速めです。年に一度の謝肉祭で生き生きとしたロシアの民衆の活力が伝わってきます。「熊を連れた農夫」のシーンでは、チューバのソロが大きく演奏されています。2拍子系のダンスが多いですが、これがとてもダイナミックに生き生きと演奏されています。クライマックスの盛り上がり様はスタジオ録音とは思えません。ペトルーシュカの亡霊が現れる場面では、しなやかな伴奏の中に、一転して鋭いトランペットが出てきます。強いインスピレーションが感じられる場面です。
聴いていてこれだけ生命力があって、フレッシュな演奏はなかなかありません。生命力ではメータ盤と双璧、弱音部分のしなやかさは他のディスクでは滅多に聴けないですね。また、随所で若いころの小澤征爾の鋭いインスピレーションに触れられる貴重な名盤です。
ブレーズ=ニューヨーク・フィル
ピエール・ブレーズの旧盤は生気に溢れた名盤です。いまでも定番として聴ける名盤だと思います。
ただ生気に溢れているだけでなく、細かい所までスコアを読みこみ、色々な表現をしていて、密度が高いです。ある意味、メータの名盤はブレーズがニューヨーク・フィルハーモニックで録音したから、それとメータのパワーが一緒になって名盤になったと思います。
冒頭からフレッシュで素晴らしい演奏です。一番良いシーンである、人形が突然踊りだす個所が、とても生き生きしているのは、さすがブレーズです。
その後、場をつなぐスネヤの音が非常に小さいですが、意味があるのでしょうかね。
他の部分はスタンダード、というか、スタンダードを作った演奏だと思います。
フェドセーエフは以前から『ペトルーシュカ』を得意としています。ダイナミックで生命力があるし、表現が多彩で面白いのです。最近、2007年の録音がリリースされました。チャイコフスキー交響楽団はモスクワ放送交響楽団が改名したオケなので同じオーケストラです。モスクワでのライヴ録音ですが、音質がとても良く、フェドセーエフの個性的演奏もさらに磨きがかかっています。すぐに入手困難になりそうなので、欲しい人は中古でもお早めに。
「序奏」は凄い溌剌さで、迫力もありますし、リズムも強烈です。まさにロシア的です。コサックダンスのリズムのところなど、水を得た魚のように凄い強烈なリズムです。人形が登場して「ペトルーシュカの部屋」も凄い演奏ですね。まさに強烈で、金管が驚くくらい大活躍します。これはやっぱり爆演です。
「ムーア人の部屋」はエキゾチックな音楽をこれでもかと強調します。パワーだけではなく表現の仕方が面白いんですよね。フォルテになる個所は全く遠慮なく爆発的なパーカッションと金管を鳴らしてきます。トランペットのソロも凄く上手いです。音質がよくなってフルートが非常にきれいに入っています。デュエットの部分も良いですね。
ドラムロールが入って、目の前が大きく開けると、謝肉祭のシーンに戻ります。ここからロシアの民族舞踊のオンパレードなのが『ペトルーシュカ』の面白い所で、フェドセーエフやモスクワ放送交響楽団にとっては腕の見せ所です。
溌剌としたダイナミックなダンス音楽が続きます。テンポも大きく変わります。それにしてもモスクワ放送交響楽団って知ってはいましたが、凄いパワーです。個性的なテンポで煽り立てるフェドセーエフも凄いです。突然爆速になったかと思えば、次の曲はすごく遅かったり。
モントゥー=ボストン交響楽団 (1959年)
モントゥーとボストン交響楽団の録音です。モントゥーはバレエ「ペトルーシュカ」の初演を担当した指揮者です。ボストン交響楽団と安定した演奏を繰り広げています。無論、昔の録音なので、今のオケに比べるとリズムが不正確な所はあります。古めの録音ですが音質は安定しています。
モントゥーは初演指揮者なので、確固とした演奏スタイルを持っているかと思いきや、意外に懐(ふところ)の深い指揮で、単なる歴史的名盤というだけではなく、聴いていて楽しめる演奏だと思います。
「第1場:謝肉祭の市場」では、変拍子は少し大雑把ですが、なかなかダイナミックで色彩感のある演奏です。ボストン響は高い技術でモントゥーの奥の深い指揮についていき、細かいオーケストレーションなど聴いていて納得させられるものがあります。人形たちの登場シーンはとても生命力に溢れていて、バレエの舞台が見えるようです。「ペトルーシュカの部屋」では、ピアノソロや管楽器のソロがとても生き生きしています。懐の深いモントゥーの指揮のもと、ソリストは自然体で表現しています。それでいてペトルーシュカの心情の表現など、さすがモントゥーと思わせる上手さです。
「ムーア人の部屋」は異様な雰囲気が良く出ていていますが、表現過剰になることなく、しなやかさや自然さを保っています。品格がある表現ですが、この辺りがモントゥーの凄さで、他の指揮者なら激しく演奏しそうな所も自然体で演奏していて、それで十分表現が出来ています。曲の面白い部分を良く把握しているからできる演奏と思います。「第4場:謝肉祭の市」は、ダイナミックでスケールが大きな演奏です。自然体の演奏ですが、各場面を精緻に描き出しています。「なるほど」と思わせる表現も多いです。後半の大きな盛り上がりも白熱しています。最後の場面のまとめ方も上手いです。
ペトルーシュカをいくつか聴いてきた方にお薦めしたいディスクです。玄人受けする名盤と思います。
アンチェル=チェコ・フィル (1962年)
アンチェルとチェコ・フィルの演奏です。1963年録音で、音質はまあまあです。東ヨーロッパでの演奏であるため、西側とはまた違った表現が見られます。まだ、西側では技術的に追いついていない時期で、ブレーズなどが登場した頃です。東側やロシアではマルケヴィッチが早くから名演を残していますし、スヴェトラーノフの『春の祭典』は凄い演奏です。アンチェルはチェコ・フィルで最先端の音楽作りをしています。
「序奏」はスケールが大きくダイナミックです。チェコ・フィルは少し硬質な響きで、シャープでリズミカルな演奏です。パーカッションも鋭く打ち込み、今のチェコ・フィルとは大分違いますね。「ペトルーシュカの部屋」は表現が丁寧で奥深いです。特に木管のレヴェルが高く、ソロも素晴らしいですし、アンサンブルでも良い音色を出しています。強奏では金管やパーカッションが非常にダイナミックです。こういう繊細で情感のある表現は他の演奏ではあまり聴けないものです。クラリネットの上手さが目立ちます。
「ムーア人の部屋」は、粗野な雰囲気が良く出ていて、荒々しくダイナミックです。金管とパーカッションの派手な打ち込みはまるでロシアのオケのようです。「謝肉祭の夜」はいぶし銀の響きのチェコ・フィルなので、ロシアの謝肉祭としては重いような感じもしますが、舞曲のリズム感はしっかりしています。チューバのソロなどかなり上手いですね。色彩感もあり、色々な舞曲を多彩に演奏していきます。
マゼール=ウィーン・フィル (1998年)
マゼールとウィーンフィルの1998年録音という比較的新しいディスクです。音質も良いです。なぜ、ウィーンフィルでストラヴィンスキーをやるのか?というものありますが、このCDの聴きどころは、ちょっと変わったマゼールの解釈です。
マゼールは良く奇才と言われますが、この「ペトルーシュカ」では確かに奇才ぶりを発揮しています。生命力とか曲と関係する部分と関係あるのか分かりませんが、面白い解釈の部分が多くあります。なぜそのテンポなのか?とか考えるとよく分からないのですが、やはり「ペトルーシュカ」は即興的な演奏が一番楽しめます。
録音年不詳ということで、演奏は良いのですが、何故か録音がよくありません。しかし、そんな絶対的とも言えるハンデを乗り越え、こもり気味の録音装置にシャープな音を出させてしまう、金管や弦は凄いです。とはいえ細かい所は、こもってしまって聴きにくいですね。
冒頭は少し遅めのテンポ取りです。スヴェトラーノフは晩年物凄くテンポが遅くなりました。変拍子の安定した演奏と言い、実は意外と新しい音源なのかも知れませんね。といってもソ連時代の話だと思うので、1989年よりは前のはずです。1989年付近なら、円熟し始めたころで、このテンポも納得いきます。
魔術師の吹くフルート・ソロも上手いです。人形が動き出すシーンもテンポがかなり遅めで、生命力という感じではありません。普通のオケの曲だったら、味わいのある演奏とも言えますけど、『ペトルーシュカ』はインスピレーションが大事ですね。場をつなぐスネヤも遅めのテンポで、丁寧に叩いていて、デクレッシェンドまでしています。
「ペトルーシュカの部屋」は、結構金管が爆発的に吹いていて、ペトルーシュカの叫びが、ちょっと爆音になっています、笑。フルートやピアノなどが入る所は良く雰囲気が出ています。「ムーア人の部屋」は物凄い野性的で、怖い位です。「謝肉祭の夜」は、テンポが遅くて、オケがいくら迫力のある演奏をしても、リズム感に不足していますね。フェドセーエフの若いころの演奏とは全然違うものがあります。独自性が強いのでたまに面白い表現がありますけど、この演奏いつ終わるんだろう?と思ってしまいます、笑。
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バレエ版おすすめディスク
『ペトルーシュカ』のバレエ映像のディスクをレビューしてみます。
昔、パリオペラ座バレエの『ペトルーシュカ』もあったのですが、DVD化されていないようです。そちらも質の高い上演で、DVD化されていないのが勿体ないのです。ヌレエフがペトルーシュカを演じていました。
わざとらしさはないもののダンスの上手さという点ではボリショイバレエのほうが数段上ですね。
ボリショイ・バレエの『ペトルーシュカ』のスタジオ収録です。3つの作品が収録されていますが、いずれもちょっとCGが入っていたり、カメラワークがいまいちだったりします。しかし『ペトルーシュカ』のダンスと演出は、文句なく素晴らしいです。バレエとしてはマイナーな演目ですから、こういうレベルの高いディスクがあって良かったですね。
演出に若干、わざとらしいところはあるものの、フォーキンの振付をかなり忠実に再現しています。バレエ自体はクオリティの高い表現です。フォーキンの振付はもともとわざとらしいところがあって、そこも持ち味ではありますね。ダンスのレベルは素晴らしいです。特に随所に現れるコサックダンスのキレの良さは素晴らしいです。さすがロシアのバレエ団です。
バレエとして見どころの多い演目なので、『ペトルーシュカ』のためだけにこのディスクを買っても全く損はありません。カップリングの『火の鳥』はフォーキンの振付に忠実ですが、ロイヤルバレエのDVDのほうがお薦めです。
こちらは最近発売されたDVDです。管理人未視聴です。『ペトルーシュカ』はボリショイ劇場バレエの上演なので、レヴェルは高いのでは?と思います。しかも劇場での上演のライヴなので、カメラワークもそこまでワザとらしくないだろう、と想像します。
カップリングの『春の祭典』は、良くわからない振付師でモスクワ・クラシカル・バレエとありますが、多分以前、別のパッケージで発売されていた舞台と思います。そうだとすると、振り付けはB級でコンテンポラリーとも言えないもので、終盤で主人公(?)が見せる妙な正義感で筋書きも変わっています。理解しやすく、面白いと言えば面白いです。
ベジャール版の上演です。こんなDVDがあるとは知りませんでした。
ベジャールゆかりの東京バレエ団とメータ=イスラエルフィルの演奏によるゴージャスな舞台です。入手困難そうですが、挙げておきます。
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楽譜
ストラヴィンスキー『ペトルーシュカ』の楽譜を挙げていきます。
大判スコア
Stravinsky: Petrushka in Full Score
レビュー数:25個