管楽セレナード(ドヴォルザーク)

アントニン・ドヴォルザーク (Antonin Dvorak,1841-1904)作曲の管楽セレナード ニ短調 Op.44 (Serenade for wind instruments d-Moll)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

第1楽章は有名だと思います。

解説

ドヴォルザーク管楽セレナードについて解説します。

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弦楽セレナードは世の中に名曲と言われるものだけでも数曲あります。例えばチャイコフスキードヴォルザーク、エルガー、ホルストなどです。しかし、管楽セレナードはロマン派では恐らくドヴォルザークしか無いのではないでしょうか?とはいえ、管楽器中心ですが、弦楽器も必要でトランペットやトロンボーンが無いなど管楽セレナードと言い切れる曲か微妙です。ただモーツァルト以前では、自由な編成のセレナードもあったため、それに近い感覚で作曲したのかな、と思います。

作曲と初演

管楽セレナードは1878年1月に作曲されました。名曲の弦楽セレナードが作曲され、スラヴ舞曲が作曲された後の時期です。この時期は多くの民族的な作品が生まれました。

初演は1878年11月17日にプラハ国民劇場でドヴォルザーク自身の指揮により行われました。

管楽セレナード

全4楽章構成で、演奏時間は25分程度です。音楽はさすがドヴォルザークで、少し地味ながら民族的な主題を取り入れた名曲で、味わい深いです。

第1楽章:モデラート・クワジ・マルチャ
少し遅めのテンポの行進曲です。有名なメロディですね。

第2楽章:メヌエット:テンポ・ディ・メヌエット
メヌエットとありますが、聴いた感じはメヌエットには聞こえない感じです。

第3楽章:アンダンテ・コン・モート
緩徐楽章です。ホルンソロを始め、木管のソロが多く、自然美を感じさせる曲です。

第4楽章:フィナーレ:アレグロ・モルト

実は弦楽器も必要

この作品は弦楽セレナードに対応して、管楽器のみのセレナードなのか?と考えがちですが、実は弦楽器が必要です。管楽器と言ってもトランペットやトロンボーンが入っていません。そのため、かなり変則的な編成です。アマチュアなどでは演奏しにくい曲目ですね。

編成

オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット(任意)、ホルン3
チェロ(複数)、コントラバス(複数)

おすすめの名盤レビュー

それでは、ドヴォルザーク作曲管楽セレナード名盤をレビューしていきましょう。

ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブル

メンバーの質が高く、自然で自発的なアンサンブル
  • 名盤
  • 定番
  • 高音質

超おすすめ:

演奏ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブル

1994年9月,スイス(ステレオ/アナログ/セッション)

ザビーネ・マイヤーを中心に結成された管楽アンサンブルです。普段は8人程度ですが、今回は編成を拡張し15人以上のメンバーでアンサンブルしています。指揮者はおらず、おそらく全体はザビーネ・マイヤーがザッツを出し、細かい所は、各メンバーが自発的に合わせていくスタイルだと思います。

第1楽章は遅めのテンポで始まります。録音も非常に良く透明感があります。アンサンブルが非常に練られていて、各パート間の自然なやり取りがよく分かり、面白いですね。指揮者がいると、こういうアンサンブルにはならないです。第2楽章はワルツに聴こえる丁度良いテンポをとっています。ただ特にチェコの民族的な響きを目指している訳ではなく、質な絹のような音色とアンサンブルが繰り広げられています第3楽章透明感のある響きの中、とてもコクのある音色で格調が高く、管楽アンサンブルという感じがしない位です。短調の楽章を少しシリアスに、クオリティ高く表現していて、それが味わい深さにつながっていきます。細かいアーティキュレーションもヴォキャブラリー豊富です。第4楽章速いテンポで始まります。ここでもアンサンブルの質が高く、そこがとても楽しめます丁々発止なアンサンブルも所々に見られ、スリリングです。第1楽章の主題が戻ってくる所も上手くまとまっています。最後はホルン中心に盛り上がって終わります。

ドヴォルザークの管楽セレナーデのCDの中では、セレナーデと思えないほど格調が高く、他のCDとは音色やアンサンブルの綿密さが全然違います。

ケルテス=ロンドン交響楽団 (1967年)

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

指揮イシュトヴァン・ケルテス
演奏ロンドン交響楽団

1967年,ロンドン(ステレオ/アナログ/セッション)

交響曲第9番『新世界より』ケルテス=ウィーンフィルの名盤とカップリングされているので、管楽セレナードを入手するにはちょうど良いCDだと思います。録音が少し古めなのが難点ですが、演奏内容は素晴らしいです。

第1楽章速いテンポで始まります。リズミカルで舞曲のようで、他の演奏よりも明るい雰囲気です。中間部はさらに明るい音楽で、気持ち良く聴けます。第2楽章は軽快でスケルツォのようですね。第3楽章は前半は軽妙な演奏ですが、後半は段々と味わい深くなってきます。第4楽章は小気味良く始まります。結構速いテンポなので一部のパートは超絶技巧ですが、上手くアンサンブルしています。後半はスリリングになってきます。

この曲は少し重い雰囲気を持つ曲でもありますが、ケルテス=ロンドン響の演奏はあくまで明るくリズミカルで小気味良い演奏で、気分良く聴けます。

ミュンフン=ウィーン・フィル

高音質とウィーンフィルの柔らかな管楽器の響き
  • 名盤
  • 定番
  • 高音質

おすすめ度:

指揮チョン・ミュンフン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2001年6月,ウィーン,ムジークフェラインザール (ステレオ/デジタル/セッション)

チョン・ミュンフンがウィーンフィルを指揮したCDです。新しい録音で演奏も良いと思いますが、意外に入手困難ですね。

第1楽章良い録音もあり、それぞれの管楽器の音色が艶やかです。ウィーンフィルは他のオケと異なり、伝統的な楽器を使っているので、その少し素朴な響きも味わえます。チョン・ミュンフンの速めのテンポ取り(ケルテスほどではないですけど)で、アゴーギクも良くついていてテンポも上手く変化させて、各部分の特徴が良く出た演奏です。最初の有名な主題も綺麗に演奏していますし、明るい自然美を前面に出していて、歌い方も流麗です。第2楽章は、少し速めですがワルツに聴こえるテンポ取りですね。ナチュラルさと明るさがあって楽しく聴けます。第3楽章は各パートのソロが美しく、色彩的に録音されているのが印象的です。味わいはケルテス盤の方が上ですが、クオリティの高い演奏です。第4楽章速いテンポでスリリングです。レヴェルの高いウィーンフィルのアンサンブルに驚かされます。

ケルテス盤ほどの味わいはありませんが、クオリティの高さでは随一の演奏だと思います。もう少し入手しやすいといいですね。

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楽譜・スコア

ドヴォルザーク作曲の管楽セレナードの楽譜・スコアを挙げていきます。

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