
エルネスト・ショーソン (Ernest Chausso,1855-1899)作曲の詩曲 Op.25 (Poeme Op.25)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。
解説
ショーソンの詩曲 Op.25について解説します。
エルネスト・ショーソンはフランスの19世紀後半を代表するメロディ・メーカーでした。大変美しい歌曲や詩情にあふれた交響曲なども作曲しました。しかし、まだこれからという44歳の時に交通事故で亡くなりました。
ショーソンの作品の中でも「詩曲」は大変人気のある曲で、演奏会でもCDでもヴァイオリンの定番の曲です。1896年にベルギーのヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイにより初演され、イザイに献呈されました。
ピアノ伴奏で演奏されることも多いですが、もともとはオーケストラ伴奏の曲であり、ヴァイオリンとオーケストラの美しく豊饒な響きで観客を包み込みます。
おすすめの名盤レビュー
それでは、ショーソン作曲詩曲 Op.25の名盤をレビューしていきましょう。
Vnヌヴー,ドブロヴェーン=フィルハーモニア管
ヌヴーは戦前の天才ヴァイオリニストでしたが、1949年に飛行機事故で亡くなってしまった、ヴァイオリニストです。古いモノラル録音しか残っていませんが、彼女の圧倒的な才能は感じ取ることができます。
この「詩曲」もフランス人らしく、美しい色彩的な演奏です。伴奏はイギリスのフィルハーモニア管弦楽団です。1946年の録音で非常に貴重なものです。
美しく繊細な伴奏から始まり、徐々に感情が入ってきます。ヌヴーは非常に表現力があり、かなり情熱的に盛り上がり、歴史的名盤に相応しい味わいのあるディスクです。
それにしても20代後半でこの演奏なので長生きしていれば、かなり凄いヴァイオリニストになっていたでしょうね。
Vn諏訪内晶子,デュトワ=フィルハーモニア管
諏訪内晶子の数あるアルバムの中でも情熱的な名盤です。特にタイトルになっている『詩曲』の演奏は素晴らしいです。伴奏はデュトワですね。ショーソンの伴奏に大人気です。
伴奏の後の入りの歌い方が非常にしなやかです。諏訪内晶子の表現力が増したヴァイオリンで詩の世界を作り上げます。ソロと伴奏の親和性も高く、一緒になって独自の世界を作っていきます。ヌヴーの情熱的な演奏とはまた違う「詩曲」の世界です。
諏訪内晶子のこれからの可能性を感じさせる一枚です。音質も非常に良いです。
Vnジュイエ/シャルル・デュトワ=モントリオール響
ヴァイオリンソロはカナダのシャンタル・ジュイエ、デュトワ=モントリオール交響楽団が伴奏をつけた演奏です。カナダの組み合わせですね。
シャンタル・ジュイエは、線の細い音色で入り、段々と盛り上げていきます。過度に情熱的になることはなく、繊細かつ鋭い音色で独特の透明な世界を作り上げていきます。そこにデュトワ=モントリオール交響楽団の伴奏なので、ソロを包み込むように色彩的な伴奏が入ってきて、芳醇な伴奏をつけます。
「詩曲」の演奏として、一つの完成されたスタイルだと思います。
Vn庄司さやか メータ=イスラエルフィル
ショーソンの詩曲が持つ芳醇な響きですが、まず序奏からして、イスラエルフィルがやはり中東のオケだからか土の香りが強く、フランス的なエスプリを感じさせるような雰囲気ではないですね。
庄司さやかもまだこういう曲の表現には若すぎるかも知れません。いまなら、表現力は圧倒的に進化しているので、もっと素晴らしい演奏をしてくれることでしょう。
ヴァイオリンの音色は美しく、フレッシュさもあって、結構気持ちよく聴けます。詩情をもって繊細に表現して欲しい所をストレートに弾ききっています。あとは好みでしょうね。
カップリングのパガニーニやカルメン幻想曲はもっと凄い演奏で、とても聴きごたえがあります。
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楽譜・スコア
ショーソン作曲の詩曲 Op.25の楽譜・スコアを挙げていきます。