ロ短調ミサ BWV232(J.S.バッハ)

ヨハン・クリスティアン・バッハ (Johann Christian Bach,1735-1782)作曲のロ短調ミサ (Mass h-moll) BWV232について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップでスコアと楽譜まで紹介します。

解説

バッハロ短調ミサについて解説します。

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ロ短調ミサはJ.S.バッハの最晩年に作曲されたミサ曲で、バッハの作品の中でも最も素晴らしい作品とも言われています。J.S.バッハは『マタイ受難曲』など4つの受難曲も作曲していますし、多くのカンタータも作曲しています。

その中でこの作品が異色なのは、ミサである、ということです。ミサやレクイエムはカトリックの教会音楽なので、プロテスタントのトーマス教会のカントルであったJ.S.バッハがカトリックのミサ曲を作曲することはほとんどありませんでした。バッハがミサを書いた理由に、当時カトリックであったザクセンの依頼による作品であることが挙げられています。

バッハは晩年の大作としてロ短調ミサを書きあげました。もっともその内の2/3は既に作曲した音楽の編曲です。新たに作曲したのは1/3です。いずれにしても、確かに対位法を巧妙に使用した作品であり、かつ調性音楽の技法によるドラマティックな展開が繰り広げられています。多くの曲の流用はバッハの生涯のさまざまな時期の名作の流用で、バッハの音楽家としての総決算と言えるかも知れません。巧妙な対位法を使いながらも、シンプルなヘンデルの『メサイア』とは対極に位置する名作です。

曲はミサ曲なので構成が決まっています。演奏時間が全部で1時間半もかかる壮大な音楽です。

おすすめの名盤レビュー

それでは、バッハ作曲ロ短調ミサ名盤をレビューしていきましょう。全曲は書ききれないので、印象に残った部分のみ書いていきます。

ヘンゲルブロック=フライブルク・バロック

曲の良さが良く出た自然で丁寧な古楽器演奏
  • 名盤
  • 定番
  • 自然
  • 古楽器
  • 高音質

超おすすめ:

指揮トーマス・ヘンゲルブロック
演奏フライブルク・バロック・アンサンブル
合唱バルタザール=ノイマン合唱団

1996年10月4-10日,ゲニンゲン,福音教会 (ステレオ/デジタル/セッション)

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トーマス・ヘンゲルブロックとフライブルク・バロックの演奏です。合唱はバルタザール=ノイマン合唱団です。ヘンゲルブロックとフライブルク・バロックのコンビは、古楽器を使用した演奏スタイルですが、特に先鋭的では無く、丁寧に練り上げています。もちろん軽快なリズム感のある演奏ですが、他の古楽器アンサンブルに比べると丁寧にまとめられていると思います。

独唱や合唱のクオリティも高く、壮大さを強調しない癒し系の演奏です。録音も良く古楽器の木管など雰囲気が良く出ています。独唱の歌唱法も良く研究されていて、とても自然に聴こえます。メリスマが多く対位法を良く使った曲は自然に引き締まって聴こえます。極端なドラマティックな表現は無く、何度も聴いていると噛みしめるように味わいがにじみ出てくる感じです。どの曲も自然さのある演奏ですが、クレドの後半は特に名演です。サンクトゥスの2曲目オサンナからはカノン技法をとても良く活かしたリズミカルな演奏で、自然に熱狂的になり盛り上がります。また最後の「アニュス・ディ」の合唱は印象的です。

全体的に生き生きとしていて、楽しく聴くことが出来ます。日本語版は解説も丁寧で、歌詞の対訳もしっかりしています。ロ短調ミサをじっくり聴くのに相応しいディスクですね。

鈴木雅明=バッハ・コレギウム・ジャパン

BCJの真骨頂、クオリティの高い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 透明感
  • 古楽器
  • 高音質

超おすすめ:

指揮鈴木雅明
演奏バッハ・コレギウム・ジャパン

(ステレオ/デジタル/セッション)

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鈴木雅明とバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏は、非常に充実したクオリティの高い演奏です。録音の音質も素晴らしいですし、響きに透明感があります。同時に常に暖かみのある演奏で、スケールの大きさよりは、聴いていて和めるような所も多いです。

キリエの第1曲など、対位法を活用した曲は繊細なアンサンブルで素晴らしく、壮麗さなど、わざとらしい表現は無く、曲自体に語らせています。バッハの緻密な対位法のおかげで充実した演奏になっています。グロリアなど、たまに出てくる器楽のソロも繊細で響きが美しく完成度が高いです。

クレド軽快なリズムが心地よいです。次々と現れるカノンを使った音楽がとても贅沢に聴こえます。曲間の流れの作り方も上手く、長いロ短調ミサを飽きさせずに聴かせてくれます。合唱のリズミカルなメリスマのアンサンブルはクオリティが高いですね。サンクトゥスは少し遅めのテンポで広がりを感じる演奏です。第2曲オサンナは随所に現れる暖かみのある古楽器の響きが良いです。「アニュス・ディ」全体がとてもクオリティの高い演奏で、古楽器とは思えない透明感と合唱ののびやかさが印象的です。

リヒター=ミュンヘン・バッハ管弦楽団

真摯でスケールの大きな歴史的名盤
  • 名盤
  • 定番
  • ロマンティック
  • スケール感
  • 壮麗

おすすめ度:

指揮カール・リヒター
演奏ミュンヘン・バッハ管弦楽団
合唱ミュンヘン・バッハ合唱団

(ステレオ/デジタル/セッション)

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リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団、ミュンヘン・バッハ合唱団の演奏です。最近の古楽器演奏とは違い、スケールが大きく壮麗な演奏です。さすがにロ短調ミサだと、何か精神性の高さを感じますね。今の基準で聴くとロマンティックな要素も結構ありますが、真摯な演奏であることは間違いないです。

キリエの第1曲から壮麗な合唱で始まり、神妙な雰囲気になっていきます。大聖堂に相応しいスケールの大きさで、ミサ曲ロ短調の凄さがストレートに伝わってきます。ヴィブラートも抑えめでバッハらしい雰囲気がよく表現されています。第2曲は遅めのテンポでゆっくりとした歩みの演奏です。独唱陣はベルカント唱法に近く、ロマンティックな表現です。グローリアの第3曲アリアは遅めのテンポでリズム感は今の演奏ほどではなく、ソプラノの歌唱もロマンティックです。

クレドのようなリズミカルな音楽は、最近の演奏を基準にすると、テンポが遅めでリズム感は控えめですが、清涼な雰囲気があります。スケールが大きいので、この位のテンポが丁度良いのかも知れません。カノン技法はしっかり再現されていて、密度が濃いです。また短調の曲は宗教音楽らしい深みを感じますサンクトゥス壮大で圧倒されます。こういうメリハリがあるのもリヒター盤の良さですね。続く曲もスケールが大きく、祝祭的な熱狂に満ちています。はじめて聴くには聴き所が分かり易くて良いですね。「アニュス・ディ」はヴィブラートのかかった弦で始まります。ロマンティックで、真摯な表現でソプラノ独唱が素晴らしいです。終曲は美しい合唱で始まり、大曲であるロ短調ミサを締めくくるのに相応しくダイナミックに盛り上がります

もう少しリズム感があると良いのですが、リヒター盤でロ短調ミサを理解してから、古楽器演奏に進むと聴き所がよく分かって良さそうです。

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楽譜・スコア

バッハ作曲のロ短調ミサの楽譜・スコアを挙げていきます。

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書籍

ミニチュア・スコア

スコア

ヴォーカルスコア

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