ブランデンブルク協奏曲第5番 (J.S.バッハ)

ヨハン・クリスティアン・バッハ (Johann Christian Bach,1735-1782)作曲のブランデンブルク協奏曲第5番 ニ長調 BWV1050 (BRNDENBURG CONCERTO No.5 D-Dur)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。またワンストップでスコアも紹介します。

有名なのは第1楽章と第3楽章です。特に第3楽章のフルートの主題はとても有名ですね。チェンバロはバッハ自身が弾くために書かれたと考えられ、全曲を通してとても技巧的です。

解説

バッハブランデンブルク協奏曲第5番について解説します。

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『ブランデンブルク協奏曲』ブランデンブルク=シュヴェート辺境伯クリスティアン・ルートヴィヒに献呈された協奏曲集です。

バッハはケーテンの宮廷楽長でしたが、ケーテン侯レオポルトの妃が音楽をあまり好まなかったため、ケーテンの宮廷楽団は縮小されてしまいました。そこでバッハは新しい就職先を見つけるために、貴族の前で演奏し、曲を献呈したりしています。最終的にはライプツィヒのトーマス教会のカントルに就任し、宗教曲を作曲していくことになりますが、この『ブランデンブルク協奏曲』は就職活動の一環でまとめられた協奏曲です。

実際はどの曲がいつ作曲されたかは不明で、既存の器楽曲を流用あるいは編曲して協奏曲集にしたと考えられています。作曲された順番は、第6番、第3番、第1番、第2番、第4番、第5番です。ブランデンブルク協奏曲第5番はおそらくクリスティアン・ルートヴィヒ伯の前で披露するために作曲されたものであり、最後に作曲され、曲の質も高いです。

チェンバロに長大で、非常に難しいソロがあることから、バッハ自身のテクニックを誇示するために作曲された可能性が高いと言われています。このチェンバロのソロは、チェンバロの技巧的に譜面通り弾き切ることも非常に難しいですし、チェンバロの楽器側にも高い性能を要求します。チェンバロは指先の繊細なニュアンスによる表現が要求され、楽器側には速いパッセージをスムーズに弾けるようなスピードに対応することが求められます。実は、クリスティアン・ルートヴィヒ伯からJ.S.バッハに大金が支払われており、バッハはそのお金でチェンバロを新調しました。そのチェンバロのために技巧的なカデンツァを追加した、という状況証拠が多くあるようです。

1719年にクリスティアン・ルートヴィヒ伯の前で演奏されたと推測されています。ただ、結果としては就職には繋がらなかったようですね。ライプツィヒのカントルになっていなければ、マタイ受難曲ロ短調ミサ『主よ、人の望みの喜びよ』などのカンタータなどの名曲も作曲されなかった訳で、そういう意味では「良かった」というべきでしょうけど。

曲の構成

ブランデンブルク協奏曲第5番は、3楽章構成のイタリア様式の合奏協奏曲をベースとしていますが、演奏時間が20分程度とかなり長い曲です。

コレッリの様式だと4楽章構成になるため、ヴィヴァルディらの影響が強いと考えられます。しかし、『四季』のようなソロ・コンチェルトではなく、あくまで複数のソロパートを持つコンチェルト・グロッソになっています。ソロ・パートはヴァイオリン、リコーダー(フルート)2本です。要所でチェンバロもソロを担当し、チェンバロ協奏曲、将来のピアノ協奏曲の草分け的存在である、とも言えます。

第1楽章はリトルネッロ形式です。チェンバロの技巧的で迫力あるカデンツァが印象的です。第2楽章緩徐楽章ですが、各パートの旋律が素晴らしく、味わいのある曲です。第3楽章ジーグ風の舞曲です。フルートのソロが印象的です。曲はフーガ風に展開されていきます。チェンバロは通奏低音の役割を果たしているものの、全曲に渡って非常に技巧的で重要な役割を担っています。

おすすめの名盤レビュー

それでは、バッハ作曲ブランデンブルク協奏曲第5番名盤をレビューしていきましょう。

ベルリン古楽アカデミー

透明感のある響き、古楽器の老舗らしい演奏
  • 名盤
  • 定番
  • スリリング
  • 透明感
  • 古楽器

超おすすめ:

演奏ベルリン古楽アカデミー

1997年5,10月 (ステレオ/デジタル/セッション)

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ベルリン古楽アカデミーの演奏です。古楽器を使用した演奏ですが、凄いテンポの速さです。そのテンポでチェンバロのカデンツァを弾いたらどうなるんだろう?と思いますが、余程楽器の性能が良いのか、完璧に弾き切っています。録音の良さも特筆すべきですね。

第1楽章透明感と優雅さが感じられます。ヴァイオリンソロ、フルートソロ共に古楽器の良い所が前面に出た演奏で、リヒターなど昔からの名盤と同じかそれ以上の味わいのある演奏です。チェンバロのカデンツァは素晴らしく、ヒストリカル・チェンバロかその複製だと思いますが、余程チェンバロのメンテが良いのか、全音域に渡って美しい音色が響き渡っています。演奏も細かいタッチや絶妙なアゴーギクなど、表現が素晴らしいです。第2楽章フルート(トラヴェルソ)・ソロ低音域が素晴らしくふくよかです。チェンバロも自然な響きでとても素晴らしいです。奥行きのある演奏です。第3楽章は速いテンポで、バロックらしいリズミカルなアーティキュレーションでとても楽しめます。フルート・ソロは奇をてらわず、味わいがあります。チェンバロの響きも特筆すべきですね。バロック奏法を当たり前のように使っていて自然です。音の分離が良いので、他の演奏ではあまり聴こえにくい音が聴こえて新しい発見があります。

他の番号、特に第1番など、管楽器が多い作品も含めて、安定したハイレヴェルな演奏です。金管の古楽器は、古楽器らしい音色であるとともに演奏レヴェルがとても高いです。ブランデンブルク協奏曲を聴くなら、持っておくべきCDですね。

フライブルク・バロック・オーケストラ

完璧なテクニックと高音質、チェンバロの響きは圧巻
  • 名盤
  • 定番
  • 精緻
  • スリリング
  • 高音質
  • 古楽器

超おすすめ:

指揮シャルル・ミュンシュ
演奏フライブルク・バロック・オーケストラ

2013年5月,フライブルク,アンサンブルハウス (ステレオ/デジタル/セッション)

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フライブルク・バロック・オーケストラの演奏です。この演奏もやはりチェンバロの響きが素晴らしいです。録音が新しいため透明感があり、とてもリズミカルでバロックらしい演奏です。YouTubeでも見られますが、CDやMP3は断然音質が良く、全く違った演奏に聴こえる位、圧倒的な高音質です。

第1楽章は、早いテンポでリズミカルに始まります。イタリア風のコンチェルトなので適切なテンポだと思います。ヴァイオリン・ソロ、フルート・ソロも素晴らしいですが、やはりとても高性能で良くセットアップされたヒストリカル・チェンバロの響きがとても印象的です。全音域に渡ってこれだけ均等な音が出せるのは驚くべきことですね。フルート(トラヴェルソ)のソロもよく装飾が付けられていています。弦のアーティキュレーションもバロック風でよく研究されています。チェンバロのカデンツァは凄い聴き物です。演奏技術も素晴らしいですし、俊敏でどの音域でも透明感のある自然な音色で驚かされます。第2楽章も主役はチェンバロのように聴こえます。ヴァイオリンの表情付けやトラヴェルソのふくよかな音色も魅力的です。第3楽章速めのテンポで、トラヴェルソの表現、ヴァイオリンの装飾などもクオリティが高いバロック奏法です。やはりチェンバロの音の良さがこの楽章でも活きています。

この演奏を聴くと雅さがあまり無いように感じられるかも知れません。確かに昔のヴィブラートが付いた演奏から聴き比べるとそっけない印象もあるかも知れません。逆にこの演奏に聴き慣れると逆に昔の演奏はバロックに対する固定観念のような雅さを感じてしまいます。今、聴き返すとブリュッヘンの古楽器奏法すら古く感じる位です。時代の先端をいった演奏だとは思うので、現状では上のベルリン古楽アカデミーのほうがスタンダードと言えるかも知れません。

アバド=モーツァルト管弦楽団

イタリア人コンビらしい明るさと優雅さ
  • 名盤
  • 定番
  • 優雅
  • スリリング
  • 高音質
  • 古楽器

おすすめ度:

ヴァイオリンジュリアーノ・カルミニョーラ
指揮クラウディオ・アバド
演奏モーツァルト管弦楽団

2007年4月21日,レッジョ・エミリア (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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アバドとモーツァルト管弦楽団の演奏です。この演奏のポイントはヴァイオリンのカルミニョーラです。古楽器奏法に詳しく、古楽器もモダン楽器も弾けるヴァイオリニストで、積極的なイタリア風の装飾や即興は聴き物です。『四季』の演奏も有名です。アバドもイタリア人ですが、明るく艶やかな響きはカルミニョーラとも良く合っています。

第1楽章ヴァイオリンのカルミニョーラ、フルートソロも艶やかで歌謡的です。装飾などを積極的に入れている所はアバドは速めのテンポで、レヴェルの高い小編成のモーツァルト管弦楽団の自主性に任せた懐の深い指揮ぶりです。イタリア風で明るく優雅です。チェンバロもイタリアンかも知れませんね。明るい音色で弾く感じが良く出ています。イタリアン・チェンバロでカデンツァを弾くのは難しそうですが、とてもハイレヴェルに弾き切っています。第2楽章もとても歌謡的で装飾も良くつけてイタリア風な演奏です。録音のせいもあるかも知れませんが、チェンバロは少し鋭さを感じます。やっぱりイタリアン・チェンバロでしょうね。第3楽章は速いテンポで軽快な演奏です。アバドの指揮はスリリングですし、各奏者もレヴェルが高いので優雅ながらも丁々発止なアンサンブルが楽しめます。装飾のつけ方はカルミニョーラらしいもので、フルートもそれに近い装飾を付けています。イタリアン・チェンバロはとてもリズミカルです。

リヒター=ミュンヘン・バッハ管弦楽団

ドイツ的な重厚さと優雅さの共存
  • 名盤
  • 定番
  • 格調
  • 重厚

おすすめ度:

指揮カール・リヒター
演奏ミュンヘン・バッハ管弦楽団

1967年1月,ミュンヘン (ステレオ/アナログ/セッション)

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カール・リヒターとミュンヘン・バッハ管弦楽団の演奏です。リヒターの十八番ですね。モダン・チェンバロを使っているのが特徴と思います。ドイツ的な重厚さと優雅さが共存している、深みも感じられる名盤です。

第1楽章は、真摯な演奏の中に適度な優雅さがあります。チェンバロはモダン・チェンバロだと思いますが、近年のヒストリカル・チェンバロに比べるとスピードに追い付いていない所があるようで、ベルリン古楽アカデミーフライブルク・バロックと比べると粗い感じです。モダン・チェンバロには触ったことがありませんが、爪(プレクトラム)が革で出来ているので、ヒストリカル・チェンバロの鳥の羽の軸やプラスチックの爪に比べるとシャープさが少ない気がします。第2楽章は、ヴァイオリン、フルートのソロ、チェンバロが古風で落ち着いた音色を出しています。深みを感じる演奏で聴きごたえがあります。第3楽章は、軽妙な演奏です。しっかりした土台があってその上で舞曲風の音楽が展開されていきます。フルートは深みのある音色で、他の演奏では感じられない味があります。弦のヴィブラートはそれほど目立たず、対位法的な個所ではメッサデヴォーチェに近いアーティキュレーションも出てきています。おそらく、曲に相応しい表現をしていたら、そうなったのだと思います。興味深いですね。

カラヤン=ベルリン・フィル

ゆったりと幅広い雅さ、クオリティの高い演奏
  • 名盤
  • 定番
  • 優雅
  • スケール感

おすすめ度:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1978年7月,1979年1月,ベルリン,フィルハーモニー (ステレオ/アナログ/セッション)

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カラヤンとベルリン・フィルの演奏です。このコンビはバロックでも演奏していますが、何を演奏しても常にクオリティが高く、真摯な演奏です。1978年だと、アーノンクールが注目され始めた頃ですが、古楽器奏法は取り入れられていません。旧盤の1960年代の演奏に比べるとヴィブラートは少なくなり、レガート中心で艶やかな表現です。一般的なブランデン第5番のイメージを裏切ることはありません。

第1楽章遅めのテンポで少しヴィブラートのかかった艶やかな古き良き演奏です。バロック奏法の片鱗も感じさせず、時代を感じますが、カラヤンとベルリン・フィルの演奏だけにクオリティは高く、同時代で比べるとかなり良い演奏と思います。フルートもゆったりと雅な演奏です。チェンバロは当時としては良く調整されていると思います。響きの良さ、全音域に渡ってしっかりした響きです。カデンツァになるとダイナミックさも出てきて、もちろん技巧的ですが、技術に走りすぎず、一音一音しっかり弾き切っていて聴きごたえがあります。第2楽章はモダン楽器の普通の奏法ですが、ヴァイオリンもフルートも表現力が高く、センスの良い演奏です。ベルリン・フィルなので、団員がソリスト級で、アンサンブルのクオリティも高いです。第3楽章は、遅めのテンポでしっかりした演奏です。スケール感も感じられる位です。優雅さもわざとらしくはありません。レヴェルの高いソリストのアンサンブルで充実しています。

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楽譜・スコア

バッハ作曲のブランデンブルク協奏曲第5番の楽譜・スコアを挙げていきます。

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