シューマン 交響曲第2番 Op.61

ロベルト・シューマン (Robert Schumann,1810-1856)作曲の交響曲 第2番 ハ長調 Op.61 (symphony no.2 c-dur Op.61)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップでスコアと楽譜まで紹介します。

交響曲第2番はシューマンをあまり知らない方だと、マイナーな曲と思えるかも知れませんね。でも、シューマンの交響曲の中では最高傑作だと思います。

解説

シューマン交響曲第2番について解説します。

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作曲と初演

1845年~1846年にかけて作曲されました。
初演は、1846年11月5日に、メンデルスゾーン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によって行われました。

番号は2番ですが、実質的には第3番です。これは2番目に作曲した第4番に対して大きな改訂が入ったため、出版の順番で番号がつけられ、交響曲第2番として出版されました。交響曲第3番『ライン』の一つ前の交響曲であり、4楽章構成の交響曲としては、もっとも新しい曲です。それだけ完成度も高いです。

またシューマン晩年の精神障害が既に始まっています。第2番以降の交響曲は精神障害に悩まされながら作曲されることになります。もっとも、交響曲第4番は、すでにうつ病のような不安定さが感じられますけれど。

シューマンは第1番『春』第3番『ライン』など、副題がついていたり、シューマン自身の言葉があったりして、何を描いているのか、はっきり分かります。ところが交響曲第2番にはあまりそれが無いので、ストーリーが分かりにくいです。

第1楽章のオスティナートはベートーヴェンを想起させます。第2楽章は闘争的です。第3楽章は神々しさがあります。第4楽章は長調で終わりますが、ベートーヴェンのような力強さはなく、素朴さや温和さが目立ちます。そんな訳でベートーヴェンの『運命』に近いものを感じるのですが、第3楽章の神々しさを考えると、宗教的なものとの関連もあるでしょうね。ベートーヴェンのように自力で勝利を描ける作曲家はロマン派には居ないと思います。

交響曲第2番 ハ長調 Op.61

この交響曲第2番は少し感情表現がキツく、病気の影響があるような気もしますが、交響曲の構成としてはバランスが良く、完成度の高い曲です。第2楽章にスケルツォがあるのが特徴ですが、これだけキレのあるスケルツォだと第3楽章には置けないですね。しかし、後世この形態の名作交響曲は多く生み出されています。ショスタコーヴィチの交響曲第5番『革命』は直接この曲の影響を受けたわけではないと思いますが、共通点が多い気がします。

■第1楽章:ソステヌート・アッサイ~アレグロ・マ・ノン・トポッロ
序奏付きソナタ形式です。静かな序奏は、少しもやもやしたようなオーケストレーションですが、感情的な揺れ動きがあります。主部に入るとテンポの速い音楽となります。

■第2楽章:スケルツォ、アレグロ・ヴィヴァーチェ
3部形式です。主部は弦楽器のスリリングな主題で盛り上がります。中間部はドイツの田舎の音楽のような素朴さがあります。

■第3楽章:アダージョ・エスプレッシーヴォ
ロンド形式
です。(展開部なしのソナタ形式にも近いように聴こえます。) 非常に美しいメロディが現れ、2度のpからの壮大なクレッシェンドがあり、とても印象的です。

■第4楽章:アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ

展開部なしのソナタ形式です。実質的にはフィナーレです。ベートーヴェンほど壮大ではありませんが、フィナーレとしての役割をよく果たしています。

おすすめの名盤レビュー

それでは、シューマン作曲交響曲第2番名盤をレビューしていきましょう。

まず、シノポリ=ウイーンフィルのキレた名演が有名です。

シノポリ=ウィーン・フィル

シノーポリらしいシャープでキレのある感情表現
  • 名盤
  • 定番
  • 自然美
  • 白熱
  • スリリング

超おすすめ:

指揮ジュゼッペ・シノーポリ
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1983年6月,ウィーン (ステレオ/デジタル/セッション)

シノーポリは後年ドレスデン・シュターツカペレと全集を録音していますが、交響曲第2番だけウィーンフィルとの録音を残しています。これが、シャープでキレのある超名演奏なんです。

第1楽章は静かな個所は薄雲った不安定な雰囲気で、主部に入るとシャープなリズムの演奏となります。第2楽章かなり凄い演奏で、速いテンポで不安定な主題をシャープでキレの良いリズムで非常にスリリングです。中間部はこの演奏のスタイルからして、素朴さがある所は、イタリア的なカンタービレに近いですね。第3楽章非常に美しくも激しい演奏です。神々しい雰囲気すら感じられます。第4楽章は、フィナーレとしてしっかりした演奏で、盛り上がって終わります。

検索してみた感じ、新品の入手は困難そうです。これだけの名演が入手困難というのは、勿体ないですね。

バーンスタイン=ウィーン・フィル (1963年)

バーンスタインのリズム感とウィーン・フィルの暖かみのある響き
  • 名盤
  • 定番
  • 自然
  • 熱演
  • スリリング

おすすめ度:

指揮レナード・バーンスタイン
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1984年10月,ウィーン,ムジークフェライン (ステレオ/アナログ/ライヴ)

アマゾンUnlimitedとは?

バーンスタインとウィーン・フィルの演奏です。シューマンを得意とするバーンスタインですが、交響曲第2番は若い音楽家による音楽祭のPMFでも取り上げていました。健康的でダイナミックさのある演奏スタイルです。

第1楽章序奏は遅めのテンポで平穏にじっくりと進みます。主部に入ると速めのテンポになり、リズミカルで軽快、スケールの大きな演奏です。第2楽章は速めのテンポで捲し立てますが、焦燥感などはあまり表現されず、スリリングな音楽になっています。ラストは凄い速さで圧倒されます

第3楽章は遅めのテンポで神妙に始まります。木管の歌いまわしはさすがウィーンフィルで味があります。クレッシェンドの個所はダイナミックに盛り上がり、迫力があります。遅いテンポで一音一音いつくしむように演奏され、曲が進むにつれて味わいが深まり、バーンスタインの円熟を感じます。2回目のクレッシェンドは圧倒的です。第4楽章トゥッティのリズミカルな演奏で始まります。音の厚みがあり、ダイナミックですね。ただバーンスタインは力を抜いた自然体で、余分な重さはありません。終盤は息の長い盛り上がりを経て、とても充実した明るくエネルギーのある演奏で締めくくります。

ロマン派的な演奏ですが、暗さや衝動などはあまり感じられず、前向きの音楽になっています。それで、ここまで充実感があるのだから凄いですね。

セル=クリーヴランド管弦楽団

セッション録音でも十分素晴らしい名演奏
  • 名盤
  • 定番
  • 情熱的
  • スリリング
  • 迫力

おすすめ度:

指揮ジョージ・セル
演奏クリーヴランド管弦楽団

1958年-1960年(ステレオ/アナログ/セッション)

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ジョージ・セル=クリーヴランド管弦楽団は1950年代後半にシューマンの全集を録音しています。クーベリック=ベルリン・フィル盤やコンヴィチュニー=ゲヴァントハウス管の全集と並んで評価の高い全集です。ジョージ・セルは深いスコアの読み込みと感情表現でレヴェルの高い演奏をしています。

第1楽章は、序奏にかなりメリハリがあります。主部に入るとテンポが一気にアップして、感情的にも高揚してきます。クールさはほとんど感じられず、感情を大事にした演奏です。第2楽章弦セクションの技術の高さと感情表現のバランスが丁度よく、キレの良い演奏です。最後の追い込みではテンポアップして凄い迫力です。第3楽章憂鬱さを上手く表現しています。そこから、浄化されたような盛り上がりにつながっています第4楽章はフィナーレのダイナミックさと、平和さのある感情表現は美しくもあります。

ジョージ・セルは昔はクールな演奏と言われた時代もありましたが、このシューマンを聴く限り、とても感情的な表現が素晴らしく、シューマンの微妙な曇りのある憂鬱さを良く表現しています。そういう意味ではエッシェンバッハ=NDRの演奏が一番味わい深いのですが目下廃盤なので、ジョージ・セルは録音が古めですが、同レヴェルの微妙さの表現力はありますね。

スウィトナー=ベルリン・シュターツカペレ

ドイツ的なスケールの大きさに強い感情表現
  • 名盤
  • 定番
  • 情熱的
  • スケール感
  • 迫力

おすすめ度:

指揮オトマール・スウィトナー
演奏ベルリン・シュターツカペレ

1987年8月13-19日,旧東ベルリン,イエス・キリスト教会 (ステレオ/アナログ/セッション)

スウィトナーも実はシューマンを得意としています。なんとなく温和な演奏を期待しますが、結構感情を入れた演奏で、物足りなさは全くありません。まあ、筆者としては感情的にキツ過ぎない演奏を一つ入れておきたかったのですけれど。

第1楽章は静かで温和な序奏から始まり、感情は入っていますが比較的落ち着いた自然な演奏です。主部も明るい演奏で他の演奏にありがちな、精神的に不健康な音楽にはなっていません。スケールがあり第3番『ライン』を聴いているようです。でも、物足りなさは無く、良くツボを突いています。第2楽章はかなり速めのテンポで、シリアスさがあります。ベルリン・シュターツカペレの暖かみのある響きが上手く中和しています。ドイツの演奏家だけあって中間部は素朴でいいですね。最後の追い込みは凄い迫力で、このオケこんなに上手かったっけ?と思ってしまいます。第3楽章ふくよかで味わいのある演奏です。クレッシェンドの個所は神々しさが出ていますが、ゆったり浸れる音楽になっています。第4楽章はドイツ的な素朴さもありながら、感情表現やスケールの大きさも感じます。

第2番はシリアスさが目立つ交響曲ですが、随所に素朴なドイツの自然の描写が出てきます。スウィトナー=ベルリン・シュターツカペレは、そういった部分をとても魅力的に演奏しています。第2番のキツさが苦手な人にお薦めな演奏です。この曲は内容的にシューマンの最高傑作で、感情表現もありますが、それだけではありません。

ティーレマン=フィルハーモニア管弦楽団

しなやかでじっくりと味わい深い名演
  • 名盤
  • 定番
  • しなやか
  • 共感
  • 高音質

おすすめ度:

指揮クリスティアン・ティーレマン
演奏フィルハーモニア管弦楽団

1996年7月,ロンドン (ステレオ/デジタル/セッション)

ティーレマンとフィルハーモニア管弦楽団の演奏です。ティーレマンはシューマンと相性が良いようで、テンポは遅めながら、昔ながらの大上段に構えた演奏にはならず、とても繊細な表情を付けていて、自然な表現が素晴らしいです。また、録音の音質も非常に良く、これまでの曇ったような響きではなく、透明感のある新鮮響きを聴くことが出来ます。

第1楽章は静かにしなやかに始まります。序奏を終え、主部に入ると速めのテンポで快活な演奏になります。その中でもしなやかな表現は失わず、展開部など頻繁に変わる表情を精妙に再現しています。第2楽章速いテンポでシャープな演奏です。途中、リタルダンドがありますが、割と説得力があるテンポ設定です。ラストはさらにアッチェランドして盛り上がります。

第3楽章特に名演で遅めのテンポで、じっくりと味わい深く演奏しています。まさに一音一音を丁寧に演奏していて、繊細なニュアンスが付けられています。途中のクレッシェンドも透明感があり、しなやかな曲想からスケール大きく盛り上がっていきます。録音の良さも奏功していて、各パートが手に取るように聴こえてきます。シューマンがオーケストレーションを苦手としていたなんて思えない位、精妙で充実したサウンドです。むしろシューマンのオーケストレーションへのこだわりが聴こえてくるようです。第4楽章は中庸のテンポ取りで、感情的に盛り上がります。ただシノポリのようにキレた演奏ではなく、ティーレマンの場合、常に落ち着きがあり、弦の響きに味わいがあります。そして盛り上がる所はしっかり燃え上がっています。ラストはスケール感もあり、充実感が素晴らしいです。

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バーンスタイン=パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル・オーケストラ

  • 名盤
  • 定番

指揮レナード・バーンスタイン
演奏パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル・オーケストラ

(ステレオ/デジタル/ライヴ)

ザンデルリング=BBCフィルハーモニック

  • 名盤
  • 定番

指揮ザンデルリング
演奏BBCフィルハーモニック

1988年7月29日,ロイヤル・アルバート・ホール (ステレオ/デジタル/セッション)

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楽譜・スコア

シューマン作曲の交響曲第2番の楽譜・スコアを挙げていきます。

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