ローマの祭り(レスピーギ)

オットリーノ・レスピーギ (Ottorino Respighi,1879-1936)作曲の交響詩『ローマの祭り』 (Feste romane)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。

解説

レスピーギ交響詩『ローマの祭り』について解説します。

1927年~1928年にかけて作曲されました。ローマの三部作の3曲目です。

初演は1929年2月21日、ニューヨークのカーネギーホールにて、アルトゥーロ・トスカニーニの指揮によって行われました。

ローマの三部作の中でもっとも名曲なのですが、編成が大きく、カラヤンのように『ローマの噴水』と『ローマの松』のみしか録音していないCDも多いです。

交響詩『ローマの祭り』

第1曲:チルチェンセス
ローマ帝国の暴君ネロの時代に円形競技場で行われた祭りで、迫害されたキリスト教徒が猛獣と戦わされ、虐殺されました。

第2曲:五十年祭

ローマの中世の祭りです。ローマ教皇が50年ごとに大赦を行う聖祭です。巡礼者がローマに集まり、聖歌「キリストは生まれ給えり」が始まり、教会の鐘が鳴らされます。

第3曲:十月祭

ローマ近郊にあるカステリ・ロマーノのぶどうの収穫を祝う祭りです。狩りの角笛が響き、夕暮れにロマンティックなセレナーデをマンドリンが奏でます。

第4曲:主顕祭

主顕祭は、ナヴォーナ広場で行われる祭り(三聖王の祭、1月6日)です。屋台や露店が並び、狂乱の喧騒、手回しオルガンの音、物売りの声、酔っ払いの歌などが描写され、最後は熱狂的なサルタレロのリズムでクライマックスを築きます。

おすすめの名盤レビュー

それでは、レスピーギ作曲交響詩『ローマの祭り』名盤をレビューしていきましょう。

小澤征爾=ボストン交響楽団

熱狂的でスリリングな大迫力!絶妙なテンポ取り
  • 名盤
  • 熱狂的
  • スリリング
  • 色彩感
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮小澤征爾
演奏ボストン交響楽団

1977年

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第1曲「チェルセンセス」テンポ取りは素晴らしく、圧倒的な盛り上げはさすが小澤征爾です。この部分は、盛り上げようとして上手く行っていない演奏も多いので、改めて小澤征爾の才能を感じさせます。シャープで激しい表現ですが、ボストン交響楽団は細かい音もきちんと演奏しきっています。アッチェランドの仕方もさすがです。バーンスタイン盤に似ていますが、それより高いクオリティです。

第2曲「五十年祭」は第1曲の熱気が残っている中で神妙に始まりますが、繊細な弦の響きが印象的です。後半はダイナミックで熱狂的に盛り上がります。第3曲「十月祭」はリズミカルで溌剌としています。ホルンのソロも上手いです。マンドリンもロマンティックに入ってきます。この辺りの夜の雰囲気づくりは、線が細くしなやかです。第4曲「主顕祭」は軽快に様々な場面を描いています。ラストも熱狂的な盛り上がりです。

全体的にこの演奏は第1曲「チェルセンセス」が素晴らしいです。自由で大胆なテンポ取りで、ここまでまとまっている演奏は他には無いと思います。ワイルドでスリリングな演奏を聴きたいなら外せないCDです。

ムーティ=フィラデルフィア管弦楽団

ムーティらしいダイナミックさ、古代ローマの熱気を忍ばせる名演
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感
  • ダイナミック
  • スケール感

超おすすめ:

指揮リッカルド・ムーティ
演奏フィラデルフィア管弦楽団

1984年11月,ステレオ(デジタル/セッション)

第1曲「チェルセンセス」は落ち着いたテンポ取りですが、ムーティらしい力強さとフィラデルフィア管弦楽団の分厚い響きで、イタリアらしさを感じさせます。またイタリアの先輩指揮者で初演者であるトスカニーニのテンポ取りに近いですね。皇帝ネロの暴君ぶりを彷彿とさせるような筋肉質な演奏で、オーラすら感じられます。スケール感では一番凄い演奏ですね。

第2曲「五十年祭」は弦の音色が古代ローマを思わせるような味があり、グロテスクさすら感じさせます。後半はダイナミックに盛り上がりますが、熱気のあるフィラデルフィア管の響きはイタリアのオケのようです。鐘の音も重めで、ローマに旅行した時の町に鳴り響く鐘の音を思い出します。

第3曲「十月祭」は色彩的でフィラデルフィア管から色々な響きを聴けてとても良いです。ホルンソロも素晴らしいです。夜の雰囲気になり、マンドリンが鳴り響きますが、ムーティは力強さが目立ちますね。ヴァイオリンソロのレヴェルが高く、味わい深くなっていきます。第4曲「主顕祭」は活力あふれる音楽で、それぞれの場面を鮮やかに描いています。最後はダイナミックにテンポアップしてスリリングに締めくくります。

フィラデルフィア管は、ムーティの指揮により『ローマの祭り』は、イタリア的な響きを紡ぎだしています。正直言って、上手いイタリアのオケを聴いたことがありませんが、スカラ座でヴェルディなどを聴いているとたまに近い響きを聴ける時がありますね。

デュトワ=モントリオール交響楽団

響きに味わいがあり、古代ローマにトリップさせてくれる
  • 名盤
  • 品格
  • 色彩感
  • 高音質

超おすすめ:

指揮シャルル・デュトワ
演奏モントリオール交響楽団

1982年6月,モントリオール,聖ユスターシュ教会(ステレオ/デジタル/セッション)

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第1曲「チェルセンセス」は落ち着いたテンポ取りと色彩的な響きで、ハイレヴェルな演奏です。特に金管楽器の音程が良いです。残響が多めでスケールの大きいダイナミックさです。パイプオルガンも存在感があります。

第2曲「五十年祭」では、古代ローマへの憧憬を感じさせるようなファンタジックな響きです。この響きがデュトワ盤の良い所で、じっくり聴いていくと古代ローマにトリップさせてくれます。ダイナミックな所も良いですが、ダイナミックな音楽に挟まれた静かな部分で味わい深い響きを紡ぎだしています。第3曲「十月祭」は鮮やかな響きが良いです。細かい所までしっかり演奏されていて、非常に色彩的です。クラリネットが出てくる付近から、とても味わい深く白昼夢でも見ているかのように古代ローマにトリップさせてくれます。そしてマンドリンの味わい深さは格別です。第4曲「主顕祭」ではクラリネットを合図に現実に引き戻され、鮮やかでユーモアのある音楽になります。

色彩的な演奏は多いですが、デュトワ盤は古代ローマへのファンタジーという面で、他のCDを圧倒しています。この演奏は単にスコアに忠実なだけでは出来ません。デュトワならではの一流の演出ですね。

バーンスタイン=ニューヨーク・フィル

自由奔放なバーンスタインとそれについて行くニューヨークフィル
  • 名盤
  • 個性的
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮レナード・バーンスタイン
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック

1970年2月17日,エイヴェリー・フィッシャー・ホール

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第1曲「チェルセンセス」から凄い迫力です。アッチェランドの仕方が半端じゃないですね。トロンボーンがグリッサンドになっています。かなり速いテンポまでアッチェランドしていき、ニューヨークフィルもギリギリという感じです。第2曲「五十年祭」は、なかなか味わいがあって良い演奏です。後半は急にテンポアップします。テンポはもうバーンスタインの感性で自由自在という感じですね。第3曲「十月祭」は名演です。かなり速いテンポですが、リズミカルで聴いていてとても楽しい演奏です。後半は夜の雰囲気が良く出てきて味わい深いです。第4曲「主顕祭」は急にテンポアップし、爽快な演奏です。このテンポの速さはこのページの中で一番です。もっとも急に遅くなるところもありますけど。トロンボーンの酔っ払いぶりも面白いです。最後は盛り上がって終わりますが、テンポ設定の自由さは半端じゃないです。

それにしてもニューヨークフィル相手にこれだけ自由自在にテンポを動かして、ニューヨークフィルもきちんと着いてくるのだから凄いですね。

トスカニーニ=NBC交響楽団

暴力的ですらある圧倒的ダイナミックさ
  • 名盤
  • 歴史的名演
  • ダイナミック
  • モノラル

おすすめ度:

指揮アルトゥーロ・トスカニーニ
演奏NBC交響楽団

1953年3月17日,ニューヨーク,カーネギー・ホール

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『ローマの祭り』の初演者であるトスカニーニの演奏です。

第1曲「チェルセンセス」から圧倒的な迫力です。ただ意外と落ち着いたテンポ取りで、しっかりした演奏です。トロンボーンの暴力的な演奏にも圧倒されます。第2曲「五十年祭」は、始まりから不穏な緊張感を孕んでいます。後半は物凄い盛り上がり様でホルンも思い切り鳴らし切っていて気分が良いです。鐘も思い切り叩いていますね。

第3曲「十月祭」は、その盛り上がりのまま進んでいきます。グロッケンや弦もかなり思い切り鳴らしていて、くっきりした音楽です。録音のマイクの位置などの問題もあるかも知れませんけど。マンドリンの所はさすがにピアノになって味わい深い音楽になります。ヴァイオリンソロが上手いですね。第4曲「主顕祭」は凄い騒ぎです。トスカニーニはNBC交響楽団をビシビシとリードして、喧騒に溢れた音楽を作り出しています。最後はテンポアップして、半端じゃない熱狂の中で曲を閉じます。

トスカニーニは初演者なので、おそらくリハーサルでレスピーギと意見交換しながら音楽づくりをしたのだと思いますが、どの位、レスピーギの意見が入っているのでしょうね?古いモノラル録音でなければ、圧倒的な名演だったと思います。

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楽譜・スコア

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