フランツ・リスト (Franz Liszt,1811-1886)作曲の前奏曲 (レ・プレリュード) S.97 (Les Preludes)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。
解説
リストの前奏曲 (レ・プレリュード)について解説します。
フランツ・リストにより1854年に作曲された交響詩です。リストは交響詩の創始者です。リストの交響詩の中で特に人気のある曲で、アマチュア・オーケストラでもよく演奏されます。
「前奏曲」という名前の曲ですが、実は前奏曲ではなく交響詩です。「前奏曲」という名前は、アルフォンス・ド・ラマルティーヌ(1790~1869,フランス)の詩を元にした「人生を死への一連の前奏曲とみなす」という考えから来たものです。
1816年にラマルティーヌは療養のためブールジェ湖畔の保養地にいました。そこでシャルル夫人と相愛の仲となりますが、1年後に彼女は胸の病気で亡くなります。この経験から『詩的瞑想録』を書きました。本曲は『詩的瞑想録』から表題を取っています。
人生は死への前奏曲でなくて何であろうか?
愛は全ての存在にとって魅力的な朝である。しかし、運命は冷酷な嵐によって青春の幸福を必ず破壊してしまう。傷つけられた魂は、孤独な田園生活にその慰めを見出すが、人はその静けさの中に長くいることに耐えられない。トランペットの警告が鳴り渡るとき、全ての人は自分自身で意義を求めて再び闘いの中に飛び込んでいく。
初演は1854年にヴァイマールにおいてリスト自身の指揮により行われました。
曲の構成
演奏時間は約17分です。
フルート×3、オーボエ×2、クラリネット×2、ファゴット×2
ホルン×4、トランペット×2、トロンボーン×3、チューバ×1
ティンパニ、スネヤ、バスドラム、シンバル、ハープ
弦五部
おすすめの名盤レビュー
それでは、リスト作曲前奏曲 (レ・プレリュード)の名盤をレビューしていきましょう。
カラヤン=ベルリン・フィル
カラヤンとベルリンフィルの1960年代の録音です。アナログ録音ですが音質はしっかりしています。この頃のカラヤン=ベルリン・フィルらしい力強さに溢れた名盤です。特に弦の厚み、金管の迫力はリストの「前奏曲」にぴったりですね。
冒頭は神妙に始まり、ワーグナーのようなスケールの大きなドイツ的な音作りで、カラヤンの語り口の上手さに圧倒されます。重厚な弦の響きはベルリン・フィルにしか出せないものです。中間では甘美さをとてもロマンティックに表現しています。ホルンや木管のソロもレヴェルが高く安定しています。ラストへ向かっても盛り上がりもとてもスリリングで、ベルリン・フィルの機能を出し切った胸のすく名演です。
入手もしやすいですし、演奏内容も文句なしです。迷ったらコレですね。
ショルティ=シカゴ交響楽団
ショルティとシカゴ交響楽団の力強い名盤です。1992年のライヴで、音質も素晴らしいです。ショルティも円熟してスケールの大きな演奏を聴かせてくれます。
構築力のしっかりした演奏で、冒頭からゆったりしたテンポで筋肉質に盛り上がります。ロマンティックな表現はあくまで自然体で、カラヤンが演出過剰に聴こえる方にはとてもお薦めです。静かでロマンティックな個所は、透明感があり、奥ゆかしい表現で、ホルンや木管が心地よく響きます。後半の盛り上がりはシカゴ響のスケールが大きく濁りの無いサウンドで圧倒されます。キビキビとスリリングに、クオリティ高くまとめ上げています。
カップリングの幻想交響曲も名演で、聴きごたえのあるディスクです。良いオーディオで聴きたいディスクです。
ムーティ=フィラデルフィア管弦楽団
ムーティと手兵フィラデルフィア管弦楽団の演奏です。フィラデルフィア管は、もともとハイレヴェルなオケでしたが、ムーティ時代は力強くリズミカルな演奏を繰り広げていました。このコンビは今聴くと隠れた名盤の宝庫ですね。
冒頭からメリハリのある筋肉質でスケールの大きな演奏です。ショルティも筋肉質なダイナミックさがありますが、ムーティはイタリア的な熱さがありますね。ロマンティックな所はとても歌謡的でありながら、緻密さを感じる演奏です。後半はテンポが速めでシャープさがあり、リズミカルにスリリングに盛り上がります。
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楽譜・スコア
リスト作曲の前奏曲 (レ・プレリュード)の楽譜・スコアを挙げていきます。
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