チェンバロ協奏曲 (ファリャ)

マヌエル・デ・ファリャ (Manuel de Falla,1876-1946)作曲のチェンバロ協奏曲 G.71 (Concerto for Harpsichord)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

ファリャと言えば『三角帽子』『恋は魔術師』が有名ですが、実はファリャはチェンバロの復興にかなりの貢献をしています。当時はモダンチェンバロでしたが、チェンバロを使用した歌劇『ペドロ親方の人形芝居』を作曲し、続いてチェンバロ協奏曲を作曲しました。名曲かどうかは微妙ですが、モダン・チェンバロの協奏曲としてプーランクの『田園のコンセール』に先駆けて作曲され、親しみやすい音楽でCDもいくつか出ています。

解説

ファリャチェンバロ協奏曲について解説します。

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チェンバロの呼び方

この協奏曲の名称ですが、ここではチェンバロ協奏曲としています。実はヒストリカル・チェンバロは国によって呼び名が違い、楽器の特徴も少しずつ違います。「チェンバロ」はイタリアでの呼び方です。フランスでは「クラウザン」、英語では「ハープシコード」と言います。そのため、この協奏曲も色々な呼び方があります。

作曲の経緯

ファリャが作曲した歌劇『ペドロ親方の人形芝居』には、チェンバロが含まれていました。この時、チェンバロと担当したワンダ・ランドフスカは、チェンバロ復興の立役者です。モダン・チェンバロの優れた女流奏者で、そのテクニックについては多くの作曲家や指揮者から高く評価されていました。

ワンダ・ランドフスカはファリャにチェンバロ協奏曲の作曲を依頼しました。その依頼を受け、ファリャは1923年~1926年に作曲しました。

初演は1926年11月5日にスペインのバルセロナにて、ランドフスカのチェンバロ独奏、パブロ・カザルスの指揮で行われました。しかし、反響は芳しくありませんでした。ランドフスカ自身もあまり気に入らなかったようです。

その後、パリで再演されましたが、ランドフスカは出演を断り、ファリャ自身がチェンバロを習得してソリストとして演奏しました。そのパリ公演は成功に終わりました。

ファリャランドフスカに曲を献呈しますが、機嫌を損ねたランドフスカが再度この曲を弾くことはありませんでした。

曲の構成

ファリャのチェンバロ協奏曲は、スペインの中世~バロック時代の楽曲形式を元にしています。

第1楽章ビリャンシーコというスペインの歌曲の様式で、15~16世紀に多くの曲が作曲されました。

第2楽章スペイン特有の宗教音楽の雰囲気があります。スペインの宗教音楽と言えば、ルネサンス時代のトマス・ルイス・デ・ビクトリアが有名です。ポリフォニー音楽なので、チェンバロ協奏曲とは直接関係ないかも知れませんが、当時のスペインはイギリス、イタリアなどと並んで、ポリフォニー音楽の黄金時代でした。

第3楽章はバロック期イタリアの作曲家アレクサンドロ・スカルラッティの息子でスペイン王室でチェンバロ教師と作曲をしていたドメニコ・スカルラッティの様式に基づいているようです。ドメニコ・スカルラッティはスペインで長年活躍し、鍵盤楽器向けの作品を多く残し、現在でも人気のある曲が多数あります。

モダン・チェンバロとは

モダン・チェンバロはチェンバロ復興の初期から半世紀ほど弾かれていた楽器です。ピアノのような金属フレームを持ち、音量が大きく、現代の楽器と協奏曲の演奏が出来る位です。カール・リヒターによって弾かれ、1960年代まで中心的な存在でした。しかし、その後ヒストリカル・チェンバロの研究が進み、木の筐体を持つヒストリカル・チェンバロのほうが音色が良いことが分かり、モダン・チェンバロは急速に衰退してしまいました。現在では、大編成のプーランクのチェンバロ協奏曲でも、ヒストリカル・チェンバロで弾かれることが多いです。

おすすめの名盤レビュー

それでは、ファリャ作曲チェンバロ協奏曲名盤をレビューしていきましょう。

レンブラント・チェンバー・プレイヤーズ

表情豊かな演奏とスリリングでクオリティの高いアンサンブル
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感
  • スリリング
  • 高音質

超おすすめ:

演奏レンブラント・チェンバー・プレイヤーズ

1991年12月,アメリカ,イリノイ (ステレオ/デジタル/セッション)

アマゾンUnlimitedとは?

レンブラント・チェンバー・プレイヤーズの演奏です。初めて聴くアンサンブルなのですが、非常にレヴェルが高く、録音もとても高音質でリアリティがあります。合奏協奏曲のような形態と見做しているのか、チェンバロ奏者の名前が見当たりません。このアンサンブルは全メンバーがかなりレヴェルが高いため、

第1楽章はチェンバロと他のパートのバランスが良く、録音も非常によく、非常に良い演奏です。アンサンブルも有機的に絡み合い、ファリャのチェンバロ協奏曲の面白さが、これを聴いて初めて分かりました。第2楽章はバランスの良さのおかげで、ポリフォニックな要素も結構あることが分かります。チェンバロの繊細なタッチによる表現が上手いです。第3楽章は、しなやかで艶やかな鮮度の高い演奏です。音質が良いおかげもあり、細かい表情までよく聴き取れます。

これまで繰り返しが多い曲だな、と感じていましたが、この演奏を聴いて認識が大きく変わりました。チェンバロも細かい表情付けを行っており、他の楽器も繊細で艶やかな表情付けで、チェンバロとの一体感も高いです。カップリングは現代音楽のような曲ですが、聴き易い曲で、演奏も素晴らしいです。

イゴール・キプニス,ブーレーズ=ニューヨーク・フィル

安易に親しみやすい演奏にせず、クオリティの高い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 洗練
  • 精緻

おすすめ度:

チェンバロイゴール・キプニス
指揮ピエール・ブーレーズ
演奏ニューヨーク・フィルハーモニック

1975年,ニューヨーク (ステレオ/アナログ/セッション)

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イゴール・キプニスのチェンバロにブーレーズとニューヨーク・フィルの演奏です。

ファリャは新古典主義と言っても懐古主義的な部分が多く、親しみやすい曲ですが、ブーレーズとニューヨーク・フィルは、真摯に向き合い、しっかりスコアを読み込み、理知的に整理した名盤です。ただ親しみやすくて、楽しい演奏とは一線を画しています。チェンバロは低音がしっかりしたモダンチェンバロです。ブーレーズのテンポ設定も的確で、クオリティの高いアンサンブルであると共に、曲の良さを上手く活かした演奏です。管楽器のソロのレヴェルは高く、それも聴きごたえがあります。第3楽章が特に良く、クオリティの高いアンサンブルで、とてもスリリングで楽しめます

ジョン・コンスタブル,ラトル=ロンドン・シンフォニエッタ

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

チェンバロジョン・コンスタブル
指揮サイモン・ラトル
演奏ロンドン・シンフォニエッタ

1980年,ロンドン,ロズリン・ヒル教会 (ステレオ/セッション)

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チェンバロにジョン・コンスタブル、伴奏は若きラトルとロンドン・シンフォニエッタの演奏です。カップリングで歌劇「ペドロ親方の人形芝居」全曲が収録されており、貴重なCDです。チェンバロ協奏曲やチェンバロ復興の歴史が良く分かる選曲です。

第1楽章は、音色から類推してモダン・チェンバロを使っていると思います。非常に録音も良く、ロンドン・シンフォニエッタはソロのレヴェルが高く、ラトルのセンスの良いはっきりした音楽づくりもあって、管楽器のソロなど楽しんで聴くことが出来ます。第2楽章は、チェンバロのパッセージが技巧的な部分も多く、チェンバロの聴き所が分かりやすいです。第3楽章はリズムのしっかりした楽しめる演奏です。チェンバロのリズミカルな演奏、ブリリアントな管楽器の演奏、若いラトルの整理された音楽づくりとフレッシュさのある指揮で楽しめます。

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楽譜・スコア

ファリャ作曲のチェンバロ協奏曲の楽譜・スコアを挙げていきます。

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