チェンバロ協奏曲集〜ファリャ、プーランク、バカリッセ
このアルバムには20世紀に作曲された3つのチェンバロ協奏曲が収録されています。バロック時代に全盛期を迎えたチェンバロですが、ピアノの出現によって衰退し、19世紀中頃まではほとんど演奏されることがありませんでした。しかし19世紀末に古楽演奏のためにチェンバロの復興が試みられ、何人かの奏者たちが楽器の改良に取り組み、大きなコンサート・ホールでの演奏に耐え得る強靭な音を生み出す「モダン・チェンバロ」と呼ばれる楽器が生まれます。中でも、モダン・チェンバロの開発に熱心だったのがポーランドの女性鍵盤楽器奏者ワンダ・ランドフスカ[1879-1959]で、彼女はプレイエル社の協力のもと鉄製のフレームに太い弦を張った楽器を開発するとともに、1926年には面識のあったマヌエル・デ・フャリャ[1876-1946]にチェンバロ協奏曲の作曲を依頼、その翌年にはフランシス・プーランク[1899-1963]にも作品を委嘱、2曲のチェンバロ協奏曲が生まれました。このディスクではその2曲に加えて、スペインのサルバドル・バカリッセ[1898-1963]の協奏曲を収録。古典的な枠組みの中にモダンな響きが聴かれる曲で、チェンバロの響きも効果的に使われています。
スペイン、サラゴサ出身のシルビア・マルケス・チュリリャ(近年は名前からチュリリャを省略)は、ピアノ、オルガン、フォルテピアノなどの鍵盤楽器の奏者。古楽器奏者としては自身のアンサンブル「ラ・テンペスタード」を率い17世紀から18世紀の作品を演奏するとともに、独奏者としても数多くの指揮者、オーケストラと共演することで知られます。近代作品にも積極的に取り組み、とりわけスペインの知られざる作品の紹介にも尽力する彼女、このアルバムではモダン・チェンバロを堂々と弾きこなし、オーケストラとの対話を繰り広げています。(輸入元情報)
【収録情報】
1. ファリャ:チェンバロ協奏曲〜チェンバロ、フルート、オーボエ、クラリネット、ヴァイオリンとチェロのために
2. プーランク:田園のコンセール FP49
3. バカリッセ:チェンバロと小オーケストラのための協奏曲 Op.124
シルビア・マルケス・チュリリャ(チェンバロ)
ハビエル・カスティブランケ(フルート:1)
ロベルト・シリャ(オーボエ:1)
ホセ・ルイス・エステリェス(クラリネット:1)
アイツォル・イトゥリアガゴイティア(ヴァイオリン:1)
ダビド・アペリャーニス(チェロ:1)
ムルシア地方交響楽団(2,3)
ビルヒニア・マルティネス(指揮:2,3)
録音時期:2020年7月20-25日&10月19,20日
録音場所:スペイン、Auditorio “Víctor Villegas”de la Región de Murcia&Auditorio Manuel de Falla, Granada
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)