シューベルト 交響曲第3番 D.200

フランツ・シューベルト (Franz Schubert,1797-1828)作曲の交響曲 第3番 ニ長調 D.200 (symphony no.3 d-dur D.200)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。ワンストップでスコアと楽譜まで紹介します。

シューベルトの交響曲第3番は、軽妙・色彩的で若いシューベルトの才能が良く出たスリリングな曲です。交響曲としては発展途上で緩徐楽章に当たる第2楽章は3~5分しかありません。ですがカルロス・クライバーが名盤を残していたり、意外に名演奏が多い交響曲です。

解説

シューベルト交響曲第3番について解説します。

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作曲と初演

シューベルトが18歳だった1815年5月24日に作曲された交響曲です。

初演はまず第4楽章のみが1860年12月2日にウィーン楽友協会のコンサートでヘルベックの指揮により行われました。

全曲の初演は、1881年2月19日にロンドンの「水晶宮コンサート」で、アウグスト・マンスの指揮により行われました。これはシューベルト研究家ジョージ・グローヴが第1番~第5番までの交響曲の上演を試みたコンサートです。

すなわち現在残っている範囲では、シューベルトの生前に演奏された記録は無いようです。ただ、翌年に作曲された交響曲第4番『悲劇的』が、オットー・ハトヴィヒが指揮するアマチュアの私設のオーケストラで非公開で初演されていることから、第3番も生前に演奏されていて、非公開のため記録がないだけの可能性があります。

曲の構成

第3番は、交響曲としてしっかりした基礎を持ち、その上にオーストリア的な舞曲や素材が取り入れられおり、シューベルトの生まれつきのセンスの良さを感じさせます。木管の色彩も素晴らしく、オーケストレーションも素晴らしいと言えます。交響曲第3番は名作とまでは言えないかも知れませんが、18歳のシューベルトの天性の才能が表現された、明るくスリリングな交響曲です。

シューベルト 交響曲第3番

第1楽章:アダージョ・マエストーソ~アレグロ・コン・ブリオ
序奏付きのソナタ形式です。序奏と短めながら展開部を持っている堂々とした構成で、ハイドンやモーツァルトの交響曲に似ています。第1主題は鳥の声を思わせるリズミカルな主題です。転調の使い方もセンスが良いです。ベートーヴェンのように楽曲解析しても大したものは出てきませんが、シューベルトの初期の交響曲は主題も良いし、木管の使い方も色彩的ですし、純粋に音楽的なセンスが光る曲ですね。

第2楽章:アレグレット
アレグレットですが、緩徐楽章の位置にあります。第3番で一番特徴的な楽章です。14世紀のドイツの民謡「マリアの子守歌」を素材としているようです。ただ、3部形式で遅く演奏しても5分程度しかありません。速めのテンポだと2分台です。

第3楽章:ヴィヴァーチェ
メヌエットです。メヌエットとしては速めのテンポです。中間部はレントラー風です。レントラーはオーストリアの農村で踊られたウィンナ・ワルツの前身の舞曲で、ブラームスの交響曲でも良く使われています。

第4楽章:プレスト・ヴィヴァーチェ
アレグロでハイドンの交響曲に近いですが、ソナタ形式です。イタリアの「タランテラ」という激しい舞曲をオーストリア風にして取り入れています。この楽章はシューベルトの才気が十二分に発揮され、特に展開部は多くのオーストリア的な素材が矢継ぎ早に出てきます。

おすすめの名盤レビュー

それでは、シューベルト作曲交響曲第3番名盤をレビューしていきましょう。

カルロス・クライバー=ウィーン・フィル

カルロス・クライバーのスリリングな名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩的
  • 情熱的
  • スリリング

超おすすめ:

指揮カルロス・クライバー
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1978年9月,ウィーン (ステレオ/デジタル/セッション)

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カルロス・クライバーはシューベルトでもレヴェルの高い演奏を繰り広げています。古楽器オケのディスクが登場する前から、センスの良さだけでスリリングな演奏を繰り広げ、この第3番では本来の曲の魅力を何倍も高めています。考えてみればC.クライバーもウィーン・フィルもオーストリアの演奏家なので、シューベルトが名演なのは当然かも知れません。シューベルトの初期の交響曲が良く演奏される背景には、このディスクの存在があるかも知れませんね。

第1楽章はシューベルトの才気だった主題を上手く活かして、普通のソナタ形式の音楽を色彩的でリズミカルな演奏です。とてもスリリングで、曲を超えている気もしますが、元々そういう要素があるからこそ、こういう演奏ができるのだ、と思います。ウィーン・フィルの美しい木管も特筆すべきです。第2楽章は短い曲ですが、遠慮なく速めのテンポ取りを選び、まるで古楽器オケのような演奏です。とても生き生きとしていて、若いシューベルトのセンスの良さが伝わってきます第3楽章のメヌエットも速いテンポでシャープでスリリングです。その中に味わいのある軽妙な部分が上手く活かされています。レントラー風の中間部もオーストリア人のC.クライバーはお手の物です。第4楽章はC.クライバーが演奏すると名曲であることが分かります。舞曲風なリズムを活かしていますが、それ以上にスリリングです。遊びが入っていて、あえて面白い弾き方をさせています

こういう演奏を聴くとシューベルトの初期の交響曲は、才気立っていて凄いなと思います。カップリングは『未完成』ですが、第3番のほうが名演な気もします。

アーノンクール=ベルリン・フィル (2006年)

ベルリンフィルの明晰な響きと高音質
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感
  • 格調
  • ピリオド奏法
  • 高音質
  • ライヴ

超おすすめ:

指揮ニコラウス・アーノンクール
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2006年3月,ベルリン,フィルハーモニー (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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アーノンクールとベルリン・フィルの第3番は全集の中でも素晴らしい演奏の一つです。ベルリン・フィルは小編成にしているように聴こえます。音質が非常に良く、木管の色彩的な音色が印象的です。

第1楽章は、序奏からゆっくり演奏され、じっくりと味わいながら聴くことが出来ます。他の名盤に比べるとテンポは意外に遅めです。でも、もたれた感じは一切なく、ベルリン・フィルの弦や木管の美しい響きに浸れます主部は速めのテンポです。繰り返しを全部行っているようですね。シンコペーションを上手く活かしてリズミカルであると共に、格調が高いのがこの演奏の特徴です。アゴーギクを上手くつけていて、飽きさせません。展開部はシャープさがあります。第2楽章はテンポが遅めですが、それでも重くなったりはしないのはさすがです。小編成のベルリン・フィルの弦は好調で、透明感溢れた響きとしなやかさで、そこに木管が絡んできます。ここでも格調の高さが印象的です。第3楽章は速いテンポで強いアクセントで始まります。非常にリズミカルでスリリングです。テンポの変化が上手くついていて、隙間に現れる精妙な部分も味わい深く聴かせてくれます中間部はベルリン・フィルのソロの上手さが印象的です。第4楽章は非常に躍動的です。舞曲風な個所はアーノンクールの真骨頂です。展開部はどんどん新しい主題が出てきてスリリングですが、表情付けのヴォキャブラリーが豊富です。

曲の良さを上手く引き出して楽しめる演奏ですが、格調の高さを失わないのがアーノンクールらしいですね。

カサド=フライブルク・バロック管

野性的と言える位、激しいリズムを持つ演奏
  • 名盤
  • 定番
  • ダイナミック
  • スリリング
  • 高音質

おすすめ度:

指揮パブロ・ヘラス=カサド
演奏フライブルク・バロック管弦楽団

2012年7月,グラナダ,オーディトリウム・マヌエル・デ・ファリャ (ステレオ/デジタル/セッション)

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カサドとフライブルク・バロック管の演奏です。よく見ると古楽器での演奏が意外と無いですね。アーノンクールもモダンオケでのピリオド奏法ですし。スペイン人のカサドの演奏は非常にリズミカルでスリリングです。オーストリア的とは言えませんが、強弱のつけ方が上手くセンスの良い演奏です。フライブルク・バロック管は南ドイツのレヴェルの高い古楽器オケです。

第1楽章は、冒頭のバロック・ティンパニが鋭い音色で始まるのがいいですね。テンポは少し速めで、上手くテンポの変化がついており、木管のソロは流麗です。主部非常に速くダイナミックです。若いシューベルト、とはいえ、これだけ切れ味の良い演奏は今まで無いように思います。品格よりもリズムを重視して、情熱的な演奏になっています。第2楽章は中庸のテンポで進みます。細かいデュナーミクと表情付けがされていて、心地よく聴けます。第2楽章は中庸のテンポで進みます。細かいデュナーミクと表情付けがされていて、心地よく聴けます。第3楽章は速めのテンポでリズミカルです。古楽器オケらしい鋭いアクセントが心地よいです。中間部は上手くレントラー風に演奏しています。古楽器の木管のアンサンブルが良い味を出しています。第4楽章は凄く速いテンポのタランテラです。シューベルトはオーストリア人なので「タランテラ風」に書いたのだと思いますが、スペイン人のカサドの手にかかると本物の激しいタランテラになりますね。展開部もリズミカルで変化に富んでいてとてもスリリングです。同じ音型のリズムの執拗な繰り返しは、ベートーヴェンのように聴こえます。

ギュンター・ヴァント=北ドイツ放送交響楽団

ヴァントの軽妙で折り目正しい名演
  • 名盤
  • 定番
  • 品格
  • ダイナミック
  • スリリング

おすすめ度:

指揮ギュンター・ヴァント
演奏北ドイツ放送交響楽団

1992年 (ステレオ/デジタル/セッション)

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ヴァントと北ドイツ放送交響楽団のアプローチは、C.クライバーとは正反対で、とても真摯です。しかし、この交響曲を理解しているからこそ、単に丁寧な演奏ではなく、若いシューベルトの活気を感じさせるようなフレッシュさのある演奏になっています。もしかしてC.クライバーはやり過ぎ?と疑問を持ったら、ヴァントはスタンダードな名盤です。いずれも優れた演奏であることが分かります。

第1楽章しっかりしたソナタ形式として演奏されています。クオリティは非常に高いですが、とても軽妙でテンポも速めです。主部はしなやかに始まり、ダイナミックになっていきます。とても折り目正しい演奏ですが、品格を保ったままシューベルトのユーモアも活かしている辺りがさすがです。木管もつややかで楽しめます。第2楽章は緩徐楽章に聴こえる程度の少し遅めのテンポです。しかしリズムはしっかり出ていて、小気味良さと爽快さがあります。所々に現れるシューベルトらしい精妙なモチーフが最大限生かされていて、味わいも感じられる位です。第3楽章は速いテンポでダイナミックです。中間部もテンポを変えず、自然体です。第4楽章は速めのテンポでダイナミックに始まります。舞曲のモチーフは上手く舞曲風に演奏しています。遊びの要素とまでは行きませんが、パッチワークのようなこの楽章の魅力を上手く引き出しています

ダイナミックな個所も重くなることは全くありません。とても自然に楽しめる演奏です。第3番は若い作品に思えますが、ヴァントのような緻密な指揮者が真面目に演奏しても耐えられる交響曲なんですね。

ベーム=ベルリン・フィル (1971年)

重厚でベートヴェンのような力強さ
  • 名盤
  • 定番
  • 重厚
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮カール・ベーム
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1971年,ベルリン,イエスキリスト教会 (ステレオ/アナログ/セッション)

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ベームとベルリン・フィルは、1970年前後にシューベルト全集を録音しています。後年のウィーンフィルとの演奏より、ベームらしいまじめで構築力のある演奏になっています。ベートーヴェンのようなストレートな力強い表現で、シューベルトのユーモアはあまり表現していないようです。しかし、ベルリン・フィルからオーストリア的な軽妙さを引き出しています。グラモフォンのしっかりした録音で音質も良好です。

第1楽章序奏から非常に遅いテンポで、今聴くと驚かされます。主部に入ると速いテンポのアレグロになり、ベルリン・フィルは大編成でダイナミックな響きです。ここまでダイナミックなのも他の演奏では聴けません。ベートーヴェンのようなダイナミックさかも知れません。展開部の短調の部分ではロマン派的な情熱が感じられます。第2楽章緩徐楽章と捉えていて非常に遅いテンポで5分以上もかけて演奏しています。C.クライバーの倍近い演奏時間ですね。実際聴いてみると確かに遅いものの、軽妙さがあって不自然ではありません。もう少し早いほうが自然だとは思いますけれど、第3楽章も遅めですが、スフォルツァンドが鋭く、リズム感は良く出ています中間部上手くレントラー風な雰囲気が出ていて、木管群も表情豊かです。第4楽章は中庸なテンポです。舞曲風の個所はスケールが大きいと同時にリズミカルで、オーストリア風の舞曲に聴こえます。

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楽譜・スコア

シューベルト作曲の交響曲第3番の楽譜・スコアを挙げていきます。

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