フランク 交響曲 ニ短調

セザール・フランク(Cesar Franck, 1822~1890)交響曲 ニ短調 FWV.48について、解説とおすすめの名盤をレビューしていきます。

フランクの交響曲というとあまり曲名の知名度は高くありませんが、聴いてみれば、結構有名なメロディがあることが分かると思います。

アマチュア・オーケストラなどでも良く演奏される、意外に人気のある作品です。

解説

フランクは「フランスの交響音楽の父」と呼ばれる作曲家です。

フランクは19世紀のフランスの作曲家としては珍しくオペラを一曲も書いていません。信仰心に篤かったフランクは、宗教的なオルガン作品を中心に、器楽作品を多く残しています。バッハやベートーヴェンを研究し、それを元に自分の音楽を確立していきました。

新古典主義の動きと、たまたまマッチしていますね。しかしフランクの場合、懐古主義や技法の取り込みというよりも大きな意味がありました。フランクはロマン主義を嫌い、感情的なものよりも理性が宇宙の真理であるとの哲学的な考えに基づいています。

作曲の経緯

フランクの交響曲ニ短調は1885~1886年にかけて作曲されました。

交響曲 ニ短調は、全3楽章でできていますが、第2楽章の中間部がスケルツォの性格をもっており、シンメトリックな構造を持つ交響曲です。伝統的な4楽章形式の交響曲とも通じますし、一時マーラーが好んだ中心にスケルツォ楽章を置いた5楽章形式のシンメトリックな構成にも通じる所があります。

全曲は3つのモチーフによりまとめられています。これらのモチーフは循環形式と呼ばれますが、後年、ドビュッシーは交響詩『海』でこの形式を使用しています。

また、バッハやベートーヴェンに傾倒していたため、巧みな対位法が使われており、堅固な構成感を持っています。そして思索的で哲学的な内容となっています。

フランクの周囲には、彼の真摯な芸術に興味を持つ作曲家・芸術家が集まります。自然に集まった集団ですが、当時の主流だったロマン主義とは一線を画しています。当然、ロマン主義の作曲家からは反発を受けることになります。

交響曲 ニ短調の初演は1889年に、パリ音楽院のコンサートで行われました。フランクが亡くなる1年前のことです。初演の評判は芳しくありませんでした。有名なオペラ作曲家グノーは

この曲は、作曲家が無能であることを肯定し、それを教義のように引き延ばしたものである

と、公然と手厳しい批判を浴びせています。同時に、当時のロマン主義者たちがフランクを全く理解できなかったことの証拠でもありますね。

楽曲の構成

フランクの交響曲 ニ短調は先述の通り、3楽章構成の交響曲です。

第1楽章:レント(序奏)~アレグロ・ノン・トロッポ

序奏をもったソナタ形式です。冒頭に全曲を支配する循環動機が現れます。

第2楽章:アレグレット~ポコ・ピウ・レント~テンポⅠ

中間部にスケルツォ風の音楽を持つ、3部形式です。前半はハープに導かれるオーボエのソロが印象的です。

第3楽章:アレグロ・ノン・トロッポ

自由なソナタ形式です。第1主題は歓喜に溢れ、第2主題はコラール風です。第2楽章第1部の第1主題が、第2主題として提示されます。再現部に入るとふたつの循環主題が現れ、最後は盛り上がって終わります。

おすすめの名盤レビュー

フランクの交響曲 ニ短調のおすすめの名盤をレビューしていきます。

カラヤン=パリ管弦楽団

パリ管弦楽団の色彩的で重厚な響き!正確なアンサンブル!
  • 名盤
  • 定番

超おすすめ:

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン、パリ管弦楽団

録音:1969年

フランク:交響曲ニ短調
レビュー数:7個
残り3点

カラヤンがパリ管を振って録音した珍しいCDです。実はカラヤンはパリ管の音楽顧問であった時期があるのです。

このカラヤンとパリ管の演奏は、カラヤンの気合いの入った指揮のおかげで、パリ管が重厚ともいえる演奏をしています。パリ管とは思えない見事なアンサンブルです。熟した高級ワインのような響きがします。一方で少しドイツ的になっている部分もあると思います。

フランスとドイツの間にあるベルギーの作曲家であるフランクは活動の中心はフランスでしたが、やはりドイツ的な要素も持っているので、このカラヤンとパリ管のコンビがこんなにレヴェルの高い演奏をしてくれたのは、幸運なことです。録音がもう少し良ければ、とも思います。

第1楽章からパリ管を強力にドライヴして、バリバリ鳴らしていきます。壮大で崇高さすら感じる力強い演奏です。

第2楽章はオーボエのソロにとても味わいがあり、はやりベルリン・フィルではなくパリ管を聴いているのだ、と思い出します。この力強さはやはりカラヤンの方が前面に出ていて、オケがパリ管であることを忘れてしまう時がありますね。

第3楽章までずっと力強さと緊張感を保ち続けるカラヤンは凄いです。有名なメロディは長調なので少しだけ緊張が緩むところですね。この部分は本当に濃厚で熟した赤ワインのようです。

モントゥー=ボストン交響楽団

良い録音もあり、モントゥーの真髄が発揮された超名盤!
  • 名盤
  • 定番
  • 爆演

超おすすめ:

指揮:ピエール・モントゥー、シカゴ交響楽団

録音:1961年

Franck: Symphony in D Minor (Hybr)
レビュー数:34個
残り1点

モントゥーは理知的な曲であるフランクの交響曲を得意としていて、何度も録音しています。このシカゴ交響楽団との録音が一番音質も演奏内容も良いと思います。1961年の録音ですが、随分改善されているのか、透明感すら感じますし、非常に聴きやすいです。

モントゥーは色々なタイプの曲で名演を残していますが、こういう理知的な曲は特に得意です。正直、フランクの交響曲は馴染みやすい交響曲とはいえないかも知れません。でもモントゥーの手にかかると、すっと理解できて共感できてしまうのですから、本当に凄い能力です。

歴史的名盤の一つと言える超名盤です。崇高で壮大なフランクでありながら、肩の力を抜いて聴くことが出来ますし、難しいことを考えずに安心して曲を味わうことが出来ます。この時代(ライナーの時代)のシカゴ交響楽団は弦楽器の鳴りが非常に良いですね。

特に第1楽章など、どういう風に演奏していいのか、難しそうですが、モントゥーは非常に綺麗に整理しています。そして、激しい表現をしてみたり、スケールの大きな表現をしてみたりと、本当に豊富なボキャブラリーを駆使して、素晴らしい演奏をしています。

第2楽章のオーボエソロは素晴らしいし、第3楽章の有名な主題もしっかり演奏していて、物足りないところが無い位です。

ミュンシュ=ボストン交響楽団

  • 名盤
  • 定番

おすすめ度:

指揮:シャルル・ミュンシュ、ボストン交響楽団

録音:1957年3月,ボストン,シンフォニー・ホール(ステレオ)

ミュンシュも近代音楽を分かりやすく演奏してくれる音楽家です。ボストン交響楽団には、ストラヴィンスキーやヒンデミット、オネゲルなど、多くの作曲家が作品を書いています。しかし、難しい作品が多いのも事実です。オネゲルなど、真面目に演奏するほど、聴いていてしんどくなってしまうくらいです。

ミュンシュが指揮すると、どの作曲家の作品であっても最大級の敬意を払いつつも、非常に情熱的で分かりやすい演奏になります。分かりやすい演奏をするには、曲をよく理解している必要があるわけです。ミュンシュのおかげで色々な作品が聴衆の理解を得られるようになった訳で、近・現代音楽の功労者です。

フランクも非常に分かりやすく整理したうえで、情熱的に演奏できる部分をテンポアップして盛り上げていきます。曲の本質をつかむ、という点ではモントゥーのほうが実力は上かも知れませんが、情熱的に演奏してコンサートを成功させる力を持っていますね。たまに力が入り過ぎて、テンポが走ってしまうこともありますけど。

このフランクは、他の演奏に慣れていると、速く聴こえるかもしれませんが、ミュンシュの演奏としては割と良くあるテンポです。テンポのメリハリや表現の仕方が工夫されているので、「なるほど、そういう曲だったのか」と目から鱗が落ちることも多いですが、このフランクも例外ではなく、例えば第2楽章は非常に分かりやすいです。

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楽譜

フランクの交響曲 ニ短調の楽譜を挙げていきます。

ミニチュア・スコア

大型スコア

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