アランフェス協奏曲 (ロドリーゴ)

ホアキン・ロドリーゴ (Joaquin Rodrigo,1901-1999)作曲のアランフェス協奏曲 (Concierto de Aranjuez)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。

第2楽章アダージョの旋律が有名で、この旋律のおかげで今でも人気を保っています。しかし、第1楽章第3楽章もスペインらしいリズムで聴きごたえがある曲です。

解説

ロドリーゴアランフェス協奏曲(アランフエス協奏曲)について解説します。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

20世紀スペインの作曲家

ロドリーゴは20世紀のスペインを代表する作曲家の一人です。3歳の時に悪性ジフテリアのために失明し、盲目の作曲家となってしまいました。しかし、スペインのマドリッドを本拠に活動し、作曲、ピアノなどの活動を行ってきました。作品は歌劇、管弦楽曲、ピアノ曲、ギター曲など多くの作品があります。その中でもっとも有名なのがこの「アランフェス協奏曲」です。

ギター協奏曲というチャレンジ

「アランフェス協奏曲」ギターの協奏曲です。スペインを代表するギター奏者の一人であるレヒ-ノ・サインス・デ・ラ・マーサの熱心な勧めにより、1939年に作曲されました。

この協奏曲の名前の「アランフェス」とは、有名なアランフェス宮殿のことです。マドリッドの郊外にあり16世紀にフェリペ2世によって建造されました。アランフェス宮殿ですが、ロドリーゴは18世紀後半のスペイン宮廷を想像しながら、この曲を作曲しました。スペイン独特のリズムが特徴です。

ギターは音量が小さいため、オーケストラと共演させるために工夫が必要です。デ・ラ・マーサの助言を得つつ、完成させました。デ・ラ・マーサの助言を得たことでバランスの良い協奏曲に仕上がったことは事実だと思います。ロドリーゴは実はギターを弾けるわけでは無く、ギター音楽の作曲家でもありません。実演で聴いたこともありますが、ギターの音はそれなりに響くものですね。響きにくい低音域は、ほとんどソロで演奏しています。また、ピチカートを上手く使うなど、色彩的でかつギターを邪魔しないような工夫が良く見られます。

おすすめの名盤レビュー

それでは、ロドリーゴ作曲アランフェス協奏曲名盤をレビューしていきましょう。

ギター:ウィリアムス,オーマンディ=フィラデルフィア管弦楽団

新しい録音、スタンダードというに相応しい名盤
  • 名盤
  • 定番

超おすすめ:

ギタージョン・ウィリアムス
指揮ユージン・オーマンディ
演奏フィラデルフィア管弦楽団

アマゾンUnlimitedとは?

20世紀を代表するギタリスト、ジョン・ウィリアムス(映画監督とは別人です)は、3つの録音がありますが、そのうち最も古いのですが、伴奏がオーマンディ=フィラデルフィア管弦楽団とレヴェルが高く、録音の音質も良いため、ファーストチョイスとしてお薦めのCDです。ジョン・ウィリアムスはオーストラリア出身ですが、セゴビアに師事するなどスペインのギターの伝統も受け継いでいます。

第1楽章から技術の高さが素晴らしく、表現も良いです。最初に軽快に入ってくる所からジョン・ウィリアムスのギターの世界に引き込まれます。第2楽章は有名なメロディを弾くのが往時のフィラデルフィア管弦楽団で、とても素晴らしい演奏です。ジョン・ウィリアムスのギターも小気味良く渋い音色で、色々な表現を使って、この曲の可能性を最大限に引き出しています。というか、アランフェス協奏曲でこんなに充実した演奏ができるのか、と驚きます。あまりスペイン風という感じではありませんが、聴いていてこれだけ味わいのある演奏は他にないように思います第3楽章は少し速めのテンポで、技術的にも難しいと思いますが、普通にきれいな響きで演奏しきっています。

他の2つの録音は、一つはバレンボイム=イギリス室内管(1974年)、もう一つはフレモー=フィルハーモニア管(1984年)です。音質はかなり良くなっています。オケのレヴェルはどれも高いです。特にバレンボイムのほうは最近の録音かと思ってしまいました。いずれもジョン・ウィリアムスの演奏スタイルは変わりません。ただ、最初の録音が一番変化に富んでいて味わいがありますね。

ギター:イエペス,アロンソ=スペイン国立放送響

スペインらしい情緒に満ちた味のある名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 民族的

おすすめ度:

ギターナルシソ・イエペス
指揮オドン・アロンソ
演奏スペイン国立放送交響楽団

1970-1989年 (ステレオ/セッション)

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スペインを代表するギター奏者だったナルシソ・イエペスがソロを担当した演奏です。伴奏はアロンソとスペイン国立放送交響楽団です。

イエペスのギターは、どの楽章でもスペインらしい情緒に満ちた味のある演奏を聴かせてくれます。聴いた感じ凄く技巧を売りにしている雰囲気でもなく、格別に個性を強調している訳でも無く、クオリティの高い演奏にスペインの風味が自然に加えられた演奏です。ギターソロが長い所は味わい深く、アルファ波が出て居そうです。

一方、伴奏のスペイン国立放送交響楽団は、マイクの位置関係だと思いますが、弦セクションは、あまり綺麗に入っていないように思います。下手ではありませんが、特にレヴェルの高いオケでは無いです。ただ、所々でスペインのオケらしい響きがあります。この曲の場合、第2楽章はもう少しロマンティックに聴かせてほしい気もします。民族的な響きだと思うのですが、アランフエス協奏曲は洗練された曲だと思います。

ナルシソ・イエペスを聴くCDですね。ギターのほうは綺麗に入っていて、響きも良いです。

ギター:河野智美,梅田俊明=東京フィル

ギターの響きが良くオーケストラも上手く録音も良い
  • 名盤
  • 定番
  • 民族的
  • 高音質

超おすすめ:

ギター河野智美
指揮梅田俊明
演奏東京フィルハーモニー

2020年1月29日,東京,サントリーホール大ホール (ステレオ/DSD/ライヴ)

河野智美というギター奏者を知らなかったのですが、聴いてみると素晴らしい演奏です。録音の良さもあって、今まで聴いてきたアランフェス協奏曲よりもずっとしっかりした演奏で、この曲のイメージが変わりました。伴奏の梅田俊明東京フィルもハイレヴェルです。

第1楽章から、兎に角ギターの響きが美しく、とてもライヴとは思えない音質の高さです。技巧に走ることは無く、アコースティックなギターの響きを大事にしています。第2楽章伴奏のオケも含め、とても良い雰囲気です。この演奏だと有名なメロディもとても生きてきます。第3楽章は少し遅いテンポで、ギターの響きを大事にしつつ、演奏しています。技巧は素晴らしいですが、少しスリリングさが少なめです。ギターの金属音では無く、胴がしっかり鳴るような演奏で通しています。

ギターの音色の美しさが主体の演奏で、初心者から玄人まで、また音質にこだわる方にもとても良いCDです。

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演奏のDVD、Blu-Ray

ギター:村治佳織, ブルコス=イタリア国営放送交響楽団

ギター村治佳織
指揮フリューベック・デ・ブルゴス
演奏イタリア国営放送交響楽団

2003年

ギター:カニサレス, ラトル=ベルリン・フィル

  • 名盤
  • 定番

ギターカニサレス
指揮サイモン・ラトル
演奏ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2011年5月1日,スペイン,マドリード・レアル劇場 (ステレオ/デジタル/ライヴ)

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楽譜・スコア

ロドリーゴ作曲のアランフェス協奏曲の楽譜・スコアを挙げていきます。

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電子スコア

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