プロコフィエフ 交響曲第6番 Op.111

セルゲイ・プロコフィエフ (Sergeevich Prokofiev,1891-1953)作曲の交響曲第6番 変ホ短調 作品111 (交響曲第6番 es-Moll 作品111)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

解説

プロコフィエフ交響曲第6番 変ホ短調 作品111について解説します。

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戦争の悲劇を描く

プロコフィエフはエキセントリックでダイナミックな交響曲第5番を書いた後、短調の交響曲第6番を作曲しました。
これは戦争の受難に苦しむ民衆たちが描かれているのだといわれています。
3楽章構成なので緩徐楽章から始まることも特徴です。大雑把に言えば第一楽章が省略されている形で、ショスタコーヴィチの第6番とも一緒です。

小澤征爾=ベルリン・フィルの第2楽章
しなやかさが特徴です

しかし、これは間接的に、戦争をしたソヴィエト当局を批判したようになってもいるわけです。プロコフィエフもそこを分かっていたのか、戦争の負の側面をストレートに描くことはせず、その結果難解な交響曲となりました。結局、ジダーノフ批判の対象となり、演奏禁止となってしまいました。

これまでにない繊細さ

プロコフィエフとしては情感を前面に出した繊細な交響曲で、このような曲は第6番だけです。そのため、人気がいまひとつな曲でもあるかも知れません。

ただ、プロコフィエフの繊細さは、これまでの交響曲でもダイナミックさと共存する形でずっと存在していました。演奏家がそこを再現するかどうかという問題はありましたけれど、名演といえる演奏は繊細さやしなやかさも併せ持っています。

おすすめの名盤レビュー

プロコフィエフ交響曲第6番のおすすめの名盤をレビューして、感想を書いていきます。

小澤征爾=ベルリン・フィル

プロコの6番で一番分かりやすく共感できる名演!
  • 名盤
  • 定番
  • 共感
  • 奥深さ

超おすすめ:

指揮小澤征爾
演奏ベルリン・フィルハーモニー

1989-92年 (ステレオ/デジタル/セッション)

小澤征爾=ベルリンフィルは、このちょっとマイナーな交響曲第6番の真価を聴かせる名演となっています。小澤征爾特有のしなやかさがこの曲で非常にうまくいっているのです。

筆者はデュトワとかいくつかの演奏で交響曲第6番を聴いたのですが、いまいち良さが分からずにいました。

しかし、小澤盤を聴いて一気にこの曲の魅力に開眼しました。アンサンブルが困難な部分はありませんし、ベルリンフィルも自由自在な小澤征爾の指揮についていき、第2楽章は感動的とも言えるレヴェルの演奏になっています。

小澤盤は第7番がいまひとつなのですが、この第6番は他の指揮者にはない要素が詰まっていて素晴らしいです。

キタエンコ=ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

  • 名盤
  • 定番
  • しなやか
  • 高音質

おすすめ度:

指揮ドミトリー・キタエンコ
演奏ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

キタエンコの演奏は、比較的しなやかさがありますが、全体としてはスタンダードなアプローチかな、と思います。

難解な交響曲第6番を分かりやすくまとめているといえると思います。

第1楽章の後半のパーカッションが活躍するところは少し硬めでスペクタクルに演奏しています。戦争や何かの障害に見舞われたことがわかるでしょう。

第2楽章も小澤征爾のようにウェットなところは無いのですが、少しグロテスクさのある音楽になっています。人間の内面に入り込んでいく、という雰囲気は小澤盤ほどないので、微妙なところですが、しなやかに、じっくり表現しているので、曲の言いたいことが伝わりやすいと思います。第3楽章は、より派手になり、スペクタクルな音楽が繰り広げられます。

交響曲第6番はおそらくわざと難解に書いてある交響曲だと思うので、難しいのですが、この演奏の場合、人間の内面を描くところと、スペクタクルなところが両方あり、どちらをメインにして聴くかで印象が変わってきそうですね。

ロストロポーヴィチ=フランス国立交響楽団

  • 名盤

おすすめ度:

指揮ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
演奏フランス国立交響楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

ロストロポーヴィチはスケールの大きな演奏をしています。また、ロシアの凍てついた大地を表現できる指揮者です。

まずは、小澤盤などで、この曲の良さや聴きどころを押さえておいてください。そうすると、ロストロポーヴィチ盤の良さも分かるようになってくると思います。交響曲第6番は分かりにくいので、(たぶんわざと分かりにくくしたのだと思いますが)じっくり聴きこむ必要があると思いますね。

ムラヴィンスキー=レニングラード・フィル

  • 名盤
  • 歴史的名盤

おすすめ度:

指揮エフゲニー・ムラヴィンスキー
演奏レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

初演者ムラヴィンスキーによる録音です。

デュトワ=NHK交響楽団

おすすめ度:

指揮シャルル・デュトワ
演奏NHK交響楽団

1997年 (ステレオ/デジタル/セッション)

デュトワ=NHK交響楽団の記念すべきメジャーレーベル初録音でした。2回くらいで終わってしまうのですが、汗。

バレエ「ロメオとジュリエット」はなかなかの演奏です。さすがデュトワで、しなやかなサウンドでこの曲の良さを出しています。NHK交響楽団は技術的に全く問題ないですね。ただスタジオ録音に慣れていないのか、ちょっと丁寧過ぎる演奏になっているかも知れません。

交響曲第6番のほうなのですが、デュトワはあまり得意ではないのか、ただ譜面通りに指揮している感じでNHK交響楽団も技術的に全く問題ないですが、ただ言われた通りに演奏しているという感じです。ストレートに言ってプロコフィエフのこの交響曲の良さが出ていません。この演奏を聴くと理解の難しい交響曲に聴こえると思います。

楽譜通りだと難しいので、分かりやすさも必要が交響曲だと思います。

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スコア・楽譜

プロコフィエフ作曲の交響曲第6番 変ホ短調 作品111の楽譜・スコアを挙げていきます。

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