2台のピアノのための協奏曲(プーランク)

フランシス・プーランク (Francis Poulenc,1899-1963)作曲の2台のピアノのための協奏曲 ニ短調 FP.61 (Concerto for 2 Pianos and Orchestra d-Moll FP.61)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。

この曲を知らない人もいるかもしれませんけれど、結構有名な曲だと思います。モーツァルトに似ていて、疾走するような音楽です。ギャラント様式に似ていると思います。第1楽章の冒頭や第3楽章などは、有名なメロディだと思います。

解説

プーランク2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP.61について解説します。

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プーランクは鍵盤楽器のための協奏曲を5曲作曲しています。チェンバロ協奏曲パイプオルガン協奏曲など、バロック音楽以前の楽器に対する協奏曲が多いですね。『2台のピアノのための協奏曲』は文字通り2台のピアノと管弦楽伴奏のための協奏曲です。

第3楽章の有名な主題

エドモン・ド・ポリニャック公妃の委嘱により作曲され、1932年に完成しました。

初演は1932年9月5日にヴェネツィア国際音楽祭にて、プーランク自身とジャック・フェヴリエのピアノ、デジレ・デフォー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団によって行われました。

この手の曲を書く時のプーランクは、モーツァルトのように頭の回転が速く、魅力的なモチーフが沢山あふれ出してきますパイプオルガンと異なり、ピアノの機敏な動きを活かしています。またこの時期のプーランクはストラヴィンスキーの影響が大きく原始主義的なモチーフがあったり、新古典主義の色合いも濃いです。もちろんプーランクの独自性は十分ありフランス風のエスプリにも満ちています。テンポが速く才気あふれる音楽で聴くほうも楽しいですし、演奏するほうも楽しいのではないか、と思います。

2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP.61

3楽章構成ですが演奏時間は20分以下で長い曲ではないですね。基本は古典派の協奏曲に近いものです。

第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ
ソナタ形式です。ハイドンのような意外性が入り込んでいますが、モーツァルトのような機転の利いた音楽です。

第2楽章:ラルゲット
緩徐楽章です。透明感があり、非常に美しい曲です。

第3楽章:フィナーレ、アレグロ・モルト
アレグロですが、色々な要素が入り込んでいて、少し複雑になっていますが、親しみやすい音楽です。

おすすめの名盤レビュー

それでは、プーランク作曲2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP.61名盤をレビューしていきましょう。名作で録音が多く、有名なメロディがあるにも関わらず、現在廃盤が多くてレビューする演奏を選ぶのも大変です。(一応、名演奏と言われるものを選んでレビューしているんです。)

プレートル=パリ管弦楽団 (1962年)

プーランク自身のピアノとプレートルの指揮
  • 名盤
  • 定番
  • フランスの香り
  • スリリング

超おすすめ:

ピアノ フランシス・プーランク
ピアノジャック・フェヴリエ
指揮ジョルジュ・プレートル
演奏パリ管弦楽団

1962年4月(ステレオ/アナログ/セッション)

2台のピアノのうち一台をプーランク自身が弾き、指揮者はプレートルとパリ管弦楽団という、当時のフランスのエスプリの第一人者を集約したような組み合わせです。録音は1962年ですが、とても良好で透明感すら感じられます。

第1楽章から全員が本領発揮です。ピアノが自由に弾きまくり、オーケストラは思い切りパーカッションを打ち込み、自由奔放ですね、笑。古き良きフランスのエスプリを体現していて、こんなにスリリングな演奏は他にはありません。ラベック兄弟と小澤=ボストン響も丁々発止の名演ですが、スマートな演奏でもあります。こちらは疾走感はありますが、スマートでは無く、そこがいいのです。エキゾチックな表現は他の演奏には無いものです。プレートルもテンポは中庸ですが独特のリズム感があります。第2楽章はモーツァルトのように始まり、非常に感傷的な表現になっていきます。リズム感が失われない所もいいですね。作曲した本人ですから、ツボは100%押さえている訳ですけど。パリ管弦楽団の弦の音も不思議とマッチしています。第3楽章大胆なシャープさで始まります。そしてピアノが荒れ狂った後、有名なメロディの所に来ます。素晴らしいオーケストレーションなのですが、あえてスマートに演奏しない所がこの演奏の面白さですね。

ラベック兄弟,小澤征爾=ボストン交響楽団

プーランク自身のピアノとプレートルの指揮
  • 名盤
  • 定番
  • フランスの香り
  • スリリング

超おすすめ:

ピアノカティア・ラベック
ピアノマリエル・ラベック
指揮小澤征爾
演奏ボストン交響楽団

1989年(ステレオ/デジタル/セッション)

フランスのラベック兄弟(姉妹)と小澤=ボストン響の演奏です。ラベック兄弟が中心のCDでデュオがカップリングされています。ピアノはテクニックが素晴らしく、才気だっています。録音も良く透明感のある音質です。しかも伴奏はプーランクを得意とする小澤征爾です。

第1楽章の冒頭を聴いた瞬間に名演を予感させる演奏です。ラベック兄弟はこのページの中のピアニストの中でもテクニックは素晴らしく、プーランクの協奏曲を理想的と言ってもいい位、弾きこなしています。ある時は疾走感があり、ある時はしなやかに、またある時は芳醇に、という風に表現のボキャブラリーも豊富です。小澤=ボストン響の伴奏も自由に弾きこなすラベック兄弟とピッタリ合っていて驚きです。第2楽章透明感があって美しく、シルクのようです。第3楽章はオケも様々な表現をしてきて、丁々発止で楽しい演奏です。昔、コマーシャルかBGMで聴いたような気もする演奏ですね。

ラベック兄弟ですが、2005年のヴァルトビューネで同曲をラトル=ベルリン・フィルと共演しています。また、2016年のサマーコンサートで同曲をビシュコフ=ウィーン・フィルと共演しています。余程、得意曲なんでしょうね。

デュトワ=フィルハーモニア管弦楽団

2人の秀逸なピアノ演奏とデュトワの好サポート
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感
  • スリリング
  • 高音質

おすすめ度:

ピアノパスカル・ロジェ
ピアノシルヴィアーヌ・ドフェルヌ
指揮シャルル・デュトワ
演奏フィルハーモニア管弦楽団

1992年(ステレオ/デジタル/セッション)

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2台のピアノをパスカル・ロジェとシルヴィアーヌ・ドフェルヌが演奏し、伴奏はデュトワ=フィルハーモニア管弦楽団が演奏しています。録音は1992年と比較的新しく、高音質で透明感があります。

2台のピアノは速めのテンポで颯爽と弾いており、これぞプーランクという演奏です。プーランクのピアノ協奏曲はこういう疾走感が必要ですね。一見、明るいようでいて、同時に悲しみも表現していて、「疾走する悲しみ」などと言われています。第2楽章透明感があって美しく、テンポも適切でもたれるようなことはありません。オケも非常に上手いサポートです。第3楽章はフランスのエスプリがたっぷりの楽しい演奏です。充実した名演奏です。

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楽譜・スコア

プーランク作曲の2台のピアノのための協奏曲ニ短調 FP.61の楽譜・スコアを挙げていきます。

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