プーランク オルガン協奏曲

フランシス・プーランク (Francis Poulenc,1899-1963)作曲のオルガン協奏曲 ト短調 FP.93 (Organ Concerto, ORGUE ET ORCHESTRE Orgue g-moll FP.93)について、解説おすすめの名盤レビューをしていきます。

解説

プーランクオルガン協奏曲について解説します。

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プーランクのオルガン協奏曲は、 正式名は『弦楽, ティンパニのための協奏曲です。パイプアルガンを使用する協奏曲自体珍しいです。ヘンデルはオルガン協奏曲を作曲していますが、これは主に小型のポジティフ・オルガンを想定しています。管楽器のパートが無いのが残念ですが、パイプオルガンとオーケストラの作品として、サン=サーンスの交響曲第3番『オルガン付き』と並んで人気のある曲となっています。

編成

独奏オルガン
弦楽5部
ティンパニ

おすすめの名盤レビュー

それでは、プーランク作曲オルガン協奏曲名盤をレビューしていきましょう。一応単一楽章構成ですが、レビューでは3つの部分をそれぞれ楽章と捉えて書いていきます。

オルガン:アプカルナ, ヤンソンス=バイエルン放送交響楽団

  • 名盤
  • 定番
  • 表情豊か
  • 円熟
  • 迫力
  • 高音質

超おすすめ:

オルガンイヴェタ・アプカルナ
指揮マリス・ヤンソンス
演奏バイエルン放送交響楽団

2019年3月11-15日,フィルハーモニー・イン・ガスタイク (ステレオ/デジタル/ライヴ)

オルガン独奏はイヴェタ・アプカルナ、ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団のライヴ録音です。ヤンソンスの晩年にバイエルン放送交響楽団と名盤を残していますが、この曲もその一つです。録音の音質は新しいこともあり、パイプオルガンが、とても良く録音されていて、ストップ操作なども良く分かります。

第1楽章はダイナミックなパイプオルガンで始まります。パイプオルガンの強奏を高音質で捉えていてリアルで迫力があります。オケは重心が低く、円熟したヤンソンスの指揮は深みを感じさせます。主部は速めのテンポでスリリングです。アンサンブルのクオリティが高く、また宗教音楽としての側面も良く出ていると思います。ヤンソンスらしい丁寧なアンサンブルは清々しさを感じさせます。

第2楽章パイプオルガンの少し異様な雰囲気が良く出ています。おだやかさのある部分も透明感のある録音で、響きの良さを堪能できます。曲が進むにつれ、味わいが深くなっていきます。終盤の盛り上がりは低音がしっかりしていて凄い大迫力です。その後の弱音もとても美しいです。第3楽章は標準的なテンポですが、パイプオルガンとオケの響きの厚さが印象的です。パイプオルガンは最初は丸みのある音色で、徐々に音色を変えていき、表情豊かです。

ヤンソンスは特別プーランクが得意という訳ではないし、バイエルン放響もドイツのオケです。それでも丁寧で深みのある演奏は味わいがあり、何よりパイプオルガンがここまで高音質で録音されているディスクは他にないので、新しい発見も多い名盤です。

オルガン:デュリュフレ, プレートル=フランス国立管弦楽団

プーランクを聴くなら外せない名盤
  • 名盤
  • 定番
  • スケール感
  • 重厚
  • 迫力

超おすすめ:

オルガンモーリス・デュリュフレ
指揮ジョルジュ・プレートル
演奏フランス国立管弦楽団

1961年2月 (ステレオ/アナログ/セッション)

オルガン独奏はモーリス・デュリュフレ、プレートルとフランス国立管弦楽団の録音です。このディスクはプーランクの正統派と言って良いもので、プーランク自身が演奏の監修をしています。録音は少し古いですが、リマスタリングによって解像度が増して迫力が出てきました。

第1楽章は分厚いオルガンで始まり、ダイナミックでスケールの大きさがあります。プーランクの宗教音楽の一つに聴こえます。主部に入るとテンポを増します。オケも密度の高い響きで、パイプオルガンは低音から高音域に至るまでしっかり録音されていて、迫力があります。第2楽章は穏やかですが、大聖堂で演奏しているかのようで、広さを感じます。曲が進むにつれ味わいが出てきます。後半は迫力が加わり、とてもドラマティックです。

第3楽章は速いテンポで進んでいきます。パイプオルガンは壮大で、弦は白熱しています。パイプオルガンがしっかり録音されていて、独奏とオケのバランスも良いです。後半は、パイプオルガンがドラマティックに引っ張る形で盛り上がっていきます。オケの弦も粒が立っていて心地よく聴かせてくれます。終盤はグロテスクなまでの表現で奥の深さもある演奏です。

オルガン:プレストン, 小澤征爾=ボストン交響楽団

スピード感とドラマティックさの両立、小澤氏らしいセンスの良い名盤
  • 名盤
  • 定番
  • 透明感
  • スリリング

おすすめ度:

オルガンサイモン・プレストン
指揮小澤征爾
演奏ボストン交響楽団

(ステレオ/デジタル/セッション)

サイモン・プレストンのオルガン独奏に小澤征爾とボストン交響楽団の録音です。小澤征爾はプーランクを非常に得意としています。音質は良く、透明感がありクオリティの高さを感じます。

第1楽章は冒頭からパイプオルガンから速めのテンポでスピード感があり、それと同時にバッハのようなシリアスでドラマティックさがあります。主部に入るとスタイリッシュでプーランクらしい軽妙な響きです。小澤氏のインスピレーション溢れるタクトの元、ボストン交響楽団は色彩感を保ちつつ、スリリングで白熱した演奏を繰り広げます。第2楽章は静かで穏やかにパイプオルガンが演奏し、オケは伸びやかなサウンドを奏でています。高弦が清々しい響きを聴かせてくれます。宗教的な感じはそれほどありませんが、透明感が高くてひんやりした肌触りが心地よいです。終盤は地の底から湧き上がる様な気迫が凄いです。第3楽章はプレストンのパイプオルガンのテクニックで、速いテンポで軽妙で流麗な演奏を聴かせてくれます。ボストン響もスリリングに応えています。

クオリティが高く、オルガン協奏曲の面白さを堪能できる名盤です。パイプオルガンとオケのバランスは対等で、プーランクらしいオーケストレーションが楽しめます。

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楽譜・スコア

プーランク作曲のオルガン協奏曲の楽譜・スコアを挙げていきます。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

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