スマートフォンでアマゾン・ミュージックのハイレゾ音源を聴きたい場合は、ポータブルDAC(小型USB-DAC, 通称ポタアン)とハイレゾ対応のヘッドフォンが必要です。中でもポータブルDACはどれが良いのか迷います。現在、中国メーカのポータブルDACが主流で、数も多いですし価格も様々です。
ポータブルDACでハイレゾを聴く
音質にこだわるなら、ポータブルDACよりも据え置き型のUSB-DACの方が良いです。HEOS対応の据え置き型アンプとは音質は比べられません。ポータブルDACは、あくまでスマホで聴くときの音質向上を考えての選択です。
少なくとも通常のスマホはハイレゾ対応のDACは搭載していないですし、ポータブルDACを使うとはスマホ内蔵のDACよりも良いので、ほとんどの場合、音質は良くなります。
ポータブルDACはどう選ぶ?
選ぶポイントを挙げていきます。
出力端子:3.5mmステレオミニグラグ or 4.4mm バランスケーブル
出力端子はステレオ・ミニプラグまたは4.4mm バランスケーブルです。どちらか一つの場合と両方の端子をサポートしている場合があります。ポータブルDACはどちらか一方のサポートの場合が多いのでお使いのヘッドフォンに合わせてください。この価格帯では4.4mm バランスケーブルにこだわる必要はあまりないです。
スマホ側の入力端子はUSB-タイプCやLightning(ライトニング)です。USB-タイプCは多くのAndroid端末がサポートしています。Lightning(ライトニング)はiPhone,iPadがサポートしている端子です。
消費電力は小さい方が良い
消費電力については、スマホの一つしかないUSB-CやLightning(ライトニング)のポートを使用するため、使用中は充電できません。再生してみると分かりますが、ポータブルDACは案外消費電力が大きく、バッテリー容量次第ですが数時間程度しか持たない場合が多いです。消費電力は調べないと分からないですが、小さい方が良いです。
大きさ
スマートフォンに繋げて持ち歩くものなので、コンパクトなことは大事です。そのため多機能で端子が多いモデルよりは割り切った小型のモデルが良いです。特に追加で変換ケーブルを使うと結構邪魔です。ただ、モノによっては断線することもあるので評判の良い機種を探すのが良いですね。
サンプリングレートなどをLEDで表示する機能
実際に接続すると音が良くなったと感じる場合が多いですが、果たしてハイレゾ音源をちゃんと再生できているのか?が気になります。音源のサンプリングレートなどをLEDで表示する機能はあった方が良いです。
スマートフォンとの相性
スマホとの相性もありますが、これは繋げてみないと分かりません。AndroidでもOSバージョンが新しく、CPUのスペックが十分なら動作することが多いですが、上手く動作しないこともあります。その場合は返品することになります。
価格
価格は5000円以下のものも多いですが、あまり音が良いとは言えません。できれば1~2万円前後の製品が良いと思います。出力はヘッドフォンに合ったものが選んでください。
ハイレゾ対応スマホを検討する
端末との相性や大きさの問題を考えると、値段は高くなりますが、ポータブルDACよりハイレゾDAC付のスマートフォンが最も良く、安全な選択と言えます。最近、多くの機種がハイレゾ対応になってきています。
ポータブルDACの使い方
ポータブルDACをスマートフォンに接続するだけでプラグ&プレイで使えるようになります。特にアプリをインストールする必要もありません。
お薦めのポータブルDAC
上記の条件を全部満たした製品はなかなかありません。ここでは、いまお薦めのポータブルDACをいくつか紹介します。
Astell&Kern(アステル&ケルン) AK HC2
Astell&Kern(アステル&ケルン) はポータブルプレイヤーで評価が高いブランドです。AK HC2はポータブルDACの中でもハイエンドに属します。チップはCS43198をデュアルで搭載しています。ポータブルDACの中では値段は高めですが、その分音質はとても良く、クラシックでも十分音の良さを感じることが出来ます。安めの据え置き型に迫るものがあります。音の味付けもわざとらしくはありません。古めのAndroidだと音量が適切に設定されないことがあるとのことですが、この場合、Androidアプリを使うと音量の調整が出来ます。
出力は4.4mm5極バランスのみです。入力はType-CでAndroidならそのまま接続できます。またLightning変換端子が付属しており、iPhoneでも使えます。
FiiO JadeAudio KA3 ヘッドホンアンプ
FiiOのKA3はポータブルDACの中でも高性能な機種です。クラシックを聴くなら、最低限この位のスペックがお薦めです。
入力側・出力側は端子で接続するタイプで、さまざまなケーブルに変換できます。USBタイプCでもライトニングでも、USB-Cから変換するケーブルを準備すれば対応できます。
またLEDでブルー:48kHz以下、イエローライト:48kHz以上、グリーンライト:DSDという風に現在ハイレゾで再生できているか、を確認できます。
比較的信頼できるメーカで、家電量販店での取り扱いがあります。音質もなかなか良く、音場が広いと感じます。
iBasso Audio DC06 アイバッソ TypeC USB-DAC
iBassoは昔からポータブルDACを手掛けています。製品として比較的信頼できますし、音質も安定していると感じます。パワーが大きいのがこの製品の特長で鳴りにくいヘッドフォンには良い選択です。
消費電力が大きめなので、バッテリーサイズが大きいスマートフォンで使うことをお薦めします。
実際に使ってみた
筆者はM-AUDIOのマイクロDACという製品を使っています。値段は1万円くらいです。少し古めの製品で、入力はUSB Type-Aと今では少ない仕様ですね。ただ、パソコンに接続する時はUSB Type-Aの方が楽なので、スマホのUSB Type-Cには変換ケーブルを使えばよい、と考えたのです。
M-Audio USB-DAC ハイレゾ音源対応 Micro DAC
音質は最大24bit/192kHzと最近の製品としては物足りないかも知れませんが、アマゾンミュージックのハイレゾ音源なら十分です。
筆者のスマホは楽天モバイルで購入したAQUOS sense4ですが、ネットで検索して動作するという情報を得たからです。実際、パソコンに接続しても、スマホに接続しても問題なく使えます。
パソコンに接続して、その出力をアンプのAUXに繋いで見たのですが、インピーダンスの問題なのか上手く行きませんでした。
Type-A⇒Type-CのOTG変換ケーブルを買ってきて、AQUOS sense4に繋ぐとすぐ認識してくれました。ただ音質は何か普通過ぎて物足りないものでした。物足りない、とはいえ、AQUOS sense4から直絶ヘッドフォンを繋ぐよりは大分良いです。しばらく使っていると、やはりバッテリーの減りが明らかに早くなったことが分かります。とはいえ5時間位は持ちそうです。それと聴くとき以外は外しておくのが良さそうです。
少し後悔したのは、Type-A⇒Type-CのOTG変換ケーブルは意外と嵩張る、ということです。コートのポケットなら入りますが、変換ケーブルは意外と太いものしか見つからず、丈夫な作りですが曲がりにくいのでした。
音質は物足りないものの、値段相応だと思います。しばらく使っていて、たまにジーというノイズが入っていることに気づきました。原因は不明ですが、接触不良かも知れませんね。
それからハイレゾ音源も再生してみますが、このポータブルDACは192kHzの音源で無いとLEDでは分からないので、ちゃんとハイレゾで再生されているのか不明です。アマゾンのUltra HDでも192kHzはそんなに多くは無く、アマゾンプレイヤーで見てもどの程度のハイレゾ音源なのか分かりません。
その後、ヨドバシカメラに行くとUSB-DACを試せることが分かりました。そこでFiiO KA2やFiiO KA3、iBassoを試すと相性の問題はなく、音質はなめらかでFiiOの方が良かったです。上手く動作しないポータブルDACもありました。ちなみに店員は面倒そうな対応であまり売る気はなく、FiiO KA3を買おうと思ったのですが、在庫が無いようでした。まあでも、家電量販店によってはスマホを持っていけば、好みの音質のポータブルDACが探せるので、それが良いかも知れません。
しばらくはこれを使うことになりそうです。1~2万円といっても安いとまでは言えませんしね。
次はハイレゾ対応のイヤホンを物色中です。