ガブリエル・フォーレ (Gabriel Faure,1845-1924)作曲の組曲『ペレアスとメリザンド』作品80 (Pelleas and Melisande)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。
解説
フォーレのペレアスとメリザンドについて解説します。
モーリス・メーテルリンクは戯曲『ペレアスとメリザンド』を書きあげ、1883年にパリで初演されました。
この戯曲をロンドンで上演するにあたり、英訳が行われました。また女優パトリック・キャンベル(イギリス)は、フォーレに劇音楽の作曲を依頼します。12曲からなる劇音楽が作曲されました。1898年にロンドンにて上演され、フォーレ自身の指揮により劇音楽は初演されました。
その後、フォーレは劇音楽より抜粋して組曲版を作成します。最初は「前奏曲」「糸をつむぐ女」「メリザンドの死」の3曲を選び、オーケストレーションを2管編成に拡張して、管弦楽組曲としました。初演は1902年2月3日に行われ、「糸をつむぐ女」がアンコールされました。さらに「シシリエンヌ」「メリザンドの歌」を加えて、5曲からなる管弦楽組曲になりました。
一番有名で人気のある「シシリエンヌ」は、劇音楽の初版にはなく、1909年に追加されました。ペレアスとメリザンドが泉のほとりで戯れるシーンの音楽です。チェロやフルートなどさまざまな楽器に編曲され親しまれています。「糸をつむぐ女」も有名ですね。糸車の開店する様子を弦楽器で描いたこの曲はとても印象的です。「メリザンドの歌」はソプラノまたはメゾソプラノによる独唱が入っています。
ちなみにこの戯曲はドビュッシーにより、大規模なオペラが作曲され、こちらは音楽史上、重要なオペラとなっています。
第1曲:前奏曲
第2曲:糸を紡ぐ女
第3曲:メリザンドの歌
第4曲:シシリエンヌ
第5曲:メリザンドの死
おすすめの名盤レビュー
それでは、フォーレ作曲ペレアスとメリザンドの名盤をレビューしていきましょう。
アンセルメとスイス・ロマンド管の演奏は、真摯で端正な演奏です。フォーレの独特の雰囲気を出そうとしているのではなく、自然とフォーレらしい音楽になっています。また、全体的にインテンポで、もう少し録音が新しければ、定番としての位置づけになったと思います。今でもスコアを見ながら参考にするにはとても良い演奏です。「メリザンドの歌」は割愛されて4曲が収録されています。
録音は1961年と古いですが、音質はしっかりしていて、マイナスにはなっていません。逆に残響が豊富すぎたりすると、わざとらしいので、この位の音質で十分です。
小澤征爾はフォーレを得意としています。『レクイエム』も名演でした。『ペレアスとメリザンド』は、フォーレらしい雰囲気を前面に出した演奏です。ウェットな表現で、その点で好みが分かれそうです。ソプラノを入れ「メリザンドの歌」も含めた全5曲を録音しており、かなりフォーレに力を入れて取り組んでいることが分かります。それだけ演奏者のレヴェルが高くクオリティはかなり高いです。
デュトワ盤はアンセルメ盤と同様「メリザンドの歌」が入っていない4曲構成で演奏されています。
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楽譜・スコア
フォーレ作曲のペレアスとメリザンドの楽譜・スコアを挙げていきます。