アントニオ・ヴィヴァルディ (Antonio Vivaldi,1678-1741)作曲の弦楽のための協奏曲 ト長調『田舎風』RV.151 (Concerto for strings G-dur “Alla Rustica” RV.151)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。
解説
ヴィヴァルディの弦楽のための協奏曲『田舎風』RV.151について解説します。
作曲の経緯
ヴィヴァルディの弦楽コンチェルトです。合奏協奏曲のソロがいないと考えれば良さそうです。ヘンデルもOp.6-7のようなコンチェルティーノが居ない合奏協奏曲を書いています。
あるいは合奏協奏曲にシンフォニアの要素を取り入れたのかも知れません。これはヴィヴァルディの源流にあたるアレクサンドロ・スカルラッティ(鍵盤曲で有名なドメニコ・スカルラッティの父)はソロがない3楽章形式の楽曲を作曲しており、イタリア風序曲と呼ばれています。
さらに、もう一つの見方としては、各パート一人ずつで室内楽のように演奏していたのではないか、ということです。昔のことで、楽譜しか残っていませんので、正確な所はまだわかっていない、と言われています。
ヴィヴァルディの弦楽コンチェルト
ヴィヴァルディは数多くの弦楽コンチェルトを残していて、数十曲以上あります。多くはピエタ孤児院の弦楽アンサンブルのために作曲されたと言われています。
有名な曲はこの『田舎風』RV.151のように愛称がついています。いずれもキャッチーなメロディで親しみやすい曲が多いです。
曲は短く、3楽章全てを演奏しても演奏時間6分程度です。
弦楽コンチェルトはリトルネッロ形式をベースとした3楽章構成となっていますが、例えばRV.143は素晴らしいフーガがあるなど、工夫に満ちています。探せば面白い曲が見つかる分野でもあります。
有名な『田舎風』
スリリングな曲が多いヴィヴァルディの弦楽コンチェルトの中で、『田舎風』RV.151はおだやかな曲です。この『田舎風』がどのようにして有名になったのか、よくわかりませんが、結構メロディを知っている人は多いですね。実は管理人は知らなかったのですが、管理人の父は「聞いたことがある」と言っていました。TV番組のBGMとして使われたり、CBCラジオのCMで使われたりしているようです。コンサートでは『四季』などの大曲の前に序曲のように演奏されることがあるようです。
曲の構成
5~6分程度の短い曲ですが、各楽章のバランスはとれています。
おすすめの名盤レビュー
それでは、ヴィヴァルディ作曲弦楽のための協奏曲『田舎風』RV.151の名盤をレビューしていきましょう。
有名なバロック・ヴァイオリニストであるオノフリがアカデミア・モンティス・レガリスを率いた演奏です。非常に新しい録音で高音質です。
第1楽章からオノフリらしい力強さのある演奏です。頭拍をしっかりグリップしていて、とてもリズミカルです。オーボエなど木管楽器も入っており、色彩感のある響きですね。第2楽章はオーボエがソロを担当しています。バロック・オーボエは独特の柔らかさがあり、さわやかでかつ味わい深さもあります。第3楽章はトゥッティが力強く、低音がしっかりしていて、舞曲風の強いリズム感が印象的です。
この曲自体は短いのであっという間に終わってしまいますが、RV.134などスリリングな曲も多く、オノフリの演奏スタイルはこういった曲にとても相応しいです。また結構深みを感じる表現もあり、ヴィヴァルディの弦楽コンチェルトの印象が変わるかも知れません。
バロックヴァイオリニストのカルミニョーラがソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカを率いた録音です。管理人未聴ですが、カルミニョーラの演奏はとてもイタリア的で明るさがあるのが特徴です。『田舎風』RV.151にも良く合う演奏スタイルと思います。
ピノック=イングリッシュ・コンサート
ピノックとイングリッシュコンソートの録音です。古楽器を使った第1世代の演奏で、今では定番として受け入れられています。録音も十分良いです。このディスクには多くの協奏曲が収録されており、このコンビの演奏なので演奏レヴェルは高めで有名な曲はほぼ網羅していると思います。
さて『田舎風』RV.151は第1楽章はとても速いテンポです。クールになることはなくキレの良さが爽快です。第2楽章は、透明感のある響きの中、ヴァイオリンが装飾を付けています。第3楽章も速めなテンポで軽快なリズム感があります。軽快で愉快さのあるリズムはまさに『田舎風』ですね。
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楽譜・スコア
ヴィヴァルディ作曲の弦楽のための協奏曲『田舎風』RV.151の楽譜・スコアを挙げていきます。ヴィヴァルディに関してはIMSLPからダウンロードする方がお薦めです。
IMSLP(フリー楽譜)
IMSLPのフリー楽譜はRV.151にあります。