ドビュッシー『海』

クロード・ドビュッシー (Claude Debussy, 1862~1918) 作曲の交響詩(交響的素描)『海』(La Mer) は、当時フランスの絵画を席巻していた印象主義を音楽に持ち込んだ音楽です。このページでは、解説の後、おすすめの名盤をレビューしていきます。ワンストップでスコア・楽譜まで紹介していきます。

解説

ドビュッシー交響詩『海』について解説します。

『海』は音楽の印象派

ドビュッシーは「音楽家にならなければ、海員になるつもりだった」と友人への手紙に書いている位、海が好きな作曲家でした。

葛飾北斎の海の描写に大きな影響を受けました。ドビュッシー自身のリクエストで初演時のオーケストラのスコアには葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」が印刷されました。海が好きなドビュッシーですから、この浮世絵を見たとき、よほどの衝撃を受けたのでしょうね。

なにしろ海の白波は細かく分かれて描かれているし、大きな波に囲まれるようにして、富士山が見えるのですから、マンガでもありえないような構図です。それで十分『海』の荒波を描けているし、写実的が画家からすれば、ショッキングだったに違いありません。この絵や他の浮世絵は、ご存じの通り、ドビュッシーだけではなく、印象派の画家たちにも大きな影響を与えています。

ちなみに『海』といっても浮世絵の海を音楽にした訳ではありません。「写実的でなくても、もっと自由に感じたままに描いてよいのだ」ということに気づかされた、という訳です。ドビュッシーは日本に来たことはありませんから、5音音階を使っていて、浮世絵からインスピレーションを受けていても、本当の日本についての知識はありません。あくまで印象派の影響を受けたフランスの音楽です。

作曲と初演

1903年に作曲を開始し、1905年に完成しました。途中構想を修正するなど、苦心を重ねながらの作曲でした。初演は、1905年10月15日にパリでシュヴァイヤール指揮ラムルー管弦楽団により行われました。

しかし、初演は聴衆や批評家の理解を得られませんでした。その前の1902年に初演されドビュッシーの出世作となったオペラ『ペレアスとメリザント』の印象が強く、交響詩『海』はこのオペラと全く作風が異なることも聴衆の期待を裏切るような形になってしまいまいsた。音楽評論家のピエール・ラロは、

「自然の複製品」

「海を感じることができない」

などと批判しています。さすがに「海」を感じられない、というのは批評家側の問題のような気もしますが。各地で再演された際も、聴衆の反応は芳しくありませんでした。

交響詩「海」の曲の構成

交響詩「海」は3楽章から構成されています。

交響詩『海』

第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」
静かに始まり、やがて段々と夜が明けていきます。フルートが主要主題を提示します。低弦にリズミカルなモチーフも現れ、最後は金管楽器も加わってダイナミックに日の出を表現します。

第2楽章「波の戯れ」
木管とハープがさざ波を表現します。葛飾北斎の白波の先端のように各パートの細かいアンサンブルの絡み合いとなります。

フランス系の昔の演奏は曖昧にアンサンブルしていましたが、アバド以降の演奏はきちんと譜面通りに細かく演奏してアンサンブルも合わせるという、超絶技巧が流行しています。

第3楽章「風と海との対話」
トランペットが嵐の到来を知らせます。激しい風やそれに煽られて激しくなる波を金管と弦楽器で表現しています。フィナーレではダイナミックなクライマックスを形成し、輝かしい金管とティンパニによって曲を閉じます。

曲の形式は、従来のソナタ形式などの確固とした構成はもっておらず、「循環形式」で柔軟に展開していきます。

おすすめの名盤レビュー

ドビュッシー作曲の交響詩『海』おすすめの名盤をレビューしていきます。

マルティノン=フランス放送交響楽団

定番の名盤、『海』はフランス的でダイナミック名演!
  • 名盤
  • 定番
  • 色彩感
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮ジャン・マルティノン
演奏フランス放送交響楽団

1973-1974年

ドビュッシー:管弦楽曲全集
在庫情報:残り1点レビュー数:3個

マルティノンドビュッシー管弦楽曲集は、フランス風のエスプリを持っているとともに、高い技術やダイナミックさ、スピード感も同時に併せ持っています。

交響詩「海」でいえば、ただ海を描いただけではなく、波や強風なども描かれていると思います。マルティノン=フランス放送交響楽団はダイナミックな部分でクリュイタンスやアンセルメを超えた、非常にスリリングな演奏をしていますフランス系の演奏家でこういったタイプの演奏は少ないですね。聴いていてスッキリしますし、第2楽章のきらめきも非常に色彩的です。第3楽章は聴き物で、とてもダイナミックです。こういう演奏はこれまでフランスのオケからは聴けなかったものです。

カラヤン=ベルリン・フィル(1985年)

カラヤンはドビュッシーが得意、ベルリンフィルのソロも凄い
  • 名盤
  • 定番
  • 透明感
  • ダイナミック
  • 高音質

超おすすめ:

指揮ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏ベルリン・フィルハーモニー

1985年12月,1986年2月,ベルリン,フィルハーモニー

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カラヤン=ベルリンフィルは、昔からドビュッシーを得意としています。ベルリンフィルはドイツのオーケストラ、カラヤンはオーストリアの指揮者ですが、個性、音色、技術といった所がドビュッシーに合っているのだと思います。

フランス風ではありませんが、艶やかな音色でダイナミックな弦楽セクション、名ソリスト揃いの管楽セクションで、豪華ともいえる演奏をしています。もちろん、名ソリストが沢山いるといっても、オーケストラの中で演奏していることをちゃんと考えていて、バランスが取れています。

特にこの1985年盤は、有機的なアンサンブルが素晴らしいです。カラヤンの円熟により表現が非常に細やかで繊細です。ダイナミックな所もスケールが大きく迫力があります。第2楽章も緻密になりすぎず、アンサンブルの精度は高いです。第3楽章は最初の緊張感とダイナミックさがいいですね。ソロの上手さもやっぱり凄いですね。ラストのダイナミックさも凄いし、クオリティも高いです。

演奏スタイルも技術レヴェルを見ても、交響詩『海』の定番というに相応しい名盤です。

アバド=ルツェルン祝祭管弦楽団

細かい音まで再構築して再現、凄い表現とテクニック!
  • 名盤
  • 精緻
  • 洗練
  • スリリング
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮クラウディオ・アバド
演奏ルツェルン祝祭管弦楽団

2003年,ルツェルン音楽祭

Mahler: Symphony No.2 / Debussy: La Mer
在庫情報:レビュー数:21個

アバドはイタリア人の指揮者で、イタリア物を得意としていますが、かなり力を入れてドビュッシーに取り組んできています。少なくとも「海」は3種類のディスクが出ています。また歌劇「ペレアスとメリザンド」という大作にも取り組んでいますので本格的です。「海」はこのルツェルン祝祭管弦楽団との演奏が素晴らしいです。

アバドの「海」は第2楽章が特徴的ですが、リズムを曖昧(あいまい)にすることはなく、複雑なリズムをパッチワークのように組み合わせています。こういったところがフランス系演奏家と違う所でしょうね。実力のあるオケですので、ダイナミックなところもしっかり演奏しています。他の曲ではイタリア的なはっきりとしたリズム感が出すぎている時もありますが、交響詩「海」はとても良い演奏になっています。

バレンボイム=パリ管弦楽団

パリ管のさわやかで色彩的な弦セクションが素晴らしい
  • 名盤
  • フランスの香り

おすすめ度:

指揮ダニエル・バレンボイム
演奏パリ管弦楽団

1981年

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
在庫情報:残り1点 レビュー数:3個

バレンボイムはダイナミックな演奏をさせたら超一級の演奏をする時があります。シカゴ響ベルリン・フィルとの演奏では凄い名演をするときがあります。

一方、パリ管は、元パリ音楽院管弦楽団でフランスのエスプリを持つオケですが、アンサンブル力は今一つです。というのは、カップリングの『夜想曲』でかなり指揮者とオケのイメージのズレが大きく、かなりがっかりさせられたからです。

第1曲目の最初はバレンボイムらしく遅めのテンポで始まります。思ったより、指揮とオケの息はあっていて、『夜想曲』で感じられたパリ管の戸惑いは全く感じられませんでした。パリ管の色彩的な管楽器や独特のサウンドの弦セクションが盛り上げて、ダイナミックで素晴らしい演奏です。第2曲はも色彩的でフランス的な演奏です。非常にいい雰囲気でパリ管の演奏は絶妙です。アンサンブルが崩れるようなこともありません。第3曲も良い演奏です。案外金管楽器、特にトランペットが上手く、きれいで伸びのある音を出しています。パリ管の個性やフランスらしさも残したうえで素晴らしいアンサンブルです。フィナーレもスケールが大きくダイナミックで素晴らしい演奏でした。

『夜想曲』はなんだったのでしょうかね?バレンボイムとパリ管の双方が譲り合って間をとった所と、バレンボイムのダイナミックさがパリ管からスケールの大きな響きを引き出している、という面の両方があると思います。

ブレーズ=クリーヴランド管弦楽団

  • 名盤
  • しなやか
  • フランスの香り
  • 高音質

おすすめ度:

指揮ピエール・ブレーズ
演奏クリーヴランド管弦楽団

1993年3月,クリーヴランド,マソニック・オーディトリアム

ブレーズ=クリーヴランド管弦楽団『海』はクオリティの高い演奏です。フランス的な色彩感があり、録音は非常によく、アンサンブルも精緻です。

第1楽章は、色彩的でまろやかな響きが印象的です。ソロも上手いですね。盛り上がるところは、他の演奏ほど鋭角的ではありませんが、スケールが大きいです。第2楽章はこの演奏の白眉です。輪郭のくっきりしたアバド盤とは違った精緻さがあります。基本的にこの時期のブレーズはわざと輪郭を丸く演奏させて、色彩感を保っています。この辺りの音作りが好みの分かれ目だと思います。第3楽章は弦楽器のまろやかな響きがベースで色彩感があります。シャープさはありますが、スケールを大きくすることで盛り上げていきます

ブレーズ新盤は、交響詩『海』をフランス的、色彩的に上手く描き切っているクオリティの高い名盤です。

ブレーズ=ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

  • 名盤
  • 色彩的
  • ダイナミック

超おすすめ:

指揮ピエール・ブレーズ
演奏ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

1966年12月,ロンドン,パーキング・タウン・ホール

ドビュッシー:管弦楽曲集
在庫情報:残り6点レビュー数:8個

ブレーズ旧盤です。演奏はニュー・フィルハーモニア管弦楽団です。ブレーズ旧盤は若いこともあってか、シャープでダイナミックさのある演奏も多く、旧盤のほうが評価が高い曲も多いです。録音は1966年なので古めですが、ノイズやザラツキもなくしっかりしていてリマスタリングの効果もありそうです。

第1曲ティンパニのロールからして大分違います。朝の情景も力強く表現されています。その後、テンポも速くなり、ダイナミックになっていきます。旧盤はやはり音がシャープで、弦楽器の出だしも丸く演奏してはいないようです。フィルハーモニア管は独特の重厚さがあります。第2曲はテンポが遅めですが、確かにこのテンポで演奏すると味わいがありますね。今のように細かいテクスチャを正確なアンサンブルで再現するよりは、色彩的な響きを聴かせてくれます。第3曲は最初から迫力があります。パーカッションなども鋭く響かせて、嵐の情景を描いていきます。テンポもどんどん畳み込みを掛けていき、最後は速いテンポでダイナミックに終わります。

ブレーズ旧盤の演奏は、アンサンブルは1960年代とは思えないクオリティの高さです。当時は相当鮮烈だったのでは?と想像します。とてもシャープでダイナミックな名演です。

マゼール=ウィーン・フィル

ウィーンフィルが自然体で紡ぎだす印象派の響き!
  • 名盤
  • 芳醇
  • 高音質

おすすめ度:

指揮ロリン・マゼール
演奏ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1999年1月,ウィーン,ムジークフェラインザール(ステレオ/デジタル/ライヴ)

海~ドビュッシー:管弦楽名曲集
在庫情報:レビュー数:3個

マゼール盤はウィーン・フィルのくすんだ響きを活かした面白い演奏です。フランス物の割に、フランス的な演奏が少ないですね。マルティノンが素晴らしいですが、マゼール=ウィーンフィルは、ウィーンフィルの持っているくすんだ響きを活かした演奏をしています。『夜想曲』ではこれが本当に良い方向に出ていました。

第1曲は、やはりウィーンフィルのくすんだ響きが良く出ていて、早朝のまだ日が昇り切らない雰囲気をよく再現しています。マゼールも遅めのテンポでじっくり聴かせてくれます。ダイナミックな曲は苦手そうなウィーンフィルですが、マゼールが上手くテンポ設定して上手く演奏しています。無論、ベルリンフィルのようには行きませんけれど、昔のウィーンフィルに比べるとかなり良いです。第2曲も少し遅めのテンポでウィーンフィルらしい響きを活かしています。フランスのオケのような色彩感は少ないのですが、絵画の印象派のような独特の響きになっています。第3曲も同様です。結構、ダイナミックな所も勝手知ったるマゼールの指揮のもと、しっかり演奏しています。この演奏の長所はダイナミックさではないと思いますが、そこがマイナスポイントになることは無いと思います。最後も金管とティンパニでビシッと締めています。

マゼール=ウィーンフィルのユニークな試みですが、結果として想像以上に上手く行っていると思います。

ロト=レ・シクエル (ピリオド奏法)

フランス系のピリオド奏法でドビュッシーが楽しめる
  • 名盤
  • 色彩感
  • ピリオド奏法
  • フランスの香り

超おすすめ:

指揮フランソワ=グザヴィエ・ロト
演奏レ・シエクル

2012年4月13日サンタチェーチリア,ローマ

ロトもレ・シクエルもフランス系の演奏家です。フランス系のピリオド奏法のオケで、ドビュッシーの『海』が聴けるのはとても興味深いです。当時の楽器を使っているわけですが、20世紀初頭とはいえフランスの場合、バスーンなど、特有の楽器も多いので、響きが大分違ってきます。

第1曲美しい響きで始まります。弦セクションも色彩的です。とはいえ、パリ音楽院管のようなフワッとした曖昧な響きではありません。それとロトはスフォルツァンドを強めに演奏します。録音もかなり良いですが、特に残響が長い訳ではないですが、木のぬくもりのある昔ながらの録音会場はやわらかく芳醇な響きです。第2曲はとても綺麗で色彩がありフランス的です。弦セクションが弱いですが、無理に強い音を出さなければ、色彩的なサウンドになるのですね。アバド盤のような明晰さはありません。第3曲は速めのテンポで進みます。ロトのアーティキュレーションは独特ですね。後半の追い込みは凄く圧倒的な迫力です。ただ金管も音が細く、今のオケとは全然違う響きです。一方でフランス的な芳醇さが良く出ています

いずれの曲も技術レヴェルの高い演奏で、初演時のオケだったら全然迫力は出なかっただろうと想像します。でもロト=レ・シクエルの演奏は繊細な色彩感と共に、今でも聴けるようにダイナミックさを出しています。

ラトル=ベルリン・フィル

ベルリンフィルの機能性を発揮しきったダイナミックな演奏!
  • 名盤
  • 洗練
  • 知的
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮サイモン・ラトル
演奏ベルリン・フィルハーモニー

2004年9月

アマゾンミュージックUnlimitedとは?

ラトルの『海』は、非常に整理されていて、ベルリン・フィルを上手く鳴らしている演奏です。録音も非常に素晴らしく、弱音でもダイナミックな響きでもきちんと捉えています。

ラトルは、普段は鳴り過ぎのベルリンフィルを抑え気味に演奏していますが、交響詩『海』では、ここぞという時にしっかり鳴らしてきます。オーケストラの機能性が求められる曲なので、ベルリンフィルが実力を発揮してくれることが大事です。

またラトルは『海』の持っているストーリー性を分かりやすく表現してきます。オーケストラも何をすればよいか、すぐ分かるという感じです。結構自由自在にやっていますが、ドビュッシーの音楽の範疇を超えることはありません。

例えば、第2曲の後半のテンポアップはなかなか効果的です。第1曲の後半、第3曲のラストなど、ダイナミックに演奏すべきところは、思い切りダイナミックに演奏しきっています。ここまで鮮やかに演奏しているCDは他にはないかも知れません。聴いていて本当にすっきりします。

ミュンシュ=ボストン交響楽団

爽やかさとダイナミックさのある名盤
  • 名盤
  • 色彩的
  • フランスの香り
  • 情熱的
  • ダイナミック

おすすめ度:

指揮シャルル・ミュンシュ
演奏ボストン交響楽団

1956年12月9日,ボストン,シンフォニー・ホール

ミュンシュはボストン交響楽団の指揮者を務め、同時代の作曲家の音楽を初演したり、重要な活躍をしました。そこでもミュンシュは音楽に対するフレッシュな情熱を失うことはありませんでした。このCDは録音はあまり良いとは言えませんが、ミュンシュの爽快で熱気のある音楽は伝わってきます。

第1曲は爽やかさのある演奏で、まさに日の出の爽快さです。テンポは速めで爽快に進み、ダイナミックになっていきます。第2曲海のきらめきがダイレクトに伝わってくる演奏です。シャープさがあり、ボストン響のアンサンブルも綿密です。速めのテンポでとてもフレッシュで生き生きしています。古い録音なのに爽やかな風が吹き抜けるようで、聴いているほうも高揚してきます。第3曲は最初から速いテンポで始まり、熱気があります。ミュンシュらしく、どんどんオケをあおっていきますが、ボストン交響楽団は慣れているのか、必要以上に速くはなりません。ラストはダイナミックに終わります。

やはり交響詩『海』は理屈はさておきこの位、生き生きした爽やかさがあると、聴いていて気分が良いですね。

ミュンシュ=ボストン交響楽団

ミュンシュらしい気合いの入った壮絶ライヴ!凄いテンポ

ミュンシュはパリ管の初代指揮者です。この演奏はライヴでパリ音楽院管からパリ管に生まれ変わった時のお披露目コンサートの様子です。この日のミュンシュは凄く気合いが入っています。このCDにカップリングされている後半の「幻想交響曲」の演奏は伝説的です。

ドビュッシー『海』は最初は遅いテンポで入るのですが、段々熱気を帯びてくるとテンポも速くなってきます。ただ技術的にはパリ管は意外とハイレヴェルで、特に金管は思っていたよりずっと良い演奏です。テンポが速くなってきても、そのテンポで演奏できています。ライヴなので録音状態はあまり良くない気がします。第2曲は最初から速めのテンポです。速すぎて、音が短めになっているようです。アンセルメの第2曲は速めだったので、当時のスタンダードなのかも知れませんけど。

第3曲は最初は遅めに入りますが、すぐに盛り上がって速くなってきます。終盤は、ちょっと速すぎてオケが音を出す時間が無い感じです。それと途中で何か声が入っています。ミュンシュの叫び声のようです。フランス語で何か言っているように聴こえます。もう少し遅めのテンポのほうが、管楽器などしっかり音が出る気がしますが、もうそんな精神状態ではないみたいです。さらにテンポアップして詰めていって、最後はダイナミックに終わります。

演奏後はまだ前半なのに盛大な拍手が入っているので、会場で聴いたら相当熱演だったのでしょうね。ここまで気合いの入ったコンサートなんて滅多にないと思います。

アンセルメ=スイスロマンド管弦楽団

意外に速めのテンポ、アンセルメもオケも頑張っているが録音に入り切っていない

アンセルメ=スイスロマンド管の演奏は、録音も古いですし、ダイナミックさに欠けるので交響詩『海』に関しては、あまり高い評価の演奏とは言えません。でも、1960年代以前の演奏は皆こんな感じだったと思います。ということで、再度聴いてみたいと思います。

第1曲からかなり速いテンポです。昔のほうがテンポは速かったのですかね。アンセルメは理知的な印象があったので、もう少し余裕を持ったテンポかと思っていました。ダイナミックな演奏ですが、録音に入り切っていません。特にティンパニはあまり鋭い音ではないですね。第2曲もかなり速いテンポで巻いていきます。このテンポだと正確に演奏するのは難しいです。でも、ある程度速いテンポのほうがさざ波の雰囲気はでます。

第3曲良く聴くと意外にダイナミックです。弦と打楽器は弱めですが、管楽器が健闘しています。アンセルメも速めのテンポを基調にかなりテンポの変化をつけています。最後はダイナミックなのですが、ティンパニが鋭くないことと、録音に入り切っていないことで、物足りない感じがします。

このテンポの速さはちょっと意外でした。技術面は録音が悪すぎて分かりにくいのですが、今のオケに比べるとダイナミックさは物足りないと思います。しかし、学生の時に聴いた印象から比べると意外に頑張っていたんだなぁと思います。

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楽譜

ドビュッシーの交響詩『海』の楽譜をリストします。

ミニチュアスコアとIMSLPどっちが得?

ミニチュア・スコア

スコア ドビュッシー 「海」 (Zen‐on score)
解説:菅原 明朗
4.3/5.0レビュー数:3個

大判スコア

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